オーバーロード 異世界に転移したアリストテレス【停止中】 作:始まりの0
~エ・ランテル 黄金の輝き亭~
「リザードマン?」
「そうだよ。リザードマンの集落を見つけたからそこを攻めようと思う」
ユウ……ゼオスはリ・エスティーゼ王国から転移魔法でベルンカステルと共に、この街での自分達の活動拠点に来ており、そこでモモン……アインズよりナザリックのこれからの方針について聞いていた。因みにモモンの時のヘルムを消しているので骸骨が剥き出しになっている。
因みにベルンカステルはナーベ(ナーベラルγ)と共に外で待機している。
「戦闘についてはコキュートスに任せようと思う。軍を付けてね」
「成程。目的は?」
「リザードマン達を俺達が治められればと思ってる」
「うん。それで?」
「?」
「モモちゃんや俺が出向かずにコキュートスにやらせるのには理由があるんだろ?」
ゼオスがアインズにそう尋ねた。
「あぁ。NPC達は俺達に対して忠誠を誓ってるけど、言われるがままじゃ駄目だと思う」
「……つまり自分の意見を言って貰いたいと」
「そう。俺達だけの考えじゃ限界もあるし、意見を言って貰った方が彼等の成長にも繋がるだろうから。唯……」
「成長するとなると忠誠心も変わると?」
「ないとは言い切れないだろう?」
「確かに……」
アインズにそう言われ、確かにその通りだと思うゼオス。
(でも……ない様な気もするけど。0ではないか。アルベドの件もあるし……)
アルベドの一件の事もあって、忠誠心は在っても、その感情から自分達に対して反乱を起こさないと限らないと結論を出す。
「それで、リ・エスティーゼ王国の方はどう?」
アインズがゼオスにそう尋ねた。
「色々調べたけど、プレイヤーらしき存在はいない。後、魔法のスクロールの件に関しては珍しい物があれば、買っている。
唯、最近、政治面では色々と動きが在ったよ。奴隷売買禁止とかね。
後、八本指とか言う組織はリ・エスティーゼ王国の裏側を牛耳ってるのが分かったけど……まだ途中だよ」
ゼオスはアインズにそう説明した。
「その八本指とやらも大変だな。ユウちゃんに目をつけられるなんて……」
「まぁ、それは置いといて……例のポーションは?」
「あぁ、アレか……まだ特に成果はないみたいだよ」
「そりゃ残念。俺達は殆どダメージを受ける事はなくても、NPC達はそうとも限らないし……万が一の場合に備えて欲しかったけど………まぁ時間が掛かるか」
―コンッコンッ―
ゼオスとアインズがドアの方を見た。直ぐに彼らは冒険者としての姿に戻る。
「入れ」
ユウがそう言うと、ナーベとベルンカステルが入ってきた。
「モモンさー……ん。ユウさー……ん。失礼いたします」
「はぁ、また出たな。その癖としか言い様がないな」
「まぁ、いいんじゃない?それよりナーベ、何か用だったか?」
「はっはい。モモンさんの注文されていた鉄鉱石が届いたと商人がやって参りました」
「そうか……暫し待て、直ぐに用意する」
アインズは革袋に金貨を入れてナーベラルに渡した。
「確かに……モモンさん、1つお伺いしても宜しいでしょうか?」
「なんだ?」
「何故1ヶ所だけでなく、複数から鉄鉱石を取り寄せているのですか?」
ナーベラルはアインズが複数の場所から鉄鉱石を取り寄せていることが疑問に思ったらしい。
アインズはそれに対して、各地の鉄鉱石をエクスチェンジボックスと言うアイテムに使う為だと答える。
エクスチェンジボックス……通称シュレッダーはアイテムを放り込むと相応のユグドラシル金貨が出てくるアイテムである。あくまで資源的な価値しか査定されないので、各地の鉄鉱石を集め、その内容物の違い等を確かめる為だと説明した。
その話を聞いて目から鱗が落ちた時の様な顔をするナーベ。彼女はそれに感動していていた。
(上手く言ったつもりだろうけど……実際は金欠だもんね)
ナザリックの経済状況を知るゼオスはアインズを見ながらそんな事を考えていた。
一通り説明を終えると、ナーベとベルンカステルが出ていった。
「………はぁ~」
2人が出ていったのを確認すると、ヘルムを消して溜め息を吐くアインズ。その掌には銀貨3枚と銅貨数枚が在った。
これが、必要経費を引いて残ったアインズの全財産である。ユグドラシルの時の金貨は大量に個人所有しているが、それはナザリックの維持等に使用されているので、此方で使えない。
ゼオスもユグドラシル金時はアインズに総て譲渡しており、ナザリックの維持に使っているが、それも何時かは尽きてしまう。なので、エクスチェンジボックスを使用していた。
