死神達の恋歌   作:yatenyue

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零番隊 再結成 1か月後


月の導き  第一章  第八話 特殊能力虚 

 

 

 嘘だと思った。

 

 

 冬獅郎が

 

 

 今意識不明の重体だなんて・・・

 

 

 悲しみ以上に噴き上げるのは怒りだった。

 

 憎しみだった。

 

 大切な人を傷つけたものへの。

 

 

 

 

 何十年何百年人間界で生きてきた人間だとしても、感情が激しくなった時私がそれを抑えるのは難しい。

 

 

 まぁ、理性も止める気ゼロになるんだけどね

 

 

 

 

 でも、もし死んでいたら・・・

 

 

    たぶん悲しみに縛り付けられたと思う。

 

 

 だって、それぐらい大切になっていたから

 

 

 

第八話 特殊能力虚

 

 

それは、私が零番隊隊長になってひと月経った頃のことだ。

 

 

私はひたすら、目くらましの術によって隠された零番隊から走っていた。

 

瞬歩を使って

 

 

 

 四番隊に着くと、

 

 

 

 隊舎の中を突っ切り、冬獅郎の霊圧を追い

 

 

 バンっと

 

 

 その病室の戸を開くと、冬獅郎はベットに横になっていた。

 

 

 「冬獅郎っ」

 

 冬獅郎の腕や頭には包帯が巻かれ、いろいろな管がつながれている。

 

 そしてその瞳は閉じられていた。

 

 

 そのそばにはすでに最初に連絡が言ったであろう副隊長の乱菊さんがいた。

 

 

 

 「乱菊さんっ、冬獅郎は大丈夫なの?

 

 冬獅郎は何があったの?

 

  誰が冬獅郎こんなにしたの?」

 

 

 声には動揺が現れているが、表情は何もない。

 

 感情が暴走しすぎて無表情になっているのだ。

 

 感情豊かな彼女の無表情は、乱菊に恐怖を感じさせた。 

 

 美月からは、抑えきれない殺気が出ていた。

 

 純度の濃い殺気と密度の濃い霊圧。

 

 それは副隊長である乱菊にも体が震え、体が硬直し呼吸が苦しくなるほど強いものだった。

 

 それが自分に向けられていなくても

 

 遅れてきた零番隊副隊長であり、表向き一番隊副隊長である如月海依が入ってくる。

 

 その殺気と霊圧を平然と耐えて入りながら美月の方を叩き、

 

 「抑えろ、美月。

 

     理性を効かせろ」

 

 冷静な声で言う、海依。

 

 その声にすぐに反応して霊圧と殺気は収まるが、顔の無表情だけは治らなかった。

 

 肩で息をする乱菊だが、すぐに呼吸を整え、話し始めた。

 

 

 「怪我は、頭と腕だけで命の別状はないらしいわ、意識は一回も戻ってないけれどもね。

 

 で、理由だけど、隊長一人で任務で向かったんだけど、どうやら特殊能力を持つ虚だったらしくて・・・

 

 って美月どこ行こうとしてるの?!」

 

 考えることもなく動き出した美月を声で静止する。

 

 が体は、外に向いたままだ。

 

 「乱菊さん、それどこですか?

 

     私が行きます。」

 

 「言うことはできないわ、今後の方針が決まるまで

 

 

 「なら、自分で探しますっ」

 

    ま、待ちなさい!!」

 

 乱菊さんの叫びを無視して飛び出した。

 

 走る彼女の後ろにぴったり付くように海依がついてくる。

 

 

 「何?海依、もしかして海依も止めるの?」

 

 

 「止めるわきゃないだろう。

 

 お前がやられるはずないしな。

 

 で、情報はいらないわけ?

