東方終焉雪   作:カミユ

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どうもカミユです!
今回は主人公の決着です


第37話 本物と偽物の決着

 雪とドッペルの戦闘により、妖怪の山の一部が木が倒され、無数の斬撃痕ができ、その上に分厚い氷が覆っている

 そして、その2人は今も息を切らさずに攻防を繰り返している

 

 それをかなり離れた山の上で見ている幻想郷の戦力達。2人の《真楼の抜刀 絶》を放った瞬間にお互い、紫のスキマで退避していた

 

「どうなっているのよ。元から霊力が少ないはずなのに、あれだけ長時間戦闘をして残っているわけないわ」

 

 本物の霊夢が呻くようにいうと、その隣で戦闘を見ている紫が説明する

 

「元から博咲家の人間の霊力は少ないわ。でも、白雪がそれを同じくらいの質の霊力でカバーしているの。そうすれば多少無茶苦茶な使い方をしても早々霊力が底を尽きることはないわ」

「それだけじゃないように思えるけど?」

「博麗の巫女である霊夢には気づくのね。博咲家の剣術は『より少なく、より強い攻撃を放つ』を目指しているの。それは代を重ねるごとにできてきたわ。でも、100パーセントそれを体現することはできないわ。皮肉なのかそれを一番体現できていたのが、私が見てきた中で始祖の雪(せつ)よ。でも雪は同等以上に体現しているわ」

「つまりバケモノってこと?」

「さあね」

 

 紫が博咲家のことを語っている間にも2人の攻防は激化していき、一部の地面がパックリ割れてしまって修復が難しくなった

 

 2人の戦闘が変化していく中でも、幻想郷側の方も変化する

 

「紫、ドッペルゲンガー達がきたわよ」

「みたいね。みんな!今日で異変を終わらせるわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「おおおおお!!」」

 

 雪とドッペルの拳がお互いの頰にめり込む

 お互い吹き飛び木を折りながら転がる

 

「はあ、はあ、はあ」

「はあ、はあ、はあ」

 

 2人が肩で息をしながら前方の自分と同じ姿したものを睨むと白雪の力で、お互いを攻撃しようとすると雪とドッペルの間に巨大な氷の壁が作り出される

 

「お前ってさ、もしかして他の奴とテレパシーみたいなことできるのか?」

「テレパシー?あぁ、出来るぞ。俺はお前の記憶+他のドッペルゲンガーの情報がある」

「ふ、ははは、偽物は本物には勝てない、ってよくテンプレセリフなんだけど、俺は違うと思うんだよな」

「まあ超電磁砲のシスターズはオリジナルには勝てなかったがな」

「…………第2位も同じようなこと言ってたな」

「だな。それで?なんでそう思うんだ?」

「……お前ならわかってるだろ」

「まあ分かるが……言ってみろよ」

「こういう、別の世界みたいなところに急に転移した奴の偽物は大体情報とか、本物にないものを得た状態で誕生することがあるからな。だから俺は本物よりも偽物の方が強いと思う」

「まあその偽物が本物と同スペックであることが前提だけどな」

 

 出来上がった氷の壁の上で語り合う2人

 

 しばらくすると別のところで消えていく気配があることに気づく2人。その瞬間にまた激突する

 

 ここで、2人の勝負は決まった。2人は同じ思考をしている。つまり、いつもは敵にはわからない策を実行していたとしても気付かれているし、やっている。ここまでは同条件だ

 

 ならば、このいつまで経っても終わらないような戦闘に終わりを告げる方法はあるだろうか

 答えはある

 

 が、これは賭け。2人の幸運は同じだ。だが、2人の違いは、"自分が本物か偽物か"の違いによって決まった

 

 ドッペルが雪に優っていることは情報量。ドッペルが誕生するまでに培われた雪の体験、記憶など+ドッペルゲンガー特有のテレパシー

 では、雪が優っているものはなんだろう?2人の戦闘においては技術面に関しては同格だが、情報量で負けている。(その情報が役に立つかどうかは別の話)ならば、全体に目を移すとどうだろうか。"圧倒的に本物の方が、ドッペルゲンガーよりも多い"。これが雪の大きなアドバンテージ。先程ドッペルが本物の幻想郷の戦力達と戦闘した時にもっと数を減らしていれば、結末が違ったかもしれない。しかし、ドッペルがどれだけ足掻こうが、情報以外で同格のスペックを有する本物が目の前にいる限り、幻想郷の戦力の本物を倒すことができない

 

 では、この戦闘に終止符を打つのに必要なのは幻想郷側の方で誰だろうか

 

 

 

 それは幸運を(人間限定で)運ぶことのできる『因幡 てゐ』。本物は隠れながら周りを見回していたことで2人のメッセージに気づいた。偽物はこの日の最初、雪に戦闘をしかけた時に妖怪の一部が一瞬で凍りついた時に避けることができずに今は凍りついている

 

 これを踏まえた結果は

 

