901分枝系統 80013世界 02795726時間断面 ISの世界 【改定作業中/第一章完結】 作:白鮭
そんな感じで束さんとの話し合いを終わらせると、束さんとクロエが異世界行き決めたのを見て、簪も同じことを言って来た。
「私も連れて行って下さい、みんなが居ない世界なんて嫌です」
一人に許可を出せば、こう言う流れになるのは当たり前だとは思う。ただ、それを俺が認めるかは別の話なので、簪に対して反撃を試みる。
「簪、人を殺せる?」
「え?」
「セシリアには死んで欲しく無いから無理矢理にでも覚えてもらう。そもそもセシリアを助けに行くと、時間樹間の移動が起こって、俺と美夜に関する記憶が消えるんだよ。
記憶が無い状態でそんな事を強要したら確実に憎まれるだろうけど、それでもセシリアには死んで欲しく無い。
モンスターの大繁殖で人間がピンチだから召喚したのかもしれない。それだったら、あっちで戦い方や神剣魔法を教えれば良いだけなんだけどな。だけど、そんな風に上手く行く事なんて無いと思う。だからもう一回簪に聞くよ、人を殺せる?」
簪はこんな事を言っている俺の表情を見て、泣きそうになっていた。優しい子なのに脅しすぎだとは思ったが、これは俺の本心だ。
連れて行くからには屍山血河を作ろうが守るつもりだが、最終的にイャガと殺し合いになるのが確定している以上は連れて行けない。説得が無理な”天災”は諦めたけど。
「ごめんな」
「ううん、でも忘れたくないよ」
セシリアもそうだけど、俺のせいで泣いている子を見るのは辛い。けど、この件に関してはどうにも出来ないのだ。そう思っていたら、乱がいきなり立ち上がって俺の方に向かって来た。
「司、さっき芝生を生やしたりケーキ出したりしてたわよね!? あれってどこまで出来るの!?」
「ベースになっているのは、全ての願いを叶えるって言う権能がある、願望機としての聖杯を真似て作ったものだからな。限界があるのかどうかすらも分からない」
「全ての願いを叶えるって……それを使って、みんなが忘れない様に願えば良いんじゃないの!!」
「…………フィー、出来ると思うか?」
そう言う訳なので、テーブルの上で暢気にケーキを食っている”聖杯”の神獣であるフィーに聞いてみる。体が小さいのに、そんなに食ったら太るぞ。美少女フィギュアサイズなのに、何も乗ってない皿が三皿も重ねてあるのは色々ダメだと思う。
「ん……ちょっと待って下さい、お茶飲みますから……えっとですね、本当に特殊な事以外はどうにでもなります。例えば本物の永遠神剣を作るとかは無理ですけど、ログ領域に干渉してエターナルの記憶を残すって言うのは、やってみないと分かりません」
「出来ないとは言わないのか?」
「そんな事を試した人が、エターナルを含めて誰もいないんですよ。大体、試せるのが私か”宿命”様位しかいませんからね」
「だよな、言われるまで俺も気が付かなかった。エターナルが時間樹間を移動したら、記憶と記録が消えるのは常識だからな」
今までだって、ログ領域への干渉はさんざんやって来た。何が起こるかは分からないが、乱と簪が期待する様にこっちを見ている以上は出来ないとは言えないからな。
「フィー、手伝ってくれ。ログ領域に対する情報の保護と、因果律への干渉をやってみる」
「分かりました、全力でサポートします」
…………………徹底的な情報の保護をしてみた。時詠みが使えれば未来視で成功するかどうか見る事が出来るのだが、力に制限が掛かっている今の状況では未来を見る事が出来ない。精一杯足掻いたが、成功するかは未知数だった。
「出来る限りの事はした。これで駄目なら何をやっても無理だ」
そう言うと、二人共すごく喜んでくれた。そして、喜びながらも乱が俺に指を突き付けて来る。
「後は絶対生きてセシリアと一緒に帰って来る事!! …………もしも私と簪が司と美夜の事を忘れていたら、司は私たち二人を何があっても口説き落として恋人にするんだからね!!
