オーバーロード 異世界に転移したアリストテレス【停止中】   作:始まりの0

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EP14 星の守護者、空想具現化を行う

 ~村の外れの畑~

 

 黒粉の原料の畑、そしてモンスターのやってくる森。それらを前にして戦闘準備を整えるユウ。

 

「さて………と」

 

 

「モンスターを狩るの?」

 

 

「あぁ……お前もやるか?」

 

 

「雑魚相手じゃ満足できないもの………それより、見せて欲しいわ。貴方の本気」

 

 ベルンカステルは弱いモンスター相手には興味がないらしく、オルタ・レオに乗ったままである。そのかわりにユウの本気を見たいと言ってきた。

 

「本気を出すまでもないんだがな………この草は燃やすだけでも危険な様だし消滅させる」

 

 

「どうやって?」

 

 

「こうやってだ」

 

 髪と瞳が元に戻り、ゼオスの姿に変わると全身が光に包まれる。すると、彼の前に何かが投影された。

 

「これは……この村と森?」

 

 

「そう…………我が特殊スキル【空想具現化(マーブル・ファンタズム)】。簡単に言えば、自然を思うがままに操る能力だ。そしてアリストテレスたる我が能力は精霊が行う物よりも高位の物………思うが儘に世界を改変する」

 

 投影された村と森の一部に手を翳した。そして手を払う仕草をすると、投影されている畑と森の一部分が更地に変わった。同時に目の前の畑と森の一部分が更地となってしまった。

 

「………何したの?」

 

 

「畑と森が在った空間をモンスター達ごと削り取った」

 

 

「魔力も、何も感じなかった………これで国を攻撃すれば簡単に滅ぼせそう」

 

 ゼオスが息を吐き、ユウの姿へと変わった。

 

「残念ながらこのスキルは自然物にだけ作用するものだ。人工物には作用できん………まぁ国を簡単に消し飛ばす魔法も持ってはいるが(主に月を落とすとか)」

 

 

「そうなんだ」

 

 

「さて、取り敢えず………組織とやらの人間に話しを聞くとするか」

 

 

「でも……そんな人間何処にいるの?」

 

 

『御待たせいたしました。我等が主よ』

 

 謎の声がした。ベルンカステルは凄まじい力を感じて空を見上げた。空に居たのは10人の男達を鎖で拘束した持つ天使だった。

 

「来たか………これで全員か?」

 

 

「その通りにございます」

 

 12枚の天使の翼を持つスーツを着た女性がそう言った。

 

「誰?」

 

 

「此奴等は俺の守護獣の1人。善悪を極めし双子(アンニス・ジェミニ)だ。12の僕の中では一番、善性の存在だ」

 

 

「おやっ……ぁあ、貴女が射手の言っていた我等が主のお后様ですか」

 

 

「はっ?」

 

 

「ふぇ?」

 

 アンニス・ジェミニの言葉に、「何言ってるんだ、此奴?」と言う顔のユウと顔を真っ赤にして頭から湯気が出ているベルンカステル。

 

「違うのですか?」

 

 

「違う……この世界の協力者だ」

 

 

「(おっお后様……つっつまりはお嫁さん……お嫁さん……お嫁さんって……あっあんな事やこんな事もするのよね)きゅ~」

 

 何を想像したのか、そのまま目を回してしまった。

 

「全く変な事を言うな、アイツが目を回したじゃないか」

 

 

「(主はそのつもりはないのでしょうか?)これは失礼しました」

 

 

「それで、此奴等が組織とやらの人間か?」

 

 

「はい」

 

 

「現時点で分かっている事は?」

 

 ユウはアンニス・ジェミニに、拘束している男達から聴取した情報を聞いた。

 

「組織の名は八本指、リ・エスティーゼ王国の裏社会を牛耳る組織です。8つの部門から構成され、その部門の長達が組織のトップだそうです。

 

 詳しい内容は此方に」

 

 そう言ってアンニス・ジェミニはユウに詳細を書いた書類を渡した。

 

「それと此方はこの愚者共が持っていたメモです」

 

 

「何かの暗号か何か?…………まぁ後々、解読しよう」

 

 ユウは受け取ったメモを見たが、何かの暗号の様で直ぐには分からなかったので書類と共に異空間に仕舞った。

 

「それでこの者共は如何しましょう?」

 

 

【グルルル】

 