「金がない……」
「完全に金欠だな」
「あぁ………スポンサーでもいればいいんだけど………漆黒のモモンやユウが金にがめついと思われるとイメージダウンだし」
「まぁ少なくとも俺達は食事不要だし、宿代だけあれば何とかなるし…………とは言うものの先立つ物がないと困るか」
どうしたものかと考えて居る至高の2人。クエストを受けるにしても、現在アダマンタイト級となった自分達に見合うが毎日ある訳もなく………かと言ってちまちまとモンスターを狩る暇はない。なんせ、彼らは冒険者であると同時にナザリックの支配者達だ。ずっとどちらかだけに居る訳にもいかないのである。
「金の問題は一先ず置いておこう」
「そうだね」
ゼオスの一言で話を一旦終えたアインズ。
「フォーウ」
ゼオスの紅いコートの中からキャスパリーグが出て来た。
「そのNPCは………確かユウちゃんの」
「あぁ、キャスパリーグだ」
キャスパリーグはジャンプするとゼオスの肩に飛び乗り、そこから彼の頭に飛び付いた。
「フォウ」
「もふっもふっしてるな」
アインズはゼオスの頭の上で寛いでいるキャスパリーグの毛並を見てそう言うと、触れようと手を伸ばした。
―ペシッ!―
キャスパリーグはその可愛らしい手でアインズの手を叩いた。
「…………」
再び手を伸ばすアインズ。
―ペシッ!―
「……………」
―ペシッ!ペシッ!―
何度やってもアインズの手はキャスパリーグに叩かれ、拒絶された。
「なんで?」
「分かんない。俺はそんな設定した覚えはないんだけどな…………男女問わずナザリックでは人気だったんだけど………此奴は懐こうとしないんだよなぁ。何でか番外席次には懐いてるんだけど………」
「折角だしモフって見たかったんだけどなぁ」
どうやらアインズは純粋にキャスパリーグを愛でたかったらしい。
「モフるんだったら何だっけ………あのジャンガリアンハムスター………確かハム助か」
「ぐっ?!」
「何ならパンドラズ・アクターに動物に化けて貰えばいいんじゃ」
ゼオスの言葉で精神的にかなり揺らいでいるらしく、精神の抑制が起こっている。
「ぅう…………ユウちゃんもハム助に乗って街を回って見てよ!どれだけ恥ずかしいか!」
「アハハハハハ…………絶対嫌だ。おっさんが1人で100円で動く動物のカートに乗ってるみたいで恥ずかしい」
「………(ピカッー」
アインズはリアルでのそんな自分を想像して精神の抑制が連続で起きた。余程恥ずかしかった様だ。
「ぁ~………はぁ。さてと、俺は一度ナザリックに戻るよ。何かあったら連絡してよ、ユウちゃん」
アインズは鎧を消して何時もの姿に戻るとそう言う。
「了解……俺は2人が戻ってきたら、番外席次と一緒に屋敷の方に戻るよ」
「こっちも何か動きが在れば伝えるよ」
アインズはそう言うと、転移魔法でその場を後にした。
数分後、戻ってきた2人。ゼオスは番外席次と共にリ・エスティーゼ王国にある屋敷へと転移した。
~リ・エスティーゼ王国 屋敷~
「お帰りなさいませ、旦那様、ベルンカステル様」
ゼオスと番外席次………ユウとベルンカステルを出迎えたセバス。
「ただいま、セバス。ソリュシャンはどうした?」
「買い物に行っております」
「そうか、何か変わった事は?」
「特にご報告する様な事はございませんでした」
「ならいい………俺は部屋に戻るから何かあったら声を掛けてくれ」
「承知いたしました」
セバスはユウとベルンカステルを一礼して見送った。
部屋に戻り、ゼオスの姿に戻った。
「よし………何で平然と俺のベッドに寝転んでいるんだ?」
「えっ?」
此処はユウの部屋で、此処にあるのは勿論ユウの為に用意された物だ。そして、ベルンカステルの部屋も用意されている。なのに彼女は我が物顔で彼のベッドに寝転がっている。
「何で当たり前じゃないみたいな顔してるんだ、お前は…………まぁいい……ん?」
―カサッカサッカサッ―
ゼオスの足元に黒い何かが動くと羽の様なものを広げ机の上に移動した。
「お久しぶりでございます、ゼオス様」
「恐怖公。久しぶり」
ナザリック大墳墓の第二階層・黒棺の領域守護者。真紅のマントを羽織り、黄金の王冠を乗せ、宝石を嵌めこんだ王笏を持っている二足歩行する体長30センチの……………突如台所とかに現れる黒い悪魔がそこにいた。
「…………」
「どうか致しましたかな?」
「いや………何でもない」
