オーバーロード 異世界に転移したアリストテレス【停止中】   作:始まりの0

17 / 38
EP15 星の守護者、跳ぶ

 ~早朝 村はずれ~

 

「何も言わずに出てきて、良かったの?」

 

 

「あぁ………良いんだよ。麻薬を消す為とは言え、スコーピオンでモンスターを村に嗾けたんだ。だと言うのに村人が英雄視してくるんだぞ………良心が痛む」

 

 ユウは昨夜、モンスターを討伐し村長や村人達に感謝され、子供達には英雄を見る様な目で見られていたのだが………畑を消す口実としてモンスターを嗾けた。つまりは自作自演である。故に人間としての良心が痛む様だ。

 

「別に気にする様な事はないんじゃないの?」

 

 

「俺が気にするんだ………はぁ、さっさとセバス達と合流しよう。と言う訳で………よっと」

 

 

「えっ……ちょっと!!」

 

 ユウは早くセバス達と合流する為に、ベルンカステルを抱え上げた。俗に言う、お姫様抱っこである。勿論、恋する乙女である彼女はそんな事をされれば顔を赤くなる。

 

「おおおおっ追い付けるわよ!」

 

 

「絶対に俺の方が速いんでな。ちょっと本気で行く………口を閉じとかないと舌噛むぞ」

 

 

「えっ?」

 

 そう言うと、脚に力を入れて地を蹴った。

 

「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

 

 アリストテレス(人外の中の人外)のちょっと本気は軽く音速になりました。流石に音速を予想していなかった彼女は猫の様な悲鳴を上げてしまった。

 

 

 

 

 

 ~数分後~

 

「ぜぇぜぇ」

 

 

「大丈夫か?」

 

 音速で移動していた為、ベルンカステルには少し辛かった様だ。未だに抱っこ状態である。

 

「取り敢えず、降りる?」

 

 ユウにそう言われて、勢いよく首を横に振る。

 

「怖い………怖い」

 

 彼女は若干、トラウマになった様だ。先程まで、彼女が体感していたのは簡単に言えば【シートベルトなしで〇ヒ〇ス(世界一怖いジェットコースター)に乗車した】様な物だ。後にそんなに怖いのかと思い体験したアインズがそう言った。ナザリックの支配者もトラウマになったのは言うまでもない。

 

「そんなにか?」

 

 当の本人は自分がチートの塊だという事を理解していない様だ。

 

「まぁいいか………おっ、あの馬車は」

 

 ユウは遠くに馬車を確認し、それに近付いていく。すると、馬車から執事が降りてきた。

 

「此方に居られましたか………旦那様」

 

 

「やぁ、セバス。出迎えご苦労」

 

 

「ハッ………では御乗り下さいませ」

 

 セバスはそう言うと、馬車に2人を迎える。

 

 

 

 

 

 ~馬車の中~

 

 未だ、恐怖が抜けないのかユウの腕から離れようとしない。

 

 ―ギリッ!―

 

 ―メキィ!―

 

 この馬車に乗っている、ユウ、ベルンカステル。

 

 そして、セバス、戦闘メイドのソリュシャン・イプシロン、ナザリックの階層守護者、シャルティア・ブラッドフォールン、シャルティアの愛妾の吸血鬼の花嫁(ヴァンパイア・ブライド)が2人乗っている。

 

 因みにセバスは竜人、シャルティアは真祖(トゥルー・ヴァンパイア)、ソリュシャンはスライムだ。

 

 セバスは特に表情に出ていない。しかしソリュシャン、シャルティア、吸血鬼の花嫁の2人は、ユウ………ゼオス・アルドライグの腕に引っ付いている番外席次を睨んでいた。その眼には嫉妬と羨望の感情が篭っている。

 

 当の原因である、ゼオスはそれに気付きながらも、面倒なので触れないでいた。

 

「はぁ………それで、セバス。情報は?」

 

 

「はい、こちらになります」

 

 セバスはそう言って、羊皮紙に書いてある情報をゼオスに渡した。ゼオスはそれを受け取り、目を通す。

 

「成程…………やはり、生活水準はこの程度。医療もそれ程、進んでいない」

 

 セバスがナザリックを出てから調べ上げた情報を、頭に叩き込んでいく。書類を10分程で読み終えると、息を吐いた。

 

「大体、分かった………セバス、アインズからはどう言った命を受けている?」

 

 

「はい。王都に着いた後は、情報収集、コネクションの形成を命じられております。ゼオス様と合流次第、御身の命を第一優先にと」

 

 

「分かった。後、今の俺はユウだ、番外席次もベルンカステルと名を名乗っている。ナザリックに帰還するまでは、室内等でも気を付けろ」

 

 

「「「「承知しました」」」」

 

 NPC達が揃って、ゼオスの意を受け入れた。

 

「やるべき事は多いな…………セバス、王都まではどのくらいだ?」

 

 

「恐らく、このペースで行けば2・3日かと」

 

 

「その程度か」

 

 

「あの、旦那様」

 

 

「どうした、ソリュシャン?」

 

 

「襲撃が在った場合、ザック………現在、手綱を握ってる男なのですが、私に頂けませんか?」

 

 ゼオスは馬車に乗る前に、馬の手綱を握っていた男の事を思い出していた。

 

