901分枝系統 80013世界 02795726時間断面 ISの世界 【改定作業中/第一章完結】   作:白鮭

11 / 42
来訪者と篠ノ之博士との和解

「「「「かんぱーい」」」」

 

俺と美夜とセシリアと簪さんで、夜の寮を抜け出してお月見をしていた。俺と美夜がたまに抜け出していたのが二人にバレたのだ。因みにセシリアには盛大に拗ねられて、簪さんにはしょんぼりされたのだが。

 

それは兎も角、セシリアの代表候補生解任の危機と、簪さんの専用機の問題も片付いて非常に嬉しいのだが……

 

「明日からパーティーを滅茶苦茶にしたお詫び。通称、わびおねがはっじまるよー……勝手に美夜が条件を緩和したせいで、お姫様抱っことか、腕組んでお散歩とか、泣けてくるメニューが山ほどあって辛い」

 

「羨ましいです、私も一組が良かった。それと弐式の事、ありがとうございます」

 

「出来る事をやっただけだよ。でも三人で一緒にやるって約束は守れなかったな」

 

「そんな事無いです! 私はすごく嬉しいんです。ありがとう……」

 

二式の製作が俺たちから倉持技研に戻ったので、最近では放課後の時間が使えるようになった。そこで簪さんに慣れてもらう為に、良く四人(俺、美夜、セシリア、簪さん)で遊ぶようにしていたのだ。お陰でセシリアと簪さんも仲良くなったし、問題は無くなったんだけど……

 

最近俺の事を目で追っている、簪さんの視線が気になってしまうのだ。気にしても仕方が無い問題なので放置しているが。放置、出来れば良いなぁ……

 

「あの、ご迷惑をおかけいたしましたわ」

 

今回の件で俺と美夜に迷惑を掛けたと思っているのだろう。セシリアはそう言って小さくなっているが、全然気になどしていない。

俺も美夜もセシリアの事を大切に思っているので、この程度の事でセシリアを守る事が出来るのなら、何度だって同じ事をする。

 

「俺は気にしてないよ。セシリアの為に出来る事をやっただけだし。それにやった事は先輩と模擬戦しただけだしな」

 

「そうだよ、あの失礼な先輩を叩きのめしただけ。口は災いの元って思い知っただろうし」

 

美夜が少しだけ不機嫌になりながらそう言ったので、みんなで苦笑してしまった。あの二人の事を話題に出すと、未だに美夜は機嫌が悪くなるのだ。そんな感じに、四人でお疲れ様月見パーティーを楽しんでいた。のだが……

 

「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん、束さん登場! つかちゃんと、みゃーちゃんを迎えにきたよー」

 

そう言いながら、うさ耳の付いた怪しいお姉さんが湧いて出て来たのだった。

 

***

 

「え?」

 

俺は、それを聞いて硬直してしまった。先生に頼んで連絡したのが昨日で、もう来たのか?

 

「つかちゃんと、みゃーちゃんの事は適当に監視してたからね。束さんも君たち二人にぜひ聞きたい事があるしね。しゅっぱーつ」

 

「いや、え、今から!?」

 

美夜の方を見ても、驚いてオロオロしていた。いきなり全世界で指名手配されている人間が出てきたら驚くし、せっかく話し合いをしてくれる雰囲気になっているのに、それをぶち壊したくない。

そう思っていたら、篠ノ之博士が俺の腕にしがみ付いて来たのだ。着ている物は青いエプロンドレスなのだが、この人凄いスタイルが良いのだ!

 

「いや、待って! ……でかっ!? って、当たってるから!! 力つよっ」

 

「いやだなぁ。当ててんのよ! 生きてる内に一回は言ってみたいセリフだよね♪」

 

そう言って逆の腕で美夜と腕を組むと、夜の闇の中にずるずると引きずられて行く。抵抗は出来るけど、抵抗出来ないと言うジレンマの元、変なにんじんの中に連れ込まれてしまう。

 

「じゃあ、レッツだゴー。凄く楽しみだね!」

 

そう言って、どういう原理か分からないのだがにんじんが宙に浮いた後、俺たちは海の方向に飛んでいくのであった。

 

***

 

「何でしょう? わたくしは今、心の奥底からイラッといたしましたわ」

 

「司さんデレデレし過ぎです……胸が大きい人の方が良いのかな?

