時に拳を、時には花を   作:ルシエド

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第十二殺六章:終局の序章

 けほっ、と竜児がむせこんだ。

 竜児は咄嗟に口元を抑える。

 唾が飛んだのか、血が飛んだのか、竜児には分からなかった。

 彼の目はもうほとんど見えていなかったから。

 

 口を抑えた手の平を、感覚的に指でなぞる。

 血でもなく、唾でもなく、肉がそこにへばりついていた。

 指の感覚でそれが分かる。食道の一部か、胃の一部か、目が見えないとちょっと分からない。

 竜児は手の平をハンカチでこっそりと拭き、自分が何を吐き出したのかを隠し、車椅子にゆったりと体を預ける。

 

 むせこむと肺が痛む。

 肺が痛むと息ができなくなる。

 もう肺はせきやくしゃみにもあまり耐えられない。

 

 車椅子を押す安芸が、感情を抑えた声で――心配を隠しきれない声で――話しかけた。

 

「大丈夫?」

 

「大丈夫ですよ、安芸先生。で、用事とはなんでしょうか」

 

「内容自体はメールでも済むことよ。

 でも、これをメールで済ませるわけにはいかないから」

 

 メールでも済む内容。

 でもメールで済ませてはいけない内容。

 大赦のそこそこ深いところの話であることは、話の最初の部分だけを聞いても予測できた。

 竜児は補聴器付きの耳で安芸の言葉をしっかりと聞く。

 

「神樹様からあなた宛の神託を伝えます。心して聞くように」

 

「え、なんでしょう、怒られてないといいな……」

 

 怒られるわけがないでしょうに、と安芸は呆れた。

 今の竜児はキチンとした礼儀作法の振る舞いができない。

 そうしようとしても体がついて行かない。

 神樹様の神託と聞けば、普通の大赦メンバーは跪いて言葉を受け取るくらいのことはするが、今の竜児は物理的にそれができない。

 畏まれないのも当然のことだった。

 

 ただ、そういう事情を抜きに見ても、だ。

 安芸の目に映る竜児の反応は、神樹様のお言葉を受け取る大赦の人間らしくない、と思えた。

 神樹に対する敬意は見える。感謝も見える。

 ただ、ずっと前の竜児に見られていた、神樹への崇拝の意識はどこにも見当たらなかった。

 

 安芸は神樹の言葉を伝えるに相応しい所作で、竜児に神樹の言葉を伝え、神樹が竜児に渡すよう指示していた六つのカプセルを、竜児に手渡した。

 

「『壊れたものを直す人の心』

 『技術を進歩させてゆく人の積み重ね』

 『その尊さをこれからも守り続けていくように』……とのこと」

 

「……!」

 

「熊谷竜児。神樹様のお言葉を努々忘れず、常々気にかけて日々を過ごすように」

 

「……はい!」

 

 技術は人から人へ受け継がれなければ絶えてしまう。

 竜児に技術を継承させた先人がいて、受け継いだ技術を応用してカプセルを直した竜児が居て、神樹がカプセルを使い、皆から分離した怪獣の因子をここに封印したのだ。

 誰かが欠けても、その繋がりは成立しなかった。

 神樹はその部分を賞賛したのである。

 竜児個人が凄いと褒められるより、そういう褒められ方をされる方が、竜児は嬉しい。

 

「あはは、なんかいいですね、こういうの」

 

「ええ」

 

「ようやく、神樹様に助けられるだけじゃなく、助け合えるようになった気がします」

 

 竜児が笑って、安芸が微笑む。

 子供の成長を喜び、子供が自分の想像を超えていくことを驚き、子供を微笑ましく思う。

 そんな、大人の顔だった。

 

「神樹様と助け合う。

 きっと、過去にそう考えた人はそう多くはないでしょう。

 もしかしたら……過去にそんなことを考えた人は居ないかも知れない」

 

「いや、そんなまさか。おおげさですよ安芸先生」

 

 神様とはなんなのだろうか。

 遠い存在か。

 目には見えない存在か。

 信仰すべき存在か。

 人が超えていくべき存在か。

 人に罰を下すための存在か。

 きっと、地球人の全てが疑いなく神樹を信仰し頭を下げるこの世界と違って、人それぞれの神の想い方が許される世界もあるのだろう。

 竜児はこの世界の神樹信仰の、半歩分外側に居た。

 

 安芸はそれを理解している。

 

「今なら分かるわ。あなたは、神樹様と友達になりたかったのね」

 

「そ……そこまでは、恐れ多いというかですね」

 

「違うのかしら」

 

「……上手く言語化できてなかったのに、今、先生に綺麗に言語化されてしまった気がします」

 

 東郷といい、銀といい、園子といい、竜児といい。

 安芸を先生と慕う子供達には、個性的な子が多かった。

 メビウスが敬意をもって安芸に接する。

 

