死神達の恋歌   作:yatenyue

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風の結んだ絆 炎の笑顔 4, 一年前に起こった事件(こと)

 

  [姉様姉様]

 

 淡い赤の光の中に私はいた。

 

 美月姉様と共に

 

  [何…?留依]

 

  [留依ね、新しい術覚えたんだよっ]

 

 今より幼い私が美月姉様に笑いかける。

 

 [そう、すごいわね…。

 

   でも・・どうして

 

 

  

 

  私の危険がすぐに分からなかったの

 

  いやな予感がしていたのにね]

 

 

 

  ぼたっ

 

   ぽたぽたぽた

 

 

 血が美月姉様の体から落ち、腹を中心に赤く染まる。

 

 赤は赫へと染まり、

 

    

 

 

    暗い闇に飲み込まれそうになる。

 

 

 [っ]

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 「…はっ

 

 

   はぁはぁはぁ

 

     夢か」

 

 夜着の下の肌からは多量の汗がにじみ出ている。

 

 

 普通の10やそこらの少女では耐えられないような悪夢。

 

 

 それを留依は毎夜のように見ていた。

 

 自分のせいだと責められ、

 

 また、血だらけの死体を見、

 

 闇に飲み込まれ

 

 また、大切な姉様の魂が虚に食べられる

 

 

 そんな夢を

 

 

 

 顔が蒼白になり、それなのに汗を毎夜にじませ、何日も十分に寝れていないような薄い隈が見える。

 

 

 目の端には流れた涙が光る。

 

 

 「まだ…4時ですけど床に就いたのは11時過ぎですし、起きましょう。]

 

 そう言い立ち上がる

 

 

  悪夢で起きる

 

 

そのことは留依にとって日常に近くなっていた

 

 

ーーー

 

 

 

鍛錬場で、留依は流れるような動きで炎を操っていた。

 

そこに一人の少年が来た。

 

 

風ではない。

 

 

風と同じくらいいやそれ以上に女に見える。

 

可愛らしい(殴られたいわけ?)(いやでも、負けないぜ)顔立ちをし、

 

 

赤茶色の髪に明るい茶色いや、桃色

薄いオレンジにも見えるまぁ、桃色でいいだろう色の瞳。

 

「…留依。またこんな早くからしてるわけ?本当無理するなよ。」

 

「・・だって、明良眠れないんですもの。明良こそ早いですね」

 

 

この雛桜家敷地は広く普通の屋敷6軒分はある。正確な広さはわからないが

 

中には、雛桜本邸と、分家の佐野家、大神家があり廊下でそれぞれが繋がれていて、

 

中庭や池があるんですが、

 

本邸内に、様々な資料庫や重要な部屋がある、会議室などもそうで

 

昔からの和風と今風の洋風が混ざっている。

 

この鍛錬場もその一つで

 

実は1000年前からのもともと京都にあった屋敷で、5代か6代前の宋主が移動させたものであるが、

 

老朽化は見られない。

 

初代宋主がかけた強化術は今もなお働いているのだ。

 

 

「まぁ、今日は選抜があるから今日の分の鍛錬を朝のうちにやっとこうと思ってね」

 

 

彼の名前は、佐野明良。

 

風と同い年で、留依とははとこにあたり、雛桜の分家佐野家の次男だ。

 

彼のいっている選抜とは“関東”選抜のことでU-12に所属するプロサッカー選手候補である。

 

 

 

 

 

 

 

「私なんかにかまっていないで、好きなサッカーや

 

…もっと影で悲しんでいる卯月姉様を気にかけてよ。

 

 婚約者候補なんでしょう。」

 

 

「いつも言っているけど、俺は認めていない

って

 

いつでも同じ婚約者候補の兄上に譲りますよ

 

めんどくさい。

 

尊敬していた美月様ならともかくね、あの馬鹿兄じゃ美月様が可哀想だしさ。」

 

 

 卯月姉様は雛桜なのに、炎術師ではない。

 

 1~2年前までは無能、何の能力も持たないものだとい思われていた。

 

 私もうすうす気づいている。

 

 

 この家の醜悪さを。

 

 卯月姉様は、数年前水術師と発覚する前、無能と呼ばれたころでも

 

一族の誰よりも身体能力に優れ、

 

美月姉様には劣るが、普通の人間よりはるかに速くさまざまな術を習得し

 

普通の人間としても、

 

ハーバード大学(なかったらごめんなさい)体育科をトップで卒業かつ体育の国際教員免許を8歳で半年取ったり、

 

美月姉様とのタッグで、ヴァイオリ二ストとして、さまざまな大会で優勝し

 

という多才を発揮する

 

   普通の家庭なら

 

 

 自慢したくなるほど優秀な人だ。

 

なのに、この家の人は全く評価しない。

 

(一部の私の父はほめていたし、

 

もしかしたら宗主である卯月姉様、美月姉様の父で、私の叔父様である厳馬やその妻で出身も旧姓もわからない、義理の伯母である葉月さまは

 

一族の他の人間を重んじ、また自分の保身のために褒めなかっただけで心ではほめていたかもしれない

 

それでも、この家の人は腐ってきている。)

 

 

わかっている

 

 

でもそれを指摘することは難しい。

 

 

村八分に会うのが怖いのだ。

 

 