 

 風で情報集めといたけど。」

 

 

 迷わず

 

 「教えて」

 

 「どうせうちに回ってくるだろうし、

 

 ついでに十里ほど離れたとこの大虚倒しとけよ。」

 

 そして、まとめた書類を渡す。

 

 「ありがとう」

 

 

 私は零番隊隊長の印である羽織を羽織ると瞬歩で消えた。

 

 

  「厄介そうだし先についでの大虚をたおしてウォーミングアップしてから行くか」

 

 

           《side 乱菊》

 

 自分に向けられていなくても怖くて恐ろしい殺気と霊圧だった。

 

 逃げ出したいのに足は動かない。

 

如月のおかげでそれはとけたけど、

 

 それでも、一番隊副隊長であれ隊長が叶わなかった相手に彼女が勝てるとは思えなかった。

(彼女が卍解を使える件に関しては箝口令が敷かれてます)

 

 

 

 一副隊長のために山本総隊長が動くはわからないが一番隊隊舎に向かった。

 

 「失礼します。総隊長っ!!」

 

 「なんじゃ、騒々しい」

 

 私は事情を説明しても平然として

 

 「砕蜂を連れてきてくれぬか、急いで」

 

 「は、はい」

 

 

 「砕蜂よ、」

 

 「はっ」

 

 「もし、何かを見てしまっても誰にも言わぬと言えるな」

 

 「それは当たり前のことです」

 

 「よし、この場所で美月を監視してくれるか?

 

 あの子なら大丈夫じゃとは思うが、

 

  

     暴走せんとも限らんがらな」

 

 その信頼の理由がわからなかった。

 

 「理由はお主らにだけあとに話すからの」

 

 

 

ぐちゃぐちゃに臓腑を撒き散らして仮面を割らずにいたぶった大虚の上に立っていた。

 

 

 まるで激情をぶつけたように・・・

 

 

 気が済んだかのように仮面をわると、消えていった。

 

 その刀には血や人の油がついている。

 

 ぽたりぽたりと刀をしたり落ちる、血。

 

 「少しは収まって冷静になったかな」

 

 それでもなお無表情をしていた。

 

 刀を持っていた懐紙で拭う。

 

 「ごめんね、朱夏。

 

 

 

 でも冷静さを損なってたら普段やらない間違いをするしね、

 

 あとで研いで綺麗にしてあげるから

 

 

  そろそろ行くか」

 

 その瞬間飛んだ。、

 

 3里をわずか数秒で到達した。

 

 

 

 

 

 

 「常駐型虚・・・ね。

 

 特殊能力ねぇ。資料からするにこの百数年前からこういうのが頻発してるよね。

 

 自然にこんな頻発するはずないし、まさか人為的とか・・・?

 

 今度詳しく調べとこう。

 

 何かあってからじゃ遅いしね。」

 

 虚の霊圧がする。

 

 

 「ふーん、まぁまぁね、でも霊圧的にはせいぜいAよりのB級ってとこかな。

 

 能力はわからないから用心しとこう。」

 

 

 相手を下に見るのはいいけど侮るのは、馬鹿のやることだ。

 

 能力によれば力以上に凌駕することもある。

 

 何事も使い方で毒にも薬にもなる。

 

 まぁ

 

 

  

 

 

 

 

  楽に昇華させてやるなんて思うなよ

 

 

 

 

 

 

 普通の死神並みに霊圧を下げる。

 

 

 

 「【ほぉう。

 

 また死神が来たのか、懲りぬ奴らよのう。

 

 先ほどのやつは逃してしまったが、今度は逃がさぬぞ】」

 

 その虚の後ろからは触手のようなものが生え、

 

 獅子のような四肢に虚の仮面。 

 

 

 

 この言葉で憶測は確信へと変わる。

 

 逃がさないのはこちらのセリフよ。

 

 

 

 「容赦しないわよ。

 

 “炎よ散れ!朱夏”」

 

 刀の周りに炎を纏う。

 

 周りにも炎が舞う。

 

 朱色のそれ。

 

 瞬歩で後ろに回り込み、厄介そうな触手を斬ろう斬魄刀を振り下ろしたその時、

 

 

 

 

  斬魄刀が消えた。

 

 ドンっ

 

 

 私はその触手によりはじき飛ばされた。

 

 体が木に打ち付けられる。

 

 

 

 「っ、(痛みに慣れていても、痛くないわけじゃないんだよ)

 

 これね、冬獅郎を手こずらした能力は・・」

 

「【この能力はな、1人の死神につき1回しか使えないが、わしのそばに来た瞬間、斬魄刀を異空間に飛ばすのじゃよ、】」

 

 

 斬魄刀なしでも鬼道を使えばこの程度平気。

 

そう思ったとたん

 

 「【鬼道とかいう技も無駄じゃよ。

 

 わしの体は、それが効かないようになっているからのう】」

 

 私はそれを聞いてどうするか考えた。

 

