死神達の恋歌   作:yatenyue

42 / 74
風の結んだ絆 炎の笑顔 1, 風の若子と銀風の姫

「おはようございますっ姉様。」

 

黒い髪に、水色の瞳の女の子と見間違えそうなほど中性的いやどちらかというと少女に見える少年が言う。

 

「おはよう、風。

 

 今日は俺、皐月たちと任務直で行くから遅くなるぞ。

 

 どうする? 一緒に今日は行くか?」

 

 そう答える姉様と呼ばれたので少女であろう。漆黒の腰過ぎまである髪をざっくばらんに後ろでくくり、少年よりなお透き通った水色の瞳をしている。

 

 

少年の名前は、如月 風。

   10歳。小学校5年生。

少女の名前は、如月 海依。

   15歳。高校一年生。

 

少年のほうは、よく見なくても10人中9人は(これでも譲歩)案名に間違えるであろう愛らしさを醸し出している。

 

 

その服は6月なので合服の長シャツに短ズボンという服で、≪黒≫の制服である。

 

少女のほうはこれまた中性的だが、風とは逆に男性的な雰囲気を醸し出している。

はっきり言って同性にもてそうである。

灰色のズボンに上はYシャツに黒のベストという どう見ても男ものの制服を着ている

 

 

 

 

 

2人が着ているのは、普通一般に知られているのとは違うが、

 

≪聖(セイント)クロス学園≫の制服である。

 

一般に知られているものと違う理由は簡単である。

 

実は、一般に知られている制服は紺色か茶色をメインとした既製の制服なのだが、

 

この学園には唯一特別の例外がある。

 

それを説明する前にこの学園について少し説明しよう。

 

 

初等部から大学院まであるここは日本国内で

"桜蘭学園"

"聖(セント)ロゼリア女学院"と並ぶ超お金持ち学園であり、文武両道がモットーの偏差値65以上の名門校である。

 

そして 多くの著名人を送り出している。

 

ちなみに 余談だが、中等部以上は沢山の特待生も生み出している

 

そのためこの学校には

大きく分けて2つの階級がある

一つは家柄ランク

もう一つは学力ランク

と言っても先生方しか詳しいデータは知らないが

その2つを参考にクラスが別れている。

1番上で5人しかいないSA。家柄、成績がともに優れている人のクラスだ

そしてA、B、C、D、E、F、G各クラス40人ずつと続き

毎テストごとに入れ替えられる。

 

しかも テストは問題、点数に限りがない

 

たとえ家柄が上だろうと馬鹿は低レベルクラスに押しやる、

 

超シビアな学級制度の学園である。

 

 

しかも、SAだということは制服でわかるのだ。

 

それは、制服であり、SAだけが、白もしくは黒を使ったモノクロ制服であり、

 

一人ひとりオーダーメイドかつ、基本を守っていればデザイン自由なのだ。

 

(基本といっても、中等部男子学ラン等本当に基本だけ)

 

しかも、SAは成績さえ下げなければどれだけさぼっていても単位が取れるという甘さである。

 

 

そのためか、聖クロス学園のSAといえば、全国模試で必ず2ケタに入るほどなのだ。

 

 

ーーー

 

まぁ

  2人とも、頭脳明晰・容姿端麗・運動神経抜群・性格良というわけである

 

 みごとに見た目性別逆転な兄妹(ちが、姉弟)なのである

 

色彩以外まったく似ていないが…

 

 

 

 

それもそのはず

 

2人には、片親しか血のつながりがない異母兄弟だからである。

 

 

しかしそれでも、2人は仲が良く

 

風は海依を慕っていた。

 

 

   周りの意に反して

 

 

 

 

 

 

 

 ≪side 海依(今(この話)から昔を思い起こす)≫

 

 

  実の母が死んでからおれは冷遇されたと言えるだろう。

 

 覚えている限り、実の母は優しかった。

 

 

 2歳か3歳の時に死んでしまったが…

 

 

 本当によく覚えていない。

 

 

 俺が、義母に嫌われていると自覚したのは

 

 

 この頃より遥か昔

 

 風1歳で俺が6歳の頃のあの出来事だ。

 

 

 あの時のことを今でもよく思い出す。

 

 

   風の母:音遠(ネオン)がこの頃の俺を呼んだ。

 

  めんどくさいからこれからは昔の俺のことは“俺”で表すな

 

  ~回想~

 

 

 「私に何か用ですか、義母上」

 

 “俺”が言う。

 

 「“穢れた血の子”。清らかな私の子に近づかないでくれるかしらね。」

 

 

 「…それは、風の意思だと思います。」

 

 

 子供らしくない言葉を返した“俺”。

 

 やり取りから見てわかるように

 

 

 彼女はいや彼女のような純血思考の持ち主は海依のよなものを忌み嫌っている。

 

