東方終焉雪   作:カミユ

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どうもカミユです!

今回はハチマキ取りイベントがメインです。普通なものな訳もなく……


第50話 文化祭メインイベント

雪と鬼刃が戦闘始まった頃、文化祭のイベントではーーー

 

「うわあ! いつの間にかハチマキが!」

「アイツだ! 俺たち長紅が勝つにはまずアイツを脱落させるんだー!」

 

イベント開始から約20分。翠刹高校と長紅高校の中間地点

 

小さな黒い影が長紅高校の10人の体育会系の集団の中を縫うように動き回っていた。長紅高校の運動部は県大会常連だ。その中でもバレー部、野球部、サッカー部は全体から見ても抜き出ている。それなのに、ほんの数秒のうちに10人中6人のハチマキが奪われた。奪われた6人はその場に崩れ落ちる

 

「生存者は固まるぞ!」

 

生存者のうちの1人が号令をかけて全員が味方に背中を向け、それぞれの方向見るように固まる。号令ひとつでここまでの陣形を組めることにイベントの観戦者は驚いた

 

『流石我らが誇る運動神経化け物十二神将のうちの4人だー! 目にも留まらぬ速さの相手に隙なく全方位を監視できる陣形を取りました!』

『これは良い判断ですね。相手はどこにいるか分からないのでくまなく探す必要があります。何より驚いたのは4人が冷静になっていた事ですね。脱落者は運営部が邪魔にならないように回収しますので、お気になさらず』

『今回のイベントの実況は長紅高校所属(わたくし)日下部 鞠(くさかべ まり)です!』

『翠刹高校所属の草壁 玻璃(くさかべ はり)です』

『おっと! 私達が自己紹介している間にあちらに動きがありました!』

『ああやはり彼でしたか』

 

「うお、何だコイツ!」

 

固まっていた4人のうちのひとりが叫ぶと同時に小さな黒い影がハチマキをまたひとつかすめ取る

 

『彼は翠刹高校の選手です! 玻璃さん、説明を!』

『彼は命雛 禊さんですね。体力測定では全て9点以上をたたき出す化け物です。運動神経という点では翠刹高校のトップです』

『凄い! 凄いです! 禊選手! 運動神経化け物十二神将を翻弄している!』

『こういう勝負で彼に勝つのは今のところ翠刹高校の誰にも無理ですからね。どうすれば良いのか私達にも分かりません』

 

イベント運動部の二人が実況している間にも禊が暴れる

 

『次々にハチマキを取られていく長紅高校の十二神将! 残り1人になってしまった!』

『おや、誰か来ましたね』

『あ、あれはァ!』

 

小さな黒い影ーーー禊が十二神将の4人のハチマキを奪い終わると同時に後ろから物凄い速さで走る音が聞こえた

 

「姉様の勝利の為ー! 君はここで落ちるんだぁ!」

「落ちるのはアンタだよ」

 

走ってきたのは小柄で腰まで伸びた黒髪をツインテールにしている。長紅高校の運動服を着ており、ハチマキが頭に巻かれている。眼鏡をかけている目はギラギラとしており、口元は笑っている

禊は彼女の手に持つ物を一瞥し、舌打ちをする

 

「ルール違反でしょ」

 

『これは長紅高校の運動神経化け物十二神将の1人、湯真崎 由鶴(ゆまさき ゆづる)選手ー! 運動部に所属していないのに運動部レギュラーに匹敵するほどの運動神経を持つ化け物!』

『早いですねぇ。ん? 彼女の右手にあるものはなんでしょうか』

 

由鶴が手に持っているのはリボルバー式のモデルガンだ。もちろん、イベントのルール違反だ

 

『これはルール違反確定です!』

『たった今運営委員の人から何か手渡されました。えーと、なになに? 

