901分枝系統 80013世界 02795726時間断面 ISの世界 【改定作業中/第一章完結】   作:白鮭

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転入生と波乱の幕開け

SHRが終わって、次の授業は着替えて第二グラウンドだと織斑先生が言っている。

 

「一夏おはよう、鈴と乱とで騒いでたけど何してたんだ?」

 

「司は何のんびりしてるんだよ! 囲まれたら質問攻めにあって、遅刻するぞ。シャルルだっけ? お前も早く来い!」

 

一夏と転入生のデュノアはそうなるだろうけど、俺は大丈夫だしな。みんながデュノアと一夏を見つけて騒ぎながら囲もうとしてるけど、俺の周りには穏やかにあいさつしながら、二人を追う女の子達しかいない。

 

「何で司の周りだけ、そんな穏やかなんだよ! おかしいだろ!」

 

叫びながら走ると言う、なかなか器用な事をしている一夏に手を振りながら見送る。

 

「日頃の行いで、一組と四組の子に色々してあげている結果だよ。味方を増やそうとしないからそういう目に合うんだ」

 

既に姿の見えない一夏に対して呟く。俺が女の子を苦手にしてるのは学園内に知れ渡っているし、一組と後から仲良くなった四組には鉄の掟(お触り厳禁)がある。

無視したら一組と四組の粛清部隊が動くし、動く事なんて絶対あり得ないが、抑止力としてケイシー先輩を吊るした美夜がいる。それにもし触られたって、俺だってそんなにうるさく言わない……ベタベタされたら逃げるけど。

 

「それにしても、”宿命”に教えてもらった事が役に立ってるな。協力者を増やせか。エターナルくらい強力だと何でも出来るから、慢心しやすくなって思わぬ不覚を取るから注意しろって言ってたからな。言ってる事はもっともだけど、(コミュ障)には難易度が高いんだよな……」

 

(秘密の世界)の事を少し懐かしく思いながら、俺は時間に遅れないようにのんびり行動するのだった。

 

***

 

「ではこれよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。みんなも期待しているようだ、司、美夜。試しに飛んでみせろ」

 

織斑先生はそう言っているが、俺と美夜は顔を見合わせて少し困ってしまった。

 

「俺と美夜のISは通常とはかけ離れてるので、こう言う事の参考には絶対にならないと思うんですけど」

 

「そうなのか? だが、みんなが期待しているようだしな……司と代表候補生のオルコットで飛んで見せろ」

 

そう言われた以上は仕方ない、俺は前に出てハイロゥとIS聖杯を起動した。

 

「……はぁ!?」

 

みんな驚いてこっちをガン見している、本当はISじゃないから仕方が無いけどね。

 

「第四世代型IS聖杯です。俺と美夜のISは、見た目からして従来機と違うから、本当に参考にならないんですよ」

 

なんと言ったって、白く光る天使の輪と白く光る翼、白いコートに赤の意匠、おまけに銀の部分鎧だ。美夜も周りに頼まれて、ハイロゥとIS絶炎を起動させた。黒く光る天使の輪と黒く光る翼、ミニ丈のリトル・ブラック・ドレスと黒い甲冑のドレスアーマーだ、滅茶苦茶目立つ。

 

授業が少し止まってしまって、無慈悲な出席簿が猛威を振るった。

 

***

 

ブルー・ティアーズを展開したセシリアと一緒に空を飛ぶ。セシリアはこちらをチラチラと見ながら、俺のマニューバを学ぼうと必死だ。

 

「後で教えるよ?」

 

「教えられてばかりですと……わたくしにも代表候補生としてのプライドがありますから、せめて基本的な事は押さえておきたいですわ。それに、わびおねで忙しいのでは?」

 

セシリアは自分のお願いを思い出したのか少し赤くなっている。セシリアの想いに気が付いているので、俺は内心複雑だがそれを無視して苦笑いした。

 

「全部終わるのに三日くらいかかると思う。それが終わったら美夜も交えて色々訓練をしよう。専用機持では唯一、一緒に訓練出来る仲だしな」

 

「はい」

 