 鬼道に対する耐性から考えて、白打もあまり効かないだろう。

 

 さっき攻撃された時のあの硬度。

 

 考えながらも最小限の動きでその攻撃を避ける。

 

 懐を探ると、癒宇もなかった。

 

 (その時持っている斬魄刀ってことか

 

 別に、その空間割り出して入ってとってくることの私には簡単だし、

 

 どこかわかれば朱夏なら喚べるし、

 

 

 でも、癒宇は空間を隔てて呼べるほどリンクしてないから

 

 別空間にあったらダメよね、

 

 冬獅郎の氷輪丸も取り返さなきゃだし、

 

 朱夏は置いておくか、朱夏なら探してくれるだろうし

 

 倒してすぐ帰ってくるんなら、一番楽なんだけど)

 

 

 「ねぇ、あんた1つだけ質問していい?」

 

 「【まぁ、いいじゃろう(時間稼ぎのつもりか?)】」

 

 「飛ばされた斬魄刀ってあんたを倒せば戻ってくるわけ?っていうか全部同じ空間?」

 

 「【たぶんのぉ、

 

 倒されたことなどないから断言はできぬが。

 

 そして同じ空間じゃ

 

 だが、それを聞いたところで、手ぶらで何ができるっ!!】」

 

 一斉に四方から触手が伸びてくる。

 

 「縛道の一、塞(サイ)っ」

 

 虚は動けなくなったが長く持たない。

 

 数秒で、また動き始める

 

 (やっぱり、断空と似た性質か?

 

 ってことは、鬼道以外を使えばいい)

 

 

 「そのいく先は我知らず、歩を留めよ、

 

 アビラウンケンっ」

 

 言霊を唱え、札がないので頭の中で複雑な術式を浮かべる。

 

 生前よく使っていた陰陽術だ。

 

 だが、鬼道と術式が違うので効き留まるが、長くは持たない。

 

 

そして、わたしは、喚ぶ。

 

 

  避け続けてきた

 

            モノを

 

 

 「来なさい、“刹那”」

 

 

 

 黒い柄につか、上半身より長いその刀。

 

 

 それが手の中に現れる。

 

 

 私がずっと使うのを避け続けた刀、“刹那”。

 

 

 私は鞘から刀を抜き、鞘を下に捨てる

 

 

 刀身は普通だ。

 

 始解していないうちは・・・

 

 

 「“血に飢えろ、刹那”」

 

 解号を唱え、開放すると、血のように赤黒く染まった刀身が顕になる。

 

 どう見ても女の持つものではない。

 

 明るく綺麗な朱の髪に月明かりがあたって綺麗だったのに、

 

 開放すると

 

 

 まるで 死の女神のように赫に見えた。

 

 

 

 

 「【何?何故だ】」

 

 

 「これは、いつも持ち歩いていないんです」

 

 にっこり表情を動かすが、目が笑っていないので怖いものだった。

 

 

 私はすぐ前にあった虚の足に刀を突き刺した。

 

 

 「【か、体の力が・・・】」

 

 「本当はいたぶりたいところなんだけど、刹那にあまり血を吸わせたくないんだよね、

 

 

 この血に飢えた刀に・・・

 

 これで終わりよ、

 

 “切り刻め、刹那”」

 

 

 虚の体は、粉々に吹き飛び、肉片や血が飛び散った。

 

 

 そんな中で美月の体にも髪にも

 

 肉片も血もひとつもついていなかった。

 

 

 

 

 

 

 「危ない!!」

 

 誰かの声が聞こえた気がした・・・

 

 

 あーあー

 

 油断は禁物なのにね、私って馬鹿。

 

 その瞬間温もりを感じ誰かが私をかばっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

           《side 砕蜂》

 

 

 なぜ私がこいつをかばったのかわからない。

 

 いや、こいつの目があいつに海依に似ていたからかもしれない。

 

 本当は頼まれた通り見るだけのつもりだった。

 

 霊圧と気配を潜め、最初に見たのは私たち13人しか着ることの許されいない白い隊長羽織。

 

 

 その後ろには、【零】の一字。

 

 

 あの人が私の尊敬したあの人が昔言ってた気がする。

 

 王族特務の零(ゼロ)番隊とは別に護廷に零(レイ)があることを。

 

 

 まぁあの女のことは後で総隊長に問い詰めよう。

 

