オーバーロード 異世界に転移したアリストテレス【停止中】   作:始まりの0

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EP2 星の守護者、救済する

『ありえねぇ!何だよ、あのチートは!?』

 

『運営しごとしろぉ!』

 

『月落としとかありえねぁ!ふざけんな!』

 

『魔法にしろ、物理にしろ、神回避してやがる!ナザリックの吸血鬼は化物か!?』

 

『見せて貰おうか、アリストテレスのちか……ちょっと待って!最後まで言わせて、ぁーーーー!』

 

 プレイヤー達は悉く倒されていく。

 

 彼の魔法で、彼の所有する無数の武器で、はたまたその爪で、加減など一切ない。

 

 目の前に立つ敵を1人残さずに蹂躙していく。

 

 そして、揃ってプレイヤー達はこう言う

 

『『『この鬼畜がぁぁぁ!』』』

 

 

 

 

「……夢か」

 

 ゼオスは起きた。彼はかつてギルドの仲間と戦った時の夢を見ていた。

 

「鬼畜とは失敬な……戦争は殺るか、殺られるかだ。トラップ、策略なんて当然、当然……勝てば官軍なんだから」

 

「そうね、何の事か分からないけど、戦いに卑怯もへったくれもないわよね」

 

 ゼオスは木にもたれ掛かって寝ていた、下に視線を向けてみると自分の下半身に抱き付く番外席次がいた。

 

「……何をしている?」

 

「起きてないかと思って」

 

「何がとは聞かん……」

 

 ゼオスはそう言って、彼女を退けると立ち上がった。

 

「取り敢えず国は越えたみたいだし………何処かは分からないけど」

 

「それにしても凄かったわね、アレって何の魔法なの?」

 

「ゲート、転移魔法の1つだ。距離無限、失敗率0%で一定時間、場所と場所を行き来できる門を作る物だ。本来なら行く場所を決めないと行けない訳だが、『スレイン法国以外の国、人気のない場所』と言う条件で開いたんだ。正直、此処が何処かは分からんがな」

 

「そんな魔法もあるのね……」

 

「あぁ……さて、一先ずは情報を集めるか」

 

「情報なら上げたじゃない」

 

「お前の情報は一部だけではないか………俺が欲しいのは、人口・地理・文化に至るまで全ての事だ。お前の情報は偏り過ぎだ」

 

「だって……私は知らないもの。普段は漆黒聖典の本部から出られないし、戦うかルビクキューをするくらいしかなかったもの」

 

 番外席次は無表情でそう言った。

 

「(何か事情がありそうだな)……そうか、変な事を聞いたな」

 

 ゼオスはそう言うと、懐から出した地図へと目を落とす。

 

「雑だな……この地図」

 

 地図には大まかな国しか書いていなかった。

 

「それでもこの国ではいい方の地図よ……誰かがくれたんだけど使う事なかったから仕舞っておいたのよ」

 

「そうか………(これと前に入った街を見る限りは魔法で発展した様な感じだな。唯、もう少し見たかったんだが……此奴がいらんことをするから……言っても仕方ないか)」

 

 ゼオスは先日の事を思い出した。番外席次の所属するスレイン法国へと向かったのだが、彼女は自分が所属する「漆黒聖典」と言う組織に「私、結婚するから辞める」とか言い出して俺と彼女は追われる身となった。

 

 一応、認識阻害する装備を纏ってたから法国側に顔はバレてはいない。彼女自身も組織でも機密な存在だったから一部の者しか知らない………だが万が一がある。

 

「俺の宝庫が使えれば色々とアイテムが使えるんだが……今は【鍵】は持ってないし。手持ちのアイテムで何か在ったか…………」

 

 ゼオスは自分の近くに手を翳すとそこに空間の歪みが現れ、そこに手を入れる。

 

「おっ………これは使えるな」

 

 ゼオスが歪みから取り出したのは水晶で出来たアイマスクだった。

 

「これを付けておけ」

 

「?」

 

「此奴は認識阻害のアイテム【私はだぁれ?】だ………ふざけた名前のアイテムだが、力は確かだ。付けてる限り、誰もお前が番外席次とは気付かない」

 

「へぇ……面白いアイテムね」

 

(課金ガチャの外れアイテムだけどな……名前と種族を隠すだけのアイテムだったが……この世界に来た影響か、魔法やスキル、アイテムの効果が変わっている。これに付いても少し調べる必要があるな)

 

 彼女はゼオスに言われた通り【私はだぁれ?】を付けた。

 

「これでよし………後は人のいる所に行けばいい。俺に付いてくるのであれば、あまり目立つ事はするんじゃないぞ」

 

「……まぁいいわ。従ってあげる」

 

「ならばいい」

 

 ゼオスはそう言うと、目を閉じた。

 

(生命の気配は………向こうの方か)