 

湯真崎 由鶴さんの使用する物はルール違反になりません。イベント運動部より

 

らしいです』

『な、なんですとぉ!』

『それくらいのハンデが必要なほどの相手ですからね禊さんは』

 

由鶴がリボルバーを回し、自分に向けて発砲する。瞬間、由鶴が霞になって消えるようにその場から消失した

 

「はい、ハチマキゲット!」

「ちゃんと取ってから言おうか」

 

発泡してから爆発的に身体能力が上がった由鶴は、真っ直ぐ禊のハチマキを獲るために手を伸ばしたが、禊は由鶴の手首をつかみ受け流すように後方へ投げ飛ばす

 

「やるねー! 小さいくせに!」

「……ぶっ潰す!」

 

『あー禁句を』

『どうしましたか玻璃さん』

『禊さんの禁句は背を低い等の言葉なのです。背が低いというコンプレックスに触れると尋常ではないほどキレます』

『これは弱点が発覚しました! 由鶴選手はどうするのか!』

 

「さっさと倒させてもらうよ!」

 

由鶴はリボルバーを回し、地面に向かって発砲する

発砲された地面が禊を一瞬で囲ってしまうようにせり上がる

 

「遅い!」

「想定済みだよ!」

 

禊が一瞬で囲ってしまう程の速さの壁を飛び越えようと跳ぶと、既にリボルバーを回して禊の上空に向けて発砲する

すると、禊は空中で何かに阻まれるかのようにぶつかり、地面に戻されてしまう

 

「これは……」

「ふふふーこのリボルバーは特別式でなんか前に送られてきたんだ。君の能力はチート並に強いからこうするのが最適解なんだよね!」

 

眼鏡がキランと輝く

 

「邪魔だ!」

「そう来るだろうね!」

 

禊が怒りのままに壁を殴ると、壁が爆散して破壊されてしまう。が、壁の破片は空中でピタリと止まる

 

「君って単純だから何やるかわかりやすいね〜ま、能力が能力だからそれも仕方ないか」

「……」ピキピキ

「所詮、君は特攻するだけで終わる敗北者……」

 

由鶴が言い終わるよりも早く、禊が動いた。地面を力の限り殴る

禊の拳は地面を割り、亀裂が由鶴の所まで伸びる。先程のせり上がった壁も崩れ落ちる

 

「うそぉ」

「落ちろ」

 

亀裂が更に広がり、由鶴は足を取られ、落ちていく

 

「姉様の為に私はここで脱落するには行かないよ!」

 

由鶴が叫ぶと同時にリボルバーを回し、自分に向けて発砲する。その瞬間に由鶴の姿が消え、近くの建物の上に移動していた

 

「多彩だね……」

「これ本当に便利だね。さあ続きと行こうか」

 

由鶴がリボルバーを回して構える

 

 

『こ、これはなんでしょうか! 最早イベントの攻防ではありません! あなた達ハチマキを獲るのが目的って覚えてますか!?』

『もう異能バトルの域ですねこれは。禊さんはもうこちら側に戻って来れそうにありませんね』

『さーて、こちらの攻防に注目していましたが、他はどうなっているのでしょうか!』

『禊さんの次は燈さんか雪さんが暴れてそうですね』

 

 

 

 

 

 

 

長紅高校近くの大通りーーー

 

「雪の気配が消えましたか。なぜ消えてしまったのでしょうか……」

 

燈は禊がハチマキを取っている間にその横を通り過ぎて長紅高校の近くの大通りを歩いていた。いつもは道を行き交う人々で賑やかだが、今はとても静かだ。燈以外の人がその場にいないからである

 

『どうやら燈選手は大胆にも長紅高校近くの大通りを歩いています』

『燈さんは前に出るよりも後ろで指揮を執っているイメージがあったのでこの行動は意外ですね』

『それにしてもただ歩いているだけで絵になりますね』

『彼は容姿端麗、文武両道で紳士の完璧人間です。どこまでも驚く程に冷静で前に私たちの学校で起こった騒動も変わらずに居られました。ラブレターもこの前1000通を超えたとか』

『そういえば燈選手も能力を持っているという噂ですが、実際のところどうなのでしょうか』

『恐らくあります。前の騒動の時に雪さんや禊さんと同じ結果が出たので。とはいえ、雪さんや禊さんのようにわかりやすいものではないことは確かです』

『今回のイベントで判明することをねがいましょう!』

 

「イベントの趣旨が変わっていませんか?」

 

燈は本来分からないはずの実況者2人に対して的確な指摘をする

 

