すみません……入院などしていたら遅くなっていました
今回でこの章の最終回です!
ドッペル異変解決から次の日の永遠亭。この異変を解決に導いた一人の人間は清潔なベッドの上で目を閉じていた
「最近修行してないな……やるか」
(そうして下さい。最近は目を瞑っていましたが、今日からはちゃんとやってください)
「うぃーす」
雪は欠伸しながらゆっくりとした動きで立ち上がると外に出るために玄関に歩を向ける
すると、目の前にスキマが開き、紫が顔を出す
「あら、起きていたの」
「どけ。今から修行っつうか素振りする」
「貴方って素振りとかするイメージがないのだけれど」
「なんでだよ」
こほん。と紫がわざとらしく咳をして話を切り替える
「明日宴会があるのだけれど、参加するわよね?」
「帰りたい」
即答で答える雪。それに対して紫は、まあそういうだろうな、という顔をする
「幻想郷だと異変を解決すると、宴会をする習わしがあるの。異変に係わった人全員が来るわ。今回の場合は幻想郷中の人が来るわね」
「そうなのか」
「だから郷に入っては郷に従えというでしょ?今貴方は幻想郷にいるの。だから宴会に参加して」
「いや、参加しないやつもいるだろ?流石に」
「いえ、全員くるわよ例外なくね」
「わーお」
まあ、そういうことなら。と雪は考える
「まあ良いや。参加する。どこでやるんだ?」
「今回は規模が規模だからね。何時もは博麗神社でやるんだけど」
「入らないのか?」
「そうなのよ。いえ、私が少し弄れば出来るわ」
(無茶苦茶だ)
(チートですね)
紫の能力の凄さに一人と一刀が驚いていると、紫は真剣な顔になって雪にベッド座るように促す
「今回の異変のことは分かっているわよね?」
「ん?あぁ、幽香の家で教えられたからな」
「異変での被害のことなのだけれど―――
その言葉を聞いて雪は少し真剣な顔になる。いつもは適当に流すような事だが、自分のドッペルゲンガーが現れたから他人事ではない
「―――人里の子供たちが何人か居なくなっていたのよ」
「そうなのか。何時もは人の被害が出ることは少なかったらしいな」
「えぇ、今回は異例だったから。あちらも必死だったから」
被害がないかと思っていた雪は楽観的だったと後悔した
が、過ぎてしまったことはどうすることも出来ない。切り替えよう、と思い再び立ち上がる
「宴会はいつやる?」
「夜よ。ちゃんと来てね?」
「覚えていたらな?」
紫に背を向けて永遠亭から出る
そして夕方になるまで基本の型を繰り返していた
そして博麗神社へと続く階段前
「此処か。まあ神社だから長いだろうとは思っていたが、想像の上に行ったな」
(まあ幼少期の特訓に比べれば楽でしょう)
「簡単に言ってくれるな」
愚痴を言いながら一段一段ゆっくりと登っていく
登り始めて10分。雪の目線の先にはまだまだ階段があり、終わりが見えない
「こんなにかかるものなのか?」
(どうでしょう。目算で約5分で登れると思ったのですが)
「だよなぁ。仕方ない。あまりやりたくないけど……!」
雪は白雪に確認しながら歩くが、景色が全く変わらない
嘆息しながら白雪の力を使い、雪の両足を起点に階段が凍っていく。が、途中から先に進まなくなる
「そういう事か……!」
雪は何かを察したように白雪を手元に出し、居合いの構えを取る
「真楼の居合 瞬絶」
白雪の刃に霊力を薄く纏わせ、居合抜きとともに、針のように鋭く放つ。結界の壁みたいのところに霊力が当たると共に、ビキィと結界に穴が開く
「後ちょっと!」
雪は一瞬で穴の近くに移動すると手を入れ、無理やり横に手を動かす。強固な壁をえぐっていくような感覚とともに結界を破壊する
すると、雪の視界の光景が階段から賑やかな宴会の会場へと変化する
「やっと来たわね。主役が遅れてくるんじゃないわよ」
「そうだぜ。全く何をやっていたんだか」
と、雪が呆然としている時に2人の少女に話しかけられる。前の異変の時にドッペルゲンガーの方と戦ったことがある。雪は、溜息をつく
「階段に障害物があったから遅れたんだ。仕掛けたやつが悪い」
「知らないわよ。時間通りに来ない方が悪いわ」