華やかにこちらを見てはにかんでいる。好かれて嬉しくないなんて事は無い。信頼と言うか好かれてると言うか……うん、困った。セシリアの事は嫌いじゃないから余計に困る。そんな事を考えながら飛んでいると、織斑先生から通信が入る。

 

「司、オルコット、急降下と完全停止をやって見せろ。目標は地表から十センチだ」

 

フムン

 

「セシリア、そっちの機動に同調させる。俺たちの上手さを見せ付けてやろう。

You have control.」

 

そう言って俺はクスクスと悪戯をするように笑う。

 

「あ”っ……I have control.いきますわよ司さん」

 

そう言って顔を赤らめながら、同じくクスクスと笑う。

 

そうして、俺たちは小さなミッションを成功させたのだった。

 

***

 

「次は武装の展開、司やってみろ」

 

織斑先生が言うので、”虚空”を出す。

 

「斧か、遠距離武装はあるのか?」

 

「あると言うか……」

 

地面に向かって、ごく弱くオーラフォトンの形状を整えてビーム状に射出する。

 

「特殊すぎて既存の常識が通用しないのか。美夜はどうなんだ?」

 

同じくウイングハイロゥを展開していた美夜が”絶炎”を出す。こちらは両手剣型で、美夜はオーラフォトンよりも赤の神剣魔法の方が得意だったので、プラズマを細く絞って地面に照射していた。

 

「お前たちのISが特殊だと言う事が分かった。何もない空間から、ビームとプラズマを撃てるのか。束のやつ、こんな物を与えるなんて……」

 

織斑先生がそんな事をぶつぶつ言っているが、これ魔法だからISは関係無いけど。後はセシリアが武装を展開して授業は終わった。

代表決定戦の時は使用武器から想像したセシリアの得意距離で戦っていたので、近距離戦が苦手なのは知らなかった。これは俺と美夜とセシリアで相談して、訓練内容を決めないとダメかな?

 

そんな感じで色々と分かって、有意義な時間だった。

 

***

 

昼休みにいつものメンバーで食堂に向かう。一人だと大変だと思ったのか、一夏がデュノアを連れて来たので俺も自己紹介をする。

デュノアが何をしに来たのかとか、そういう細かい所は覚えていないのだが、男装した女の子と言う事だけは覚えているので問題ない。デュノアとデュノアが抱えている問題を、一夏に押し付けるつもりだからだ。

 

「聖司だ、司と呼んでくれ。よろしくな」

 

「シャルル・デュノアです、僕もシャルルで良いよ。よろしくね」

 

俺の容姿は日本人に見えないから微妙な所なのだが、初の白人男性のIS搭乗者と言う事で、周りを見ると物凄い注目を集めていた。

 

「シャルルは人気だな、視線が物理的な圧力を持ってるみたいだ。女の子が苦手な俺は目立たない所に行きたいよ」

 

「そうかな? 司のISが珍しかったから注目してるんだと思うけどな。僕なんかより全然凄いんだし」

 

シャルルは苦笑しながらも、実に自己評価の低い事を言い出した。専用機は一種のステータスシンボルだから、そういう面もあるのは分かるのだが、シャルルはうちの学園生の事を誤解している。みんな珍獣()を見に集まっているだけだ。

 

「上級生で上を目指していたり、紐付きでもない限りこの時期でそれはどうだろうな? いないとは言わないけど、これ全部がそうかね?」

 

そんな風に女の子の人気を二人で押し付け合っていると、食券の券売機の前で鈴と乱が待っていた。

 

「待っていたわよ、一夏!」

 

「こんにちは、司」

 

鈴は一夏に会えるのを嬉しそうに待っていたみたいだが、乱の一夏を見る目が何かトゲトゲしている。席に着いてから、朝騒いでいた件を一夏に聞いてみる。

 

「一夏、乱音に何かしたか? 初対面でこんな塩対応する子じゃないと思うんだけど?」

 

「いや、鈴に似てるから鈴二号って呼んだら急に怒り出してさ、何でだ?」

 

一夏が朴念仁で、そう言う気の回し方が出来ないのを篠ノ之を通じて知ってはいたが、そうだとしても初対面の女の子にそんな事言うのは駄目だろ。

 