 アンニス・ジェミニとオルタ・レオが八本指の構成員達を見降ろした。彼等は鎖で拘束され、口も猿轡されているが、意識はある。故に目の間の巨大な人外であるアンニス・ジェミニとオルタ・レオに恐怖する。

 

「そうだな…………」

 

 ユウは構成員達を見降ろした。

 

「此奴等は今まで、麻薬で荒稼ぎして来たんだ………人の人生を狂わせて、不幸にしたんだ。それなりの報いを受けて貰おう。ジェミニ、此奴等を連れてナザリックに帰還しろ。誰かに引き渡して、情報を引き出させろ。全部引き出したら、好きにしろ」

 

 構成員達は何か言いたいらしくもがいているが、そんな者達を冷たい目で見降ろしているユウ。

 

「御意に………では失礼します」

 

 アンニス・ジェミニはユウに対して一礼すると、構成員達を連れてその場から飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

「さてと………」

 

 

「ねぇ、モンスターの足音するけど?」

 

 ベルンカステルがその耳で消えた森の方からモンスター達が進行してくる足音を聞き取った。数秒すると、モンスターの群れが姿を現した。

 

「森を残そうと加減したから、取り残しが何匹かいた様だ」

 

 

『おいおい、何だこりゃ?!』

 

 声と足音が聞こえてきた為、後ろを振り返ると蒼の薔薇のメンバーが此方に走って来た。

 

 

【グルルル!】

 

 

「アイツ等はいい」

 

 オルタ・レオはそう言われると、やってくるモンスター達を睨みつける。

 

「おい、さっきまで此処は畑と森が在ったんじゃねぇのか?」

 

 

「あぁ……まぁ、モンスターごと消し飛ばしました」

 

 

「「「「はぁ!?」」」」

 

 

「そっそれでは、このモンスターは?」

 

 驚くラキュース達、落ち着いているのはイビル・アイだけ……と言う訳でもなく若干驚いているが、まずは上納が欲しいと思ったのかオルタ・レオの方を見て、ユウにそう聞いた。

 

「俺のペットです」

 

 

「ペット?」

 

 

「おっとモンスター共を忘れていた。ベルンカステル、降りろ………レオ、久しぶりに暴れていいぞ」

 

【グオォォォォォォ!】

 

 ベルンカステルを降ろすと、オルタ・レオは主に許しを貰い、喜びの咆哮を上げ、駆け出した。そして、モンスター達の蹂躙を始めた。

 

 ゴブリンも、オーガも、トロールも、総て等しく蹂躙されていく。

 

「なっ………」

 

 

「あの大軍が数秒で……」

 

 ―ドォォォォン―

 

 何かが踏みつぶされる様な音と共に、木々が薙ぎ倒された。すると森の奥から体長10m以上ある、8本脚と王冠の様な鶏冠のあるトカゲが十数体、現れた。

 

「ギガントバジリスク!?」

 

 

「しかも群れかよ?!」

 

 

「ギガントバジリスク?(初めて見るモンスターだな)」

 

 ユウは始めてみるモンスターに首を傾げた。

 

「【石化の視線】を持つモンスターだ。我々でも全力を出さねばならない相手だ、1匹でも厄介なのに……群れで来るとは」

 

 ラキュースによると、かなり厄介なモンスターの様なのだが……

 

「なんだ………その程度か。べr………やる気なしって顔だな」

 

 

「アイツ等、面倒だもの」

 

 

「はぁ………レオ、下がれ。一気に終わらせる」

 

 ユウはそう言うと、オルタ・レオを下がらせ、自分は一振りの刀を取り出した。

 

 刀身は紅く、唾は金、柄は黒………美しい刀だ。ユウはその刀の剣先を此方に突進してくるギガントバジリスクに向ける。

 

「我が妖刀よ………その力を見せろ。【空殺】」

 

 そう呟き、妖刀を横に一閃した。一閃した延長線上にいたギガントバジリスクとその後ろの空間が断絶された。ユウは妖刀を血を振り払う様に振ると鞘に納め、大きく息を吐き力を抜いた。

 

 ―キィン-

 

 妖刀が鞘に納められると金属が鳴った。その瞬間、ギガントバジリスク以外の空間は元に戻る。

 

「ふぅ………」

 

 

「空間がズレた様に見えたけど………何したの?」

 

