901分枝系統 80013世界 02795726時間断面 ISの世界 【改定作業中/第一章完結】 作:白鮭
「「「おめでとう!!」」」そう言って、俺たち三人は主役の二人に拍手していた。
セシリアの部屋に集まってみんな・・・俺、美夜、セシリア、乱、簪(私だけ”さん”が付くのは嫌、と言っていた。俺に対してだけでも、自己主張出来るようになって来たのが嬉しい)の五人で集まってのお茶会の中の出来事である。
「セシリアと乱、叙勲おめでとう。やっぱりUNKNOWNとの戦いで功績を上げたから?」
IS学園襲撃の件はかなり大きなニュースになったのだが、その時に戦った俺、一夏、セシリア、乱、鈴はかなり大きく取り上げられてしまった。特に男性IS搭乗者として止めをさした一夏と、二人で連携して戦っていたセシリアと乱の姿は扱いが大きく、その流れで叙勲と言う話になったらしい。
因みに、簪にもISコアの話はしたが、あまり興味は無いみたいだ。俺が簪と一夏には何かしてあげたいと思ってはいるが、日本とは関わり合いになりたくないって言うのが分かっているんだろうな。
「プレゼントとの絡みもありますから、余り素直に喜べない複雑な気分ですが。わたくしはロイヤル・ヴィクトリア勲章のコマンダーを授与されるみたいですわ」
そう言ってはいるが、セシリアは喜びで充ち満ちた表情をしている。貴族家の当主だし、国に評価されるのは名誉だしな。しかし、ロイヤル・ヴィクトリア勲章って、いきなり叙勲されるものなのか?
「おめでとう、セシリア」
例によって聖杯からの知識の流入が行われている。そうじゃなきゃイギリスの勲章なんて分からないし・・・ロイヤル・ヴィクトリア勲章の叙勲の決定って君主個人、つまりは国王様が決めるんだよな。きな臭いなぁと、内心ため息を付きながらもセシリアが評価された事はすごく嬉しい。
「乱は何を貰うんだっけ?」
「そこは授与されるって言いなさいよ、仕方ないわね。私が授与されるのは青天白日勲章よ!!本当は国光勲章でも良い位だって言われたけど、周りとの兼ね合いがあるし。授与される理由が全部説明出来ないからだって」
台湾の勲章の知識も入って来た。軍人に贈られる二番目に栄誉の有る勲章で、本来なら一番栄誉の有る勲章を贈りたいって・・・イギリスも台湾もISコア絡みで、俺に対するメッセージも兼ねているんだろうな。
ただ、乱も今までおねえちゃんに評価されないって悩んでた位だから、見える形で国に評価される事が嬉しくって仕方ないみたいだな。裏の意図が透けて見えるけど、乱が喜んでいるのを見ると俺もうれしいから、まあ、良いかって思っちゃうんだよな。
「認められて良かったな、乱」
何かあったら、その時に考えればいいさ。二人が喜んでる事を祝福しながらそう思った。
***
俺の意図も思惑もすべて消し飛ばしてくれた告白だったが、足の引っ張り合いみたいな事は起こらなかった。
みんなの気持ちに気が付く前から、俺は大切にしたいと思ってた人たちに気を配っていたし、そもそも味方を増やしたいからと、クラスの子たちとも積極的に仲良くしていたのだ。
俺を取り巻く状況が変わっても、止めるつもりは無かったから有り難いが、告白してくれた子に対して後ろめたい気持ちもあるんだよな。
・・・さて、告白のあった次の日、一部の生徒が
「すまなかった、司この前の事は許してくれ!!」 「司、すまなかったっス」
そして、サファイア先輩はいつも通りっスね。
ISコアを手に入れられるかもしれないと、手に入れられるでは似ているようで全然違う。確実な入手手段が出来たせいで、仲が悪いと思われている二人が詫びに来たのだ。
「気にしてないから大丈夫ですよ、先輩たちもそんなに畏まらないで下さい。やりづらいです」
露骨に媚を売られるより全然良いのだが、そう言った瞬間に姉御風を吹かせ始めたのには笑ってしまった。面白い人たちではあるし、専用機持ちの代表候補生と敵対してもマイナスの影響しか無いから仲良くしたいと思う。
先輩たちの事は片が付いたのだが、それ以外の俺に突撃して来た子が問題だった。最初は俺と美夜に来ていたのだが、スパルタな美夜が全部俺に回して来て全員の話を聞く事に。
ここに至っては、コミュ障だとか女の子が苦手だとか言ってられない。失言したら即座にそこに食らい付いて来る子すら居たのだ。俺の持っているパイが大きすぎて、今までのノリでは済まなくなって来ている。
「俺が束さんから貰ったラファールは、一組と四組の専用機にするからみんな手伝ってくれ」
