オーバーロード 異世界に転移したアリストテレス【停止中】   作:始まりの0

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EP12 星の守護者、【蒼の薔薇】と出会う

 ~森の中~

 

「もっもう生きていけない!」

 

 

「おっ落ち着け!首を斬ろうとするな!」

 

 

「離してくれ!あんな所を、見ず知らずの他人に見られたんだ!もぅ死ぬしかない!」

 

 剣に話しかけていた女性は顔を真っ赤にして、持っていた剣で首を掻っ斬ろうとしているので、それを止める為にユウは彼女を羽交い絞めにしていた。

 

「気持ちは分からんでもないが死ぬな!これで死なれたら、後味が悪すぎるわ!」

 

 

「頼む!死なせてくれ!仲間にも隠してたんだ!それを見ず知らずの他人に見られるなんて………もう生きていけない!」

 

 女性は恥ずかしい所を見ず知らずの者に見られた事で、かなり混乱している様だ。絵に描いた様に目がグルグルと回っている。隙をついて、剣を叩き落とした。

 

「おい、何だ!?何の騒ぎだ?!」

 

 

「何を騒いでいる、ラキュース」

 

 何処からか3人の女性がやって来た。

 

(格好からして、此奴等、冒険者か。それも装備からして上級……プレートはアダマンタイトかよ………この状況、どうしたものか)

 

 

「うぅ………」

 

 ユウはふっと今の状況を第三者視点で見てみた。

 

 ユウ()が女冒険者を羽交い絞めにしている………つまり襲っている様にしか見えないのである。

 

「アレ?これって(世間体が)ヤバいんじゃ?」

 

 

「テメェ!うち等のリーダーに何してやがる?!」

 

 大男と見間違える程の女性が巨大な刺突戦鎚(ウォーピック)を構えて今にも襲い掛かろうとしている。

 

「ちょっと待て!アンタ等、勘違いしているから!」

 

 

「どう見ても、女を襲っている様にしか見えんが?」

 

 

「俺も端から見たらそう思うけどね!違うからな!ベルンカステル、せt………」

 

 ベルンカステルに誤解を解く様に頼む為に、彼女の方を向くが……。

 

『自分以外の女を襲うなんて………フフフ』と言う、怒りを含んだ目で笑っている。しかも鎌を構えて襲い掛かろうとする。

 

「…………自分で何とかするしかないパターンですね、分かります。はぁ」

 

 援護どころかベルンカステルが敵に回ってしまった。

 

「なんで、こうも、話を聞かない奴等ばっかりなんだよ………」

 

 

「話はお前を捕縛してから聞かせて貰おう。安心しろ、加減はしてやる」

 

 仮面を付けた冒険者を含めた、女性冒険者達はやる気満々らしい。

 

「不動金縛りの術!」

 

 

「どりゃあぁぁぁぁぁ!」

 

 

クリスタル・ダガー(水晶の短剣)!」

 

 まず、混乱している女性の仲間が襲い掛かって来た。

 

「ふふふ…………ウフフフッ」

 

 続いて目の笑っていない笑みを浮かべながら、ユウに接近するベルンカステル。

 

 襲われている当の本人は何でこんな事にと言う顔をしており、周りの状況を確認した。

 

「(右からベルンカステル………左から魔法、大きい金槌の二段攻撃。しかも魔法………いや忍術か。忍術で拘束されてる。まぁ簡単に解けるけど)

 

 まずは話を聞けっての」

 

 ユウの眼が黒から、紅へと染まった。

 

 ―我が意志は時すら支配する(ザ・ワールド)

 

 その瞬間、風も、落ち葉も、小動物も、人間も、世界の全てが静止してしまった。

 

「これでよし」

 

 その制止した世界の中で唯一動いている存在がいた、時間を停止させた張本人であるユウだ。

 

 我が意志は時すらも支配する(ザ・ワールド)………アリストテレスの圧倒的な力で決して止める事のできない時間を支配する能力だ。時間の逆行・停止・加速を行える。

 

 ユグドラシルの魔法に時間停止(タイム・ストップ)と言う魔法があるが、この魔法は発動中はダメージを与える魔法が使えなかったり、時間対策のアイテムなどを使う事により防ぐことができたり、使用範囲などに幾らかの制限がある。

 

 だが彼の使う我が意志は時すらも支配する(ザ・ワールド)は違う。アリストテレスが使うだけあって、制限は一切ない。対策も同じ時間停止を使う以外は方法がないのだ。

 

「【アンドロメダの鎖】よ」

 

 ポケットの中から掌に乗るくらい小さな白い鎖を取り出すと、彼女達に向かって放り投げた。鎖は普通の鎖サイズへと変化すると、意志を持つかの様に動きだし、彼女達を拘束した。

 

「これでよし………そして、時は動き出す」

 

 制止していた時間が動き始めた。

 

「「なっ?!」」

 

 

「なんだこりゃ!?」

 

 

「何時の間に?!」

 

 

「……壊れない」

 

 女性陣は何時の間にか拘束された事に驚き、鎖を破壊しようと力を入れるが全く壊れる気配がない。

 