 

「…………」

「…………」

 

イラッとしているわたくしと、胸に手を当ててしょんぼりしていた後、気を取り直したらしい簪とで、力強く握手いたしました。

 

この方もわたくしと同じ想いを持っている、同志だと思ったからです。

 

そして、急いで先生にお二人が拉致された事を伝えに行きました。先生は、あの方を篠ノ之博士だとおっしゃっていましたが、初めて見た姿は色々と衝撃的でした。いえ、似合っていたのは確かでしたが。

 

***

 

「海だなぁ」

「海だねぇ」

 

多分太平洋のどこかの島なのだろう。エメラルドブルーの海で、砂浜もあれば遠くに山っぽい緑も見える。IS学園から拉致られて、着いた場所は無人島らしき所だった。

海も(秘密の世界)には無かったので珍しいのだが、精神的に疲れて俺も美夜もそれどころでは無い。

 

「司さま、美夜さま、ご用意が出来ましたのでこちらにおいで下さい」

 

海を見ながら呆然としていた俺と美夜の元に、銀髪の小柄な女の子がやって来た。にんじんロケットを出てから自由にさせてもらっていたので散歩していたのだが、どうやら篠ノ之博士の元に案内してくれるらしい。

 

「あなたは?」

 

「束様のお世話をしております、クロエ・クロニクルと申します、クロエとお呼び下さい。これからよろしくお願いいたします」

 

そう言いながら丁寧に挨拶をして来たので、俺たちも挨拶を返した後で、クロエさんの後に続いて歩いて行く。

砂浜のすぐ近くに可動式の入り口があり、三人で入るとすぐに入り口が閉じた。少し歩くとエレベーターホールがあって下に降りて……三人共無言のまま移動していると、少ししてからクロエさんから質問をされた。

 

「あの、お二人に質問があるのですがよろしいでしょうか?」

 

「良いよ。なに?」

 

クロエさんは少し躊躇した後に、頬を赤く染めて思い切った感じで、俺たち二人をキラキラした目で見ながら聞いて来た。

 

「お二人は宇宙人なのですか!?」

 

「………………」

「………………」

 

どう答えろと? 俺と美夜は、お互いに目線でクロエさんに答えるのを押し付けあう。一応の抵抗はしたのだが無意味だった。美夜に負けたので、俺が答えることにする。

 

「あー……何て言ったらいいのか……」

 

「それは束さんも聞きたいな。くーちゃんだけズルい。部屋に入って聞かせてもらうよ」

 

そう言う放送が聞こえてきて、俺たちは目的地らしい扉に入っていった。中は研究室の様で、きちんと整理整頓が行き届いていた。

おそらくクロエさんが、がんばっているのだろう。俺たちは頭を下げてまず謝ろうとした。この分枝世界を荒らしたのは、俺たちだからだ。

 

「こちらの不注意で……」

 

「ああ、許す許す。束さんは全然気にしてないよ。で、つかちゃんと、みゃーちゃんは何処から来たの?」

 

好奇心と未知の事を知ることが出来る探求心で、篠ノ之博士の瞳が爛々と輝いている。誤魔化したり嘘などついたら、この分枝世界には居られないだろうな。そう思いつつ、篠ノ之博士に話をし始めた。

 

この世界と、それを超えた先にある下位宇宙・分枝世界(ブランチ・ワールド)の事。

その分枝世界の外側に、中位宇宙・時間樹(タイムツリー)がある事。そして時間樹が無数に存在する、上位宇宙・神剣宇宙(マナ・ナル)がある事……

そして俺たちは時間樹間を移動する、渡りと言う能力を持っているエターナルと言う存在であること。

 

篠ノ之博士もクロエさんも、エターナルの事を聞きたいと言うので、請われるままに話す。

 

三位以上の上位永遠神剣と契約を交わすことで、エターナルへと存在が書き換わる事。永遠神剣は一つに戻ろうとする性質がある為、それを是とするロウ・エターナルと、それを否定するカオス・エターナルで、数えきれない周期を争っていると言う事。

 