『本当に生徒をよく見ているいい先生だ、あなたは』

 

「あら、ウルトラマンにもいい先生という概念はあるのね」

 

『僕らの星に、ウルトラマン80という人がいます。その人は―――』

 

 そして、竜児がその隙にこっそりと休憩を始める。

 

 メビウス以外の者は数えるほどの人数しか知りはしないが、今の竜児にとって、何気ない会話で発生する僅かな消耗すらも、休憩して回復しなければ耐えられないものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 巨人が建築材を非常識な速度で運搬終了させる。

 巨人があらゆる重機を超える性能を見せてひょひょいと建築を進める。

 人間達は、"自分達が壊してしまった"街を、神樹の力に頼り切りにならないよう、その一部を自分達の力で直そうとしていた。

 竜児がそれを手伝っている。

 神樹が大雑把な修復を行い、巨人も手伝ってくれたのに加え、土木の方々が物凄く頑張ってくれたおかげで、街は急速に元の形を取り戻していた。

 

「ウルトラマンがいると、あっという間に建物が立つなぁ」

 

「ありがとなー、ウルトラマン!」

 

 ウルトラマンのちょっとの人助けが終わり、竜児が元の姿に戻る。

 車椅子の上に戻った竜児を、車椅子を掴んでいた友奈と園子がねぎらった。

 

「ふぅ」

 

「お疲れ様!」

 

「ただいま」

 

「変身の悪影響はない~?」

 

「うん、平気だ。

 というか、今の僕にとっては巨人の形態の方が本来の肉体に近い扱いだから。

 連続変身したら間違いなく負荷で死ぬけど……

 一日に一回変身する分には、変身してる数分の分だけ、余命は減らないんだ」

 

「……」

 

「一日に減る余命が、24時間から最大23時間57分まで減らせるわけで」

 

「……そうだね~」

 

「小さい積み重ねでも、やっておいて損はないよ」

 

 とことん諦めない男だ。

 その命はとうに尽きかけているというのに、生を諦めている気配がまるで見えない。

 今の竜児を子供が見れば、車椅子の上で穏やかに微笑む、年齢不相応に落ち着いた大人っぽい眼鏡の少年に見えるだろう。

 

 だが、大人には全く違うものに見える。

 開かれない両目。

 両耳の補聴器。

 顔色も肌色も悪い。

 膝の上で手を重ねたまま動かしていないのは、手を動かすのも負担になりかねないから。

 車椅子なのは、勿論自力で歩けないからで。

 車椅子の背と竜児の背がくっついた状態で固定されているのは、竜児が座った状態で胴体を前後に動かすことすら、彼の負担になるからだろう。

 

 大人が思わず声掛けを躊躇う出で立ち。

 されど、子供は躊躇わない。

 

「あー! ウルトラマンの兄ちゃんだ!」

 

「や。こんにちわ」

 

 友奈が車椅子を動かして、飛びついてきた子供を上手い具合に竜児の膝に乗せた。

 目が見えない園子の手を引きながらも、友奈の車椅子操作は完璧だ。

 東郷の車椅子で慣れていたからだろう。

 竜児は友人なら誰にでも車椅子を任せるが、見比べてみれば一目瞭然。

 友奈が車椅子を押してくれている時の竜児は、露骨に他の時よりリラックスしていた。

 

 竜児がウルトラマンだと知った子供が、竜児の膝に抱きついてぐりぐりしている。

 竜児に抱きついている子供が一人、少し距離を取っている子供が一人いた。

 顔つきが似ているのでおそらく兄弟だろう。

 友奈は竜児からちょっとだけ離れて、園子とこそこそ話をする。

 

「すっかり広まっちゃったね、園子ちゃん」

 

「ゆーゆは心配~?」

 

「……どうなんだろうね。分かんないや。

 リュウくんの守りたいものが増えたら……増え過ぎたら……どうなるんだろう?」

 

「どうなるんだろうね~」

 

 竜児はじゃれついてくる子供の頭を、手探りで撫でていた。

 園子も、友奈も、想いは一つ。

 

「でも、悪いことにはならないって信じたいよね~」

 

「うん。そう思う。本当に……そう思うよ」

 

 友奈と園子は顔を見合わせて、ふにゃっと笑った。

 

 そんな会話が行われているとは露ほどにも知らない竜児に、もう一人の子供が話しかける。

 

「……ごめんなさい」

 

「ん? どうしたのかな?」

 

「ぼく……かいじゅーになって、あなたをけがさせた」

 

「……ああ。そうだったのか」

 

「だから、にいちゃんについてきてもらって、あやまりにきたの」

 

 竜児をシンプルに慕い抱きついている兄。

 竜児を怪獣になって襲ってしまい、気にしている弟。

 二人の子供の関係性は、会話からも伺えた。

 目が見えない竜児は、顔のパーツで兄弟であると判別できないため、会話から色々と察していくしかない。

 

