では本編どうぞ。
何時の時代も、どんな世界でも、一時の平和というのは必ずしもある。
ゆるりと過ごすその時間は、どんな物よりも儚く、どんな時よりも安らかで。
そして何よりも大切な時間であった。
すぅすぅと寝息を立てて安らかな表情で寝ている子どもも居れば、その隣で子どもと寝ている青年や両親が居た。
でも、そんな平和な時は一瞬で崩れ去って。
「お母さん!!お父さん!!お兄ちゃん!!」
奪われて、1人になって。
「駄目よ!勇くん!」
「はなして!まだお兄ちゃんや!お父さんとお母さんが!」
心に大きな穴がポッカリと空いて。
何をするにしてもやる気が起きなくて。
何かに対して全力で取り組めなくて。
何時しか空っぽになっていく。
でも、生きていく中で自分を知ってくれて。
そんな境遇を知っても味方であり続けた人も居た。
こんな世の中でも、人間はまだ捨てちゃいないと思えて。
でも家族を殺した人間を心の何処かで憎んでいて。
そんな矛盾を孕んだまま生きている。
そしてその内、自分が何者かすら分からなくなって。
真っ暗な世界にただ1人だけの存在と思えた。
友も、理解者も、親代わりも居るのに。孤独だと思えた。
自分は1人なんだと、ずっと思い続けていた。
だがそんな時、彼に転機が訪れた。
それは【悪魔の契約】
それは【1つの光】
それは【神に対する冒涜】であり
それは人類を変える【終末】となる代物であった。
彼は手に入れた力によって、1つの考えに辿り着いた。
それは自らを堕とす行為で、でも人であろうとする葛藤を生み出した。
封印の鎖を解いた彼は、終末を求める。
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ここは太平洋上にポツンと浮かぶ浮島に建てられた【IS学園】。
それらのことから世界中からIS操縦者達が集う。だがそのIS学園には女子生徒しか存在しない。
ISとは一言で表すならば女性にしか乗れない謂わば
そんなある日、その風潮に喧嘩を売った出来事が起きたのだ。それを証明するのは、このIS学園に居る
男がISを乗れたという今日の世界事情では考えられない事が起きたのだ。そして織斑一夏の関係者はIS関連で関わりの深い人物が居る。その事からなるべく危険を避ける為にIS学園に身を置くことになった。
当の織斑一夏は項垂れて机に突っ伏していた。それもその筈、周りは女子生徒だらけである為ある意味【見世物】の様な視線が伝わっていたからだ。疲弊するのも無理は無い。
そんな時、一夏はふと自分の右隣に座っている
この彼こそ、織斑一夏の後に見つかった2人目のIS操縦者『
ふと一夏は勇の書いているノートを覗き込む。何やら数式と文字を組み合わせた文章を書き込んでおり、その傍らで何かブツブツと呟いている。だが聞き取りづらい上に、ノートに何を書いているのか分からないため一夏は机に再度突っ伏した。
これから朝のHRが始まるのだが、一夏の精神は持つのであろうか。そして勇の行動は終わるのだろうか。
「あ、あの……尾崎君。自己紹介を…………」
結果、勇の行動は止まることをしなかった。それどころか目の前の1年1組の副担任である『山田真耶』 を見た途端、また書き始めた。これには流石に周囲の生徒はドン引きしている。
また勇に声を掛けている山田も、何を書いているのか気になってノートをチラリと見た。そして、そのノートに書かれている文章を見て驚愕していた。気付けば山田までもが勇の書くノートの内容に真剣に向き合いつつあった。
「何をしているんだ山田君……?」
「っは!お、織斑先生!すいません!」
教壇近くの扉から現れる『織斑千冬』に、山田は勇から飛び退く。その際に胸が当たったが、勇は気にも止めずに書き続けていた。
「ゲッ!関羽!?」
「誰が三国志の英雄だバカもの」
スパーン!と一夏の頭から良い音が響く。その音に気が付いたのか、漸くノートを閉じて一夏見た勇。そして一夏が頭を痛めている中、織斑千冬が勇の前に立つ。
「おい尾崎」
「……?はい」
「自己紹介をせんか。お前で詰まっていたぞ」
「あっ……」
勇はしまったという表情を見せると、山田に対して謝罪の意を込めた礼をしたあと立ち上がろうとした。
しかしその行動は女子学生の歓喜の声で中断せざるを得なくなってしまった。理由は織斑千冬にあるのだが、つまりはファンということである。
『織斑千冬』、ISの世界大会モンドグロッソにて優勝を果たしているが理由あってこのIS学園に教師として働いている。織斑千冬を見たいがためにIS学園に入学して来た者が居るくらいだ、先程の歓声は必然的に起こりうるものであったと仮定すれば何かしらの対策はできていた。
織斑千冬はため息を付き、このクラスでのルールを教えた。しかし異を唱える者は殆ど居らず、ほぼ全員元気よく“はい”と答えただけであった。
「もう時間が無い。尾崎、織斑。早く自己紹介をしろ」
「いや千冬nえッ!」
「織斑先生だ。先に尾崎からやれ」
「は、はい」
勇はやっと立ち上がり、全員に姿が見えるように後ろに体を向けると自己紹介を始めた。
「初めまして!今日からIS学園の一生徒として学業に努めさせていただく尾崎 勇と言います!まだまだISに関して不慣れな点があるので、経験者である皆様に是非ともご指導を願っております!以上です!」
元気よく答えた勇の印象は【近寄り難い奴】から【好青年】というランクアップを果たした。そのあと一夏の自己紹介もあったが、酷いものであったそうな。
勇は今現在でもノートに何かを書き続けている。誰の目も気にせず、目の前の事に集中し過ぎる傾向があった。それは勇に話しかけている1人の生徒を無視するまでに。
