オーバーロード 異世界に転移したアリストテレス【停止中】 作:始まりの0
『ありえねぇ!何だよ、あのチートは!?』
『運営しごとしろぉ!』
『月落としとかありえねぁ!ふざけんな!』
『魔法にしろ、物理にしろ、神回避してやがる!ナザリックの吸血鬼は化物か!?』
『見せて貰おうか、アリストテレスのちか……ちょっと待って!最後まで言わせて、ぁーーーー!』
プレイヤー達は悉く倒されていく。
彼の魔法で、彼の所有する無数の武器で、はたまたその爪で、加減など一切ない。
目の前に立つ敵を1人残さずに蹂躙していく。
そして、揃ってプレイヤー達はこう言う
『『『この鬼畜がぁぁぁ!』』』
「……夢か」
ゼオスは起きた。彼はかつてギルドの仲間と戦った時の夢を見ていた。
「鬼畜とは失敬な……戦争は殺るか、殺られるかだ。トラップ、策略なんて当然、当然……勝てば官軍なんだから」
「そうね、何の事か分からないけど、戦いに卑怯もへったくれもないわよね」
ゼオスは木にもたれ掛かって寝ていた、下に視線を向けてみると自分の下半身に抱き付く番外席次がいた。
「……何をしている?」
「起きてないかと思って」
「何がとは聞かん……」
ゼオスはそう言って、彼女を退けると立ち上がった。
「取り敢えず国は越えたみたいだし………何処かは分からないけど」
「それにしても凄かったわね、アレって何の魔法なの?」
「ゲート、転移魔法の1つだ。距離無限、失敗率0%で一定時間、場所と場所を行き来できる門を作る物だ。本来なら行く場所を決めないと行けない訳だが、『スレイン法国以外の国、人気のない場所』と言う条件で開いたんだ。正直、此処が何処かは分からんがな」
「そんな魔法もあるのね……」
「あぁ……さて、一先ずは情報を集めるか」
「情報なら上げたじゃない」
「お前の情報は一部だけではないか………俺が欲しいのは、人口・地理・文化に至るまで全ての事だ。お前の情報は偏り過ぎだ」
「だって……私は知らないもの。普段は漆黒聖典の本部から出られないし、戦うかルビクキューをするくらいしかなかったもの」
番外席次は無表情でそう言った。
「(何か事情がありそうだな)……そうか、変な事を聞いたな」
ゼオスはそう言うと、懐から出した地図へと目を落とす。
「雑だな……この地図」
地図には大まかな国しか書いていなかった。
「それでもこの国ではいい方の地図よ……誰かがくれたんだけど使う事なかったから仕舞っておいたのよ」
「そうか………(これと前に入った街を見る限りは魔法で発展した様な感じだな。唯、もう少し見たかったんだが……此奴がいらんことをするから……言っても仕方ないか)」
ゼオスは先日の事を思い出した。番外席次の所属するスレイン法国へと向かったのだが、彼女は自分が所属する「漆黒聖典」と言う組織に「私、結婚するから辞める」とか言い出して俺と彼女は追われる身となった。
一応、認識阻害する装備を纏ってたから法国側に顔はバレてはいない。彼女自身も組織でも機密な存在だったから一部の者しか知らない………だが万が一がある。
「俺の宝庫が使えれば色々とアイテムが使えるんだが……今は【鍵】は持ってないし。手持ちのアイテムで何か在ったか…………」
ゼオスは自分の近くに手を翳すとそこに空間の歪みが現れ、そこに手を入れる。
「おっ………これは使えるな」
ゼオスが歪みから取り出したのは水晶で出来たアイマスクだった。
「これを付けておけ」
「?」
「此奴は認識阻害のアイテム【私はだぁれ?】だ………ふざけた名前のアイテムだが、力は確かだ。付けてる限り、誰もお前が番外席次とは気付かない」
「へぇ……面白いアイテムね」
(課金ガチャの外れアイテムだけどな……名前と種族を隠すだけのアイテムだったが……この世界に来た影響か、魔法やスキル、アイテムの効果が変わっている。これに付いても少し調べる必要があるな)
彼女はゼオスに言われた通り【私はだぁれ?】を付けた。
「これでよし………後は人のいる所に行けばいい。俺に付いてくるのであれば、あまり目立つ事はするんじゃないぞ」
「……まぁいいわ。従ってあげる」