「そいつは対女性用拘束具・【アンドロメダの鎖】だ。種族・レベルに関係なく、女を拘束し無効化するアイテムだ………話を聞け」

 

 

「なに?」

 

 ユウの言葉に仮面の冒険者が首を傾げる。

 

「俺は女を無理矢理抱くほど、飢えちゃいない。それに趣味じゃない」

 

 

「じゃあ、なんでラキュースにあんな事を?」

 

 

「えぇ~と………それは……その」

 

 

「みっ皆!落ち着いてくれ!この人は……そっそう!私を助けてくれたんだ!」

 

 

「「「助けた?」」」

 

 漸く落ち着きを取り戻したラキュースと呼ばれる女性がそう言うと、他の3人は首を傾げた。彼女達は自分のリーダーが助けを必要とする程の状況など予想が付かなかったからだ。

 

「そっそれは……」

 

 ラキュースは顔を真っ赤にして震えている。

 

「恐らく、剣の持つ力に飲まれそうになったんだろう。「でも、そんなこt」ちょっと黙ってようか」

 

 ユウの説明にベルンカステルが何かを言おうとするが、直ぐに止めた。

 

「もがっもがっ」

 

 

「色々と話がややこしくなるから黙ってろ。後で、パフェを食わせてやるから」

 

 

「それってナザリックで食べた、甘くて、美味しい奴?」

 

 

「そうそう」

 

 ベルンカステルは普段無表情で、ユウの事が関わると頬が緩む。それ以外は興味がないのか、表情が動く事はない。だと言うのに、パフェと聞いた瞬間、目を輝かせ、ユウの指示通りに黙った。

 

「コホン………彼女が剣の力が暴走して、自分の首を掻っ切ろうとしてたから止めたんだ(これで納得してくれたらいいんだけど)」

 

 

「そっその通りだ!この方は私の命を救って下さったんだ!自身を抑え込んでいる私の存在が邪魔になったんだろう………うん、きっとそうだ!(頼む!ごまかされてくれ!)」

 

 これ以上、ややこしくなるのが嫌なのでこれで終わってくれと思っているユウ、そして仲間にバレそうになっているこの世界ではないと思っていた病(中二病)を何とか誤魔化したいラキュース。

 

「しかし魔剣キリネイラムにはそんな力はなかった筈だが?」

 

 仮面の冒険者がそう言う。そう言われてラキュースの視線が誰も居ない方向へと逸れて行った。

 

「まっ………まぁ、さぞ名の在る魔剣だろうけど、知られざる事もあると在るんじゃないかな……うん。きっと在ると思うよ?」

 

 

「フム………」

 

 どうやら仮面の冒険者は納得したのか、黙ってしまった。

 

 ユウは彼女達が抵抗しないと感じた様で、指を鳴らす。すると彼女達を拘束している鎖は解けて、小さくなると彼の手へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「先程は本当に失礼した。仲間を助けて貰ったと言うのに、無礼を働いてしまった。紹介が遅れた、私の名はイビルアイ、そっちのデカいのが、ガガーラン、双子がティアとティナだ」

 

 

「そんで、アンタが助けてくれたのが、アタシ等【蒼の薔薇】のリーダー、ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラだ」

 

 

「いや、まぁ……勘違いは誰でもありますし………俺はユウ、そっちはベルンカステル」

 

 

「見た所、冒険者………それもかけ出しか」

 

 

「あぁ、昨日、エ・ランテルで冒険者登録をしたばかりでね。

 

(取り敢えず、収まってよかった。後は適当に別れよう、じゃないと余計に面倒になりそうだ)」

 

 早々にこの場から離れたかったユウ。ベルンカステルは未だ喋らない様にしているのか、口を押えている。

 

「おっとそろそろ戻らないと」

 

 

「戻る?それはあそこの村にか?」

 

 

「あぁ、昼間にあそこの村に住む商人の家族に会ってな。雨宿りしていた俺達に部屋を提供してくれたんだ」

 

 ユウがそう言うと、ラキュース達が神妙な顔をする。

 

「あの村で何か怪しい物は見ませんでしか?」

 

 

「特に見ていない………そう言えば西側は立ち入り禁止だと言われた」

 

 

「西側か……」

 

 

「………あの村に何かあるのか?」

 

 ユウがラキュースの問いが気になってそう聞いてみたのだが、彼女等は顔を見合わせている。

 

「ラキュースの恩人だ……言わない訳にはいかないか」

 

 

「あそこの村はある組織が運営している」

 

 

「薬の生産場だ」

 

 イビルアイがそう言うと、忍者の双子がそう言った。

 

「薬?」

 

 

「ライラの粉末………別命・黒粉。「副作用がない」と言う麻薬だ………その原料が生産されている場所の1つがあの村だ」

 

 ラキュースがそう言った瞬間、全てを押し潰すかの様な圧倒的な【何か】がこの場を支配した。

 

「「「「「ッ!!?」」」」」

 

 ラキュース達はその圧倒的な【何か】の発生源であるユウを見た。

 

 彼の全身から紅いオーラが溢れ、目は虹色に染まり、彼の足元の地面がひび割れていた。

 

