桜花を護る、超野太刀を持つ開拓者   作:刀馬鹿

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この物語はフィクションです
登場する人物、団体は現実世界に一切関係ありません

またこの作品では描写の関係で問題ある行動を行っていたりしますが、
その行為を肯定するわけでもなく、助長しているわけでもありません!

その辺をご理解ください!





拠点

それはキャスターがセイバーへ赴き、そして綺礼とギルガメッシュが会話を繰り広げた、翌朝。

 

 

 

一夜明けて、刃夜一行が向かったのは不動産屋だった。

当座の拠点を手に入れるためだった。

だが……少々問題があった。

 

「……さすがに一軒家は厳しいな」

「普通に生計建てていたら、三十前で中古とはいえ一軒家を購入できる貯金はないわな」

「でも刃夜の言い分もわかるんだよ。間桐の家は論外にしても……今の俺たちに集合住宅は危険だ」

 

間桐の家は臓硯のホーム。

集合住宅は周囲に人が容易に侵入でき、また他の住民を巻き込む危険がある。

となると戸建て住宅が理想的なのだが……自立できているとはいえ、雁夜にそんな大金があるわけもなかった。

 

「建築法とかなければ半日もあれば俺が家を建てられるんだが。なんかスキル扱いになってるし」

「……本当か? 君は……本当にどんな英霊なんだ?」

「だから英霊なんて大した存在じゃない。単に家の修行が鬼畜だっただけだ」

 

それだけでは到底納得できなかったが、嘘を言う理由もないため雁夜もその言葉をとりあえず疑わないことにした。

信じてもいなかったが。

 

「ちなみにリフォームも出来る。結界とかも形成するから、むしろぼろいほうがいいかも」

「……だったら何とかなるかも知れない」

「それか間桐の家から金目の物かっぱらってくるか? 隠密行動はお手の物だ」

「……それもありだな」

 

と、実に危険な会話を、不動産屋の入り口に張り出された物件を物色しながらしていたりするのだが……道行く人々は誰も子連れの男二人組に気を止める者はいなかった。

また雁夜からすれば間桐家は生まれた家であるのだが、臓硯という怪物がいたこと、また桜を苦しめた事で愛着など出るわけもなかった。

 

「またホテルってのも一つの手だが……しかしなぁ」

「桜ちゃんとしてもあまりいい事じゃないし」

「わたしなら、平気だよ」

「いいや桜ちゃん。俺が嫌なの。大人の我が侭だ」

「……見た目俺より年下の刃夜がそれをいうと違和感が」

「だから俺の精神年齢はお前の20倍以上だ。じじいと一緒だじじいと」

 

それがにわかには信じられないんだけど……

 

確かに存在自体が異常だが、こうしてそばにいる限りは雁夜としてはただの青年にしか見えないのだった。

これは雁夜の未熟さと、まだまだ未熟ながらも刃夜の修行のたまものだった。

雁夜はごくごく最近まで一般人として暮らしており、魔術の心得も当然武術の心得もない。そんな雁夜に、刃夜の異常さが見抜けるわけもなかったのだ。

 

「おじいちゃんなの?」

「そうだ桜ちゃん。俺はおっさんではなくもはやじじいすらも超越して仙人もどきだ。俺を呼ぶ時はじいさんと呼んでくれ」

「刃夜……おじいちゃん?」

「うむ、それでいい」

 

目線の高さを合わせるために桜の前に膝をついて満面の笑みを浮かべて、刃夜は桜の頭を撫でる。

それに対して桜はただされるがままで、首を僅かに横に傾げるだけだった。

 

ぜってー殺す

 

内心で凄まじい殺意を滾らせながらも、桜に対する表情には優しさしかない笑みだった。

そんな刃夜がふと脇に目を向けて……それに気がついた。

 

「お、ここはどうだ?」

「? これは……」

 

刃夜が指差したのは、下の端の方にある物件だった。

深山町の外れの方にある、雑木林の中にある古い武家屋敷の物件。

数年前に持ち主が死に、引き取り手もない。

敷地こそだいぶ広いが、武家屋敷が建築されてからそこそこの年数が経っており、家主不在で手入れが行き届いてないために、かなり痛んでいるようだった。

しかも深山町の中でもかなり端の方であり、利便性も良くない。

しかしその不便さは……刃夜達には好都合でもあった。

 

「武家屋敷で敷地もそこそこ。周りは林があって民家もない。いいんじゃないか? 先にも言ったがリフォームは出来るぞ」

「この値段なら何とか……でも少し足りないな」

「しょうがない。マジでかっぱらってくるか」

 