神剣宇宙(マナ・ナル)を構成する、全ての元となる存在であるマナの事。その反対の性質を持つナルの事。

それと、エターナル自身が概念情報(イシリアル・イデア)である事と、時間樹間を渡る際には、『器』、『意思』、『力』に分割されて移動し、別の時間樹に移動が終わった段階で『マナ存在に顕現する事』……

 

「だから俺たちは、物質で肉体が構成されていないんですよ。失礼」

 

永遠神剣を取り出して、腕を傷つける。そこから血がしたたり落ちるが、やがてそれが金色の霧へと変わる。

これがマナで、俺たちの比喩表現でマナの霧に帰る(消滅)と言うのがあるのですが、単純な事実です。そう言って説明を終えた。

 

説明が終わった後、二人は唖然とした表情を崩さずに動きが止まっていた。二人とも美人だし可愛いから、せめて口を閉じた方が……

そんな余計な事を心配していると、再起動が終わった篠ノ之博士が、大喜びで抱き付いて来た。

 

それを俺は抱き付いて来る前に、時詠みを使って完全回避する。

 

「…………」

「…………」

 

避け続けていると、篠ノ之博士の目が据わった。

 

「今度避けたら、もう許さない」

 

力いっぱい抱きしめられて、思う存分刷り込まれてしまった。色々泣きたい。篠ノ之博士はツヤツヤして、俺はシオシオしてしまったのだが、その後話し合いが持たれた。

 

俺たち二人は、篠ノ之博士の事をこれから束さんと呼ぶ事。束さんの庇護に入る事。

(ようやく認めてもらった。本当だったら、学校を辞めて四人で暮らそうと言っていたのだ)

それと、研究に協力する事。

 

「マナの研究だったら手伝っても良いですけど、絶対にこれでエネルギーの類を作ろうとしないで下さい。マナ・エーテルサイクル機関と言う技術があるんですが、マナと言うのは有限なんです。

マナをエーテルに変換して、そのエーテルをマナに変換すると絶対量が減ります。これをラクロック限界と言って、これを基幹技術においた分枝世界は、最終的に文明を捨てる羽目になりましたから」

 

何かキラッキラしながらみんなに抱きついて回ってるし、束さん話を覚えててくれると良いんだけどな。

 




シンクロ率

交信の世界で貰った、司が持つお願いの一つ。基本的に永遠神剣は『位』が高い方が強いのですが、それが覆る可能性があるのがこのシンクロ率です。

又、その分枝世界のマナの上限にエターナルの能力の上限が決められてしまうために、時間樹内では戦闘技術・戦闘経験・戦術などで戦いが決まることが多いなど、場所によっても絶対的な強さに結び付く要素が減っていきます。
それに、神剣固有の能力が加わって相性の差が生れる、今いる時間樹固有のルールが存在するなど、色々な要素が加わってそれによって戦闘方法を変える必要が出てくる……

これが、高位のエターナル同士の戦いが頭脳戦と呼ばれる所以です。司にしろ、美夜にしろ今はそれを学んでいる最中です。

少し脱線してしまいましたが。

一応の基準としては

”悠久”のユーフォリア:10(生まれた時からのエターナル)

”統べし聖剣”のシュン:11(永遠神剣にほぼ精神を飲み込まれて、”世界”の意志と同化している)

”失望”のヘリオン  :12(第九位と低位の永遠神剣を持ちながら、シンクロ率の高さによって下位のエターナルとならば互角に戦えるレベル)

”時司”の時深    :15(普段は、時詠みと言う永遠神剣しか使いませんが、(この時のシンクロ率は:7、又、名乗りが”時詠み”の時深となります)本拠地にしている出雲が襲撃された時に、封印している時逆とこの分枝世界限定でしか使えない時果てと言う、契約している三本の永遠神剣を使用した時のシンクロ率)

”永遠”のアセリア  :20(普段のシンクロ率は:10)過去の化身と言う謎の存在と戦った時に、限界以上の能力を永遠神剣から引き出そうとした時に発揮されたシンクロ率)

”聖杯”の司     :100(実戦経験がないので未知数。ただ、神剣の『位』とシンクロ率にから見ると、将来的には期待できる)

エターナルの説明回
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。