オーバーロード 異世界に転移したアリストテレス【停止中】   作:始まりの0

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EP19 星の守護者、水星の力を使う

「モモンガを殺せ」

 

 至高の存在、アインズ・ウール・ゴウンの中でも最強と言われ、モモンガと親交の深いゼオス・アルドライグがそう言い放った。

 

 アルベドはそれを聞いた瞬間、思考が停止してしまった。そして、悪い冗談だと思った。幾らモモンガの友人であっても言って良いことと悪い事がある。

 

「ゼオス様……お戯れが過ぎます」

 

 

「戯れ?何を言っている?我は本気で言っているのだぞ」

 

 

「アインズ様とゼオス様は仲のいい御友人の筈です。ですが、御友人であっても、言って良い冗談と悪い冗談がございます」

 

 アルベドは混乱する頭を無理矢理、落ち着かせながらそう言う。

 

「アルベドよ……これが、冗談を言っている顔に見えるか?」

 

 アルベドはゼオスの顔を見る。その表情と放たれる威圧を肌で感じ、これは嘘でも冗談でもない、本気でアインズを殺せと言っていると。

 

 それを理解したアルベドの行動は速かった。

 

「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 自分の忠義と愛を奉げるモモンガの為にも、ゼオスを此処で殺す。彼女は自分の所持する緑色の微光を宿した斧頭を持つ3F(バルディッシュ)を呼び出すと、迷いなくゼオスへと振り下ろした。

 

 ―ガキィン!―

 

「!?」

 

 何か堅い物に直撃した音が響く。そしてアルベドは信じられない光景を目にした。

 

 ゼオスの足元から水晶の様な物が生え、アルベドの3Fを受け止めていた。加えて、徐々に3Fは水晶に侵食され始める。

 

「!!」

 

 その水晶に悪寒を感じたアルベドは直ぐに3Fを手離して、ゼオスから距離をとった。

 

「なっ……これは!?」

 

 アルベドはゼオスの足元から生える謎の水晶が広がり続けるのを目にした。

 

「此奴を見るのは始めてか………此奴は侵食固有結界・水晶渓谷。触れれば最後、綺麗なクリスタルの彫像の出来上がりってね。

 

 かつて我が屠った、アリストテレスの1匹の能力だ」

 

 ゼオスがそう説明する、その間には部屋は水晶に包まれていく。

 

 アルベドは直ぐに逃走を選択する。このままでは勝ち目はない、一先ずは逃げ対策を整えるのが、得策と考えた。しかしゼオスの後ろにある唯一の出入り口は既に水晶と化しており使用不能。

 

(扉は無理………ならばリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンの力で)

 

 アインズより貰ったギルド内を自由に転移できる指輪の力を使おうとする。

 

「!?」

 

 

「残念だが、リングの力を使う事はできない。何故ならこの水晶と化した場所は、既にナザリックの法則ではなく我の法則になっている」

 

 水晶渓谷、それは水星に住んでいたアリストテレスの固有能力。水晶と化した場所を自分がいた水星の環境へと変えてしまうと言う、凄まじい能力だ。生命体が触れれば、彼の言う通りクリスタルの彫像へと変わってしまうだろう。

 

「お前に選択肢をやろう………我に従うか、此処で死ぬかだ」

 

 そう言ったゼオスの瞳は虹色に輝き、蜘蛛の様な紋様が浮かんでいる。そしてこの部屋を凄まじい力が覆っている。

 

 アルベドは必死に頭を働かせ、ゼオスに対抗する策を考える。だがそんな彼女の思惑を感じ取ったゼオスは更にその力を強めた。

 

(そっそんな…………まだ力が………無理……無理だ。こんな……こんな化け物に敵う訳がない)

 

 彼女は、何故プレイヤーが至高の存在と呼ばれるのか、その中でも何故彼がナザリック最強と言われるのか分かった様な気がした。そして幾ら自分が防御に特化して創造された者であったとしても、これを止める事が不可能だと。その瞬間、彼女の選択は1つだけだ。

