オーバーロード 異世界に転移したアリストテレス   作:始まりの0

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EP33 星の守護者、依頼される

 ~リ・エスティーゼ王国 冒険者ギルド~

 

「……」

 

 クエストを貼り出している掲示板の前で仁王立ちしているユウとその後ろで暇そうにしているベルンカステル。

 

 受付嬢には2人に見合う仕事は来ていないと言われたので、他のクエストを探そうとしていたのだが

 

(どれもこれも簡単だし、報酬も少ない。

 

 だが色々と金は必要だし、簡単なものでも受けるべきか?)

 

 現在、金欠状態の至高の存在2人はどうにか金作を考えているのだが中々仕事がないのである。

 

 手持ちのアイテムはこの世界で売る訳にはいかない。ユグドラシルのアイテムはこの世界では超が付くほど高価な物だが現時点で他のユグドラシルプレイヤーがいないとも限らないので、出所が分かるとまずいのである。

 

 仮に友好的でないプレイヤーでも、ゼオスがいる時点で負けを認めそうな物だが、それでも無傷ではすまないし、シャルティアの時の様にワールドアイテムを所持している可能性もある為、無駄な争いは避ける方針だ。

 

 とは言うものの……簡単なクエストでは微々たるものであり、アマダンタイト級冒険者となった今、下位の者達に向けに出された仕事を取る訳にはいかない。

 

(どうするかね…………生活するのに最低限の資金はモモちゃんと2人で稼ぐ分で足りているが………やはり必要だよな。金は………)

 

 顎に手を当て何かを考えて居るユウの顔を覗くベルンカステル。

 

(何を考えて居るのかしら……)

 

 

「フム…………(やはり止めておこう。一先ず何処かで狩りにでも………あっ)」

 

 

「「「「あっ」」」」

 

 ユウは身を翻し出口に向かおうとする。それをみたベルンカステルも身を翻したのだが、彼らの正面に【蒼の薔薇】のメンバー達が居た。

 

 前回、気まずい別れ方をしたので変な空気になる2組。そんな中、違う事を考えて居る者達がいた。

 

(誰だっけ?)

 

 自分より弱い存在には全く興味がなく、現在ユウにべた惚れ中のベルンカステル。

 

(可愛い………今夜、誘ってみようかな)

 

 蒼の薔薇のティア。彼女は特殊な性癖を持っており、同姓である女の子が大こu……コホン、大好きなのである。

 

「これはどうも、俺達は用を思い出したのでこれで」

 

 

「そっそう言わずに前の事件でのお礼と前の時のお詫びをさせて貰いたいのだが」

 

 ラキュースがそう言う、どうやら前の時の礼と謝罪をしたいらしい。

 

「しかし…………」

 

 

「それと貴方達に依頼したい事があるんだ」

 

 

「依頼………まぁ話だけなら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女達の話を聞く為に場所を移動した。

 

 ベルンカステルは暇なのかキャスパリーグと遊んでいた。

 

「「「「…………」」」」

 

 話は始まる前よりラキュース、ガガーラン、イビルアイ、ティナ、ティアは愛らしいキャスパ・リーグに釘づけである。

 

「それで依頼とは?」

 

 

「えっ……ぁあ……ごめんなさい。そっそうだった……わ…………ね」

 

 話を戻そうとするも、ベルンカステルとじゃれあっているキャスパリーグの方へ視線が行ってしまう。

 

「はぁ~………キャスパリーグ」

 

 

「フォウ」

 

 キャスパリーグはユウの呼びかけでベルンカステルの元から彼の肩の上へ飛び乗ると、そのまま服の中へと入ってしまった。

 

 と女性陣が残念そうな顔をする。しかしこのままでは話が始まらないので仕方ないのである。ベルンカステルはキャスパリーグがいなくなったので暇になったのか、ルビクキューを始め出した。

 

「そろそろ依頼の話をしてくれ」

 

 

「そっそうだったわね。実は以前に話した八本指の事なんだけども………」

 

 

「ほぅ………」

 

 

「私はある人物の頼みで八本指を壊滅させようとしているのだけど………中々尻尾は掴めないのよ」

 

 

「それで俺に依頼を?………確かに俺は今やアマダンタイト級だが、それはそちらも同じだろう」

 

 

「えぇ、確かに。でもあの時の戦いを見て分かったわ。貴方は私達より強い」

 

 

「……買い被り過ぎだ。それに仮に受けたとしても相手の居場所が分からないならどうしようもない」

 

 

「えぇ、勿論それは分かっているわ。

 

 だから私達……正確には私の友人の依頼はもし八本指の情報があれば、教えて欲しい。それと壊滅させる際には協力して欲しいの。出来るだけ犠牲は少なくしたいしね」

 

 ラキュースはあくまで、情報を入手した際に自分達に伝える事と組織壊滅の際の協力を依頼してきた。

 

(何故数度しか会った事のない俺にこんな依頼をしてくる?俺が同じアダマンタイト級だからか?少し探りを入れるか?)

 

 何故彼女達が自分に依頼して来たのか理解できなかったユウは直ぐに依頼を受ける事をせずにもう少し話を聞く事にした。

 

「何故俺に依頼を?」

 

 

「それは………」

 

 

「残念ながら俺は仕事は金ではしない。幾ら大金を積まれようともな」

 

 

「…………何も聞かず受けてくれたら前金でこれだけ出すと言っても?」

 

 ラキュースは大金の入った皮袋をユウの前に置いた。

 

「(何この大金?!)………我は金では動かない。たかが金銭如きでこの我を縛れると思うなよ」

 

 大金を目の前に置かれて動揺した彼の言葉使いは戦闘時の物へと変わっていた。しかも覇気まで出していた。その覇気に当てられ、この場に居た全員が硬直する。

 

「(何やってんだ俺?!言いたい事は在ってるけど、ビビらせてどうするんのよ!?)少し大人気なかったか」

 

 少し気持ちを落ち着かせて、直ぐに覇気を納めた。

 

「ごっごめんなさい。そうよね、話もしないで依頼を受けて貰おうなんて虫が良すぎるわよね」

 

 ラキュースはそう謝罪した。

 

「試す様な事をしてごめんなさい。貴方が本当に信用できる人物かどうかを知りたかったの」

 

 

「つまりは俺が金次第で動くかどうかと言う事か」

 

 

「そうよ。奴等はこの国の貴族相手にも取引しているから、お金で裏切る様な人物かどうか、見極める必要があったのよ」

 

 

「フン………まぁいい。取り敢えず依頼の詳細を聞かせて貰おう、話はそれからだ」

 

 まずは詳しい話を聞く為に、ラキュースに頼んだ人物に会う事になった。ベルンカステルは興味がなかった為に、キャスパリーグと共に先に屋敷へと戻る事になった。

 

 そして現在、ユウは綺麗なドレスを着たラキュースと共に城の前にいる。

 

(なっ………なんで城なんだよぉ?!絶対に面倒なことに巻き込まれるぞ?!)

 

先程の選択を後悔する主人公であった。


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