死神達の恋歌   作:yatenyue

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風の結んだ絆 炎の笑顔 5, 闇の鼓動

私が聞いて良い話だったのだろうか?

 

そう少女、留依は誰もいない私室で呟いた。

 

 

 だって理解できる(わかる)から。

 

 

 大切な人をなくす悲しみが…

 

 

 

彼…風さんが、この“雛桜”を憎んでも不思議じゃないし、

 

ほんの少ししか会っていない私に八つ当たりのようにひどい言葉を投げかけたのも、

 

 

なにもおかしくない。

 

 

なのに彼は私を救いだしてくれた。

 

暴走した私の心を

 

   彼の一言が私を楽にしてくれた。

 

無理しているのは、見ている側も辛いんですよ。

 

 

 

私は勝手に無理をして、精神に負荷がかかっていた。

 

明良が時折心配して言ってくれた意味が

 

 彼にとって何気ない一言だったのかもしれない。 

 

 でも彼が私を救ってくれた

 

 それは事実だ。

 

 まだ、悪夢にうなされるけど

 

目に見えぬ暗闇から 抜け出せたんだ。

 

 

だから、どんなに拒絶されても助けになりたいと思った。

 

だって、彼の瞳は、憎しみにとらわれているように感じたから。

 

 

この年にして感受性が高いとは思うが、霊とかかわるこの家では

 

 これくらいは鍛えられるのだ。

 

 

 

でも、行くに行けなくて初めて会った時から一年4カ月が経っていた…

 

拒絶されることを覚悟しても拒絶されることを恐れてしまって最初の一歩をなかなか踏み出せなかった。

 

ーーーー季節は桜散る春。無事進学後だった。

 

留依は、聖クロス学園初等部に通っている。

 

初等部から大学院まであるここは日本国内で

"桜蘭学園"

"聖(セント)ロゼリア女学院"

 

と並ぶ超お金持ち学園であり、文武両道がモットーの偏差値65以上の名門校である。

 

そして 多くの著名人を送り出している。

 

余談だが、中等部以上は沢山の特待生も生み出している

 

古いイタリア風の建造物には様々な彫刻や装飾があしらわれて、しかしその中は、

ハイテクノロジーの設備が美しい外観を壊さないようにつけられている。

 

そのためこの学校には

大きく分けて2つの階級がある

一つは家柄ランク

もう一つは学力ランク

 

と言っても先生方しか詳しいデータは知らないが

 

その2つを参考にクラスが別れている。

1番上で5人しかいないSA。

 

家柄、成績がともに優れている人のクラスだ

そしてA、B、C、D、E、F、G各クラス40人ずつと続き

毎テストごとに入れ替えられる。

 

しかも テストは問題、点数に限りがない

 

たとえ家柄が上だろうと馬鹿は低レベルクラスに押しやる、

 

超シビアな学級制度の学園である。

 

 

彼女は、その中でもSAに所属している。

 

今年で彼女は初等部6年生です。

 

 

「・・ねぇ、どうしたの。

 

    ボーっとしてさ」

 

 黒髪碧眼の少女が留依に言う。

 

 「あぁ、…琴音(コトネ)。」

 

鳳(おおとり) 琴音。

 

  それが少女の名である。

 

 

 「ねぇ、如月 風って知ってる?」

 

 「はぁ?

 

  知ってるも何も知らない人なんていないわよ

 

 (乙女モード突入)

 

 有名じゃないっっ

 

 中等部の双璧の1人じゃない。

 

 

 中等部2年SA

      如月 風。

 

 少々女性的だけど、性格はよく、頭脳明晰、運動神経抜群容姿端麗の王子っっ

 

 

 あぁでも私はもう一人の双璧のほうが好みだけどねっっ」

 

 

乙女モードが暴走していた。

 

 友人の留依もこの勢いに戸惑っている。

 

「も、もう一人って?」

 

 「もしかして知らないの?