 

 せめて、アインズを裏切った者の手に掛かるくらいなら自ら死を選ぶ事だけ。そう考えたアルベドは自分の心臓を貫こうとする。

 

(モモンガ様………申し訳ありません)

 

 設定を変えられたとは言え、愛する主の事を思い、自決を実行した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 心臓を貫こうとした手が誰かにより止められる。止められた事に驚いて、目を開けると笑みを浮かべたゼオスがいた。

 

「はい、合格」

 

 

「ぇ?」

 

 まるで先程の事が嘘の様に笑っているゼオス。凄まじい力も、覇気もまるで感じさせない。邪気の全くない笑みだ。

 

「えっ?ぇ???」

 

 何が何なのか全く分からないアルベドの頭はこれまでにない程、混乱していた。

 

「はぁ~良かった、良かった。お前がモモちゃんを裏切る様な奴じゃなくて」

 

 

「えっ?……いっ一体なにを」

 

 

「本気で言ってる様に見えただろう?」

 

 

「はっ?」

 

 

ロール・プレイング(なりきり)は得意でね」

 

 

「でっでは……アインズ様を殺せと言うのは?」

 

 

「嘘に決まってるだろう、俺が親友を殺させる訳ないだろう」

 

 それを聞いてアルベドは全身から力が抜け、へたり込んでしまった。

 

「なっ何故!何故、この様な事を!?」

 

 

「あぁ、それについてはこれから説明するとしよう。取り敢えず」

 

 パチッと指を鳴らすと、部屋を覆っていた水晶が砕け散り、消滅した。

 

「さてと………よいしょっと」

 

 ゼオスはへたり込んでいるアルベドを抱え上げる。

 

「なっなにを!?」

 

 

「別に何もしないよ。椅子にでも座らなきゃ、話ができないだろう」

 

 そう言うとゼオスはアルベドを椅子に座らせた。

 

「さてアルベド………俺がなんで、あんな事をしたのかだったか。理由は簡単だ、お前の事を怪しんでいたからだ」

 

 

「………どういうことでしょうか?」

 

 そう言いながら、お茶の用意をしているゼオス。

 

「私に至らぬ所が在ったからあの様な演技をしたという事でしょうか?」

 

 

「至らぬと言う訳じゃない。こっちの世界で再会した時、それからの忠誠の儀……違和感を感じていた。他のNPC達と違う言い知れない何かをな。

 

 俺はそれを確認しないとならなかった………それが何なのかをな。それが万が一、アインズを裏切る様な物なら俺はお前を排除しなきゃならなかったからな。でもそれがアイツを裏切る様な物でなかったから、ちょっと安心したよ。

 

 なんせ、この俺に向かって来たんだからな」

 

 そう言って、紅茶を入れるとアルベドの前に置いた。

 

「取り敢えず飲め………ちょっとは落ち着くぞ」

 

 どうやら、未だ混乱している彼女を落ち着かせる為に紅茶を入れた様だ。彼女は混乱しているが、未だゼオスに対する危険視が解けないでいた。

 

「大丈夫だ、毒なんぞ入ってない」

 

 ゼオスがそう言うと、アルベドは渋々と紅茶に口を付ける。

 

「さてと………今回の事でお前がアインズに絶対の忠誠を誓ってる事は分かった。

 

 それともう1つ、アルベド………お前、アインズ・ウール・ゴウン(みんな)の事を恨んでいるな?」

 

 

「!?」

 

 アルベドはそう指摘されて動揺し、彼から視線を外し、俯いてしまう。

 

「やっぱりな………」

 

 どうやら彼にはある程度、この答えになる事が予測できた様だ。

 

「タブラさんの事も……………か?」

 

 ゼオスの問いに彼女は俯いたまま、頷いた。それを聞いた、彼は手で顔を覆い天井を仰いだ。

 

「タブラさん…………どうした物ですかね?」

 

 彼は共に語らい、戦った友の顔を思い浮かべる。ある事を話す事を決めた。

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