「ならばいい」
ゼオスはそう言うと、目を閉じた。
(生命の気配は………向こうの方か)
ゼオスは周囲に気を配ると、此処より少し離れた場所に多くの命の気配がある事に気付いた。彼はそこに向かって歩き出す。番外席次もその後に続いて歩く。
~30分後~
「ん?」
「戦ってるみたいね」
「と言うより……アレは虐殺だな」
村の様な物が見えてきた所で、そこから煙が上っているのが見えた。
人外のゼオス、人外レベルの存在である番外席次は、村で何が起こっているのかが目視で確認できた。
「あの鎧や盾、確か帝国の物ね」
「フム……何故、騎士が民を襲っているのか……この世界の騎士は虐殺などをするのか?」
「さぁ…興味ないもの。どうするの?」
番外席次がそう聞いてきた。ゼオスは少し考える様に顎に手を当てる。
(助ける義理はない……厄介事に巻き込まれる可能性がある。特に国と国の問題だ……面倒ではあるが)
ゼオスが村の方に目を向けてみると、小さい2人の子供が逃げていくのが見えた。その後ろを騎士達が追い掛けていく、このままでは子供達は殺されるだろう。
(姪っ子と同じ様な年頃の子供を見捨てる訳にはいかんか)
ゼオスには……正確に言うとリアルの彼には弟がいる。そして弟は既に結婚しており、娘がいた。この世界に来る前には小学生だった。だからこそ、同じ様な年頃の子供達を見殺しにする事は心が痛む。
「助ける」
「貴方……正義感とか持ってるの?」
「いや………情報収集を行う。流れ者が聞くより、命の恩人が聞く方が色々と教えてくれるだろう?」
ゼオスはそう言うと、逃げて行った子供達を追い掛けた。
「はぁはぁ」
「頑張って!」
カルネ村に住んでいる少女、エンリ・エモットと妹のネム・エモットは逃げていた。正体の分からない、騎士達から。
(何で、こんな事になったんだろう。何時もと変わらなかった。豊かではないけど、お父さんとお母さん、ネムと、村の皆と生きていくには困らない生活をしていた。なのに、どうして私達は逃げているんだろう?)
「きゃ!」
「ネム!?」
倒れた妹に駆け寄るエンリ。直ぐに後ろから3人の騎士が追って来た。
「やっと追い詰めたぜ」
「悪く思うな……これも任務なんだ」
騎士達はそう言うと、その手に持つ剣で斬り掛かる。エンリはネムを抱き締め、庇い背中に傷を負った。
「せめて一瞬で終わらせてやろう」
「おねがい……誰か……助けて!」
妹を抱き締め、必死に願う。
『神ではないが、助けよう』
―バキィ!―
何かが折れる音がした、何時まで経っても痛みはない。目を開き、顔を上げてみるとそこには美しい銀髪の青年がいた。青年の手には折れた剣が在り、騎士達は彼の登場が予想外だったのか混乱している。
「貴様等、何故にこの子供達を襲う?」
「これは任務だ、邪魔をするならお前も殺す」
「子供を殺す事が任務だと………聞くに堪えぬ【ライトニング】」
青年……ゼオスが指を騎士達に向けると、指先から雷が出現し騎士の1人を貫いた。
「弱い」
「くっ!このぉ!」
騎士の1人が仲間がやられた事を怒り、ゼオスに斬り掛かろうとする。
「ちょっと……人の旦那様にそんな粗末な物を向けないでくれる?」
女性の声が聞こえると、襲い掛かって来た騎士が真っ二つになった。
「速かったな……」
どうやら先程、騎士を斬ったのは番外席次の様だ。
「これくらいは普通よ」
「(常人には付いて来れる速さではないんだがな)それと、俺は未だお前と結婚した覚えはないんだが」
「いいじゃない」
「……まぁいい。さてと」
生き残った騎士に視線を向ける、ゼオスから睨まれ身体を硬直させた。
「ひっひぃ……たったすけ」
「助ける訳がないだろう」
ゼオスが手を払う様な仕草をすると、騎士が真っ二つになった。
「これで終わり……大丈夫か?」
ゼオスが振り返ると、エンリとネムを見た。
「きれい……」
「おねえさん、きれい」
「おねっ!?」
ゼオスが女性と間違われた事で少し傷付いた様だ。
「俺は男だ…」
「そっそうなんですか、ごめんなさい!」
「いや、別にいい」
『ゲート』
そう声が聞こえると、エンリ達の後ろの空間に穴が開いた。