 

 佐野 明良様よ」

 

    「(え?)あき「ねぇ、明良様の話しているの?」」

 

 「いいよねぇ。口は少し悪いけど(少しじゃないです、むっちゃ毒舌です。byユエ)

 

頼りになるし、U‐14に入っているし」

 

「風様とのツーショットも絵になるよね」

 

「ねぇー」 「うんうん」

 

 「成績だっていつも風様と首位争いしてるしね、

 

 本当いい友人関係よねぇー」

 

・・・・

 

 

 女子の勢い恐ろしや

 

 である。

 

 ちなみに琴音以外は隣のAクラスである。

 

すごい人気である。

 

 「明良ってそんな人気なんだ」

 

      「明良様を呼び捨てっ!?

 

    どういう関係なわ

 

  「ここ六年SAだよね。

      留依いる?」

 

 高めのボーイソプラノが響いた。

 

 赤茶の髪に明るい薄いオレンジの瞳の

 

  (笛!の翼さんそのままの容姿と思ってください)

 

 間違いなく今話題にしていた 佐野明良だった。

 

 

「どうしたの?明良」

 

 「今日帰るの遅くなるって言っといて。

 

  風に、今日選抜合宿の説明があるって言っててさ。

 

  風は断ったけどな。

 

  ケータイ忘れてさ、ここまで来たってわけ」

 

「分かった。 明良―――」

 

明良が扉を閉め、いなくなった途端琴音を中心とする女子4名が留依に押し寄せる。

 

「(明良)(佐野)先輩とどういう関係なわけ!?」

 

「えっとはとこだけど?

 

  父親同士がいとこなのよ。」

 

 同じ敷地内に住んでいることは黙っておいたほうがいいと思って隠した。

 

 

 

   「「「「今度紹介してよ」」」」

 

それをのらりくらりとかわし、家路についた。

 

負けてうるさい女子紹介したらマシンガントークの餌食だし。

 

女子の大群よりそっちが怖い。

 

 

 

それにしても道のりが長いな

 

   そんなに人気なんだ

 

 接触しづらいんだ。

 

 

 

 

 

 

       ≪side 明良≫

 

 

 

 ウザい

 

 

 その言葉が俺の脳裏を占めた。

 

 

 キンキン耳に障る女子の声。

 

 

 本当イヤになるよね。

 

 

 美月さまや卯月さんも(心の中ではさん付け)男子に騒がれるのウザイって言ってたし

 

 

それだけしか能にないのか、男も女も

 

見た目だけ人間とかもいるってーのに

 

 

 

イイ例がうちの兄貴

 

顔はイイけど中身がない

 

すべての才が弟の俺より下だし、そのくせプライドだけは高い。

 

雛桜の血をひくことだけが誇りな馬鹿。

 

最悪なタイプだし、言っちゃダメだけど本家の響さんもそうだよな

 

こういうとき、留依みたいに天然気味で噂に疎いと便利だよな。

 

周りのうるささも右から左のことが多いし、

 

その分、悪い虫の処理は大変だからな

 

俺のはとこって知ってる癖に手ぇ出すなよ

 

…もしかして中等部には知ってるやつ多いけど、初等部ではそんなに広がっていないワケ?

 

 

 というわけで

 

 ケータイを忘れたついでに虫の処理も兼ねて6年SAに訪れたのだった。

 

 

 

 

 

 

彼にとってまた“留依”も違う意味で大切な存在だった。

 

特別だった。

 

彼にとって一番大切な女なのだった。

 

それに本人はあまり気付いていないようだった。

 

 