「うさ、誰か!手の空いているなら2人の方に弾幕を放つうさ!」

 

 てゐの指示に反応したのは最も近くにいた博麗 霊夢だった。すぐに2人の方をみると、氷の壁のところに"弾幕をこっちに撃て"と浮かび上がっていた

 

「霊符 夢想封印!」

 

 霊夢のスペカが2人の戦闘に乱入する。霊夢の勘がドッペルを的確に見抜き、弾幕はドッペルを狙う

 

 

「!」

「これで終わりだ!」

 

 弾幕が視界に入った瞬間にドッペルは身をよじって回避する。その隙を雪は見逃さずに接近する。手には白雪を握り、ドッペルの心臓めがけて突き刺そうとする

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」

 

 ドッペルは今だせる全力の出力で白雪の力を解放する。だが、それを予期しない(本物)ではなかった

 

「狙い通りだ!あばよ、ドッペルゲンガー!」

 

 白雪の刃先に全出力を集め、ドッペルの白雪の氷の中を突き進み、ドッペルの心臓を貫いた

 

 

 

「ゴフッ…………」

 

 心臓を刺されたドッペルは口から血が大量に出す。目は虚ろで見えているかどうかは本人にしかわからない。片膝をつき、口から出る血を手で受け止める、が、指と指の隙間から血が溢れ出る

 

「ま、これで終わりか。呆気ないといえば呆気ない。というかなんでお前すぐに消えないんだよ。早く消えろ」

「は、ははは、白雪の力使っているっていえばわかるよな?」

「あー、傷口を氷で塞いで延命してるってとこか」

「そういう事」

 

 ドッペルはゆっくりとヘタリ込む。もう戦闘続行する気は無いようだ

 ゆっくりと息を吐き出すドッペルは一瞬だけ何かを考えるようにすると氷の地面を軽く叩く

 

「この異変を解決したいか?」

「どうでもいい」

「でも、今やっておかないとまた戦うことになるけど?」

「…………」

「考えたってことは、結局行くパターンだ。お前はそういうやつだ。後に起こることの元凶を殺れる時に殺る。夏休みの宿題を早くやり終わるのと同じようなものだ」

「はあ、そうだな。今やっておいた方がいいことには変わりない」

 

 ドッペルは自嘲すると空を仰いで言う

 

「なあ、本物。分かり切ってることだが、もしかしたら短時間の間に考え方が変わっているかもしれないから一応聞いておくけどさ」

「なんだよ」

「目の前で自分と全く同じ見た目のやつが血まみれの姿でどう思う?」

「…………そうだな。自分がこうならなくてよかった。くらいか」

「全く変わらないな。でも、聞いておいてよかったよ」

「……同じ姿をしていたとしても、考え方が同じでも状況によって感じ方が違うってことか?」

「そう。俺とお前で殺しあって、俺は負けた。心臓を一刺しだ。だから"今の状態の俺"と、"無事な俺"の考え方は違うからな。だから参考程度には聞いておいたが、見事なまでに参考にならない」

「悪かったな」

 

 ふ、はははははは!と2人が同時に笑い出す。こうして笑うことができるのは自分のことをよく知っているからできるものなのだろう

 

「さて、本題だ。俺たちドッペルゲンガーは自分の影に入ることで、もう1つの……まあドッペルゲンガーとその創造主だけが行ける幻想郷に行ける。俺はそこにつなげるからお前は行ってこの異変を終わらせろ」

「元凶がそこにいる可能性は?」

「ほぼ100%。どうやらさっき俺を作る時に思っていた以上に魔力を奪われたらしい」

「魔力……ねぇ」

「まあMPみたいなもんだ。この異変を始めた時に幻想郷の住民のドッペルゲンガーを作り出す時は魔力を集めるのに時間をかけたらしいから。1人作るのはかなり疲れるらしい。しかも強ければ強いほど魔力を使う」

「なんで知ってるんだよ」

「愚痴られたから」

「マジか」

 

 ドッペルは自分の影を三回軽く叩くと雪が影に近寄る

 

「んじゃまあ行ってら」

「おう。行ってきます」

 

 そしてなんの躊躇もなく雪は影に入っていった

 

 

「はあ、いつでも攻撃できたんだけどな」

 

 1人仰向けになって空を見上げているドッペルは愚痴をこぼす。雪ならばここで不意打ちでもしていた。だが、ドッペルはそれをしなかった。何故なら

 

「父さんはこんな気持ちだったのか……?目の前にいる頼れるやつに今起こっている事件の解決を託すってものは」

 

 先程一瞬考えたのはこれだった。本当ならば攻撃していたが、幻想郷に来る前の霙の行動が頭によぎり、霙がやったようなことをやった

 

「あの時燈も言ってたが凄えな、父さんは」

 

 目を閉じて幻想郷住民達の攻防の音を聞きながら鼻歌を歌うように軽く言う

 

「この状況だからできた行動ができた。勝者()はできるかどうかは知らないが、これはこんな風になった敗者()の特権だな」

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