 妖刀を収め、此方に歩いて戻ってくるユウにベルンカステルがそう尋ねた。彼女も何が起きたのか分からなかった様だ。

 

「モンスターごと空間を斬り裂いた。それでモンスター以外の空間を元に戻せば、モンスターだけが切断される。どんな防御力の高い鎧を着ようと、防御のスキルを使おうと、空間ごと斬り裂かれれば関係ないからな。

 

 そしてそれを行うのが、空間を斬り裂く【妖刀・断空】」

 

 ユウはベルンカステルに鞘に納めた妖刀を見せながらそう言った。

 

「ギガントバジリスクとか言うモンスターはレベルそれ程高くない様だな………そう言えば冒険者ってモンスター倒した時の報酬ってどうやって貰うんだ?」

 

 

「えっ…………あっ………えっとモンスターの一部を持ち帰って組合に提出すれば報酬を貰えるわ」

 

 ユウがどうやって報酬が貰えるのかと考えていると、我に帰ったラキュースがそう説明してくれた。

 

「成程…………モンスターの一部か」

 

 説明を聞いたユウは再び妖刀を引き抜くと、ギガントバジリスクの鼻先に付いている角を切断した。

 

「これでよし………」

 

 そう言いながら、切断した角を異空間と繋がっている皮袋へと仕舞った。

 

「(クリスタルなどがドロップする訳じゃないのか。ユグドラシルでもそうだがゲームではモンスターの素材がアイテムや武器になる可能性も………)でもなぁ…………弱いし」

 

 自分達でも1人では多少なりに苦戦するモンスターを弱いと言った、先程の戦いを見ればそれも頷けるが、圧倒的過ぎて唖然とした。

 

「ねぇ………これ、食べるの?」

 

 

「「「えっ?!」」」

 

 ベルンカステルの言葉に驚くラキュース達。

 

「…………でもなぁ」

 

 ユウはギガントバジリスクの切断面を見た。何やら毒のありそうな色をしている。

 

「止めよう。どう見ても、毒ありそうだし」

 

 

「そう?」

 

 

「とは言う物の………このまま放っておけば、肉食モンスター共が来そうだし」

 

 ―ズゥン ズゥン―

 

 森の奥から巨大な何かの足音が聞こえてきた。

 

「ッ!」

 

 

「なっなんだぁ!?あのデカい化物は!?」

 

 森の奥からやってきたのはユウの使い魔グオス・スコーピオンだった。

 

「………逃げろ」

 

 突如、イビル・アイがそう呟いた。

 

「なに?」

 

 

「逃げろ………アレは強い。例え私達が束になってもアレには勝てない」

 

 

「その様ね………アレは強いわ。見た事もないモンスターだけど………素直に逃がしてくれそうにはなさそうね」

 

 イビル・アイとラキュースは対面しただけで、グオス・スコーピオンと戦っても勝てないと理解できた。だからこそ、直ぐに逃げる事を決断する。だが、モンスターはこっちに近付いてきている。

 

「私とラキュースで時間を稼ぐ、だから逃げろ」

 

 

「とは言っても長い時間は無理よ……全力……って貴方!下がりなさい!」

 

 イビル・アイは魔法を展開し、ラキュースは剣を構える。しかし、ユウはお構いなしにグオス・スコーピオンに近付く。

 

【キィ……キィ……キィ】

 

 

「よしっ、よしっ、ご苦労様」

 

 ドデカい蠍がユウに擦り寄っており、まるで猫の様である。

 

「ななななななな………」

 

 

「あぁ、そうだ。ギガントバジリスク(あれ)、食べていいぞ」

 

 主がそう言うと、グオス・スコーピオンはギガントバジリスクの方へ向かい、その死骸を貪り始めた。

 

 ―バリっ!メキッ!グシャ!―

 

 グロテスクな光景である。数分で十数体を食べ終えた様だ。

 

「スコーピオン、レオ、ご苦労様………皆の所に戻っていいぞ」

 

 ユウがそう言うと、2体の獣は咆哮を上げ、光になると指輪へと変化し彼の手元に戻って行った。

 

「いっ……一体、貴方は」

 

 

「唯の駆け出しの冒険者さ……ベルンカステル、そろそろ戻ろうか」

 

 

「うん」

 

 2人は蒼の薔薇を置いて、村の方へと戻って行った。




と言う訳で、今回は長くなったので2話に別けました。
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