小さく溜め息を吐きながら、刃夜は指を鳴らして軽く準備運動をし出した。

完全に泥棒に入るためかあまりその表情は乗り気ではなかったが……それでも背に腹は代えられないのだろう。

 

「しかし、臓硯に後をつけられたら……」

「むしろ好都合だよ。俺からしたらあいつがどんな手で来ようが返り討ちに出来る。意地でもする。だが手がかりもなく聖杯戦争が終わって、逃げられるのが一番困る」

 

臓硯の狡猾さを知っている雁夜からしたら、まだ完全に信用し切れていない刃夜のその台詞は非常に怖いものがあったのだが……しかし言い分も十分に理解できた。

 

確かにあのじじいからしたら……聖杯戦争さえ終われば問題はないのか

 

イレギュラーな存在である刃夜は間桐臓硯からしても予想外であり、八騎目のサーヴァントなんて想定できるはずもなかった。

そして昨夜のバーサーカーを一瞬にして狂化を消し去った謎の能力。

狂化されて理性を失う変わりに、戦闘能力が格段に強化されたバーサーカーの攻撃を受け止めて、挙げ句の果てに投げ捨てる。

更に目の前にいたはずだというのに、一瞬にして投げ飛ばしたバーサーカーの前に行き、あまりにも長い刀で斬り捨てた。

その一連の動作は、戦闘については何一つわからない雁夜からしても驚きだった。

本格的な戦闘を行っていないため、実際の戦闘能力は未知数だが……それでもバーサーカーに対応できる時点で弱くないことは雁夜にもわかった。

欠点としては生きているために霊体化できないため、普通の人間として食べて、寝る行為が必要な事だろう。

といってもそのどちらも、刃夜は全く問題なく耐えられたりする。

 

そして当然、実際とんでもなく強かったりするのだが……雁夜がわかるはずもない。

 

「さて、あまり連れて行きたくないのだが……それでも桜ちゃんを俺の目の届かないところに行かせるのはちょっと怖い。虫使いって事を考えると余り安全とは言えないだろうし」

 

繫いでいた手を離し、刃夜は桜を抱きかかえた。

抱っこした姿のまま、なんと驚くことに二人して姿が薄れていく。

 

「!?」

「雁夜、お前はともかく人目の多いところにいろ。すぐに帰ってくるが、用心に越したことはない。まぁ虫程度で何をされようと、紫炎の力でどうとでもなるがな」

「し、しかし」

「あ、ついでにこれ渡しておくわ」

 

そう言って完全に姿が消える前に渡されたのは……上の方に穴が開いて紐が通されている、「守」と書かれた木の板だった。

 

「これは?」

「護符だ。地下蔵にいた虫なら百匹単位程度一斉に襲われても十分程度なら持ちこたえられる」

「!?」

「とりあえずそれ持ってどこか人目の多くて、でも最悪事が起きても何となるところにいるように。すぐに戻る」

 

人目が多くて事が起きても何とかなるって……どこだよ?

 

刃夜の台詞に当然のような疑問を抱くが、手渡された護符から顔をあげたらすでにそこに刃夜も桜もいなかった。

一体どういう原理で消えたのかわからない雁夜としては、疑問符が頭の中を渦巻くのも当然といえた。

 

とりあえず……移動しよう

 

見つけた物件について話を聞くのは止めにしておいた。

自ら閉鎖空間に行くのは愚作であると考えたからだ。

何せ相手は間桐臓硯。

老獪という文字を生命にしたかのような存在なのだ。

ただでさえ経験も知識も力もない雁夜からしたら、警戒をするに越したことはなかった。

そして、新都の公園のベンチ……目の前に小さな茶店があって、そこのドリンクをテイクアウトしている……でしばし待つこと十数分。

 

「ただいま」

「うぉっ!?」

 

近寄る気配も姿もないというのに、突然隣に座りながらそう言われて、雁夜は文字通り飛び上がった。

その際に手からお茶がすっぽ抜けたのだが……次の瞬間には刃夜の手の中にあった。

 

「すまんすまん。驚かせるつもりはなかったのだが」

「嘘をつけ……」

「雁夜おじさん……ただいま」

「お帰り、桜ちゃん」

 

刃夜に抱きかかえられながら、自分に向けて挨拶をしてくる桜に少し癒されながら……雁夜は刃夜へと目を向けて、目を見開いた。

 

「……その通帳は?」

「いや、ちょうど侵入したら酒瓶を持ちながら間桐家に入ろうとしている奴……鶴野って奴がいてな。ひっつかまえて脅して奪った」

「……それ、完全に犯罪じゃないか?」

 