「そうでございますか。それで私に御用があるとお伺いしましたが………どういった御用ですかな?我輩、至高の御方であるゼオス様からの命令との事で、心躍っております」
「実はお前の眷属を召喚して貰って、街に放って貰って情報を集めて欲しい」
「どういった情報が御入り用ですかな?」
「八本指と言う組織とそれに関る人物の情報だ。どんな小さな事でもいいから集めてくれ」
「承知いたしました。ではさっそk「此処で眷属を召喚しようとするな」」
ポーズを決めて眷属を召喚しようとしている恐怖公を止めるゼオス。
「それと何だそのポーズは?」
何か変わったポーズを取っている恐怖公に尋ねるユウ。
「はい!これはアインズ様が考案された魔法の発動が早くなるポーズでございます!」
「(モモちゃん、何言ってんだよ)…………そっそうか。眷属を召喚するなら街中でしろ。後、一般人への危害は出さない様に」
「承知しました。御報告はどうすれば宜しいでしょうか?」
「俺が居る時は俺に、居なければセバスかソリュシャンに…………って番外席次何をしようとしている?!」
ゼオスは番外席次が靴を振り上げて恐怖公に振り降ろそうとしているのを見た。彼はそれを止める。
「………何故か、叩き潰したくなる衝動に駆られて。ごめんなさい」
「取り敢えず、ベッドに居ていいから向こうに居なさい」
そう言って取り敢えず、落ち着かせた彼女をベッドに座らせた。
「スマンな、連れが………」
「いぇいぇ、最近女性の方々からは嫌な目で見られることになれております故………それはそうと、あの方がゼオス様の御妃様で?」
「違う、現地協力者だ………因みに誰が言ったんだ?」
「アインズ様が……『ゼオスにも春が来たかぁ~。でも結構お似合いだよな、あの2人………親友としては喜ばしい事だ』と仰っていましたし、他の者達もゼオス様が女性を連れて帰って来たと噂になっておりました」
「………そうか、なら現地協力者と知っておいてくれ」
「了解しました。では御命令通り、眷属達を放ち情報を集めましょう」
恐怖公は一礼すると窓から外へと飛んで行った。
「はぁ………」
「ねぇ、あのモンスターも貴方の所の?」
「まぁ、そうだな。ナザリックの第2階層守護者だ。と言うか何で靴で叩き潰そうとしたんだ?」
「何故かしら?急に叩かないといけないと思って」
(アレに対する反射的行動は世界が違えど同じと言うことか。
1匹だけなら未だしも、黒棺みたいな場所に放り込まれたら……そういや、黒棺に放り込まれたプレイヤーから苦情が来たっけ、懐かしいなぁ)
それはユグドラシル時代の話、ナザリックに敵が侵入してきた事が在った。ナザリックには複数の罠が仕掛けられており、その中に強制的に転移させる魔法も仕掛けられていた。
そしてその中には第2階層の黒棺と呼ばれる部屋へ転移する物もあった。その黒棺は恐怖公の領域であり、部屋一面………隙間なくアレがいる部屋だ。
そこに送られた(主に外見が女性の)プレイヤー達は、恐怖と混乱嫌悪感により乱闘し同士討ちしたり、精神的に辛くなったので強制ログアウトしていた。
勿論、そんな事が在ればプレイヤー達からクレームが在った。因みにゼオスがアリストテレスになりチートの塊になった時より多かったのはギルドメンバーだけが知る事である。更にいうなら黒棺誕生の際にギルドメンバーの半数以上が拒否反応を示したと言う。
(一度入った事あるけど………うん、アレはないなぁ…………1匹や2匹なら我慢できるけど…………アレは無理だ。入った瞬間、月落とししそうになったしな)
黒棺での事を思い出しそんな事を考えて居るゼオス。精神は基本的には人のままなので分からなくもない話である。
「まぁそれは置いといて…………俺は暫く書類に目を通すから静かにしてろ」
「ん………分かった」
「フォーウ」
ゼオスの服の中から出て来たキャスパリーグ。
「おいで」
「フォウ、フォウ」
キャスパリーグは番外席次に言われると彼女の元へと跳び、ベッドの上で彼女に撫でられ始めた。
そんな1人と1匹を横目に、ゼオスは机の上に置かれた書類を手に取りそれに目を通し始める。
・恐怖公
ナザリック第2階層にある黒棺の領域守護者。見た目は30センチのゴキブリ。真紅のマント、王冠、王笏をしている。
眷属(様々なサイズのゴキブリ)を召喚する事に長けており、自分の領域である黒棺は一面ゴキで埋め尽くされている。
ナザリックでは女性陣からは嫌な目を向けられており、プレアデスの1人であるエントマには眷属達をおやつとして食べられている。
因みに五大最悪の1人である。