今回はイルカミア戦です
「それじゃあ始めるか」
「良いよー! 今度は私が勝つからね氷霧!」
「……氷霧じゃない」
「そうだった!」
場所は博咲家の道場。床に誇りはひとつもなく、所々に傷があり年季が入った床。広さはかなりあり、ここでなら激しく動きながらでも戦闘ができるだろう
そんな所に雪とイルカミアが5mの間隔を開け向かい合っている。雪は白雪を出しておりいつでも抜けるように柄に手を置いている
(さて、コイツはどう動くんだ?)
雪が姿勢を低くしてイルカミアの動きに注意を払っていると、イルカミアが動く
初速から残像を残すほどの速さで雪に迫る
「そぉれ!」
「う……おおお!」
予想外の速さで迫るイルカミアの拳を雪は反射的に抜いた白雪でなんとか防ぐ
「なんつー速さだ……」
「まだまだ!」
イルカミアの速さに驚いていると、足払いをかける
「くっ」
足払いをかけられ体が宙を一瞬浮く。その間に白雪を斬り上げるように振るうが、難なく避けるイルカミアは、更に雪の腕をつかみ、一回転してから床にたたきつける
「あーはっはっはー!」
「グッゲホッ」
雪は咳き込みながらも距離をとるために白雪の冷気を道場中に漂わせる
そして瞬間移動しようとした瞬間に、イルカミアが残像を残すほど速さで雪に接近し、後頭部を掴み、額に膝を叩きつける
「……ガハッ」
脳を揺さぶられ、意識が一瞬飛ぶ。その隙をイルカミアは見逃さずに、空中で一回転し、足を伸ばし雪の脳天にかかと落としをする
「どうしたの、こんなもの!?」
「っのやろう!」
床に思いっきり額をぶつけ、血を流しながらもイルカミアから少し距離を取ったところに瞬間移動し、空中にいるイルカミアに攻撃する
「真楼の居合 瞬!」
白雪の刃に薄く霊力を纏わせ、神速の速さで鞘から抜く瞬間に針のようにして飛ばす技。空中にいるイルカミアが避けるには至難の攻撃
それを
「あはははは!」
イルカミアは笑いながら手の甲で弾き飛ばす
「……わぁお」
雪は苦笑いを浮かべる。その隙にイルカミアは床に着地すると同時に、道場の壁に跳びながら壁を蹴り、雪の近くの床に目がけて跳び、雪に回し蹴りをする
「てりゃあ!」
「うおっ!」
雪はイルカミアの真横に瞬間移動し、
「真楼の居合 豪!」
霊力を白雪に大量に纏わせ、そのまま力任せにイルカミアに叩きつけるが……
「そぉれ!」
体を僅かにズラし、回避したらカウンターの拳を雪の腹部にめり込ませる
「ごふっ」
「まだまだまだ!」
イルカミアの追撃の回転蹴りは雪の横腹に吸い込まれ、雪は道場の壁に激突して地面に倒れ込む
(なんつー速さと力だ……これ下手したら勇儀よりも圧倒的に強いかもしれない……)
(雪、これはまずいですよ。なにか対策を講じなければ)
「アッハッハッハッハッ! もう終わりじゃないよね?」
「そうだな……まだ終わりじゃねぇよ」
雪はよろよろと立ち上がりながら白雪を構える。抜刀しており、上段に構え、息を整える
(こいつの速さには勝てない……なら、予め予測しておく。それにそろそろ……)
雪はイルカミアの気配を捉えながら、じっと待つ
「来ないならこっちから行くよ!」
イルカミアが動いた。その瞬間、イルカミアの足が滑る
「えっうわわわ!」
「かかったな!」
雪は先程から漂わせた冷気を床に集め、氷を敷いていた。瞬間的に作ってしまうとどうしても音が出てしまい、イルカミアなら平然と避けれるからだ。なので、雪は時間をかけながら床に氷を敷き詰めていた
「すっごい滑るー! 楽しい!」
「そうかい!」
滑っているイルカミアに雪は瞬間移動してから斬り掛かるが、イルカミアはものすごい速さで回避する
「すばしっこい!」
「ほらほらこっちだよー!」
イルカミアは氷の上をスケート選手のように軽やかに滑っている
白雪の氷で作られているのでいつでも足を止めようとするが、イルカミアはタイミングがわかっているのか、簡単に避けてしまう
「これならどうだ! 真楼の居合 震」
白雪を地面に叩きつけて、氷を震わせ、地割れを起こす
「おっそいよー!」
地割れの中心にいたイルカミアは悠々と回避する
(なんだコイツの異様な回避能力は……未来でも見てるのか?)
