901分枝系統 80013世界 02795726時間断面 ISの世界 【改定作業中/第一章完結】   作:白鮭

19 / 42
書いている内にシャルが変になってしまって困惑する。
家のシャルはこんな子になりました。


インターミッション 私とシャルロットのリクルーティング大作戦(下)

乱音Side

 

泣いているシャルルを人目につかない様に注意しながら移動して、詳しく話を聞いておく事にする。出来れば放置したいんだけど、シャルルの口止めをしておかないと、私にまでとばっちりが来る可能性があるし。

 

「…………で、どこの誰の手引き? 関わりたく無いけどIS学園に性別を偽って転入なんかしたら、後でフランスが苦しい立場になるのは分かり切っている事なのに。後、この事を話されたくなかったら司から手を引いてね」

 

シャルルにはしてやられたから、この件を使って優位に立とうと思ったのだけど、慣れない事をするものじゃなかった。何かシャルルが全部諦めたような表情を浮かべながら、余計な事まで話し始めてしまったからだ。

 

「主導はデュノアだけど、裏には欧州連合がいるよ。だからこそIS学園に男として潜り込めたんだけどね。

何年か前にフランスで女尊男卑の大統領が就任したんだけど、この人が極端なボナパルティズム主義者でね。議会を無視して女性権利団体にすり寄って、男性に対してアパルトヘイトも真っ青な法律を国民投票にかける準備をしているんだよ。

フランスは大統領の権能が強いから、これが出来ちゃう。後、反逆罪以外で責任を追及されないって言う特色があるから、僕が大統領命令でここに来ている事にしてスキャンダル騒ぎをおこして、芋づる式にISコアを紛失したって罪を擦り付ける予定。

さすがにこれを誤魔化すのは無理だし、立派な反逆罪の理由になるしね。亡国機業(ファントム・タスク)って言うテロリスト集団に流したってでっち上げるんだって。バックが豪華だから情報操作については万全で、頭の中身がお花畑の団体と一緒に表舞台から一掃するんだってさ」

 

「そこまで教えてくれなくても良いから!? 司との優先交渉権だけくれれば良かったのに、何で余計な事まで教えるの! ……どうしよう、欧州連合にバレたら事故死しそう」

 

「大丈夫だよ、僕の事を手伝ってくれたらバレないから…………一緒に良い目を見ようよ」

 

瞳から光の消えたシャルルはヘラッっと黒く笑うのに押されて、私は男性IS搭乗者を引き入れる為の協力関係を結ぶことになってしまった。こんな黒い陰謀に加担や深入りなんてするつもりは無いので、最適な距離を保ちながら付き合おうと思う。

 

***

 

「もうね、父とか会社とか国とかの為にがんばろうと思ったのに、ターゲットは訳が分からないくらいに自分のシンパを作ってて近寄れないし、もう一人の男は痴話げんかで殴られてるし。

あの部屋で僕が住んだらあの二人に狙われるって事でしょ? 僕はまだ何にも悪い事してないのに。ああ、これから悪い事するから罰が当たったんだ……」

 

シャルルからこれからの事を聞いてみたら、何か司と一夏への不満が出てきて、最後に盛大に落ち込んでいた。私もこの仕事に向かないと思うけど、シャルルも向いてないと思う。何か微妙に病んでるし。

 

「一夏は知らないけど、司は身を守る為なんじゃ無いの? 人見知りなのに女の子にベタベタされたら大変じゃない。一方的な関係にならない様に気を使ってるみたいだしさ」

 

「女の子苦手って報告は最初されてたけど、そこからシンパを作るって発想が出て来るのが変だって事だよ。微妙に僕の事避けてる感じがするし」

 

「別に人見知りが女の子だけじゃないからでしょ? 司は美夜に相談できるし、イギリス代表候補生ともさっきのメガネっ子とも仲が良いみたいだし、相談できる人が沢山いるじゃない」

 

私自身の問題でもあるのでやるべき事を一緒に考えるのだけど、病んでるシャルルの出して来た提案はとんでもない事だった。

 

「男性がらみでトラブルを起こしたいんだ。ここ十年で無意味に広がった女尊男卑主義者へ掣肘する事が第一の目的だからね。二つ目にデュノアを立て直すのが目的だし。

どっちにしても男装して学園に潜入したのが派手にバレて、フランス大統領の背後を探らせないと行けないんだよ。その後のお膳立ては出来てるからね」

 

「あんた何言ってるの!? 自分の事大事にしなさいよ!! ここに来てまだ初日でしょ? 色々とショッキングな事があったのは分かるけど、自暴自棄になるのはダメよ」

 

シャルルには色々と邪魔されてるけど、だからってこう言う事を見過ごすのは何か違うと思う。シャルルは危なっかしくて、見ていてハラハラする感じで落ち着かないし。

 