セシリアがお姫様気分で攫われたんだったら、私達は司に口説き落とされるんだから……だから……絶対生きて帰って来るのよ。イャガなんかに負けて、死んだら許さないんだからね!!」
「戻って来れる様に努力するから心配するな」
「絶対なんだからね……」
そう言って大声で泣きながら抱き付いて来た。六人いる恋人の内、ほぼ全員に泣かれたり、ぶっ飛ばされた事があるって最低だと思うのだが、それは帰って来てから償わせてもらおう。
泣き止むまで好きにさせておいて、恥ずかしそうにしている乱を横目に見ながら、みんなに提案する。
「束さんとクロエのリアルボディがこっちに来たら転移する。後は……最後に記念写真でも撮るか」
「カメラなんてあるの?」
抱き付いたまま離れない乱が聞いて来るが、その辺は抜かりない。
「ここは昔住んでた所のコピーだけど、元住んでた所にあった記録装置は一万年持つって”宿命”が言ってたからな。それを使おう」
そう言って”聖杯”を使って、本物の
そして、ここに居る全員、俺、美夜、簪、束さん、クロエ、乱、ラウラ、篠ノ之、ユー、フィーの大人数で写真を撮った。
構図は
「セシリアを連れ戻したら、もう一回ここで写真を撮ろう。絶対に帰って来るから二人共待っててくれ」
「学園生でいる内にお願いしますね。みんなと友達になったここでまた会いたいですから」
「怪我しないでね。司は結構抜けてるから、美夜はちゃんと見張っててね」
「大丈夫だよ。即死しなければ直せる永遠神剣を司が持ってるし、セシリアと束さんとクロエちゃんを現地で不老化させて、時間がオーバーしてもタイムトラベルすれば、簪の言う時間までに戻って来れるから」
「…………司も美夜も、そこまで出来るなら一夏との仲を取り持ってくれたって良いじゃない。ケチ」
「既成事実から逃げた篠ノ之に言われたくない」
「既成事実から逃げた箒に言われたくないよ」
「今度会う時は必ず成長して待っている。そうしたら再戦だぞ、司」
「あー……時間がかかってタイムトラベルすると、ラウラの強さも元に戻るんだが」
「ほどほどの時間で戻ってこい、司」
「分かった、時間に遅れても恨むなよ。ラウラ」
「時間に遅れたら怒る。だが、楽しみにしているからな」
そんな事を言い合いながら、私達は司と美夜に別れを告げた。最後まで見送ったら泣いてしまうかもしれないから……司と美夜にこれ以上負担をかけたくなかった。
一時間くらいすると、見慣れたにんじん型のロケットが飛んで来たが、ISが追ってきている。大丈夫なのかと心配していたら、空中に光の線が現れてそこからユーの本体が出て来た後、ロケットが芝生の生えた校庭に突き刺さった後で、ユーがいきなり消えた。
「ユーはあんなに大きかったんだな。司は私に嘘を付いていたんだから、帰って来たらウィル? 状態のユーとフィーを借りよう。一緒に寝たいからな」
「あんたもブレないわね、まあ、帰って来たら一緒に頼んであげるわよ」
「クロエちゃんに似ていて、ラウラに強く出られないってボヤいてましたから、上目遣いでお願い……とか言ったらイチコロだと思いますよ?」
「簪も結構言うわね。でもそのくらい言ってもバチは当たらないわよ、私達みたいな美少女を待たせてるんだからね!」
そして、私達は何かを失った。
エピローグ
「お茶飲むのにも飽きたしお昼でも食べようか、午後から私と簪の取り調べって言ってるし。いくら束さんと仲が良かったからって、どこに行ったかなんて知る訳無いじゃない」
「そうですよね。この騒ぎなのにセシリアもどこかに行っちゃったって言うし、これからどうなるんだろう……」
日本政府とお隣の半島が束さんからISコアを奪い取ろうとした結果、手痛い反撃を受けて大混乱に陥っているのだ。
「ラウラもお昼行くよ。トーナメント一回戦でボロ負けして、機体の整備不良で全損したからってそんなに落ち込んでもしょうがないでしょ?」
「いや、レーゲンの事が心配でな。本国での整備で、誤って廃棄されたはずの試作品を取り付けたとか言ってたが、どこまで本当なんだか」
「ブツブツ言わないの。コアは無事だし、予備部品で機体は直るって言ってたんでしょ? ポジティブに生きてた方が人生楽しいんだから、あんまり後ろばっかり見てると損するわよ」
三人でテラスでお喋りしてたんだけど、内心ではセシリアの事が心配で仕方ないから、みんなで何となく集まっていただけなんだけどね。でもセシリアは絶対帰って来るから、しっかりしないと……あれ? 私はセシリアがどこに行ったのか知ってる? ……知らないよね??
