オーバーロード 異世界に転移したアリストテレス【停止中】   作:始まりの0

12 / 38
EP10 星の守護者、道中で家を建てる

 エ・ランテルで冒険者登録を終えたユウ(ゼオス)ベルンカステル(番外席次)はモモンとナーベと別れ王都へと向かっていた。

 

「………」

 

 

「………」

 

 2人とも無言だ。全くと言っていい程、会話がない。ベルンカステルが話掛けようとするが、ユウの顔を見た途端に顔を茹で蛸の様に赤くして黙ってしまった。

 

(こっこういう時、何を話せばいいの?初めて会った時は子供を作ることで頭が一杯だったけど……今考えると凄く恥ずかしいことじゃ………)

 

 恋などしたことのなく、初めて自分に勝利し、心を射止めた相手と2人きりで旅だ。

 

 今までは勢いに任せていたが、落ち着いて考えてみると初めて羞恥を覚えたベルンカステル(番外席次)

 

「ねっ……ねぇ」

 

 

「ん?」

 

 

「いっ……いい天気ね?」

 

 やっと出てきたのが、定番な言葉である。これでも彼女なりに頑張ったのだろう。ユウはその言葉に空を見上げてみる、そこには青空……ではなく、曇り空が広がっていた。

 

「うん……まぁ、そこそこの天気だな」

 

 ベルンカステルが必死に言ったのが分かったのか、空気を読んだのか分からないが彼はそう返答した。

 

「………」

 

 再び黙るベルンカステル。ユウはと言うと黙ったまま、彼女を見ている。

 

 見られている本人は既に限界なのか、俯いてしまった。

 

(まるで借りて来た猫みたいに大人しい………何時もこうならいいんだが………)

 

 等と考えているユウ。ふっと辺りを見てみると、薄暗くなってきていた。

 

「段々と日も暮れて来たな………この辺りで宿……っと言ってもある訳ないか」

 

 

「そっそうね………野宿でも良いわよ」

 

 

「俺もそれでいいが………流石に女のお前を野宿させる訳にもな……頼んでみるか」

 

 ユウはそう言うと、地面に手を着いた。すると黒かった髪が元の銀色に戻った。

 

 すると周囲に幾つ物、光の球が出現し彼の周りを浮遊し始めた。彼は何かを言っているが、その言葉はベルンカステル(番外席次)には理解できない言語だった。

 

 少しすると、ゼオスの前の地面に何本かの木………と言うか木材が生えだした。そして普通では在り得ない成長速度で大きくなり、組み合わさり、家の形になった。

 

「ふぅ」

 

 

「…………何したの?」

 

 

俺の城(千年城)を出そうかと思ったが、アレを出すと邪魔だし、目立つからな。なんで精霊達に頼んで木で家を作って貰ったんだ」

 

 

「精霊………」

 

 

「ほれっ……さっさと入るぞ」

 

 

「あっ……うん」

 

 

 

 

 

 

 

 ~家の中~

 

「ほらっ、出来たぞ」

 

 

「料理出来たんだ………」

 

 番外席次が目の前に出されたゼオスの手料理を見てそう呟いた。

 

「これくらいは簡単だろ?」

 

 

「………」←料理できない

 

 

「冷めない内に喰え………」

 

 

「うん」

 

 こうして2人で食事をする事になった。

 

 

 

 

 

 

 食事を終えると、装備を確認しているゼオス、番外席次はその横でルビクキューをしている。

 

「これは………ダメ、威力が在り過ぎる。此奴は世界を滅ぼしかねないから仕舞って………」

 

 

「ねぇ…………その武器、凄く怖いんだけど」

 

 

「こりゃ失礼…………これは死の概念を形にした様な物で危険だから、仕舞うと」

 

 そう言うと、禍々しい大剣を空間の歪みに仕舞ったゼオス。

 

「そっちの赤い剣……それが一番怖い」

 

 

「あぁ………これは俺の魔剣だ。まぁ………確かに此奴が一番危険かもな」

 

 彼はそう言うと、手を振るうその魔剣は消えた。一通りの作業が終わったのか、手を止めて天井を仰ぐ。

 

「ふぅ………終わりと」

 

 

「ねぇ………ゼオス」

 

 

「なんだ?」

 

 

「ゼオスは凄い力を持ってるんでしょう?」

 

 

「まぁ……他の奴からすればそうだろうな」

 

 

「なのに、なんでその力で思うがままにしないの?貴方ならできるでしょう?」

 

 

「確かに出来る。その気になれば、この世界の総てを壊す事もできるだろうな…………でもそれをする理由はないからな」

 

 

「理由?」

 

 

「確かに俺の力を用いれば世界を生かすも殺すも出来る。でも、理由もなく奪ったり、殺したりするのは………駄目だ」

 

 そう言ったゼオスが怒りの表情になり、歯が折れるのでないかと言うくらい歯を食いしばる。それを見て、番外席次はビクッと身体を震わせた。

 

「すまん……………まぁ、そう言う訳だ。お前も理由もなく、簡単に命を奪う様な事はするな」

 

 ゼオスはそれだけ言うと、部屋から出て行った。

 

「あの人……あんな顔もするのね………」

 

 彼女は先程のゼオスの表情を見てそう呟く。

 

「アリストテレス………星の守護者…………」

 

 未知の種族……存在だと思っていた彼女はこれまで何処か、彼が遠い存在に感じていた。だが普通に笑い、言葉を交わし、怒りを顕わにする。その様子に、まるで人間の様だと思った。

 

 

 

 

 

 

 ~屋根の上~

 

「理由もなく奪われる………」

 

 2人の男女の姿………リアルの両親と弟と過ごした日々を思い出していた。

 

 楽しかった時の事、イタズラして怒られた時の事…………そして血塗れになり倒れる両親の姿が浮かぶ。

 

「父さん………母さん……」

 

 空に浮かぶ月を見上げながら彼はそう呟いた。その瞳からは雫が流れ出していたが、それを見た者は誰もいなかった。




と言う訳で、ちょっと乙女な番外ちゃんと主人公の過去に少し触れました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。