 あいつのいつも持ち歩いている刀が飛ばされ、鬼道が効かない体皮。

 

 なぜ笑っていられるのかが不思議だった。

 

 なにが手があるのだろうとも思ったが 

 

 鬼道が効かないのに縛道を使ったときは、見込み違いかと思ったが、

 

 仮にも隊長羽織を身につけたものだ。

 

 

 鬼道とは、異なる力で相手を拘束し、能力の知らない最後の刀で突き刺し、

 

 

  血の海を生み出した。

 

 

 かなりの戦闘技術だと思った。

 

 やはり所々で海依に似たところを感じた。

 

 

 そういえば海依が一番隊に入ってから私的に会ったことないな。

 

 

 よくあいつがこの少女と話しているところを見る気がする。

 

 

 相手が倒れて私も安心したその時あの少女と後ろに虚の気配を感じた。

 

 考えるより先に

 

  声帯を震わせ私は飛び出していた。

 

 

 私も海依に感化されたな。

 

 

 

 

         《side end》

 

 

 

 

 

 

 かばってくれたその人を見ると、あまり私は面識がないが元海依の所属隊である二番隊隊長で、隠密機動総司令官および同第一分隊〈刑軍〉軍隊長である、砕蜂隊長だ。

 

 背には虚の爪痕が残っていた。

 

 海依が話すとき、すごく意識してないんだろうけど笑顔で話す相手。

 

 命に別状はなさそう、あとで癒宇に治してもらうとして

 

 先に

 

 

   「意識はありますか?

 

 すぐおわらせますから。

 

 ・・・ 3体か」

 

 

 異空間から戻ってきた自分の2本の斬魄刀と冬獅郎の氷輪丸が下に落ちていた。

 

 朱い柄の刀を拾い、地面に突き刺した。

 

 虚といえども熱はある。

 

 炎を司る朱夏は僅かな熱も見逃さない。

 

 「そこだ!!

 

  “炎よ散れ、朱夏!!”」

 

 3体の虚の下から地面を吹き上げるように朱の火柱が上がり、

 

  焼き尽くされた。

 

 

 

 消失を確認しすぐに

 

 

 「大丈夫ですか?

 

 私なんかどうして・・・海依じゃないのに

 

 動かないでください、すぐ治しますから・・・

 

 “癒せ、癒宇”」

 

  淡い碧がかった白い光が包み込む。

 

 砕蜂の傷は、消え失せ何もなかったかのようになる。

 

 ただ、そこに濃い桃色の霊子が散った。

 

 「お前、自分の傷は治さないのか?」

 

  「はい? いや、擦り傷だけですよ」

 

 「お前、特殊虚の触手に腕を切られただろう。

 

 さっきから庇っている」

 

 

 視線の先には私が普通に動かしていた腕。

 

 普通の人なら誤魔化せる演技。

 

 私とあまり関わりがない砕蜂隊長なら絶対に悟られないレベル。

 

 「気がついたんですか?」

 

 「あぁ、海依にそっくりだからな。お前

 

 海依と同じでやせ我慢だな、腕を出せ

 

 肋骨も折れておるだろう。」

 

 出した腕にあったのは切り傷で現世なら十数針は縫う怪我である。

 

 霊圧で傷を覆い、血は止まっている。

 

 肋骨のこともバレてたか

 

 海依の良き理解者ね、信用できるわ(信頼はまだできないけど)

 

 

 

 少し、慧斗(ケイト)ー勾陣ーに似た雰囲気よね。

 

 治した礼なのか 

 

 鬼道で腕も肋骨も治してくれた。

 

 治してくれるなら治してくれるでいいか

 

 砕蜂隊長は鬼道と白打が特に優れていると知っているからね)

 

 「ありがとうございます、

 

 どうしてここにいるかは聞く必要ないですよね

 

 総隊長に私が暴走しないよう見張るように言われたんでしょ。

 

 私が暴走すると被害が尋常じゃないから」

 

 「理由はわからないが、総隊長の命だ。

 

 ところでその格好・・・」

 

 「あー、それは総隊長に聞いてください(どこまでいっていいか分かんないし)」 

 

 ため息をつきながら頷いてくれた。

 

 海依に振り回され慣れているのね

 

 いつも三席レベルに下げている霊圧に合わせて短くしている朱夏は、感情の発露の後遺症か戦いの時のまま上がったままで、

 

