ただただ消えるはずだった
消えるとは語弊があるかも知れない
英霊の座へと戻るだけだったのだ
だがそれはそれに抗った
抗ったというよりも、その存在にしては珍しく未練を残したのだ
もっとみたいと
もっとその存在を知りたいと
化かした道のその先を……見たいのだと
ただただそんな興味だけが残って、その存在自身が不思議に思ったほどだ
友でもないただの道化に……こんな感情を抱くなど
自分の思考に思わず鼻で笑った……
その瞬間に
「……何?」
それは……教会の椅子に座っていた。
皮肉なように……神の像を見上げていた。
己に何が起こったのかわからず、ただ茫然としていて……直ぐに違和感に気付いた。
体が……あるだと?
先ほどまで霊体として存在していただけの、ある意味で曖昧な存在ではなく、確かな肉と体があった。
何故こんな事になったのかしばし呆気にとられていると……教会へと足を運んでくる存在がいた。
「どうした? ギルガメッシュ。お前がここにいるというのも珍しいな。しかも神の像を見上げて。お前にしては珍しく、神に懺悔したいことでもあるのか?」
その声がする方を向いて……その存在、ギルガメッシュは驚きに少し目を見開いた。
容姿が少々異なるが間違いない。
この神父服を纏った存在は、確かに自分が契約を結んだ男。
言峰綺礼なのだと……
「どうした? そんなに驚くことでも……ギルガメッシュ、一体どうした?」
問いかけてきた言峰綺礼は、自分の様子に違和感を覚えて警戒を露わにした。
その様子を見て、我は笑った。
姿形は多生変われど、それでもこの男は我が望んだ通りに成長しているのだと。
だがそれでも衰えても、衰えきってないことがわかって。
「くくくく。どういうことだかよくわからんが……この場にいるのは天意か?」
立ち上がり、再び見上げる神の像を皮肉げに我は睨んだ。
何を考えているのかわからぬ。
何が起こっているのかもわからぬ。
だが、どうしてかこの場にいるのであれば、それは何かの意味があると言うこと。
だが……下らぬ試練を課したというのであれば
業腹だが……受けてやろうではないか!
誰に対して課したのかわからぬその試練を
我は自らの意思で持って……受けることを決めた。
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Fate/Zero
桜花を護る、超野太刀を持つ開拓者
終