「あの、こいつのこと、許してあげてほしいんだ」

 

「ごめんなさい……」

 

 竜児は二人の子供の頭を撫で、謝る弟に優しく語りかけた。

 

「いいんだよ。怪我はなかった?」

 

「う、うん」

 

「そっか。君に怪我がなくてよかった。それが一番良いことだから」

 

「……うんっ」

 

「僕は強いから、全然平気だよ。ほら、へっちゃらさ」

 

 竜児は力こぶを作って、ニッと笑ってみせる。

 言葉は力強く、その在り方に揺らぎはない。

 子供の目には、竜児はちゃんとヒーローに見えていた。

 

「君達は兄弟?」

 

「うんっ!」

「うん!」

 

「そっか。お兄ちゃんと弟くんを、大事にするんだよ」

 

「はいっ!」

「はーい!」

 

 竜児に謝っていた弟の方が、子供用ナップザックからラップに包まれたおにぎりを取り出して、竜児に差し出した。

 

「はい、どうぞ! ぼくのおひるごはん!」

 

「ええと……くれるの?」

 

「うん! いっぱいたべて、はやくげんきになってね!」

 

 元気になってね、と子供は無邪気に言う。

 その気持ちとおにぎりを、竜児は微笑んで受け取った。

 

「ああ、ありがとう。すぐ元気になるよ」

 

 子供達が去っていき、竜児は簡単な会話にすら覚える疲労感に深く息を吐く。

 

「……ふぅ」

 

「疲れた?」

 

「いや全然大丈夫だよ。……お、このおにぎり美味しい」

 

 竜児はおにぎりを幸せそうに食べていた。

 味も食感も昔ほど鮮明に感じられないが、それでも他の五感と比べればマシだ。

 まだまともに、何かを感じられるから。

 

「やっぱり禍福は糾える縄の如しだなあ。

 肉体的にはちょっとピンチだけどいいことが起きてくれたよ」

 

「毎日の辛いあれこれがあってもおにぎり一個で幸せ気分~?」

 

「うん」

 

「それでプラスマイナスチャラにしていいのかなぁ、うーん」

 

「僕は風邪引いた時に優しくしてもらえると『わー得した嬉しー』って思うタイプなので」

 

「リュウくんそのままだと絶対長生きできないよ……」

 

「長生きするんだよ、このままの僕で」

 

「……」

 

 かつて安芸は、心の強さに限界が見えない人は、心の強さに限界がある周りの人を削ってしまうと言っていた。

 竜児が平然と毎日を生き、諦めていなくても、日々周りの者達の心は削れる。

 それでも『皆』が諦めず前を見ていなければ、特大の奇跡など起こせるはずもない。

 

「……私もそのままのリュウくんで、長生きしてほしいよ」

 

「長生きするよ。絶対に。十年後も二十年後も」

 

「……そうだよね! うん、そうするんだ!」

 

 竜児と友奈は、話していると互いの心を上向きに、前向きにしている。

 この二人においては、何気ない会話ですら互いの心を強くするブースターだった。

 会話の流れに乗っているようで乗っていない園子が、ふわっと会話に混ざってくる。

 

「ゆーゆはドラクマ君をどう呼んでるの~?」

 

「リュウくん」

 

「ドラクマ君はゆーゆをどう呼んでるの~?」

 

「友奈」

 

「じゃあ私は~?」

 

「乃木さん」

 

「え~」

 

「えーって何……?」

 

「リュウくんは本当にダメダメだあ」

 

「え、何この友奈の追撃」

 

「そこは『園子』ってさらっと呼ぶ場面でしょ!」

「でしょ~!」

 

「あ、そういう? いや待って、こう改めて女の子を下の名前で呼び直すのは気恥ずかしさが」

 

「リュウくんは普段もっと恥ずかしいこと言ってるよ!」

「ドラクマ君は普段もっと恥ずかしいことしてるよ~」

 

「言ってないししてない!」

 

『いや言ってるししてるよ』

 

「メビウス!?」

 

 ヤプールが計画的に起こす裏切りよりも、そのメビウスの裏切りの方がよっぽど破壊力のある、言葉のワンパン裏切りであった。

 

「そこで提案です~」

 

「僕は嫌な予感がしてきた」

 

「むかーし、むかし。

 小学校一年生の時のレクリエーションで呼んでくれた名前で呼んでくれたらいいよ~」

 

「え」

 

「今まで乃木さんって呼び続けた過去は、それで帳消しになるんだよ~」

 

「……念の為聞くけど、どういう呼び名?」

 

 神樹館にはレクリエーションの慣習がある。

 竜児達が六年生時に一年生に国防仮面を見せたように、竜児達が一年生の時、六年生が行ってくれたレクリエーションがあった。

 その時の題材は"友達作り"。

 友達作りというテーマに沿って、好きな食べ物から話を膨らませたり、いつもと違う呼び名で互いを呼び合ったりもした。

 