そんなもどかしい思いを抱きながら食堂に行くと、丁度箒もお昼を食べに来ていた。セシリアとすごく仲が良いんだけど、一夏関連でおねえちゃんも含めてバカをやったせいで、少し敬遠されている子なんだよね。
「箒! 一緒に食べるわよ。その方が楽しいから付き合いなさい」
この前束さんの実験に付き合って、電脳空間で一緒にお茶を飲んだりしたので一応は知っている。悪い子じゃ無いとは思ったけど、口下手で不器用だって言うのが私の第一印象だ。
ただ、いつも一緒に行動している
そんな感じで一緒にご飯を食べて四人でぽつぽつと話し始めた所で、共通の話題として束さんが新しく試作していた記録装置の事が話題に上ったので、私が持っているのを起動させてみた。そうすると、何やら不思議な人が写っていた。
「…………だれ、この二人?」
慌てて全員の持っている物を起動させたのだけど、全部の記録装置に写っているし、やたらと私達と仲が良さそうに見える。
「IS学園の制服を着てますけど、男性IS搭乗者って織斑君しかいませんよね?」
「ここに写ってる、空飛ぶ小さいクジラと妖精が可愛いな」
「この紅い瞳の子と、私がすごく仲が良さそうに見えるんだけど……」
私も背が高いアルビノの穏やかに笑っている人をじっと見つめる。その辺のアイドルや俳優なんて目じゃない位にカッコいいし、何か私から抱き付いてるし!?
だんだんと顔に血が上がって来たのが分かるが、それでもポーっとしながら見つめていると、簪がなにやらニコニコしながら話しかけて来た。
「もしかして、乱
「簪も?」
お互いに苦笑しながら肯き合う。名前も知らない相手に恋をするなんて、我ながら相当あれだと思うけど、それでもこの気持ちを大切にしたかった。
「何時か会えると思うから、その時までこの気持ちは取っておく。それまでがんばろう、簪」
「そうだね乱、がんばろうね」
私と簪は、一目ぼれした人に会うのに時間はあまり掛からないと確信していた。だって、彼らはきっと努力しているのが何故か分かっていたから。
901分枝系統 80013世界 02795726時間断面 ISの世界 第一章完 第二章に続く
これにて第一章、901分枝系統 80013世界 02795726時間断面 ISの世界 は終わりです。読んで下さってありがとうございました。
続いて第二章を書いて行きたいと思うのですが、原作の読み返しと、ある程度のストックを貯めてから上げたいと思いますので少々お待ちください。
ISの原作キャラ(セシリア、束さん、クロエ)が出ますが、別の世界での話になりますので、新タイトルで上げるつもりです。
これからも、のそのそ書いて行きますので、よろしくお願いしますね。