「なあ、乱音。鈴との間柄を教えてやれ。一夏は察しが悪いから、一言で言い表してくれ」

 

「……分かった。私と鈴はラ・イ・バ・ルよ!! これで分からなかったら、あんたの事を引っ叩く!」

 

「そう言う訳だ。一夏だって、目標にしてる織斑先生の姉弟だからって、織斑二号って言われたら怒るだろ?」

 

一夏は俺と乱音の話を聞いて、自分がかなり失礼な事を言った事に気が付いたらしい。

 

「俺が悪かった。許してくれ、乱音」

 

そう言って一夏が反省しているのを見て乱音は矛を収めたのだが、それを見ていた鈴はかなり感心しているみたいだった。

 

「司、凄い。一夏が女の子の気持ちを理解して謝ってるとか、奇跡を起こしてる」

 

「……言いたい事は良く分かるけどな。結構苦労してるんだよ」

 

セシリアと美夜は理由が分かっているので笑ってるし、篠ノ之は恥ずかしいのか視線を外していたが、一夏関連のトラブルを持ち込んで来るのは決まって篠ノ之なのだ。

 

説明をすれば一夏だってきちんと分かってくれるのだが、問題は分かりやすく言わないと曲解をする上に篠ノ之の説明の仕方が下手糞で、しかも自分の事を一夏に察して欲しいと言う乙女パワーにあふれている所だ。

毎回この手のトラブルに俺が巻き込まれて、ルーチンワーク気味に翻訳出来るようになって来た、自分自身を褒めてやりたい。その事をここに居る全員に説明したのだが……

 

「つまり、一夏となんかあったら司に言えば良いって事?」

 

「何聞いてたんだ、鈴。厄介事を持ち込むなって言ってるんだよ」

 

「良い事聞いたわね。存分に使い倒すからよろしくね」

 

こいつも篠ノ之の同類で、人の話を聞かないらしい。平穏な日々が音を立てて崩れ去る予感がして、俺はため息をついたのだった。

 

***

 

放課後に、わびおね案件とかをこなして部屋に帰ろうとすると、何か喧嘩しているような声が聞こえて来た。

 

「更識さんも男が同室なんて嫌なんじゃないかなって? 気を遣うし司だって女の子苦手だし。だから僕と部屋を変わらない?」

 

「そうそう。司って優しそうに見えて結構おおざっぱみたいだし、気苦労が絶えないかなって。私が変わってあげるわよ?」

 

「……司さんは優しいです。悪口言うの止めて下さい……」

 

シャルルと乱が簪さんに詰め寄って、部屋を替えてくれと訴えていた。乱音にしてもシャルルにしても、ほぼ初対面なのに何考えてるんだ?

 

「女の子と男が同じ部屋なんておかしいよ! 司だって若いし、男だし……こう、色々あるかも知れないじゃないか! 更識さん可愛いんだから、もっと危機感を持たなきゃダメだよ!!」

 

あー……。この状況を俺も不自然だと思っていたので、これに関してはシャルルに全面的に同意せざるを得ないのだが、それを聞いた簪さんがキレてしまった。 

 

「司さんの事を何も知らない癖にナイト気取りですか? フランス人男性ってよっぽど暇みたいですけど、私は忙しいんです。帰って下さい……。これ以上ここに居るんだって言うなら、呼び出されて襲われたって言いますよ?」

 

視線に殺気すら込めて、シャルルの事を睨み付けていた。これ以上傍観していると血を見る事になると思って、三人の方に慌てて近づいて行く。

 

「司……」

「あ、司」

 

二人はバツが悪そうに眼を逸らすのだが、シャルルの言っている事が間違っている訳では無いので、何とも対応に困ってしまう。

 

「シャルルの言ってる事は俺も正しいと思うんだけど、ここは二人部屋だからな。かn」

「部屋を替える必要なんて無いです! 私は帰れって言いましたよ!!」

 

簪さんはそう言って、俺を引っ張り込んで扉に鍵を掛けてしまった。乱音とシャルルは諦めて帰ったようだったが、残ったのは蚊帳の外だった俺と、怒りが治まっていない簪さん。取り敢えず、後であの二人はお仕置きする必要があると思った。

 

 

 

 

 

 

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