完全に犯罪である。

この場合は恐喝行為に他ならない。

 

「桜ちゃんにした所業を考えれば「万死に値する!」が……まぁあの妖怪じじいがいるんじゃあの程度の実力だと逆らえるはずもないからな。これを持って贖罪としてやった」

 

カラカラと、どこか邪悪な雰囲気を醸し出しながら刃夜はそう笑っていた。

その笑みが、全く笑っていなかったために雁夜としても乾いた笑みを浮かべるしかなく、自らの兄を多少だけ同情した。

だがそこはそれなりの年月を生きている刃夜だけはあり、きちんといろいろな手段を用いていた。

 

「ちなみに桜ちゃんには聞こえないように少し力を使って会話したから、教育上問題ある発言は桜ちゃんには聞こえていない。当然この会話も聞こえていない。鶴野って奴に協力をさせて譲渡しているように見せかけている」

「……そんなこと聞いてないんだが」

 

盛大に溜め息を吐きながら、雁夜は頭を抱える。

そしてちらりと桜を見ると、本当に不思議そうに雁夜を見ていた。

どうやら会話が聞こえていないのは本当らしく、突然頭を抱えた雁夜が不思議でしょうがないのだろう。

 

「しかしすごいな、この通帳。結構な額が入っているぞ?」

 

そんな桜と雁夜は放置で、刃夜は先へと話を進める。

本人も必要に迫られて&罰を下すという意味で行った行為だが、進んでしたかったわけではないのだろう。

露骨な話題転換に雁夜としても乗らない理由はないので、刃夜に返事をする。

 

「あぁ……間桐家は不動産で結構儲けているから」

「……さっきの物件大丈夫か?」

「大丈夫だ……。たぶん……」

「まぁいい。俺のビフォーアフターと結界で問題なくしてやろう」

 

通帳とカード、そして印鑑に暗証番号の書かれた紙を雁夜に渡しつつ、刃夜はそう言って気合いを入れていた。

その様子に頼もしさと同時に少々の不安を感じながらも……否定をせずに雁夜は苦笑した。

 

「さて、んじゃさっさと買ってこよう。んで、午後はリフォーム。そして食材を買い出しに行くぞ」

「食材?」

「俺、こう見えても職の一つが料理人なんだ」

「……本当にお前はどんなえい――化物(モンスター)なんだ?」

「ちなみに本職は刀鍛冶だ」

「……本当か?」

 

もはや疑問を投げかけるのもばかばかしくなる雁夜だったが、しかし思わず疑問が口からこぼれていた。

その疑問に対して、刃夜は軽い感じで頷き返す。

 

「まぁ鍛造している暇はないだろうから、見せることは叶わないだろうが。さて桜ちゃんや、好きな料理はあるかい? といっても調理器具が揃ってないだろうから、本気でこった料理は作れないだろうし、簡単な物しか作れないが……」

 

気合いを入れながらも、道具がないため大した物が作れないと、自らの台詞にがっかりする刃夜。

だが桜としては、正直余り興味がない事柄だった。

 

「別に……何でも大丈夫。何でも食べる……から」

「……よしわかった。絶対にうまいと言わせてやる!」

 

うつむきつつ返事をしてきた桜を高い高いしながら、刃夜はそう決めたのだった。

その感情は怒りと使命感故の台詞だったが、二人にそれがわかるわけもない。

 

「そうと決まればすぐに取りかかるぞ! ヒモで大変申し訳ないが、それでも金を出してくれればその辺のシェフじゃ太刀打ちできない極上料理を食わしてやろう!」

「すごい事を豪語するな」

「経験値が圧倒的に違うからな! 先にも言ったがじじいだからな」

 

そういって刃夜は桜を抱っこして頭を撫でながら笑っていた。

そんな刃夜に溜め息を吐きながら、三人は……実質は四人……先ほどの不動産屋へと歩き出した。

そして速攻で不動産を買い取り、午後は刃夜がホームセンターに入り浸り、リフォームの材料等を、雁夜に購入させていた。

本来数日は引き渡しにかかるのだが……刃夜がそれを強行させた。

 

「マジで拠点がいるからな」

「否定はしないが……無理矢理すぎだ」

 

そして午後数時間で驚くことに二つの部屋とトイレに風呂、更に調理場を完全復旧してしまったのだった。

屋根と風呂、トイレそれぞれの通路も同様に完璧な修復状況だ。

まだ手つかずの部屋もあるが……それでも生活するにはなんら問題がない。

 