 

 ゼオスは周囲に気を配ると、此処より少し離れた場所に多くの命の気配がある事に気付いた。彼はそこに向かって歩き出す。番外席次もその後に続いて歩く。

 

 

 

 

 ~30分後~

 

「ん?」

 

「戦ってるみたいね」

 

「と言うより……アレは虐殺だな」

 

 村の様な物が見えてきた所で、そこから煙が上っているのが見えた。

 

 人外のゼオス、人外レベルの存在である番外席次は、村で何が起こっているのかが目視で確認できた。

 

「あの鎧や盾、確か帝国の物ね」

 

「フム……何故、騎士が民を襲っているのか……この世界の騎士は虐殺などをするのか?」

 

「さぁ…興味ないもの。どうするの?」

 

 番外席次がそう聞いてきた。ゼオスは少し考える様に顎に手を当てる。

 

(助ける義理はない……厄介事に巻き込まれる可能性がある。特に国と国の問題だ……面倒ではあるが)

 

 ゼオスが村の方に目を向けてみると、小さい2人の子供が逃げていくのが見えた。その後ろを騎士達が追い掛けていく、このままでは子供達は殺されるだろう。

 

(姪っ子と同じ様な年頃の子供を見捨てる訳にはいかんか)

 

 ゼオスには……正確に言うとリアルの彼には弟がいる。そして弟は既に結婚しており、娘がいた。この世界に来る前には小学生だった。だからこそ、同じ様な年頃の子供達を見殺しにする事は心が痛む。

 

「助ける」

 

「貴方……正義感とか持ってるの?」

 

「いや………情報収集を行う。流れ者が聞くより、命の恩人が聞く方が色々と教えてくれるだろう?」

 

 ゼオスはそう言うと、逃げて行った子供達を追い掛けた。

 

 

 

「はぁはぁ」

 

「頑張って!」

 

 カルネ村に住んでいる少女、エンリ・エモットと妹のネム・エモットは逃げていた。正体の分からない、騎士達から。

 

(何で、こんな事になったんだろう。何時もと変わらなかった。豊かではないけど、お父さんとお母さん、ネムと、村の皆と生きていくには困らない生活をしていた。なのに、どうして私達は逃げているんだろう?)

 

「きゃ!」

 

「ネム!?」

 

 倒れた妹に駆け寄るエンリ。直ぐに後ろから3人の騎士が追って来た。

 

「やっと追い詰めたぜ」

 

「悪く思うな……これも任務なんだ」

 

 騎士達はそう言うと、その手に持つ剣で斬り掛かる。エンリはネムを抱き締め、庇い背中に傷を負った。

 

「せめて一瞬で終わらせてやろう」

 

「おねがい……誰か……助けて!」

 

 妹を抱き締め、必死に願う。

 

『神ではないが、助けよう』

 

 ―バキィ!―

 

 何かが折れる音がした、何時まで経っても痛みはない。目を開き、顔を上げてみるとそこには美しい銀髪の青年がいた。青年の手には折れた剣が在り、騎士達は彼の登場が予想外だったのか混乱している。

 

「貴様等、何故にこの子供達を襲う?」

 

「これは任務だ、邪魔をするならお前も殺す」

 

「子供を殺す事が任務だと………聞くに堪えぬ【ライトニング】」

 

 青年……ゼオスが指を騎士達に向けると、指先から雷が出現し騎士の1人を貫いた。

 

「弱い」

 

「くっ!このぉ!」

 

 騎士の1人が仲間がやられた事を怒り、ゼオスに斬り掛かろうとする。

 

「ちょっと……人の旦那様にそんな粗末な物を向けないでくれる?」

 

 女性の声が聞こえると、襲い掛かって来た騎士が真っ二つになった。

 

「速かったな……」

 

 どうやら先程、騎士を斬ったのは番外席次の様だ。

 

「これくらいは普通よ」

 

「(常人には付いて来れる速さではないんだがな)それと、俺は未だお前と結婚した覚えはないんだが」

 

「いいじゃない」

 

「……まぁいい。さてと」

 

 生き残った騎士に視線を向ける、ゼオスから睨まれ身体を硬直させた。

 

「ひっひぃ……たったすけ」

 

「助ける訳がないだろう」

 

 ゼオスが手を払う様な仕草をすると、騎士が真っ二つになった。

 

「これで終わり……大丈夫か?」

 

 ゼオスが振り返ると、エンリとネムを見た。

 

「きれい……」

 

「おねえさん、きれい」

 

「おねっ!?」

 

 ゼオスが女性と間違われた事で少し傷付いた様だ。

 

「俺は男だ…」

 

「そっそうなんですか、ごめんなさい!」

 

「いや、別にいい」

 

『ゲート』

 

 そう声が聞こえると、エンリ達の後ろの空間に穴が開いた。

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