 竜児にはその時の記憶がない。

 が、園子はきっちり覚えている。

 園子は竜児の耳元を手探りで探し、口を寄せ、囁いた。

 過去の竜児がレクリエーション時に園子に対し使ったというその呼び名は、一度聞いた竜児は心底悩む顔を見せるほどのもの。

 

「……呼ばなくちゃダメ?」

 

「ダメ~」

 

 迷う竜児の背中を――迷うというか照れている竜児の背中を――友奈が押しに行った。

 

「友達は名前かあだ名で呼ぼうよ、リュウくん!」

 

「……友奈には前も言われたなあ、それ」

 

「その時から私達は、"結城さんと熊谷君"から、"友奈とリュウくん"になったもんね」

 

 グイグイ来るこの感じ。

 これが友奈だ。これが彼女の持ち味だ。

 彼女が生来持つ、他人の気持ちを分かる心が、こういった行動を"踏み込みすぎ"にしない。

 友奈は竜児が照れているだけで、竜児が嫌がっていないことも見抜いていた。

 

「だからここでも、そうしちゃおうよ!」

 

 園子が目をキラキラさせ期待して。

 友奈がグイグイ踏み込み、グイグイ背中を押して。

 竜児の方が負けて、折れた。

 

「……園ちゃん」

 

 ずっとずっと前に、レクリエーションの時にだけ、一度だけ呼ばれたあだ名。

 

 その名を呼ばれたことで、園子のテンションは一気に天元突破した。

 

「やったぁ! やったぜ! ふぉぉぉぉぉっ!」

 

「園子ちゃんが壊れた!?」

 

「音だけでも分かる、この奇声を上げて飛び跳ねてる感!」

 

 ぴょんぴょん跳ねて、シュバババと跳ぶ園子。

 恥ずかしそうに園ちゃんと呼ぶ竜児に、園子のテンションがかつて無いほどハイになっていた。

 が、目が見えていないせいで、あえなく小石を踏んですっ転んでしまう。

 

「あっ」

 

 そして園子が転んだ先に、何故か先回りしていた竜児が、園子を受け止めた。

 竜児の腕が園子を受け止める。

 今の竜児の腕に少女を受け止められる頑丈さは無い。

 ミシッ、ビキッ、ズキッ、と嫌な音と嫌な痛みが重なった。

 

 竜児は痛みを顔に出さず、園子を抱え直し、地面に立たせた。

 

「……おお~」

 

「なんか直観的に、園ちゃん目が見えてる時の感覚で飛び跳ねて転びそうだなって」

 

「ナイスキャッチ、リュウくん!」

 

「読まれちゃった~」

 

 腕の痛みを隠して、竜児は何とか車椅子に座り直した。眼鏡を押し上げ位置を直す。

 

「園子ちゃんのパターン読めるなんて凄いね。私はまだ全然読めないのに」

 

「いや僕も読めてるわけじゃないよ。でも分かってはきた。

 頭で考えるとふっと予想を外されるから、魂で感じて、フィーリングに全てを任せるんだ」

 

「たましいだね~」

 

「魂……魂! なんだかすごい!」

 

 感覚的な話になると、この三人は時にツッコミ皆無のボケ倒しとなるのであった。

 

「まあ、とりあえず帰……」

 

「待ってリュウくん」

 

 さあ帰ろう、となった竜児の手を、友奈が優しく掴む。

 傷んでいる方の腕を、全く傷まない掴まれ方をしたことで、竜児は全てを察する。

 

(友奈には全部お見通しか)

 

「痛いなら痛いって言ってよ。隠されたら、悲しいし辛いよ」

 

 友奈は竜児が苦痛を隠していた事実を見抜き、悲しそうな顔をしていた。

 彼女は日々、竜児の核心的な部分を見抜くことが得意になっていっている。

 竜児が友奈に隠し事ができなくなるのは、そう遠い日ではないのかもしれない。

 

「……マッサージお願いできる?」

 

「……治せるかなあ」

 

 友奈が無茶ぶりをされ、頬を掻いて苦笑する。

 

 ちょっと治った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 力の銀、速さの夏凜。

 二人の勇者の力の質は限りなく近いが、二人の両極端なスタイルに合わせ、端末は再三綿密に調整されている。

 この二人が戦うと、中々決着がつかないが、勝ち星は夏凜が多いという結果になった。

 

 銀の武器・双斧は対人戦ではやや取り回しが悪く、様々な距離に対応できる上に武器が軽い夏凜は相当に対人戦闘向きの構成をしているからだ。

 速く動く夏凜に、銀の攻撃は当たらない。

 ところがこれだけ相性がハッキリしていても、銀が斧を巧みに盾のように使うので、二人の戦いは結構長引く。

 時々銀の反撃が命中すると、夏凜が一発でのされてしまうこともある。

 

