901分枝系統 80013世界 02795726時間断面 ISの世界 【改定作業中/第一章完結】   作:白鮭

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バカンスと新型ISと学園への帰還

黎明時の海と空の間に光の帯が出来る時間帯、俺と美夜は久しぶりに全力の戦闘訓練を楽しんでいた。

ソニックブームが出るスピードまで加速して、一気に減速。それを連続で行い爆音を響かせながら空を飛び、”虚空”を振るって美夜へと攻撃をする。

美夜は美夜で、”絶炎”で神剣魔法のプラズマを打ち出しながら徐々に接近、一気に加速してお互いが衝撃波を出しながら神剣を打ち合う。そして一転して離れた後、空中に止まり魔法陣を展開しながら詠唱を開始する。

 

「マナよ、光の奔流となれ。彼の者どもを包み、究極の破壊を与えよ! オーラフォトンッノヴァァァッッッ!!!」

 

「上位世界の門よ開け! ハイペリオンスターズ!!」

 

手加減していたとはいえ、小さな島が吹き飛んだ。束さんに指をさされながら爆笑され、クロエさんからは困った顔で出迎えられた。

いや、俺たちの模擬戦が見たいって言うから張り切ったのに。午後からは、宇宙まで上がって大気圏に突入して欲しいと言っていた。ガンダムになった気分である。うん、地球は青かったよ。

 

***

 

束Side

 

我慢出来なくなって迎えに行く。外にいたから連れ出した。何も問題は無い。後でちーちゃんから文句の電話が来けど関係ないのだ。

くーちゃんが我慢出来なくなったのか、宇宙人か聞いていた。束さんだって移動中は我慢して聞かなかったのに! 急いで研究室に来てもらって話を聞かせてもらう。

 

…………宇宙人なんて目じゃなかった。

 

この世界の宇宙なんて庭先も良い所だ。その壁を越えたところに枝があり、それを越えると木があり、森がある。

目標が出来たからがんばろうと思う。せめてこの目で枝を見る! 何かを追うのはワクワクする、こんな気分を味わうのは久しぶりだ。あの二人には、出来るだけの事をしてあげようと思う。

 

サービスで抱きつこうと思ったら、避けるのはひどいと思うな!

 

何で避けるのかを聞いて、そのついでにこの分枝世界に来た理由を聞いたら、余りに下らない理由でくーちゃんと二人で大笑いしたら、つかちゃんが落ち込んでしまった。

何だかホッとする。この二人は本物の神みたいなものであるが、心が人間みたいだ。小さなことで悩んでいるのが証拠である。

その晩は歓迎会なので、くーちゃんにがんばってもらってご馳走を出した。私はいつも通り美味しいと思ったし、二人も残さずに食べていたのに、くーちゃんだけ小さくなっていた。解せぬ。

 

次の日の監視衛星の目が届かない時間帯に、模擬戦を見せてもらう。バカじゃないのかって言うのが正直な所である。たかだか喋る武器と契約したくらいで、人間ってあんなに成るのかと本気で感心した。

大気圏を単独で離脱して、単独で突入して来ると言う偉業を達成して、戻ってきて最初に言ったのは地球って青かった。だってさ。うん、ソウダネ……

この二人に意地でもISがすごいって所を見せてやる。その為の研究に入る……使い道の無い、既存品のあれを改造しよう。

 

束Side out

 

***

 

束さんが研究に入ってしまって暇になった。帰りたいと言ったら全力で駄々をこねるし、美夜と相談して様子を見る事にする。

クロエさんに衛星の情報を聞いて訓練したり、海で泳いだり、釣りをしたり、料理を作ったりしている。料理に関しては、俺も美夜もそもそも食べ物を必要としていなかったので作った事は無かったが、ゲルよりマシである。

 

その過程でクロエさんとも仲良くなって、呼び捨てで呼んで下さいと言っていたので、クロエと呼ぶ事にする。

理由は年上だったかららしいが、そんな事を言い出したら俺たちよりこの分枝世界で年上かもしれない動物は、多分クラゲだけだと言ったら笑っていた。

 

今日は朝から釣りをしながら、お昼ご飯の獲物を狙う。美夜とクロエと一緒になって、釣り糸を垂らしていた。

 

「学園さぼって南の島でバカンスしてるって言ったら、織斑先生にぶっ飛ばされそうだな。後、わびおねをすっぽかした……利子が付いて、よりえげつなく進化していたらと思うと怖いんだけど」

 

美夜にしても困ったように苦笑している。

 

「笑えば良いんじゃないかな? 他に何にも出来ないし。にんじんロケット出してくれないから仕方ないよ。

長時間飛んで監視衛星に見つかるのは嫌だし、いったん大気圏外に出て、弾道飛行で日本に戻る? ここが何処だか分からないから適当になるけど」

 

クロエにしても俺たちが困っているのは理解しているが、この子は束さん第一主義だからなぁ。

 

「研究が終わるまでここにいてって束さまは言っていたので、もうそろそろ終わると思うんですが……」

 

その直後に通信機から連絡が入り、研究が終わった事を告げられた。

 

***

 

「やっと出来たよ。つかちゃんと、みゃーちゃんの専用ISね。初期化(フォーマット)最適化(フィッティング)を済ませよう!!」

 

やたらとハイテンションだけど、ちょっと不味いかな?