卯月姉様は返り討ちにしていたが一族の年上の子供やひどい時は大人がリンチされていたのはうすうす知っている。

 

 

幼かった私はその時は気付かなかったが…

 

 

そんな自分可愛さに、自分を守ってる私は反吐が出るほど嫌いだ。

 

でも、 怖い。

 

 

   だから私は今も自分をごまかし続ける。

 

 

 

美月姉様や卯月姉様以上になれるなんか思わない。

 

 

 

それでも自分の精一杯を引き出してやる

 

 

どう思うんだ。

 

 

 

 

 

 

でも

 

 

 

それでも

 

 

 

心のどこかで認めたくないんだ

 

 

 

半年たった今でも…

 

 

 

 

「…美月姉様は本当にいなくなってしまったのですね…。

 

 私は

 

 

   今でも

 

 

     姉様の最後の姿が忘れられません

 

 

何度 炎の間に行こうと

 

 

  死んでる美月姉様を見ても

 

 

 死んでるなんか認めたくないんです。

 

 

眠っているだけだって思いたいんです

 

 

 

本当に眠っているみたいだから」

 

 

 

こういう稼業をやっていると、死は身近な存在だ。

 

でもそれでも親しい人の死は認めたくない。認めたくないんだ。

 

 

「それは、俺だって思いたいよ、眠っているだけだって。

 

でもそれが事実なんだから。

 

美月様がやってたことだって知ってる

 

だからこそ俺は許せないんだ

 

 

のうのうと生きているこの街の連中が、

 

そして卯月が

 

  自分自身が許せないんだ。

 

 

“あいつ”だって大切な姉を失ってそれでも立ち直ったんだ、傷は残ったけどね」  

 

最後のほうは少し小声だったが、卯月や美月ほどではないが、五感を鍛えた留依には聞こえた。

 

「あの“あいつ”って誰のこと?」

 

「ああ、俺の親友で同級同クラスの如月家の風ってやつだよ。

 

お前は知らないだろうけど」

 

 

昨日その人と一緒に任務に行ったことを知らない明良は言う。

 

 

「如月 風 さん?」

 

「あぁそう」

 

あの暖かいけど冷たい、悲しみを秘めた瞳をしていた人

 

 知り合ったばかりの私に、優しくしてくれた人

 

「…昨日の任務でパートナーだった人、明良の代わりに、

 

  ねぇ1年半前に何があったの?」

 

「…へぇ、あいつと会ったんだ。   

 

  で1年半前のキーワードを知ってるってことは、風が言ったんだね」

 

「うん」

 

「じゃあ、話してもいいってことだな。

 

  留依。

 

 すべてを受け入れる覚悟がある?

 

 君の大好きな美月さまや卯月の罪かもしれないことを」

 

 

 あの人はほんのわずかでも私の心を救ってくれた

 

 だから・・・

 

 

「はい」

 

 

強い意志を持った眼で答えた。

 

 

 

 

 

 

「一年半前、昨年の6月だね。

 

 四家での合同任務があったんだ。

 

 どうやら結構なお偉いさんの依頼だからすべての家で平等に共同で受けたらしいけど、な。

互いの牽制も入ってたらしいけどその裏背景は置いといて

 

それに行ったのが各家の直系の

 

  “神無月”由宇

  “大道寺”皐月

  “雛桜”美月

  “雛桜”卯月

 そして

  風の異母姉の“如月”海依

 

任務内容は数が多いだけのB~C級、およそ200

 

 美月様1人でも十分な量だ。

 

 まぁ。俺や留依じゃ1人じゃ辛いけどな

 

 他卯月を除く3人も美月様と同等な実力者だったらしい

 

 卯月はまだ、精霊術師として目覚めていなくて

 

 これがきっかけだったらしい、力の目覚めの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 詳しくは任務に参加した人しか知らない

 

 でも、この任務で美月さまと卯月以外の3人は死んだ。

 

 卯月が水の力に目覚めた

 

 それだけしか記録になかったから知らない

 

 あとは当の本人に聞けば?

 

 卯月に

 

 後で俺にも教えろよ」

 

 

 

 

 

 

ー卯月の私室(だいたい十二畳で、部屋内は洋風でソファーや、勉強机、テレビ、少し小さなテーブルなどがある)ー

 

 

「卯月姉様、聞きたいことが“如月”海依サンについて」

 

  

 

 悲しそうな顔をして姉様は話してくれた。

 

 聞いたのは明良の言った通りの話…。

 

その時始めてあったはずなのに、罪の十字架を卯月姉様は、今も泣き美月姉様も背負い込んでいたんだ…

 

 

 

 そして、

 

 

  力が目覚めた時、みんなの意識が自分に向いたから、3人が命を落としたと思っていることも

 

 

 

 

  まだ、卯月は思い出していなかった

 

 

 なんで、1回しか会っていない、初対面だった彼女らの死が姉の死と同じくらいかなしかったわけもまだわかっていなかった。

 

 

 覚えていない

 

 

    前世(まえ)の記憶を共有する仲間で朋友(とも)であることも

 

      ね。

 

 

 

 桜の後継者である少女がなく。

 

 彼女らのつながりを知らぬ純粋な少女

 

 少年のカコを知った少女はどうするのか?

 

 

 

 

          -4 end-

 

 

 

 

 

 

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