 二人は次第に互いを認め合い、やがて模擬戦で互いを鍛え合うようになった。

 模擬戦をやるようになってから、二人の力量はぐんぐん伸びている。

 それが「戦う以外に何もできない」という二人の憤りであり、「寿命を延ばせないなら」「せめて戦いの中で守る」という二人の覚悟であることを、竜児は知らない。

 

 竜児の名前で申請し、借りた海辺の訓練場で、二人の赤が激突する。

 飛び交う刀、振り下ろされる双斧、弾ける砂浜と海。

 夜の星空が、波の合間に写り込んでいる。

 月下に舞う二者四刃。

 速さで力を押さえ込み、力で速さを制限させる。自分の強みを押し付けながら敵の長所を封じようとする二人の戦いは、実に実戦的だった。

 

『リュウジ、見える?』

 

「見えないよ。でも感覚でぼんやりと感じられてる」

 

『そうか』

 

「本格的に夏凜の動きをコピーしておきたいから、じっくり感じておかないと」

 

 過去から帰って来てからの竜児は、フェニックスブレイブを安定して使う以上、常時双剣を巧みに扱わねばならない。

 竜児は初心に帰り、最初に真似し始めた夏凜の戦い方を今一度学び直し、夏凜の教え通りに剣を扱うことを意識し始めていた。

 

 竜児が観察する中、夏凜と銀が切り結ぶ。

 

 三好夏凜は聖なる数字『三』を冠するウルトラマン、ティガの力。

 速さ特化、力特化、バランス良く強化と三種類の強化系を次々切り替え、器用に速く重い攻撃を連打している。

 地味ながらも、夏凜の技量と組み合わさると凶悪な強さが発揮されていた。

 

 その連撃を、銀が力任せに切り返す。

 第一の精霊が攻撃速度強化、第二の精霊が防御力と移動速度の強化、そして第三の精霊が回復役のコピーライトというバランスの良さ。

 剛力無双なパワータイプながらも非常にタフで、極めて理想的な盾役(タンク)

 鷲尾須美世代の勇者は、やはり求められる役割が分かりやすい。

 夏凜も軽い攻撃では銀を仕留めきることなどできはしまい。

 

「銀も強いね」

 

『彼女の奮闘のおかげで、ヤプールの襲来も死人ゼロで乗り越えられたんだ。

 精霊の加護もあって、彼女はそうそう死なないだろう。あの粘り強さはもはや驚異だ』

 

「……七人目の勇者、か。勇者の上限六人を超えて、神樹様は大丈夫かな」

 

『でも、その無茶がなければ、あそこで終わっていた』

 

「うん、僕も無茶をするだけの価値が銀にはあったと思う。それに」

 

 キィン、と金属音が鳴り、話している竜児とメビウスの視界の中で夏凜が海に吹っ飛んでいく。

 

「次の十三体目が、最後だ。そこで一区切り」

 

『ああ』

 

 小さな水柱を立てて夏凜が海に落ち、銀が竜児の隣に座った。

 後ろでショートポニテに束ねた髪が、汗だくの銀の首筋に張り付いていた。

 銀が会話に入ってくる。

 

「だな。最後の十二体目はもう倒したけど、最後の十三体目ってのが本当の最後なんだろ?」

 

「銀。もういいの?」

 

「ん、ちょっと休憩」

 

 竜児が銀の肩の上、宙に浮かんでいるウルトラマンコピーライトの精霊を見る。

 死んで、神樹の中に吸収され、精霊という神樹の端末の一つとして活動する兄の姿が、そこにはあった。

 

「あ、兄さん、その……」

 

 竜児が話しかけても、コピーライトは無視する。

 竜児が手を伸ばせば、その手を叩き落とした。

 兄が与えた寿命を今にも使い切りそうな竜児を、兄はとても複雑な眼差しで見ている。

 

「……兄さん」

 

 竜児がもう一度手を伸ばそうとし、コピーライトがそれをはたき落とそうとし、銀が手を差し込んでそれを止めた。

 むすっとした銀のチョップが、コピーライトの脳天を叩く。

 

「!?」

 

「こら、兄が弟に意地悪しちゃダメだろ!」

 

 精霊コピーライトが銀に叱られるという、銀がコピーライトの人間態(二十代)を知らぬがゆえに成立した、シュールな一幕であった。

 

「それでも兄か! 年上が年下に意地悪してどーすんだ!