 

「どれくらい寝てないんですか束さん。目の下真っ黒じゃないですか。そんな危ない人からのISなんて受け取れませんから、寝て来て下さい」

 

文句を言って来たので、クロエが泣きそうだと言って強引に寝かせた。ご飯のおかずを釣ってきて、せめておいしい物を用意してあげようと思う。料理が上手じゃない人ばっかりだけど、その辺は気持ちでカバーである。

 

夕方近くになって、束さんが起きて来た。

 

「さて、始めようか!」

 

嬉しくて仕方が無いらしい。みんなで苦笑しながら、初期化(フォーマット)最適化(フィッティング)を束さんにして貰う。展開しても良いか聞いてから展開してみるが、なにも出ない。

 

「それはハイロゥと同時展開しないとダメだよ。ISコアを5つも使った豪華版IS。センサーと自己修復機能とシールドバリアーに全振りしてて、それとその他の基本機能で1個のコアでしょ?

残りのコア4個でマナの圧縮が出来るようにしてあるよ。ターボとかスーパーチャージャーみたいなものかな?」

 

束さんは嬉しそうに言っているが、とんでもない物を作って来た、この人には絶対逆らわないでおこうと心に誓う。

 

「どうやって作ったんですか? そんなもの」

 

「つかちゃんに、研究用の永遠神剣を出してもらったでしょう? 中枢はあれで、マナを集めてるのは永遠神剣だよ。後は、ISコアで補助して圧縮するの。

問題はマナがどういう機能を持っているのか、全然分からないんだよね。エターナルには有用だからって事で、その辺りを調べるのは後回しにしたよ。

展開はハイロゥと同時に出来るようにしてて、拡張領域(バススロット)は基本性能を高くする為に全部使っちゃった。だから、第四世代機かな?」

 

「第四世代機って……全世界で必死に開発してるのが第三世代機なのにその上ですか。束さん以外が言ったら、寝言は寝てから言えとか言われそうですね」

 

「何か喋り方が固い。くーちゃんみたいに普通に喋って。じゃないと抱き付く」

 

「分かったから抱き付くのは止めてくれ。束さんは色々自覚しろ」

 

「分かんないから、束さんはつかちゃんに抱き付く! 良いではないか、良いではないか!!」

 

「それ男女逆だから!?」

 

結局、束さんに抱き付かれながらISの操作をする。展開するから離れてと言って、ようやく放してくれたので、ハイロゥとIS展開した。

すると、マナが集急激に集まって来たのだ。俺たちはハイロゥを持っているから、並みのエターナルよりマナの運用効率は良いのだが、ISを使った場合はそれ以上……と言うか、お話にならないレベルで違う。

後はセンサー類が地味に便利だし、ウイングハイロゥで空を飛ぶ時の補助として使える、PICも便利そうだ。そう思って美夜を見ると、着ている服が変わっていた。

 

「美夜は何着ても似合ってるな」

 

「ありがとう。前のフリフリっぽいのも良かったけど、今回のも可愛いね」

 

束さんからは何も言われなかったのに、自分の姿をハイパーセンサーで確認しながら嬉しそうにしている。早速美夜は、ISを使いこなしている様だった。

 

「姿勢もスタイルも良いみゃーちゃんは、フリフリは似合わないと思った。束さんがんばったよ」

 

ミニ丈のリトル・ブラック・ドレスにアーマーを組み合わせて、ドレスアーマーに仕立てているのか。

束さんだからゴスゴスロリロリするかと思ったのに、意外なチョイスだな。そう思って感心しつつ見ていると、束さんも満足そうに見ていた。

 

「私にはこれが一番だし、みゃーちゃんにはあれが似合うと思った。だから変更したんだよ」

 

そんな事束さんから聞きつつ、今日釣った魚の夕食をみんなで食べて、その日は早めに休んだ。その後ISの完熟訓練に三日ほど費やしてから、俺たちのバカンスは終わった。

 

時にして四月下旬、十日以上学園をさぼった事に戦々恐々しつつ戻るのであった。

 

***

 

第四世代型IS”聖杯”、及び、”絶炎”(指輪型)

 

法の迷宮で作り出した永遠神剣とISコア5個を仕込んだ、篠ノ之束の手掛けた最新鋭IS。

その制作経緯の特殊性からハイロゥを展開出来る、永遠神剣の契約者にしか使用できない。元々は恒星間無人観測機で、使わずに転がしていたのを司と美夜用に改造した。

 

宇宙空間を移動する為の装備を全部外して、基本システム、ハイパーセンサー、自己修復機能、シールドバリアーに全機能を集中、拡張領域(バススロット)にすら追加センサーだのジェネレーターを積み込んだため拡張性は皆無と、それだけ見ればガラクタも良い所なのだが、本機の最大の特徴はマナ・ブースターにある。

 

マナを圧縮して永遠神剣に供給することによって、マナの薄い分枝世界でも本来の戦闘能力を維持できる他、マナのある分枝世界では戦闘能力を向上させることが出来る。

 

本来のエターナルの戦闘スタイルに近づける為に、露出する機械的な部分は完全排除している。唯一の変更点は、美夜のドレスアーマーの外観を変えた程度で、メンテナンスフリーには特に気を使い、荒い使用にも耐えられる完全な戦闘用ISに仕上げている。

 

***

 

 

 




この話からタグを増やします。

独自設定、独自解釈、白い束さん、オリジナルISです。

意外と永遠神剣シリーズの設定に書かれていない事が多く、それがあった為に戦闘描写を最低限にしていた経緯があります。それってISを名乗っていてどうなのか?
と、書いていて思っていたので、独自解釈に踏み切りました。

こんな感じで進めていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。

PS:小説を書くにあたって、DMMのISアーキタイプ・ブレイカーを試しに今日からやってみる。(2018/02/17)
キャンペーンボーナスを含めて、☆5ISが5枚出た・・・明日は、事故をおこさない様に注意します。

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