二クラスで六十人、専用機持ちが六人。(美夜の打鉄は、機体が来るまで簪専用機にしていた)残りの五十四人で一機を共有してもらうのだ。後は、共有するルールを作って即座に運用を始める。教室以外が
真剣にハニトラ対策をしないとヤバい事態だ。以前の美夜の冗談が、冗談ですまなくなっているし。
機体以外でも、クラスのみんなの為に出来る協力はして行く。そう言った努力のお陰で、どうにか普段通りの生活環境が戻って来た。
修業なんだからこの程度で諦めてたまるか。俺が強くそう思っていたからって言うのもあったが、精神的疲労がたまり過ぎて一時期かなり酷かったらしい。
それを見ていたみんなが、このままでは篠ノ之博士の言う通りに、俺と美夜が居なくなってしまうと真剣に考えて協力を始めたみたいだ。元々仲が良かったのが幸いして、四人が結束し始めて今の状況になったらしい。
みんなが言うには、
「一夏の方、どうなるかな?」
四人で仲良く話していた所に、今まで考え込んでいた俺がポツリと呟くと、みんなが沈黙した。
「乱が鈴を煽ったから、織斑くんが大変な思いをしているんですわ・・・鈴が思いを伝えたのは良い事だとは思うのですが、タイミングが悪かったですわね。箒の」
そう言って、セシリアがため息を付きながら乱をジト目で見る。
「箒が昔みたいに頑なになっちっゃったからね。一夏と箒が喧嘩している所に鈴が告白したから、三人ともおかしくなってるし。最近良くシャルルと歩いてて、鈴と話す時はぎこちないよ。箒とは顔を合わせても話さないし・・・」
そう言いながら、美夜が乱をジト目で見る。この二人は箒を応援してたし。俺もそうなんだけど、鈴とも仲良くなったからなぁ・・・
「私のせいだって言いたいの!?そりゃあ、鈴おねえちゃんに勝ったからちょっとだけ勝ち誇ったけど、その結果だけとは限らないじゃない!!・・・シャルルも色々大変なのよ。私以外にも、シャルルにそういう存在が出来て良かったわよ」
そう言って乱は安堵のため息を付く。俺はそれを見て、シャルルの正体を乱は知っているんだろうなと当たりを付けたが手は出さない。こっちも大変なんだ、一夏がんばれ。
「あの・・・何があったんですか?」
クラスが違う為、その辺りの事情に一番疎い簪が聞いてくるので、当事者の乱が説明に入る。
「対抗戦が終わって私たちのゴタゴタが片付いた辺りだから、ほんの数日前の事よ。鈴おねえちゃんに対して勝利宣言をしたの。そしたらおねえちゃんが対抗して行動を開始してさ・・・」
***
乱音Side
最近、雑誌やテレビなんかで私たちの事を取り上げている所が多くなった。それだけIS学園の襲撃は大きなニュースになっているのだが、先ずは一夏が取り上げられていて、その次が私とセシリアだ。
一夏は男だし、日本人。だから第一に取り上げられるのは分かるけど、次が私とセシリアなのだ。つまりはおねえちゃんに勝った!!しかもヘタレなおねえちゃんと違ってちゃんと告白までしたのだ。キ、キスもしたし・・・
ふふふっ、思い出して顔が赤くなってるのを自覚しつつ、同じ部屋のおねえちゃんに話しかけたんだ。
「鈴おねえちゃん、勝負あったわね。訓練でいくら上手く行っても、実戦で差が付いたし。もうおねえちゃんに大きな顔はさせないわ!!」
そう言って私はドヤ顔をして、逆におねえちゃんは悔しそうな顔をしていた。
「ふん。そっちは三人で私たちは二人よ、差がついて当たり前じゃない。人数差があるから無効よ、無効!!」
そんな事を言い出したから、私も少しムキになった。
「司は攻撃してないじゃない。実質二対二なのにそんな負け惜しみを言うの?」
司の貢献は私とセシリアが一番分かっている。ワンオフ・アビリティーのインスパイアの性能は絶大だったし、遠距離防御システムのオーラフォトンは、最近ドイツで開発中らしいAICより性能が上だと思う。それに司だったら、こう言う事を言ったって後で聞いてもらっても、笑って許してくれるだろうし。
おねえちゃんが悔しそうにしてるから、更に畳み掛ける。
「そんな事を言うのって、おねえちゃんは一夏が司に負けてるって思ってるから?自分の好きな人の悪口は言わない方が良いよ?」
「そんな訳無いじゃない!一夏は司に負けてないわよ!!」
「じゃあ、おねえちゃんの負けじゃない。二人しかいなかったんだし。それに・・・私は司に告白したし、キ・・・キスだってしたし・・・ふふん、ヘタレのおねえちゃんに完全勝利したわね」
流石にこれには反論出来なかったのか、おねえちゃんは黙ったわ。見てれば分かるけど、おねえちゃんは可愛げが無さすぎる。意識してない人にツンデレしたって、それはただの嫌な奴だよ・・・