「ねぇってば、ねぇねぇ〜」
必死に勇の腕を掴んで呼びかけるも声は届いておらず、未だに書き続けられている“それ”は止まることを知らない。
『布仏 本音』は勇の書くノートを覗いて見た。何をそんな必死に書いているのかという興味と、勇を振り向かせる方法を思いついたが故の淡い期待を持っていたからだ。
「こ、これって…………!」
「……君、分かるのか?」
「これ………………」
「うん」
「何これ?」
その瞬間、周囲に居た生徒全員がバランスを崩した。勇にも同じことが言えており、上手くいったという表情を浮かべる布仏本音。
そんな調子に乗せられた勇は伏せていた頭を上げて布仏本音を見る。不機嫌そうな表情を浮かべていが、目の前のほんわかとした雰囲気に怒りが失せてきたのか溜息をつく。
「えっと……貴女は……?」
「布仏本音だよ〜。宜しくね、いーさん」
「バ○オ7ですか?」
「じゃない」
時間は経って現在二時間目の授業。主にISの基礎を学んでいるが、入学前に既に参考書を読んでいたおかげか内容は頭に入っている。
というのが大抵普通の状態。しかし勇と一夏はある意味2人とも違っていた。勇の場合は授業を受けつつアナログであるがノートに何かを書き込んでいた。そして両立させる為なのか左手にタッチペン、右手にボールペンというシュールにも程がある状態である。
一方の一夏は参考書を
かくゆう勇も授業に集中しろと言われ渋々ながらノートをしまった。そして2時限目終了直後に……
「頼む!勉強教えてくれ勇!」
「こっちは燃費性能が良くないか……だったら1度バラして組み替えれば……」
「おーい勇?聞いてるかー?もしもーし?」
勉強に関して勇に頼んだが無視される結果となる。勇の左に本音が再度登場してノートを見る。
「おー……これIS?」
「あ、分かりました?実はこの機体の燃費効率が悪いのでどうしたものかと結構考えてまして」
「お〜数式いっぱいだね〜。元の燃費効率と修正された燃費効率までマメに書いてるんだね〜」
「はい!あぁあと現在の理論で製作可能な武器も結構書いてるんです。良ければそちらも如何ですか?」
「えーっと…………おー、かんちゃんが好きそうなのばっかだ」
「あの聞いてるか?俺の声聞こえてる?」
漸く勇も一夏に気付いた。そして再度お願いをすると、勇は少し考える素振りをするも笑顔で承諾してくれた。放課後に1通りを教室で教えると言った直後、潜んでいた女子が腐の面を妄想していた事をここに記そう。
その話の直後、1人の女子生徒が2人に向かって声をかけた。
「ちょっと、宜しくて?」
「へ、何だ?」
「はい?」
「まぁ何ですの!?そのお返事!私に話しかけられるだけでも光栄だというのに!」
「あー悪い、俺君が誰だか知らないし」
「セシリア・オルコット。現オルコット家当主でありイギリスのIS代表候補生です」
「そちらの方は知っておられる様ですが……そこの貴方!きょk」
「機体名【ブルー・ティアーズ】、ビーム系統の射撃武器に加え6機のビットを装備しています。加えてオルコットさんの戦闘データから察するに射撃を軸に戦闘、決め手にビット展開という戦い方です」
「ちょっと!私の話を!」
「しかしビットと射撃武器の並行使用が課題点。改善策としてビットの一部にAI、または簡易的なプログラムを組み込んで対処すれば現在の勝率の82%から85%まで上昇することは調査済みです」
「…………何言ってるのか全然分かんねぇ」
セシリアが何か言おうとしていたが、それはチャイムに遮られてしまう。何か去り際に言われたが、勇は思考の海に入ってしまい聞いてすらいなかった。
そして3時限目に入り、未だ理解が出来ていない一夏と授業は聞いているが同時に思考の海に半身浸かっている勇は平常運転のままである。そんな時、教壇に立っている織斑千冬からある事を告げられる。
【ISのクラス代表】である。1クラスに1人代表を決めるのだが、当然の如く推薦される男2人組。だがこの結果に異を唱える者も居ることを忘れてはならない。
「納得がいきませんわ!」
セシリア・オルコットである。
「その様な選出は認められません!このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?それに実力から行けば私がクラス代表になるのは必然!それを物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!私はこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!」
セシリアの言葉に苛立ちを募らせるクラス内。しかしそれを代弁してくれる者が現れた。
「えっ?
「貴方は…………!」
席から立ち上がりセシリアと対面する。しかし顔は嫌悪の表情というよりも、単なる笑みであった。
「失礼、オルコット嬢。
「他に手を挙げる方がいらっしゃるかと!」
「だとしても先に申し出ればこの嫌悪感は無かった筈です。それに僕達が推薦された時に仰られると、まるで僕達を貶したいが為に発言したとも受け取れますよ?」
「ッ……!」
「貴女もその様な目で見られる学園生活には成りたく無い筈。しかし貴女はそうしなかった……
勇の口ぶりは、まるでセシリアを擁護する様な物言いであった。しかしクラス内で誰も勇を咎める様な表情は見せなかった。
見かねた織斑千冬が妥協案としてISによるクラス代表決めを1週間後に取り行う事で決まった。
先程の発言の後、勇の表情から笑みは消えていた。何かを思い出し、悲しんでいる様な表情であった。