「そろそろわたしから行くよー!」
イルカミアは一直線に雪まで跳び、袖を掴む
「速い……が!」
「え? 氷が離れない!」
イルカミアの手には、触れている袖から氷が這い上がって行くように凍らされていく
「散々ボロボロにされてきたんだ……目で追えなくても、お前は直線にしか来ないんだ。それならなんとなくのタイミングはわかる」
「うぅ……あそこまで届かないよお」
イルカミアは弱音を吐きながら身をひねって雪の腹を蹴りあげようとするが、雪が上半身を逸らすだけで回避する
「これで、終わりだ!」
徐々に凍っていくイルカミアの脳天に峰打ちをする
「きゅ〜」
イルカミアはそんな声を出しながら気を失った
「…………疲れた」
雪はそう呟くと、後ろに倒れて眠りにつく
「あの雪これはどういうことですか?」
「幼女と試合しました」
俺が目覚めると、横には寝息を立てているイルカミアが居た
傷の手当は白雪がやってくれていたらしく、包帯が巻かれていた
そしてどうしたものかと時間を見たらなんと既に学校が終わっている時刻だった。なので、携帯で命雛兄弟を呼んで来てもらって現状説明中
「まさか雪が一方的にやられてしまうとは……」
「見た目に寄らないってことだな」
「人間と変わらなさそう」
「私も妖怪は初めて見ますが、人間と姿かたちは遜色無さそうです」
「早いぞーコイツめっちゃ早いぞー」
幻想郷の妖怪も人間と見た目はあまり変わらないやつが多いからな。羽とか角ある奴もいたけど
「これからイルカミアさんはどうするのですか?」
「そこなんだよな。コイツがどうするかって話を聞いておきたい。このまま居座られたらどうしよう……」
「遠縁」
「白雪はそれで賛成だろうけど……」
俺一人でこの妖怪をどうにか出来るか……
「イルカミアさんしばらく起きそうにないですね」
「だな。満足した顔しやがって」
「今日は泊めるの?」
「そうなるだろうな。紫に相談するかな」
俺が紫を呼ぼうとすると、燈が思い出したかのように話し出す
「そういえば知っていますか? この街には夜な夜な悪霊を除霊する日本刀を持った怪異が出るそうですよ」
「なんだその噂話」
「今日聞こえてきた話です。なんでも知り合いがその現場を見たとかなんとか」
「それって具体的にはどこで起こっているのか知っているか?」
「コンビニ前」
「正確にはコンビニの死角になるところですね」
ふーん、と気の抜けた返事をすると、伸びをしてから立ち上がる
「とりあえず幻想郷の方に話してくるからイルカミア見といてくれ。暴れだしたら取り押さえておいて」
「b」
「分かりました」
2人の返事を聞いて俺は白玉楼に繋がる襖を開ける
それから幽々子と紫と話し合ったところ、白玉楼で引き取ることにした。勝負の妖怪という特徴から、幻想郷から出ることはあり得るとのこと。普通はありえないとのことだが、白玉楼に居る限り、外との境界が少し緩くなっているらしい
自分の部屋に戻ると3人が神経衰弱をしている所だったので、混ざって遊んだ
「例の奴はどうだ?」
「説得はできた。後は時が来るまで相手をしてやるだけだ」
「そうか」
クツクツと笑う男の笑い声が部屋に響いた
次回も戦闘です。文化祭はいつになるんだろう