 弟がそれが原因でグレちゃったらどうするつもりなんだ?」

 

 銀の正論にコピーライトがたじろぐ。

 

「え、あ、いや、銀。どうかそのへんでストップを」

 

「いやダメだ。こいつは兄の自覚がない。

 兄は弟をぞんざいに扱っていい存在じゃないんだぞ。

 ピンチに弟を助けてればいい兄ってわけじゃないんだからな」

 

 何気ない姉の言葉が不器用な兄のハートを突き刺した。

 

「こいつからは弟のためなら死んでもいいって感じがする。

 それじゃダメだろ。

 家族が死んだら悲しいって当たり前のことを忘れてる。

 弟を悲しませたくないなら、兄や姉は必死で生き残ろうとしなくちゃダメだ。

 弟がでっかくなるまで生きて、ずっとその成長を見守ってやらないといけないんだ」

 

 何気ない真っ当な姉の言葉が、自己完結と自己犠牲しがちな兄のハートに突き刺さった。

 

「それが家族としての当たり前じゃないか。弟には優しく、だぞ」

 

 弟のために死なない。それが銀の生き方。

 弟のために死ねる。それがコピーライトの生き方。

 銀とコピーライトはその点で見れば対極となる。

 コピーライトの生き方と死に様は尊かったが、その死は竜児を悲しませたし、竜児は兄には銀のような覚悟をもって生きてほしいと思っていた。

 

 銀は死の恐怖を勇気で踏破し、死を恐れないような勇猛な戦いをする。

 だがその上で、自分が死ねば弟が悲しむことを知っているから、何が何でも生きようとする。

 コピーライトは、だからこそ彼女を選んだ。

 だからこそ彼女を守る精霊となった。

 "弟を思う者同士"の繋がりで、彼女に自らの力を預けたのだ。

 

 三ノ輪銀は、コピーライトという『兄』が認めた、"自分よりもまともに弟を愛せている"『姉』なのである。

 

「ほら、仲直り。ちゃんと弟とは仲良くやらなきゃダメだろう?」

 

 悲しきかな、精霊の性。精霊は勇者の指示でも動く端末のようなもの。

 コピーライトは主の指示であわや竜児に抱きつかされそうになり、死ぬ気でそれに抵抗し、その場から本気で逃げ出した。

 このままでは、ツンデレがツンデレでなくなるような矯正が施されてしまう。

 

「あ、こら、逃げるな!」

 

 その後を銀が追う。

 捕まった場合のコピーライトの運命は明白だった。

 竜児は苦笑いして、逃げる精霊と追う勇者を目で追っていく。

 

「兄さん……真っ当に平和に姉弟やってる銀に憧れたんでしょ、分かるよ、うん」

 

 さんざん間違った兄弟関係の果てに、平和な世界のまともな姉弟関係を見つけ、コピーライトは落ち着くところに落ち着いたのかもしれない。

 

「あーもう最悪。海水で地味にベタつくわ……」

 

 そんな風に時間を使っていると、夏凜が海から上がってきた。

 相性が悪いのにもかかわらず勝った銀も凄いが、その銀に勝ち越している夏凜もまた強いのだ。

 夏凜は髪をほどいて、髪の水気を散らす。

 濡れた髪が頬に張り付いていた。

 ほとんど見えない竜児の目が、そんな夏凜の姿を捉える。

 竜児はそれを、可愛らしいと思った。

 見えていないのに、見えているかのように竜児は語る。心の言葉をそのままに。

 

「夏凜が女の子みたいだ」

 

 変な発言に夏凜が転びかけた。

 

「訂正する。夏凜が普段より女の子みたいだ」

 

「髪下ろしただけでそんな変わる?」

 

「結構変わる。なんか前にもこんなこと言った気がするなあ」

 

「大雨降った時とか、あんたちょくちょく言ってるからね、これ」

 

「……あれ、そうだっけ。ああでも、そういや言ってたっけな」

 

 竜児らしくない、過去のことを思い出すのに時間がかかった会話の流れ。

 思い出すのに時間がかかったのか、頭の回転が悪くなっているのか、記憶が薄れているのか、頭の外側に居る夏凜には判別がつかなかった。

 

「あんた大丈夫?」

 

「状態が良ければ十二月末までは保つよ」

 

 今日は12/22。

 竜児のその言葉は、本人からすればまだ残っている希望を語る言葉であり、彼以外からすれば迫る絶望を語る言葉である。

 

「僕の口の中はまだ意外と元気なんだぞ。この元気を信じろ」

 

「まあ、ご飯もちゃんと食べれてるし、ちゃんと話せてるみたいだしね」

 

「早口言葉だって余裕さ。

 三好夏凜三好夏凜三好夏凜三好夏凜三好夏凜三好夏凜三好夏凜三好夏凜にぼし夏凜三好夏凜」

 

「おお、この速さで私の名前を連呼しつつ一回も噛まないなんて……ん?