 このような純血思考は、術者の家にはつきものであるが、精霊術師の家系は8割方がそれだ。

 

 

 しかもそういう人に限って実力が皆無に近かったりする。

 

 のは余談だけど

 

 

そしてそれは分家に多い。

 

 あと本家の老い惚れとかとかかな。

 

 俺は本家同士だが、如月本家の父と、大道寺ー地術師直系本家の母のハーフ。

 

血的には、分家な“音遠”や、その子供の風より精霊術師の血はずっと濃い。

 

 

プラスして言うなら。俺はこの家の先祖の生まれ変わりだし

 

だれもしらないけどね

 

 

それはひとまず置いといて

 

 

つまり、彼女らは“風”が一番という自己中心的な考え方の持ち主ということだ

 

まぁ、弱い奴に限って自分の家が一番という人が多いらしいが

 

 

 

でもだからといってこんなことが

 

 ここまでやるとは

 

 

       思わなかった。

 

 

 

  「本当に生意気な子ね、いいわ」

 

 

 まだ、“俺”は未熟で自分の力で人を傷つけることを恐れて身の内に力を意思で閉じ込めたままだった。

 

 

 いくら大人ぶっても子供で、

 

 

 人を信じて

 

 

 今思うに愚かだと思う。

 

 

 

風の精霊が“俺”に襲いかかる。

 

 

  泣きそうな顔の精霊を今でも覚えてる。

 

 

精霊術師は、それぞれの属性の精霊に守られていて、自分より高位の術師や穢れたもう別物以外その肉体に力は及ばない。

 

 

 

 だからこそこのときのことが後の彼女らを過信させることとなる。

 

 

 

高位であればあるほど、精霊は、その者の心をも守ろうとする

 

オートでそれらは“俺”を守ろうとするが途中でその動きが鈍くなった。

 

“俺”の心が濁ったいや、暗くなったからそちらに気をとられた。

 

 

 それは、海依の鼻のあたりに深い一筋の傷を作りだした。

 

   ―今もそこにあるー

 

 

 風の精霊は、いつもそれを見てとても悲しそうな顔できにするけど

 

 

 “俺”このとき悟ったのだ。

 

 この人は

“俺”を本気でイラナイと思っていると…

 

だから、私は俺はこのときの愚かさの証明として

 

 この傷を残している

 

さすがに学校では目立つし、仕事では見栄えが悪いから

 

 風の力で光の屈折を使い見えなくしてるけどな。

 

 

 

 

 “俺”は信じていたかったのだ。

 

 実際には“俺”のほうが実力が上だった。

 

 この頃から

 

 音遠を1とするなら“俺”が数千。

 

 

 皮肉にもそれにより、覚悟が生まれ、最大限自分の力を操るすべを見つけるきっかけになった。それでも100%義母をあきらめきれなかった。

 

 

 あの決定的な出来事まで。

 

 

 女として最も屈辱的な出来事だった。

 

 思い出したくもない

 

 中一の終わりごろ

 

  ・・・

  一般人をけしかけ

 

     体の自由を奪う程度の術をかけ

 

  強姦させた。

 

 

殺したら、一般人に手を出したことで裁かれる。

 

  たとえ力を使わなくても…

 

 

 だから、殺さなかった

 

 

    無駄だから

 

 

 どんな愚かな人間でも必要とする人がいるから・・・。

 

 

闇に堕された

 

 

 

 

 今の俺にとって大切なのは、様々な“自分”を見つけられる声優の仕事

     

      と

 

    朋友(とも)

 

      と

 

     親友

 

 

      と

 

    弟

 

 

   ただそれだけなのだ。

 

 

          ≪sideend≫

 

 

 ≪side 風≫

 

 

 僕は知らなかった

 

 

 姉様の苦しみも

 

 

 母のしたことも

 

 

 

 でも、知らなかったからといって、罪がなくなることなんてない

 

 

 無知は罪だ

 

 

 姉様は

 

 

    姉様が15歳の6月

 

 

 

 

          死んだ。

 

 

 

 僕は知ろうとしなかった。

 

 

 

  姉様の顔の傷も何もかも…

 

 

 

 死因は、妖魔に切られたことによる出血死。

 

 

 一緒に死んだ、皐月さんと由宇さんは“即死”

 

 

 

 

 3人なら雑魚だった相手 なら・・・

 

 

 

あいつらのせいだ 

  

 

 

 

僕は初めて憎しみを覚えた

 

 

 

           今なら分かる

 

           姉様は疲れ切っていたんだね

 

 

           この無情でで無常な世に

 

 

 

 

「………星が流れましたよ

 

 

   美月姉様

 

 

 

   卯月姉様」

 

 

沈み込み泣く風。

 

 

まったく別の場所で闇と知らぬ小学校低学年くらいの少女が微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。