オーバーロード 異世界に転移したアリストテレス【停止中】   作:始まりの0

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EP29 星の守護者の月落とし

 満天の星空、血の様に紅い月、そして眼前にそびえ立つ巨大な城。

 

 シャルティアは突如変わった周囲の様に驚愕する。世界の改変が目の前で行われたからだ。

 

「さてシャルティアよ。覚悟するがいい、これよりはお前達が至高の存在と讃えるアインズ・ウール・ゴウン(至高の42人)がお前に引導を渡す!」

 

 

「!」

 

 シャルティアは目の前のゼオスの動作に細心の注意を払う。此処は自分の知らぬ場所であり、ゼオスの領域内だ。何が在っても可笑しくない状況だ。だが最も注意すべきはゼオスだ。

 

「シャルティア、頭上注意だぞ」

 

 

「!?」

 

 シャルティアはその言葉に上を見上げた。そこには刀を持ったゼオスの姿が在った。彼はそのまま落下してくると、刀で一閃を繰り出した。

 

「ぐうぅぅぅぅ!!!!」

 

 シャルティアは回避しようと、するが完全に避ける事は出来なかった様だ。彼女は左腕を斬り落とされた。

 

「そっその刀は?!【建御雷八式ぃぃぃ】!?」

 

 その刀は至高の存在、コキュートスの創造主・武人建御雷の持っていた武器だ。

 

「一体どこから………えっ?!」

 

 シャルティアは自分の目を疑った、何故なら先程自分に注意を促したゼオス、そして自分の腕を斬り落としたゼオス………ゼオスが2人いた。

 

「次は後ろだ」

 

 

「はっ!?」

 

 シャルティアは後ろを振り返ると、巨大な斧を振り上げるゼオスがいた。その斧の名は【血ヲ啜リ肉ヲ喰ウ】、ゼオスのギルドメンバーの武器の1つだ。振り降ろされた斧を後ろに下がる事で避けるが、斧は地面を抉る程の一撃だった為に、その衝撃で彼女は吹き飛んだ。

 

 直ぐに体勢を立て直し、顔を上げると直ぐ目の前には4人目のゼオスがおり、二振りの小太刀で襲い掛って来た。最小限の動きでそれを避けようとするが、4人目のゼオスの小太刀が掠ってしまった。すると斬られた個所から何かが焼ける様な音と共に煙が上がる。

 

「それは弐式炎雷様の!?」

 

 4人目のゼオスの持つ小太刀は至高の存在・弐式炎雷が持っていた武器・【天照・月詠】だ。この武器は神聖属性の力を秘めている為にシャルティアにとって相性は最悪だ。

 

「次はまた上だ」

 

 

「5人目?!」

 

 上を見上げると、巨大なガントレッドを装備したゼオスが居た。そのガントレットは【女教師の怒りの鉄拳】、至高の存在・やまいこが所有していた物だ。5人目のゼオスは【女教師の怒りの鉄拳】でシャルティアを殴る。彼女は何とスポイトランスで受け止めようとするが、吹き飛ばされてしまった。

 

「ぐうぅぅ!一体何がどうなって………そっそんな!?」

 

 1人目のゼオスは弓を構えていた。シャルティアはその弓を良く知っていた。

 

「【羿弓(ゲイ・ボウ)】!?それはペロロンチーノ様の武器!!何処に隠し持っていた?!」

 

 自分の創造主・ペロロンチーノの弓だった。

 

「簡単な事だ。俺は自分だけの宝物庫を持っている。そこから呼び出しただけのこと………」

 

 

「アレは魔法じゃないと防げない。スキルでもよかったのに………はっ?!」

 

 

「理解したか?全ては()の手の内だと言う事を………はぁ!」

 

 

「くっ………あっ(ペロ……ロンチー……ノ様)」

 

 1人目のゼオスは羿弓を放った。シャルティアは回避しようとするが、ゼオスの姿にペロロンチーノの姿が被った事で判断が遅れ、そのまま羿弓の直撃を受けてしまった。

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁ」

 

 シャルティアはゼオスからかなり離れた場所で膝を付き、息を切らしていた。纏っていた鎧は破壊された様だ、唯一残っているのはスポイトランスのみだった。

 

「一体どうなって………」

 

 目の前の5人のゼオス。彼女にはそれが一体どういう原理で起きているのか理解できなかった。

 

「こいつ等は【盟友達の幻影(ボーンズ・ファントム)】。仲間の武器を所有している際、その武器を使う為の幻影を生み出す我がスキルだ。発動には幾つか条件があるが………この千年城ではそんな物は関係なしに使えるからな」

 

 シャルティアは開いた口が塞がらなかった。

 

【ピッピッピッ…………ゼオスお兄様。設定した時間が経過しましたわよ】

 

 ゼオスの腕に巻かれていた銀色の腕輪から女性の声が聞こえてきた。シャルティアはその声に聴き覚えがあった。

 

「ぶくぶく………茶釜様?」

 

 

「全くこの時計はなんで音声をカットできないのやら………まぁいいけど。さてシャルティア、この時間の意味は何の時間だと思う?」

 

 シャルティアは必死に頭を働かせる。そして時間の意味を漸く理解した。4人のゼオスの幻影が消え、ゼオスを包む様にドーム状の魔法陣が展開する。

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 ゼオスに向かい駆け出そうとする。

 

 彼が行おうとしているのは、超位魔法だ。今の状態で超位魔法を受ければ確実にやられる。ならば超位魔法を放つ前に攻撃を仕掛ければ、発動を止める事ができる。故に疲労している体に鞭を打ち、1秒でも早く攻撃する為に……。

 

 だが此処でシャルティアはふっと思った。

 

(超位魔法は発動まで時間がかかる筈………なのにどうして!?)

 

 

「何故、発動に時間のかかる超位魔法を?と言う顔をしているな………理由は簡単だ。アルテミット・ワンは1日に3回まで超位魔法を即時発動できる」

 

 

「!!?」

 

 

「行くぞ!超位魔法!」

 

 ゼオスが手を天へと掲げ、ソレを呼ぶ。

 

「『宙より来たれ……………【月落とし(プルート・デァ・シェヴァスタァ)】』」

 

 天より月が墜ちてきた。

 

 

 

 

 

 夜を照らす美しい月がシャルティアの目前に出現した。

 

 シャルティアの視界を全て月が覆い尽くしていた。彼女はどう足掻いてもこれを避ける事も、防ぐ事も不可能だと悟った。

 

 死を目前にシャルティアはゼオスの姿を焼き付ける。

 

(あぁ……………ゼオス・アルドライグ様。貴方様こそ最強の至高の御方)

 

 ナザリックの最強の存在をその眼に焼き付け、彼女は月の圧倒的な質量に押し潰された。




~その頃 ナザリックでは~

ゼオスとシャルティアの戦闘を見守っていたアインズと守護者一同。

「【月落とし】」


「「「「「‥……………」」」」」←守護者一同、唖然。


(相変わらず無茶苦茶な力だなぁ………まぁ、ギルド戦とかでは良くお世話になったけど。

アレが自分に向けられると考えると………ぁ~恐ろしい。本当にユウちゃんが味方で良かったな、うん)

心の底から一緒のギルドで良かったと思う不死王だった。
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