 あれ? 今私の名前だけ連呼した? 何か変なもの混ざらなかった?」

 

「変なものなんて何も混ざってないよ」

 

 煮干しは変なものではない。

 

「銀はどこ行ったのよ……しょうがない、普通の鍛錬しますか」

 

 夏凜は一人で鍛錬を始めた。

 勇者の力を体に馴染ませつつ、体を鍛え、今の自分が出せる最高速度を上げていく。

 

 歩くことで1秒あたりに足にかかる負荷を1と仮定する。

 長距離走で1秒あたりに足にかかる負荷を5と仮定する。

 短距離走で1秒あたりに足にかかる負荷を8と仮定する。

 これを繰り返しても、足が出せる瞬発力は8止まりだ。

 跳躍の際にも8止まりの力しか出ないため、跳躍力を伸ばしたいのなら、自分の体重以上の負荷をかけて筋肉を動かすなど、様々な工夫を凝らした特訓が要る。

 

 夏凜は自分の最高速度や旋回速度、加減速力などを上げる特訓をしつつ、竜児と言葉を交わしていた。

 

「リュージは、変わったわ」

 

「うん、僕は変わったね。うぬぼれじゃなければ、きっといい方向に」

 

「でも、変わってないところも多い」

 

「かもね。その中には、僕が嫌いな僕の一部もある」

 

「リュージは私の知ってるあんたのまま、私の知らないあんたになっていく」

 

 この言葉は竜児の変化を肯定する力強い言葉だ。

 だがその裏には、私が一番理解してたと思ってたのに、最近なんかちょっと怪しくない? ちょっとどうなってんのリュージ? という想いがあった。

 唯一無二の相棒がフラッフラしてるような、そんな気持ちである。

 

 竜児の変化に伴い、竜児の周囲や、周囲との関係性も変化した。

 竜児と夏凜の関係も不動なようで、少しずつ変化している。

 一年後には、五年後には、どうなっていることか。

 

 ただ、竜児の中で変わっているもの、変わっていないもの、それらを別々にちゃんと見てくれている夏凜がいる限り、きっと悪いものにはならないはずだ。

 

「ねえ、リュージってこの先どんな自分になりたいの?」

 

「え?」

 

「えーとほら、アレじゃない」

 

「僕の将来の夢とか?」

 

「そう、それそれ」

 

『今ので会話が繋がる君ら凄いな』

 

 竜児は考え込む。

 将来の夢。

 竜児の中に、樹ほどハッキリとした将来の夢は無かった。

 ……いや、昔はあったのだ。

 大赦で出世して上り詰めていくという未来の目標が。

 だが、今はそれさえも無かった。

 

 夢を失った? いや、違う。

 竜児に見えていた世界が広がったからだ。

 やりたいこと、やってみたいこと、やればできそうなことが、いっぱい増えたからだ。

 未来の可能性が広がって、将来の夢にできそうなものが、沢山竜児の中に生まれた。

 竜児の中の夢は、消えたのではなく増えたのだ。一つに絞れないほど多くに。

 

「リュージ、生き残れた未来で成りたい自分ってちゃんと見えてる?」

 

「いや……」

 

 竜児は更に考え込む。

 未来の自分。

 今日までの戦いの中で、自分は変わった。

 これからも変わっていくだろう。

 なら、その変化の先で、熊谷竜児は何になるのか。

 ちょっと考えたくらいでは、答えはまるで出てこなかった。

 

「ちっくしょー、逃げられた……ん?」

 

 そこでコピーライトに逃げ切られた銀も戻って来た。

 

「僕が成りたい、未来の自分か」

 

「何々? 将来の夢の話?」

 

 銀が会話に混ざってくる。

 ああだこうだと語り合う子供達を見て、メビウスは竜児の中で微笑んだ。

 子供が未来の話をしている。

 まだまだ未来は安泰とは言えないけれど、未来に希望を持って、未来を語るくらいはできているというわけだ。

 

『リュウジも、カリンちゃんも、ギンちゃんも、何になってもいいんだ』

 

 メビウスが語りかける。

 

『未来があるというのはね。どんな自分になってもいいということなんだよ』

 

 未来を選ぶ自由は誰にでもある。

 

『大人も、子供も、いつでもなりたい自分になっていい。

 特に子供には、無限の可能性と未来がある。

 どんな夢を叶えてもいい。どんな未来に行ってもいい。どんな自分になってもいい』

 

 こんな凄惨な世界でも、未来に希望を持っていいのだ。

 

『君達が戦って守ってきた未来だ。

 君達がどんな未来を選んでも、誰にも文句を言う権利はないよ』

 

「メビウス……」

 

 彼らにはその権利がある。

 

「そういえば銀の将来の夢って聞いたことなかったな」

 

「……え」

 

「東郷さんと園ちゃんのは聞いたことあるけど、銀のは聞いたことがなかったなあって」

 

「……そ、そうだっけ」

 

「できれば教えて……」

 

「言えるかバカ!」

 

「えええええ!?」

 

「もーリュージは無神経ねー」

 

 銀の将来の夢は自分の家庭を持つこと。

 言い換えれば、お嫁さんになることである。

 銀の将来の夢は、好きになった男の人のお嫁さんになることだった。

 