「しっかりとした時間を伝えられていないんだがな。夜まであと半刻はあるだろ」
「私たちの中では遅いほうよ」
「いや知らない」
雪は会話しながらあることに気づく
「まあ、急に視界が変わったら驚くよな?」
「まあ、そうね」
「だからこれは不慮の事故な」
雪は足元を見ながら言う。先程急な景色の変化に白雪の力を解除するのを忘れていた
結果……雪の足を起点として未だに地面が凍っていく
「ちょっとあんた早く止めなさいよ!」
「もう止めたよ」
騒がしい合流となり、それから半刻後、宴会が行われた
side 雪
宴会開始の合図をおれがやることになった。なんでだよ
「当たり前じゃない。今回は貴方がMVPなんだから」
「いや、知らない。俺は適当にお茶でも飲んで涼んでいる予定なんだが」
「知らないわよ。はい、マイク」
「叩き割るぞ」
「その場合は他のを持ってくるわ」
「あ、そう」
これは何をやっても無意味だわ
というわけでやることになったが……何言えばいいんだよ
とりあえずマイク片手に何言えばいいか考える
「えー、あー、異変が終わったことにかんぱーイイイ!」
俺が最後まで言おうとした時に背後から強烈なタックルをされる。そのまま前に倒れて顔面をぶつける
誰だよ。顔を上げてぶつかってきた奴を見る
「すみません。大丈夫って雪でしたか」
「なら問題ない」
「何がだよ」
俺にぶつかって来た奴らがすごく見た事のあるヤツらだった。以前であった時と全く変わっていなくていつも通りに受け答えをしてしまった
1人は平均的な身長で平均的な肉付きの顔が整った紳士風のイケメン。白い手袋を手につけており、その手を俺にさしのべている
もう1人は小学生と間違われても違和感のないほどの小さな体格である仏教面の子供。俺に興味が無いのか周りを見回して居る
この2人には浅からぬ縁があり、幻想郷に来る前に一番交遊していた兄弟
「久しぶりだな燈、禊」
「えぇ、一日ぶりです雪」
「1日って久しぶりに入る?」
命雛兄弟が幻想郷に来た
「皆さん初めまして。私は命雛 燈と申します。こちらは私の双子の弟の命雛 禊です。この度は雪がご迷惑をおかけしませんでしたか?」
「お前は俺の保護者なのか?おい」
「……」
燈が幻想郷の奴らに挨拶をしている最中に禊は近くの食べ物を勝手にとって食べていた。ふーむ、こんなことをするようなやつだったか?まあやってたな。俺も弁当のおかず勝手に食われてた
「自己紹介ありがとう。私は博麗 霊夢よ。アンタ達どうやって幻想郷に来たの?」
「ここは幻想郷と言うのですか」
「博麗?」
「博麗神社の巫女様だ」
霊夢が前に出て燈に問い詰める。禊に行かなかったのは無表情で考えがわかりずらく、燈の方が話が通じそうだと思ったからだろうか
「私達はつい先程、雪が居そうな所を探していたのですが、全く見つからなかったのです。それで、もしかしたら異世界に移動したとメリーさんが言ったので、心当たりのある博麗神社に来たら、何かの境目でしょうか?その中から何か聞き覚えのある雪の声が聞こえたので閉じてしまう前に入ってきたのです。どうやらその境目は閉じてしまったようですが」
燈が簡潔に説明すると、霊夢が眉間を抑えて呻く
「それは異変の影響ね。まだ綻びがあったなんて……」
(ザルだな)
(辞めてあげてください)
(こいつ直接脳内に)
(このあとどうしよう)
しばらく会わなくなっていても意思疎通は自然にできていることに不覚にも笑ってしまう
「なんでしょうあの3人は……」
少し離れたところで俺たちの心を読んでいたさとりが驚いている。ホントになんで出来るんだろうな
「ん、あ?おい燈」
「どうしましたか?」
「お前さっきなんて言った?」
「いつでしょうか?」
「俺にぶつかってきた時に言ったことだよ」
「確かその時は『えぇ、一日ぶりです雪』でしたよね」
……おかしいぞ
「燈……俺が居なくなってそっちだとどれくらい経った?」
「まだ一日ですよ。正確に言えば20時間ですが」
しばらく絶句する俺。おかしい。おかしいぞ
「雪は何日経った?」
「……5日くらいだ」
「ふむ、これはなかなか……」
3人で考える様に顎に手を当てる
そこに傍観していた紫が割ってはいる