 5cmほど長くなっていた。(霊圧の制御が甘くてもこの程度で、どっかの誰かさんみたいにはならない、この子達みんな)

 

 

 そして、自分の分と一緒に冬獅郎の氷輪丸を背負って帰るのだった。

 

 

 

 

 

in 一番隊隊主室

 

 

 「失礼します、総隊長」

 

 私は言った。

 

 「おお、帰ったか、美月。」

 

 「帰ったのねっ、美月。」

 

 私に抱きついてきたのは、乱菊さんだった。

 

 うっ

 

 ちょっと体格考えてよ。

 

 女一人分ぐらい大丈夫に決まってるけどさ

 

 だって256tくらい持てるし(いやいやおかしいから 人間としておかしいから ハンター最強キャラですか?by ユエ)

 

 

 体勢を整えて、乱菊さんに抱きつかれたまま

 

「で、総隊長。

 

 この二人にどこまで話していいんです?

 

 それとも、記憶消したほうがいいですか?」

 

怖いことを平気で言う美月。

 

 人間にしか記憶置換は使えないが、彼女たちが使う記憶操作術はそれが使える。

 

 知らないままでいいこともあると思う。

 

 無知は罪だけど、

 

 知りすぎて狙われることもあるから。

 

 

 私っていうか零番隊隊長って肩書きで敵が多いしね。

 

 20年前の前隊長は敵が多かったらしい。

 

 綺麗な藍色の髪の女だったらしくて、

一目見て違うだろうが憂さ晴らしだと言って襲われた。

 

 私は優しくないんでね

 

 自分を殺そうとする奴なんかに情なんてかけないよ。

 

 

 自分で言うのはなんだけど私って強いからさ。

 

 汚いこと考える奴は人質とかとるんだよね。

 

 私の地位を狙うやつとかね。

 

 「よいぞ、お前が知られていいと思うならな」

 

 乱菊さんにはちょっと私の力を知っておいてもらいたいし

 

 

 砕蜂さんは海依の大切な人だ。

 

 「分かりました。

 

 王族特務の零(ぜろ)番隊とは別に御廷十三隊直属の特別部隊として零(レイ)番隊という隊が昔から秘密裏にあるんです。

 

 隊員全員が隊長格の実力の持ち主という隊が。

 

 20年前当時隊長しかいなかったらしいんですが、その人がいなくなってから凍結されてたんだけど

 

 ひと月前、隊が再編成されたんです。」

 

「そう・・か。ぁ・・」

 

                          ひと月前?まさか、

 

 砕蜂隊長は比較的冷静だ。

 

 (海依談・いや結構動揺してるぜ)

 

 「はぁ!!?私たちは一切知らないんだけど?

 

 ええっっていうか美月そんなに強かったの?」

 

 深いため息をつきながら、話を続けた。

 

 「で、一応私がそこの隊長なんです」

 

 乱菊さんはやっっっっっと私の羽織に気づいたようで驚きを隠せないようだった。

 

 

 「付け加えると、雛桜は自分達が隊長格の実力といったが、わしより力は上じゃ。」

 

 まぁ、そうだけど

 

 「言いすぎです。今うちの隊は私入れて4人だけなんだけどね」

 

 あ、

 

  めっちゃ抑えてるけど海依の霊気部屋の外で立ってるな。かなり揺れてるし

 

  さてと、海依にも話はこの距離だし聞こえてるだろうけど、

 

 勝手に言うわけにはいかないよね。

 

 入ってこないってことは言って欲しくないってこと?

 

 だが、総隊長はそういう空気を読んだのか読んでいないのか

 

 (私は間違いなくおもしろがってるだけだと思う私たちが慌てふためくのを)

 

 「おぉ、そこに、零(レイ)番隊副隊長が来ておるようじゃな。

 

 遠慮せずに入れ。」

 

 海依の霊圧がさらに動揺で 揺れた。

 

 そしてひと呼吸して扉が開いた。

 

 ひらりと開けた時の扉の起こすかすかな風と、体の動きで揺れるのは、

 

 一番強いのは水色だがほかにも様々な光を帯びる銀色の髪。

 

 動揺を抑える、硝子に空を移したような水色の瞳。

 

 中性的なその容姿だが、仕草や動作からは女らしさの欠片もないというか男らしいが粗暴さはない。

 