 女同士ならまあ言える。

 男相手にはまず言えない。

 ましてやこんな頭の良いアホ君にバカ正直に言えるものか。

 竜児は食い下がるが、顔をほんのり赤くした銀が、将来の夢を白状することはなかった。

 

 神樹の作った天蓋の星空の下、少年少女は夢を語り合う。

 

 結界の外で、その星空は()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 "その異変"を察知したのは、地球よりも光の国の方が早かった。

 ウルトラの星の光の国で、最も高い場所に仁王立ちするウルトラの父に、背後から話しかける一つの人影。

 

「失礼します、ウルトラの父」

 

「ゾフィーか」

 

「この力、やはり……」

 

「『奴』が蘇ったということだ。

 光の国全てに警報を。

 場合によっては、光の国の戦える全てのウルトラマンが臨まなければならないかもしれん」

 

「はっ」

 

 宇宙警備隊大隊長・ウルトラの父。

 メビウスの師たるウルトラマンタロウの実父であり、光の国の全てのウルトラマンの頂点に立つ者であり、竜児の父ベリアルのライバルであった者。

 宇宙警備隊隊長・ゾフィー。

 メビウスを初めとするウルトラ兄弟の長兄で、ウルトラ兄弟最強の光線を保有し、宇宙という広大なスケールを警備する警備隊の、隊長に選ばれたほどの実力者。

 

 二人は、遠き宇宙にて『最悪の闇』が復活したことを感知していた。

 

「ゾフィー、どの宇宙で奴が復活したかは分かっているのか」

 

「既に特定されています。

 ですが、父よ。次元の歪みがその宇宙を覆っています。

 その宇宙を満たす闇の全てが、別次元からの介入を拒絶しているのです」

 

「……何?」

 

「かの宇宙は今闇に包まれ、我々が向かうことは不可能です」

 

 今、その宇宙は、どんな宇宙からも助けることができない、宇宙規模の密室と化した。

 

「宇宙一つを丸ごと支配領域に置くだと?

 そんな……そんなことができる者がいるとすれば……やはりこの力の波動は紛れもなく……」

 

「ウルトラの父! ゾフィー! 緊急事態です!

 ある宇宙から闇のエネルギーの反応が増大!

 多次元宇宙の壁を超え、各宇宙が闇に侵食され、飲み込まれ始めています!」

 

 ウルトラの父が拳を握りしめる。

 

 幾多の宇宙を超えて届く闇の波動が、『最悪の事態』を予感させた。

 

 

 

 

 

 ウルトラマンは神ではない。

 だが神を倒すことも多々ある。

 全知全能でない神、他生物の信仰で動く神、神を名乗っているだけの存在、どこかの星の創生に関わるような本物の神。

 神の名を冠する者達を、ウルトラマンの多くは倒してきた。

 

 神とは、人知を超えた者。

 竜児がかつて言っていたように、桁違いに強いというだけで、その存在は神たりえる。

 万能であれば神を名乗れる。

 されど多元宇宙という桁違いの規模の話となれば、全知全能である存在が滅びを迎えることも、神が神でない者に敗れるということも多々発生する。

 

 神を超えた光も。

 神を超えた闇も。

 この宇宙には、存在するのだ。

 

 

 

 

 

 それは最後であり、最強であり、最悪であり、最大の敵。

 

「ウルトラマンがかけがえのない星と謳う星、地球」

 

 世界の終わりに来る者。

 

「よもや再び訪れることになろうとはな」

 

 光の終焉に来たる者。

 

「そこに貴様が居るなどと、運命と言う他無し。で、あろう? ウルトラマンメビウス」

 

 全てを終わらせる者。

 

「余がアーマードダークネスを身に着け、全力で戦うに足る日が来たということだ」

 

 光溢れる星と宇宙に、永遠の静寂と闇をもたらす漆黒。

 宇宙の陰陽太極、その一極の具現。

 

「光に与する者共よ」

 

 宇宙という"光よりも闇の方が圧倒的に多い世界"を体現する、絶大な闇そのもの。

 

「ただの一人も例外はない。漆黒の闇となり……滅び去れ!」

 

 『それ』は、神ではなかった。

 神を名乗ったこともなかった。

 神を気取ったこともなかった。

 なのにあらゆる神を凌駕し、全知全能ですらないというのに、本物の全知全能存在に比肩する領域の力を保有していた。

 全知全能にも肉薄するその力を、闇と破壊の力にのみ注いだ究極の邪悪。

 光の国が"宇宙警備隊"という、宇宙丸ごと一つのスケールで対抗しなければならなかった闇。

 

 暗黒破壊神ダークザギ、全知全能の邪悪レイブラッドと時に並び称される、暗黒の皇帝。

 

 神ですら敵わぬ、宇宙の暗黒の象徴。

 

 ―――『エンペラ星人』。

 

 

 




 次回、終殺開始

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