こうして私はおねえちゃんに記念すべき初勝利をしたのだけど、次の日におねえちゃんは行動を開始したわ。
***
「うん。先ず第一に、俺は一夏の事を劣ってるって思った事は無いし。あいつの成長速度はおかしい、なんで学んで一ヶ月くらいで実戦で成果が出せるんだよ。俺が一夏にコツを聞きたい位だ」
「司さんを出しに使って、鈴の優位に立つって言うのはどうかと思いますわ・・・」
「乱はそんな事を言ったの?鈴が大荒れで教室に突撃して来た時は、何事かと思ったよ」
「・・・私は乱のやった事が少し理解できます・・・絶対に勝てないって思ってた人に勝てたのなら、すごく嬉しいに決まってます」
私の味方は簪だけだ。でも、みんなも非難している訳じゃなくて、しょうがないなぁこの子はって表情をしている・・・年下扱いはそれはそれで思う所はあるんだけど、まあ良いわ。
「続きを話すわよ」
***
次の日の放課後、私はおねえちゃんに連れられて一組に行ったの。私が本当にヘタレかどうか見せてやる!って言われて。おねえちゃんの後ろから付いて行ったんだけど、足音をドカドカ響かせてもう全身から私は不機嫌です。前に立ったらひき潰すぞっ!!って感じで教室に着いたら、何か周りが緊迫してると言うか・・・何かおかしかった。
「あの時、なにがあったの?」
司と美夜とセシリアに聞いたら、三人とも嫌そうにしていたがしぶしぶ司が答えた。
「束さんが来た次の日から、俺たちは非難されてたんだよ。何であんな人と仲が良いんだ、おかしい!!って。何かあるんだとは思うけど、そんなこと言われたって困るしさ。
篠ノ之にとって束さんをどんな人に捉えているのか分からないけど、俺にとってはいろいろと困った人ではあるけど、頼もしいと言うか、すごい人だと思ってるし。告白されたからには真剣に考えてる人だしな・・・四人とも睨まないでくれ、この状況がおかしいって俺が一番思ってるから」
美夜は困ったと表情が言っていて、私たちは目を背ける。司は次の日には私たちを呼び出して、告白の返事を返そうとしていたのだ。
冷静に考えて、美夜に勝てないし・・・その答えを聞きたくないから結束したとも言える。色々と複雑な心境なのよ。時間を稼いで、私たちの存在を司の中で大きく育てないと。答えを探しているのは私たちも一緒だし。
「・・・みんなが告白してくれた事は嬉しいって思ってるけどな。みんな美人で可愛いし。男を見る目が無さそうなのが困りものだけど」
そう言って司は複雑な表情をしている。喜んだり、困ったり、悲しんだり、うん、色々。好きな人を困らせたくないのに、そういう立場にしてしまった事を思うと少しションボリしてしまうけど、私たちの事を真剣に考えてくれているのは嬉しい。
「・・・話を続けるよ。で、一夏が俺たちの間に入って仲裁しようとしてくれてたんだ。ただ、今までのやり取りから俺たちへの肩入れの方が大きくてな。それで篠ノ之が切れて、一夏に俺たちと縁を切れって怒鳴りつけて、一夏が怒った。
箒の事は幼馴染だと思ってるけど、そんな事を言われる筋合いは無いって。司の事は親友だと思ってるし、美夜やセシリアとだって友達だ。そんな事を平然と口にできる箒はおかしいぞ!!ってさ・・・」
私はそれを聞いて納得しながら、話をつなげる。
「で、空気なんか気にする余裕なんて無いおねえちゃんが、みんなの前で堂々と告白したのよ。
あの酢豚の話は私が恥ずかしがって逃げただけよ!本当は一夏の察した通り『毎日味噌汁を~』って意味だから。私は一夏が好きなのよ!!
って。私が煽って悪かったとは思うけど、おねえちゃんは昔から一夏の事が好きだったみたいだし、私的には良い事をしたわ」
みんなが沈黙している。その空気を破って、おそるおそる簪が聞いて来た。
「・・・あの、その後どうなったんですか?」
司がため息を付きつつ答えた。
「箒とは顔を合わせても話そうとしないな、一夏にしても絶対に飲めないからだろうし。鈴とは気まずいらしくって鈴の方が逃げてる。鈴の気持ちは分かるけど、逃げてどうするって気はするよ。流れ的にはシャルルの方も話した方が良いかな?最近よく一緒にいるよな・・・仲が良くって良いんじゃないのか?」
そう言ってこの話題が終わった後は、別の気まずくない話題に移ってみんなで楽しくおしゃべりした。
自分の事も友達の事も・・・好きな人の事もみんな複雑。ただ、他人事だけどおねえちゃんには幸せになって欲しいと思った。
乱音Side out
乱はインスパイアもオーラフォトンもISの機能だと思っていますが、正確には永遠神剣を使った司の能力です。