 

~~~~~~~~★~~~~~~☆~~~~~~~★~~~~~~~☆~~~~~~~★~~~~~~☆~~~~~

 

 

真っ暗な闇の中、高い甘い感じのどこか毒のにじみ出た声がした。

 

 

 

 

「アハハァ

 

 

   イイ獲物見ぃつけたvv

 

  心においしそうな闇をもつものが2人も…

 

  ああんでも片方は消えかけだねぇ

 

 でも片方がイイわぁ~

 

 

 ゆっくりいただきましょう。

 

 

 その闇を育てて」

 

 

 

 闇に月の光が差し込む。

 

 うっすら、浮かび上がった人影(?)は、うねるような紅混じりの黒髪に血の赫の瞳。

 

 その唇には色っぽい紅のルージュ

 

 深いスリットの入った黒のマーメイドドレス

 

 

 そして人にはあるはずのない、悪魔の羽

 

 

 女の名は、闇音(ヤネ)。

 

 

 悪魔の一種:夢魔(ナイトメア)だ。

 

 夢魔には2タイプある。

 

 1つは一般にいわれるように人のよい夢を喰うことによりエネルギーを得るタイプ。

 

 このタイプに侵されると、多くは不眠症を患い、衰弱死する。

 

そしてもう1つのタイプが悪夢を増幅させそれが最も大きくなったときに喰うタイプ。

 

 このタイプの場合、取りつかれた人の多くは、だんだん起きなくなり、また起きているときキレやすくなる。

 

 そして、その悪夢を喰われた時廃人と化す。

 

 悪い夢を空爆というが、実はそれと純粋なタイプ1の夢魔から生まれた存在だといわれている。

 

夢魔というのは、精霊術師内では高位妖魔に部類され知識があり、

 

 

ずるがしくまた本体は夢の中にいてその夢内でなければ倒せない存在であり、その夢ー精神世界での傷は現実の魂に及ぶのだ。

 

 

そして、彼女は獲物を決めたのだ。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

          ≪side 風≫

 

 

 最近毎日喪失したあの時の夢をみる。

 

 拒絶したいのに、その前の幸せが絶望に変わる、切望の前のそのわずかな幸せの瞬間の記憶が

 

 見たくて

 

 見たくて

 

 見たくて

 

 見たくて

 

 見たくて

  

 見たくて

 

  そうして僕は眠りに就く

 

 

 

 

 そうしてまた今日も叫びながら目覚めた。

 

 たくさんの寝汗を掻いて

 

 

 

 朝食の席、突きささるたくさんの期待の視線

 

 僕は、姉さまみたいな天つ才(あまつさい)じゃないのに

 

 そして、その中でも一際濁った欲

 

 それは、僕の母:音遠のもの。

 

 

 

 

 「さぁ、いつも完璧であるのよ。

 

 あなたは私(ワタクシ)の子なのだから」

 

 

 

 

いつもいつも言いたくなる。

 

 

 

   それがどうしたと

 

 

僕は母を信頼してすいていたのは物心付く前までの話

 

 

 

 

姉さまの存在を無視して

 

 (実はそれよりもひどいことをしたけどね

 

     by ユエ)

 

 姉様の才を認めず

 

 

 また身の程を知らない。

 

 

 僕の母はいわゆる後妻だ。

 

 姉様と僕は異母兄弟にあたる。

 

 姉様の母様:晴緋(ハルヒ)さんは詳しくは知らないが、地術師の本家の人だったらしく婚姻の時いろいろもめたらしい。

 

 聞いた話によると、現当主のいとこにあたったらしい。

 

 (つまりサブ主人公の皐月と海依は系譜上でははとこ)

 

 というのも、晴緋(旧姓:大道寺)さんの力は、現当主より高く当主候補だったらしい。

 

対して,後妻である僕の母は、如月家の分家出身。

 

風術師であるもものその力は天と地ほども違い

 

 

 それに、晴緋さんは父と恋愛結婚だけど、母は政略結婚。

 

 それなのに、いやそれだからか母は姉様が死んでもなお姉様の存在を無いようにする

 

 はっきりいって僕と姉様の差は歴然だ。

 

 誓約者別名超越者の再来と言われた(事実だよそれ byユエ)海依姉様。

 

それに姉様は地術師としても優れていた。

 

海依姉様のこと、僕、大好きで尊敬していたんだ。

 

 

 

地術師の血を蔑む人もいた。

 

姉様にとって、ココは居心地の悪いところだったのは違いないんだ

 

 

 

 姉様のコトを

 

     夢で見なきゃ

 

  

 忘れてしまいそうで怖い・・・

 

 

 少しずつ

 

 少しずつ

 

 侵されていく

 

 犯されていく

 

 浸(おか)されていく

 

 

 

 

 

 

          -5 endー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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