「……お前マジで何者なんだ?」

化物(モンスター)だ。それ以上でも以下でもない。だが人間でもある」

「矛盾しすぎ」

 

高速……それこそ目にも映らないほどの速度で作業をしたためか、若干息を弾ませていたが、それでもその動作に狂いはなかった。

武家屋敷は本当に完全な昔ながらの日本家屋であり、竈もあった。

そして買ってきた食材とスパイス、更に肉類を取り出して、刃夜は調理を開始した。

食材は一瞬で切断され、更に竈は何故か紫色の炎が灯り、米を炊いていた。

しかも米はそれなりに高い米を買ってきた挙げ句、何故か全ての米を選別し米粒の大きさをそろえるという事までしていたりする。

 

「とりあえず初日はカレーで。俺の作ったカレーはうまいぞ」

「確かに良い匂いだな」

「……うん」

 

桜が控えめにそう言っているのを刃夜と雁夜がほほえましい気持ちで聞いて、しばらくして料理ができあがる。

そのカレーを口にして、雁夜と桜は驚愕した。

 

「……なんだこのうまさ」

「……おいしい」

「ふ、当然だろう? 俺を舐めるなよ?」

 

見事にドヤ顔をしている刃夜だったが、その顔を肯定せざるを得ないほどにうまく、雁夜は内心で舌を巻くしかなかった。

海の原のとあるごじんが食べれば……絶句する事請け合いの腕前なのだからそれも当然なのだが。

そして食事が終わり、風呂に入って三人は買ってきたばかりの布団で川の字になって眠りにつく。

その前に桜と雁夜の二人には、刃夜が取り出した小瓶の中身を飲ませて、軽く運動をさせていたりする。

 

こうして一応陣地を手に入れた四人は、次の日もリフォームを行った。

全く聖杯戦争らしき事をしていなかったりするのだが……それはまた別の話。

ちなみに僅か一日と数時間で、匠もびっくりするほどによみがえった武家屋敷が出来ていたりする。

防犯はもちろんのこと、夏は涼しく冬は暖かい。

更に桜と雁夜と黒紫の戦士以外入るには、かなりの労力を伴う結界が張られていたりする。

雨にも強く、火にも強く、揺れにも強い。

ぶっちゃけ、ちょっとした要塞と化していた。

といっても防御力だけで攻撃力はなかったりするのだが……。

 

 

 

そして拠点を手に入れて……桜ちゃんと雁夜を寝かしつけた深夜。

 

 

 

玄関から出て闇夜へと走っていく刃夜の姿があった。

 

 

 

 

 

 






ネタ

刃夜
よう雁夜のアニキの鶴野。良い酒もってんじゃねえか? 景気が良さそうだなぁ?

鶴野
八騎目のサーヴァントだと!? お、俺に一体何の用だ!?

刃夜
いやぁ、ちょっと今金に困っててよぉ? 悪いんだが金くれよ? もってんだろ? 代金はお前自身の命だ? 安い買い物だろう?(下卑た笑みを浮かべつつw)

鶴野
そ、それは……

刃夜
命が惜しけりゃ金よこせや。あ、桜ちゃんの教育に悪いから譲渡するような感じで演技すること。これもうまくできなかったらお前の寿命が削れるようなことしてやっかんな? わかってんだろうな? ぐへへへへへw

鶴野
こ、この外道!

刃夜
そりゃスキルだ



こんな感じでやりとりが行われた……かもしれないw



刃夜のスキル

陣地作成B 
運があるのかないのか……行く先々で己の生活拠点を得る能力。長年の修行の成果で、それなりの結界を作成できるようになった。また家の建築、リフォームも可能。その家に結界を張ることで普通の家よりも遙かに頑丈な家が出来る。作成するのは工房ではなく、あくまでも己に取って有利な拠点の作成。英霊相手には厳しいが、刃夜の結界を突破するには、現代の魔術師ではかなりの力が必要となる。

道具作成:B
魔力を帯びた道具を作成出来る。今回のは護符となっており、一定の力を下回った攻撃に対して鉄壁の不可視防壁が展開できる。しかし護符に込められた気力、魔力がなくなるとただの木の板になる。気力と魔力の最充填は容易に可能。




恐喝行為は犯罪です
絶対にまねしないように!


ここだけ見るとスキル構成が完全にキャスターw
戦闘力に比べれば圧倒的に呪術などの術が苦手なのにw
しかしここまで書いてて聖杯戦争らしきこと一つもしてないなw
五次聖杯に引き続き影が薄いなぁw
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