「じゃあ、一緒に私の部屋(一夏の部屋)に行くのに付き合ってよ。まだ乱のお姉さんが暴れてるなら説得して欲しいし、篠ノ之さんだっけ? 一緒に暴れてた人も出て行ってもらわないと困るし」

 

「分かった、乗り掛かった舟だから手伝ってあげるわよ! だけど、あの二人のトラブルは司が担当するって今日のお昼に決まったんだから、そっちに持って行って。私は鈴おねえちゃんを担当するから」

 

「うん、よろしくね」

 

シャルルは結構喜んでいるみたいだし、流されて嫌々手伝っているように見えているだろうけど、私にだってちゃんと考えがある。

司本人は嫌がっていたけど、少なくとも一夏と箒には顔が効く。そして鈴おねえちゃんは私が担当すると言って司に時間を優先して作ってもらえるようになれば、それだけでも私にとってはプラスになる。そう思えば、鈴おねえちゃんがトラブルを起こすのは悪くないかも知れない。

そんな事を考えながらシャルルと一緒に部屋に行き、鈴おねえちゃんと箒に部屋を替える事をしぶしぶ納得させるのに夜までかかった。司は本気で凄いと思う。

 

***

 

「……………………」

 

ようやく話し合いが終わって、鈴おねえちゃんと箒を部屋から出したのだけど、腹を立てていてさっきから一言も話をしない。私はこれから一緒に鈴おねえちゃんと生活が出来て嬉しいのに、その嬉しさもおねえちゃんの不機嫌そうな顔を見ると消えてしまいそうだった。

 

「鈴おねえちゃん機嫌直してよ。一夏がその辺の事を悟ってたら、とっくに誰かとくっついてるのは分かるでしょ? そう考えれば今の状況は悪く無いじゃない」

 

「確かにそうなんだけどさ…………昔からモテてたのは知ってたけど、箒と同棲してるってどういう事よ! 司だっていたんだから、男同士で同じ部屋だって良かったじゃない!!」

 

「その辺は司も困ってる感じだった。あっちはそれなりに上手くやってるみたいだったけど」

 

そう言った私を見て、鈴おねえちゃんは首を傾げていた。

 

「今日初日なのに何でそんな事まで知ってるのよ。もしかして、乱は司を狙ってるの? 流石に略奪愛は関心しないんだけど」

 

「は? ……ばっかじゃ無いの!? 私は仕事よ! 政府関係の事で司に頼みたい事があるんだけど、ライバルが多くて大変なのよ」

 

私がそう言うと興味が無くなったみたいだけど、その態度から中国から鈴おねえちゃんに指示が出ていない事が分かった。それと私と話したことで、少しだけ怒りも収まって来たみたいだし。

 

「ふーん……ねえ、乱。司の考え方って分かる? 少なくとも一夏も箒も司には一目置いてるみたいだし、私があれこれ言うよりは、二人が言う事聞いてくれると思うんだけど」

 

「知り合って一日しかたってないのに、私にだって分からないわよ。ただ相手の話を聞いて、正しければ正しいって言う事は出来るみたいよ。少なくともメガネっ子の言う事より、シャルルの部屋を別にした方が良いって言う意見には賛成してたみたいだし」

 

「なるほどね。じゃあ明日は司に直談判しに行くわ。一夏も箒も一目置いているなら、私が言うより意見を聞いてもらえる可能性が高いし。私の後だったら乱の話を聞いてもらえるようにするけど、どうする?」

 

「司がそれを呑んでくれるならぜひお願い。少し困ってたから助かるわ」

 

意地張っていても仕方が無いし、助けてくれる人を無下にできる程恵まれてもいないので、鈴おねえちゃんにお願いする事にした。

 

***

 

朝に司に頼んでくると言って鈴おねえちゃんが教室を出て行ったので、私もシャルルに今日の話し合いの事を伝えに行く。黙っていても良いのだけど、その場合シャルルが何をして来るか分からなくて怖いし、昨日のノリで変な事をされても迷惑なので、シャルルには釘を打っておく事にした。

 

「今日司と話し合いの場を鈴おねえちゃんが作るみたいなんだけど、一緒に来る? 昨日みたいなことをしたら台湾政府に報告して、後の事は政府同士の話し合いに任せる事にするけど」

 

「それは困るよ。何もしないとデュノア社は潰れるし、欧州連合がどういう手を打って来るか分からないから。女の子同士が本気で怒って喧嘩してるのに巻き込まれると思って、焦って無茶したのは謝るから許して」

 

昨日はいきなりのカミングアウトで混乱したけど、今の段階でバレて困るのはシャルルの方だ。今の内に陰謀から抜けた方がシャルルの為になると思って、忠告交じりに今日の事を話したのだけど、出て来たのは自分の在り方を肯定する言葉だった。