「あぁ、あの男か。特に利用価値もなさそうだし、構わないぞ」

 

 

「ありがとうございます」

 

 許しを貰ったソリュシャンは笑みを浮かべて頭を下げる。

 

 

 

 

 

 

 ~夜 テント~

 

 事前に用意していた簡易テントを張り、一同はそこで夜が明けるのを待つ事にした。

 

 ゼオスやNPCは人間でない為、別に食事をとる必要はないのだが………ゼオスは未だ、人間の時の習慣で食事をとる様にしていた。

 

 そして今夜、食事を作ったのは至高の存在であるゼオス・アルドライグだった。

 

「「「「「…………」」」」」

 

 

「どうした、お前等?早く、食え。冷めてしまうぞ」

 

 そう言ってスープを啜るゼオス。

 

 セバス達、NPCは自分達の持つ皿に入ったスープを驚愕と感動が入り混じった表情で見つめていた。当然だろう、本来であるなら自分達の役目であり、下々の仕事だ。

 

 だと言うのに、至高の1人であるゼオスが自分達に手料理を作ってくれた………感動しない訳がない。スープを食べた彼等が泣いたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 食事を終え、食器を片付け終わり、ゼオスは月を見上げていた。

 

「旦那様」

 

 

「セバスか?」

 

 

「はい、お休みにならなくて宜しいのですか?」

 

 

「おいおい、俺はそんな柔ではないぞ」

 

 

「それは承知しておりますが………」

 

 

「フム………あっ、そうだ。セバスに聞きたい事が在ったんだ」

 

 

「なんでございましょう?」

 

 

「お前は人間をどう思う?」

 

 ゼオスはセバスに人間の事についてどう思うかを聞いた。

 

 因みにナザリックの戦闘メイド・プレアデス達の意見は、長女のユリ・アルファ以外は餌やら玩具やらと言う物だった。

 

 基本的にナザリックの者達は人間を見下し、下等な生物と見ている。

 

「私が思うに人間は素晴らしい生き物だと思われます。愚かな者も居ますが、弱き者に手を差し伸べる優しさを持つ存在だと考えます。そんな者達がいるからこそ、私は嫌いにはなれません」

 

 

「手を差し伸べるか………フフフ」

 

 ゼオスはセバスの言葉で昔の事を思い出した。

 

「『誰かが困っていたら助けるのは当たり前』」

 

 

「!」

 

 セバスはその言葉に驚いた。それは自分の創造主、たっち・みーが良く言っていた言葉だったからだ。

 

「セバスは異形種狩りを知っているか?」

 

 

「いえ」

 

 

「俺やモモ……アインズ達の様な異形種は、特異性故によく他の種族に狙われてな。

 

 当時は毎度、毎度、狙われてうんざりしていた。でもそんな時、ある聖騎士が立ち上がった。困っていたら助けるのは当たり前だと言い、虐げられていた異形種達を助けたのが、俺達【アインズ・ウール・ゴウン】の始まりだ。

 

 勿論、その聖騎士と言うのは我が盟友であり、お前の創造主であるたっちさんだ」

 

 

「!!!」

 

 セバスは、自分が創造される以前の………アインズ・ウール・ゴウンの誕生の話、それに自分の創造主である【たっち・みー】が関わっている事を知り、感動で身体が震えた。

 

「お前のその考えは間違ってはいないと思う。俺はその考えに好感を持てる。

 

 それにお前のその考えはたっちさんから受け継いだものだ。誇りを持っていいぞ。大切にしろ」

 

 

「はい!」

 

 

「あっ、そうだ。これをお前に渡しておこう」

 

 そう言って、彼はポケットの中からアインズ・ウール・ゴウンの刻印の入った懐中時計を取り出した。

 

「懐中時計でしょうか?」

 

 

「開けてみろ」

 

 セバスはゼオスに言われた通りに懐中時計を開ける。蓋の内側の部分に【正義降臨】と言う文字とたっち・みーを現す刻印が刻まれていた。

 

「!?」

 

 セバスはその言葉を知っていた。彼の創造主であるたっち・みーが使っていたエフェクトと同じ言葉だったからだ。

 

「そいつは元々、俺が作った物でな。アインズ・ウール・ゴウンの仲間達との絆の証として、渡そうと思ったんだが、渡す前に皆、去っちまったからな。だから代わりにお前に渡しておくよ」

 

 

「っ!ありがとうございます!!!」

 

 

「フフフ………じゃ、少し休ませて貰おう。朝になったら起こしてくれ」

 

 

「はっ!」

 

 ゼオスはセバスを見ると、セバスに一瞬だけかつての友の姿が被った。その友との思い出を、胸に仕舞うと休む為にテントにへと戻って行った。




・懐中時計
 
 かつて、ゼオスが仲間達の為に自費で造ったアイテム。

 特に効果はないが、結構金が掛かっているアイテムである。

 蓋にはアインズ・ウール・ゴウンの刻印、蓋の内側には個人のマークと言葉が入っている。(たっち・みーの場合は正義降臨)

 制作したはいいが、渡そうとした矢先、それぞれの仲間はギルドを離れていったので渡せず終いになった。



次回、ちょっとした事件が起こります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。