 「失礼します。」

 

動揺しているのが見え見えだ。

 

零番隊になってから総隊長にも海依は敬語使わないし普段

 

                        やはり、海依だった。

 

                       動揺してるのに、どこか心は静かだった。

 

                       海依のやつ動揺している。知られたくなかったのか?私に

 

 

 

 「先程、総隊長が言っていたように、零番隊副隊長をしている如月海依です。

 

 お久しぶりです、砕蜂、松本副隊長」

 

「あら、海依じゃない」(私的に松本さんは女は下で軽く呼ぶと思うので)

 

 

 「海依か、一番隊に入ったんじゃなかったんだな。」

 

 

                            責めはしない

 

                              力を知られたのだから。

 

                           ただ、部下がひとりいなくなっただけそう思うのに

 

                          あの人が夜一様がいなくなった時と同じ喪失感

 

                          ああそれくらい私にとって海依という存在が大事だったのだ

 

 

私は見守っていた。

 

これはふたりの問題で私が立ち入っていいことじゃないから

 

「すいません、砕蜂隊長にも黙っていろと言われていましたので。」

 

「どうでもいいが、敬語はやめろ、お前が使うと違和感で気持ち悪い。」

 

「黙っていてごめん。本当、でもやっとお前に自由に話せるな」

 

不器用な笑みを浮かべた海依を見て、私は思った。

 

本当に、よかった。

 

朋で、同志で、姉で兄のような存在の海依に大切な人ができて

 

で気を取り直して

 

「そうだよねーーー

 

 今まで零番隊のこと知ってるのって、冬獅郎だけだったしね」

 

「ええーーー

 

 たいちょー知ってたんですか?たいちょーだけ

 

 へぇーそうですか」

 

あ、あとで冬獅郎からかわれるかも。

 

 まぁいいか

 

 

 

 

 

 

    おまけ

 

 

   ーside 美月ー

 

 「冬獅郎が目覚めたって本当?花ちゃん」

 

 ちなみに花ちゃんとは、山田花太郎という四番隊の7席の子でどうもうだつが上がらないというか腰が低いというかという男らしくない子だ。

 

 治癒はうまいのにね。

 

 「はい、お会いに「会うに決まってるでしょ」

 

 そして私はそこ(一番隊)から病室に走り(もち瞬歩をつかって)、冬獅郎の病室の戸を開けた

 

 バンっと音を鳴らし開ける

 

 「美月、静かにあけ・・」

 

 冬獅郎の言葉は途中で止まる。

 

 私は足の力が抜けしゃがみこむ。

 

 「どうした、具合でも悪いのか?」

 

 「よかったーー、頭に何の問題もなくてーー

 

 目ざめないかと思った。一瞬」

 

 力の抜けた足に力を入れ思いっきり冬獅郎に抱きつく。

 

 暖かい。

 

 普通より少し低い冬獅郎の体温。

 

 「悪かったな。心配させて。

 

 でも、久しぶりに二人だな。最近俺は仕事から手を離せなかったからな。

 

  お前に触れるのも久しぶりだ。」

 

 私に髪に触れ、ひと房髪を取り口付ける。

 

 そのあと私の唇にくちづける。

 

 性急に舌は口内を蠢く。

 

 「ん、ぅん」

 

 息が苦しくなった頃、唇ははなされ息を途切れ途切れにしながら私は言う。

 

「ちょ、今日は・・怪我してるし

 

  無理しちゃ・・ぅん」

 

 抵抗する声は喘ぎ声にまぎれ消えていった。

 

 「お前の声が聞きたいんだ」

 

 

強制終了

  

 

          ~side 海依~

 

 実はすごく怖かった。

 

 美月や砕蜂にはバレバレだったけどな。

 

 「海依」

 

 「なんだ?砕蜂」

 

 「お前が零番隊副隊長になっていても、時々私のところに来てくれるだろう?」

 

 「あぁ」

 

 「それと、

 

 いつか・・・話せるようになったら私の話を聞いてくれるか?」

 

 「何言ってんだよ。

 

 俺が砕蜂の話を聞かないわけ無いだろ?

 

 いつか話してくれな。」

 

 

 

 

  友人のような語らいだった。

 

 

 

 なのに、少し色っぽいというかそういう雰囲気が流れていたが・・・

 

 

 

 

          ーendー

 

 

 

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