昨日は嫌だと泣いていたのに、今日は肯定するって言うのが変だと思ったけど、感情と仕事は別だから仕方が無い。その辺の気持ちは私もわかる。

 

「まあ良いわ。司だって本気で怒ってはなさそうだから、話は聞いてもらえると思うし。私は司一本に絞るから、同じ部屋になったシャルルは一夏を狙えば良いんじゃないの?」

 

シャルルはどういう考えか知らないけど、私の場合は昨日鈴おねえちゃんに話を聞いて、一夏へのアプローチは無駄だと思ってやらない事にした。

特に酷いと思ったのは、鈴おねえちゃんが昔に料理が上手になったら毎日食べさせてあげると言ったのに、それが何時の間にか、おごりでご馳走してくれると言う話にすり替わっていた事だ。

それだけ聞くと鈴おねえちゃんには脈が無さそうなんだけど、司が昨日言っていた事を踏まえて考えると、ただ曲解している可能性も高い。一夏本人は意識して無いのかもしれないけど、約束を曲解して捻じ曲げる人間なんて当てに出来ない。

 

「うーん……今日の話し合いの結果次第で良いかな? 確かに司の方がガードが堅いし」

 

「その辺は自分で考えれば良いんじゃないの?  ガードが堅い人()を選ぶのも、ライバルが多い人(一夏)を選ぶのもシャルル次第なんだし」

 

そう言った直後に、予鈴が鳴ったのでクラスに戻る。シャルルには言って無いけど、誤解で鈴おねえちゃんの恋のライバルなんて思われるのは絶対嫌だし、一夏の事を私は好きになんかなりたくない。

一夏の顔が良いのは認めるけど、いつも相手の心が自分に向いているのか不安に思いながら付き合うのなんて、私は御免だった。

 

***

 

その日のお昼に司は一人でやって来たけど、何やら疲れている感じだった。

 

「司、何か疲れてる?」

 

「引っ越して来た連中が俺の周囲をかき回してて、環境が激変してる最中だからな……乱たちが全部悪いって訳じゃ無いからそう言う顔しないでくれ。俺も皮肉って悪かった」

 

色々と思い当る所があって、聞いている私が居心地の悪い思いをしているのが分かったのか、司がフォローをしてくれたのは良いけど、鈴おねえちゃんと箒はお互いに弱みを見せたく無いせいなのか不機嫌そうだし、私もシャルルも昨日の事があるから、どうしても気まずい表情が出てきていて司もやりづらそうだった。

 

その後に続いた話し合いだけど、鈴おねえちゃんも箒も一夏に愛想を尽かされないのが不思議なくらいの事をやらかしているし、その上で一夏と一緒にいる為の大義名分を得る為の判断まで委ねると言うのを聞いて司も嫌そうにしていたけど、そっちは鈴おねえちゃんの完全勝利に終わった。

 

まあ、話を聞いた限りだと当然の判断だと思う。自分が強くなる為に必死になるのが国家代表候補生で、専用機持ちはその中でも突出したエリートだ。

そのお姉ちゃんと、学園に入るまでISを使った事が無い箒を比べること自体がおかしな話で、この件で理不尽な事を言っているのは箒の方だし。

 

そんな感じに話を終わらせたけど、最後に鈴お姉ちゃんと箒に対して司は釘を刺していた。

わざわざ美夜を呼んで来て、みんなの前で好きだって言わなくても良いのに。お姉ちゃんも箒も恋愛方面に関しては臆病だから仕方が無い。多分司なりの激励なんだと思う。

 

ただ、私は何か面白くない。良く分からないけど、心がザワザワする。

 

私とシャルルの話も聞いてくれた。昨日のメガネっ子……簪って名前の子に謝ったら許してくれたし、司の考えも教えてくれたけど、良い返事は帰ってこなかった。

ただ、そこから漏れた司の考えは少しだけ分かったから参考にしようと思う。

 

***

 

朝早くに部屋を出て、司達の部屋の前で待ちながら深呼吸をする。

 

周りから聞いた司の事と、昨日司のから直接聞いた話で確実なのは、自分の身内扱いをしている人には特に優しいと言う事だった。

だったら、私自身が司に身内扱いされる様にすればいい。

 

扉を開けて出て来た司が驚いた表情をしているのを見て、嫌われて無いと良いなとドキドキしながら、私は司に挨拶をする。

 

つまり、司の大切にしたい人枠に入ればいい訳よね……おはよう司、これからよろしくね!」

 

国とかISとか関係無しで、私は司と仲良くなりたい。

 

この気持ちが何処から来るのか、私にはまだ分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 




シャルの男装がバレても騒がれない理由をがんばって考えてみました。
この辺りはみなさん色々と違う解釈をしてて、読んでて楽しい所ですよね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。