 ラキュース達は唾を飲んだ。ユウと言う冒険者は(カッパー)のプレートだ………だが、どうだ。目の前にいる男が放つ力は(カッパー)の冒険者が放っていい力ではない。オリハルコン……いや自分達と同じアダマンタイト級の力だと、彼女達は肌で感じていた。

 

「ねぇ………顔、怖いわよ」

 

 

「…………あぁ、嫌な事を思い出してな」

 

 ベルンカステルの言葉により、落ち着きを取り戻したのか力が消えた。

 

「失礼………それで、村人達はそれに協力しているのか?」

 

 

「いっ……いや、それはないと思う。恐らく組織が高値で買い取るから生産しているだけだろう」

 

 

「なら良かった………無駄に犠牲を出さずに済む。それでその麻薬はどの程度、広まっている?」

 

 

「王都でもかなり広がっているが、貴族達により黙認されている様だ。他の国でも危険視されているみたいだが……」

 

 

「そう…………ベルンカステル、戻るぞ……住民を避難させる」

 

 

「どうして?」

 

 

「焼き尽くすのは薬の原料だけでいい。命を無駄に散らさせる訳にはいかん」

 

 

「ふぅ~ん……別に貴方がそうしたいならそうするわ」

 

 ユウとベルカステルはそう言うと、村の方へと歩いていった。いきなりの事で唖然としているラキュース率いる蒼の薔薇を置いて。

 

 

 

 

 

 

 

 村に戻る途中、ユウはメッセージの魔法を使って、親友であるモモンへと連絡を取った。

 

「やぁ、モモちゃん」

 

 

『あぁ、ユウちゃんか………もう、王都には着いたの?』

 

 

「いや、未だ途中だ………セバス達とも合流出来ていない」

 

 

『そうか……それで、何か在った?』

 

 

「実は………」

 

 ユウはモモンに自分の状況を説明した。

 

『成程………それで、その村を潰すと?』

 

 

「勿論、村人は避難させてな…………そこで、モモちゃんに意見を聞こうと思ってな」

 

 

『俺的には別に構わないけど………』

 

 

「メリットは冒険者ユウとベルンカステルの名が売れる。王都の方では黙認されているらしいが………全ての貴族がそうとは限らない」

 

 

『なら、冒険者ユウとベルンカステルが麻薬根絶に手を貸したとすれば……国の貴族達とのパイプが出来る』

 

 

「デメリットとしては、組織とやらを敵に回し、組織に協力している貴族に目を付けられる……と言う所だろう。まぁ組織とやらは根絶するつもりだがな」

 

 

『………はぁ……分かったよ。そっちはユウちゃんの好きにしてくれていいよ』

 

 

「すまん」

 

 

『いいよ………ユウちゃんの気持ちも分からなくもないから』

 

 

「ありがとう………それでそっちは?」

 

 

『えっ……まぁ、その』

 

 自分の方針が決まった所で、モモンの方の近状を聞いた。

 

 ンフィーリア・バレアレと言う薬師に指名で依頼をされたそうだ。だが、自分達は先日、エ・ランテルに来た所なのに何故と言う疑問がある。

 

 ンフィーリアによると、宿屋での事を聞いたらしく、(カッパー)のプレートなら依頼料が安いと言う理由だ。

 

「えっ、何それ……メッチャ、怪しいじゃん」

 

 

『だよね………俺もそう思うよ』

 

 

「取り敢えずは要監視か………」

 

 

『そうだな』

 

 

「じゃあ、こっちが終わったら連絡するよ………何か、問題が在ったら連絡してくれ」

 

 

『了解』

 

 メッセージを切ると、息を吐いた。

 

「それでどうするの?」

 

 

「普通に言っても、逃げないだろうからな……それに村の中に少ないが村人以外の存在を感じる。恐らく、組織とやらの人間だろう。監視兼守り役と言った所か」

 

 

「あぁ………あの弱っちぃ気配の事ね」

 

 

「だから、そいつ等は始末して……村人達は逃がす」

 

 

「どうやって?」

 

 ベルンカステルにそう聞かれると、笑みを浮かべるユウ。それを見て、ベルンカステルは背筋にゾクッと寒気を感じた。

 

「モンスターに襲われて、人間が死んだ。それが偶々、村人以外だった………別に可笑しい話じゃないだろう?」

 

 そう言って、彼は手に嵌めている指輪を見せながらそう言った。




・蒼の薔薇

アダマンタイト級冒険者チーム。メンバーの全員が女性であり、その名は他国にも知れ渡っている。


・ラキュース

蒼の薔薇のリーダー。王国の王女とは個人的な親交を持ち、政策についても議論する程、頭脳がある。強いが、ゼオス達には遠く及ばない。

この世界では珍しい中二病。仲間でもないユウに見られて恥ずかしさのあまり、困惑して自害しようとした。


・ガガーラン

大男と見間違える程、デカい女性。見た目に似合わず面倒見が良い。


・イビルアイ

仮面とローブを纏った魔法詠唱者。実際は吸血鬼である。



・ティア&ティナ

元暗殺家の双子の忍者。実はティアはレズビアン、ティナはショタコンと変わった趣味の姉妹。
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