「どんなことが起きているのかがわからないけれど外の世界とこちらの世界の時間の流れがおかしくなっているようね」
「なんか少し老けたような気がする」
「お変わりは内容ですが?」
「いつかで急激に老けるとかどんな現象だよ」
こんなやりとりも懐かしくなるな。やはり幼なじみは話しやすいということか
「なんとか直したわ。これで変わらないと思う」
「仕事が早いようで」
さっさと仕事を終わらせた博麗の巫女様に賞賛を言うと伸びをする
「さて、宴会には参加したし、紫約束通り帰してくれ」
俺が紫にそう言うと、紫と霊夢が視線を外す。おいまさか
「紫、言ってなかったの?」
「いや、言ったら殺されるかもしれなかったし……」
「全く……」
霊夢は肩を落としながら平然と言う
「幻想郷に来た人は私によって元の世界に戻すことが出来るけれど、例外があるわ」
「…………例外?」
「それは能力を持っている奴を外に戻すことが出来ないの。私がやろうとしても何故か結界が弾くの」
その言葉を聞くと同時に燈と禊の方を見る俺
「・・・」
「へー」
燈は固まってしまっている。いや、正確には高速で頭を動かしているんだろう。燈は全力で頭を動かすと、固まったかのように動かなくなる
禊に関してはどうでもいいと思っているのか目の前に広がっている料理に目を向けている。気の抜けた返事付きで
「これは……なるほど。俺たち帰れないかもな」
「いえ、できるかもしれませんよ」
燈が動き出すと博麗神社の鳥居の前まで歩く
「ここから出るのですよね?」
「そうだけど、それが?」
燈は目を閉じると右手を前に突き出す。そしてゆっくりと手を下ろす
すると、鳥居の向こうの景色が変わる
鳥居の向こうは見覚えのある街がある。時刻は昼なのかかなり賑やかだ。そう、賑やかなんだ
「メリー見てよ!急に境目が出てきたわ!」
「やったわね蓮子!」
2人の声が賑やかなんだ。もう声聞いただけでわかる。というか名前を呼びあっているし嫌でもわかる
「な……どうやったの?」
幻想郷と外の世界を隔絶する強力な結界をたった一人の人間に開けられたんだ。霊夢と紫だけでなく、それを見ていたほとんどのものが驚いていた
「なるほど、私の能力はこういうものですか」
燈は1人納得するように満足気に頷くとこっちを振り向く
「私の能力は願いを叶えるものに関するものらしいです。さぁ、禊、雪帰りますよ」
「うん」
「あー、みんなじゃあな。すっごく雑な感じの別れだけどまあ楽しかったわ。戦わなければな。今後来る機会なんてないだろうけど来たらゆっくり観光する」
そういって返事を待たずに、鳥居をくぐる。そうすると一瞬だけ変な感覚が俺を襲ったが、直ぐになくなる
「んー……ただいまマイワールド」
「アハハ雪何言ってるの?」
「マイワールド……」
「さぁ帰りましょう。これから雪は大変なことになりますよ?」
「……うわぁ」
帰ってきた俺たちを迎える蓮子とメリー。この二人を見るのも五日ぶりだろう。まあ変わりがないようで良かった。俺が老けたみたいな事になるかもしれないし……
燈の言葉に頭を抱える。これから裁判や学校とかの問題がある……バイトのことも考えないと
そう考えると頭が重くなる
けど、まあ未来の事なんて考えるだけ面倒臭いだけだ。降り掛かる火の粉を払っていっていけば良いか
「雪何やってたの?」
「これから家どうなるのかね?」
「さあな。俺は知らん」
秘封倶楽部の二人の質問に答えながら1度後ろを振り向く
そこには博麗神社の鳥居があるだけだ。鳥居の先には古びた神社が見える。さっきまで人外魔境の神社は見えない。燈が開けた穴は霊夢が閉じてくれたんだろう。多分
「さて、これからどうなるかね」
そっと呟きながら4人について行って行く
「さて、松戒は死んだ。さて、どうしたものか」
「あれ?何でしょうこの小包は……お姉様に見せてみよーと!」
「約束を守りに来たよ、氷霧!」
「さて、私のいとこは元気かね」
「はぁ!」
「……やっと戻ってこられた。影に隠れるのもなかなか生きた心地がしなかったな」
「研究……能力……あぁ!頭が……!」
次回からは新章です。オリキャラ満載です。キャラ濃いなんて日常茶飯事です
ではまた次回!