そこへ建物の陰から一人の男子生徒が現れる。ジャージは長紅高校のものだとすぐに分かる

顔は燈に負けず劣らずに整っており、背中まで伸びた真っ赤な髪を首あたりでまとめている。背丈は燈より高く、180cmはあるだろう

 

「君が命雛 燈君かな?」

「はい。私がそうです」

「俺は麗川 弥(うらかわ わたる)という。よろしく」

「よろしくお願い致します麗川さん」

 

『あー! ここで我らが誇るイケメン! 麗川 弥さん! ここに二校のイケメンが揃ったー!』

『いやー華やかですねー。観客の皆さんも大騒ぎです』

『麗川さんには本人非公式のファンクラブがありまして、彼氏がいない者の殆どの女生徒が所属されているのだとか。一部の例外として参加されていない人もいるとかいないとか。私もそのうちの一人です』

『燈さんのファンクラブもありますね。中には男子生徒もいるとか……』

『そこまでですか!?』

 

「さて、俺は君の足止めをお願いされていてね。済まないが、ここで足踏みしてもらおう」

「それは困りますね。おや? 麗川さん足踏みなんて考えてませんね……私をここで脱落させようとしているように思えますが?」

「なんだ、分かってしまうのか」

 

麗川は肩を震わせて笑い出す。それから獰猛な笑みを浮かべ、構える

 

「さて、君はそちらにとっては大きな戦力だ。そんな君がここで一人になっているならば今脱落させればこちらが大きく有利になる。チャンスは活かさないとな」

 

麗川のセリフを聞き終わった燈は口に手を当てて少し笑う

 

「どうして笑うんだ?」

「いえ、失礼。私なんて翠刹高校の大きな戦力ではないのですが……しかし、ここで脱落する訳には行きませんので、全力で抵抗させていただきます」

 

燈が構えた時には、すでに麗川の懐に入っていた。これを見ていた人は瞬間移動したかのように思っただろう

だが、麗川はそれになんとか反応し、数歩後方へ下がる

 

「中々に好戦的な内面があるじゃないか」

「私は負けず嫌いなので」

 

燈が微笑むと同時にまた動く。それは先程と同等の速さだったが、それを麗川は完璧に反応し、燈のハチマキに手を伸ばす。腕のリーチでは麗川が勝っているため、燈は手を払い除けつつ麗川のハチマキを取ろうとするが、麗川はその手を掴み取る

 

「ほう、1度見せたとはいえ今のを防ぐとは……何か武道を習っていましたか?」

「いや、俺は生まれてから一度体験したことに対応出来ることが出来てね」

「なるほど。ならばこれですね」

 

近距離で会話をしている間に燈は近くに落ちていた小石を視線誘導の為に自分と麗川の目の前を通過するように上に投げる

この状況でなら気にもしない些細な出来事だが、麗川は上を向いてしまう

 

「油断大敵……ですよ!」

「しまっ!」

 

麗川が上を向いてしまった瞬間に燈の手が動く。視界の外側からの攻撃になすすべもなく麗川はハチマキを取られてしまった

 

「……俺の負けか……」

「はい。私の勝ちです」

 

『決まったー! イケメン対決では翠刹高校の燈選手の勝利だァー!』

『ふむ。今のは簡単なミスディレクションですかね。動いてしまうものに反射的に反応してしまう現象でしたか』

『麗川選手は長紅高校に帰っていきます。目にも止まらぬ激しい攻防でしたね草壁さん!』

『細かいところでの駆け引きをお互いがかけており、目を離せませんでした。まあ禊選手と由鶴選手のところは別のところでの駆け引きが凄いですね。もうあそこの地面なんて割れに割れてしまっていますから』

『燈選手はどうやら翠刹高校の方面に歩いていきます。これ以上踏み込むのは厳しいと判断したのでしょうか』

『恐らく雪選手のところに行くのだと思われます。どこカメラにも姿が映っておりませんからね。それを知らずか、探しに行ったのでしょう』

『なるほど。では他の選手のところを見てみましょう』

 

実況者2人が別のカメラを見ると、ミィルとレオの2人が長紅高校の選手のハチマキを縦横無尽に動いて奪っていく

 

「くっそ! 雪はとこにいやがる!」

「雪はどこに……あっぶな!」

「他の奴らにやられてないんだろうなぁ!」

「あ、そこの人後ろにいるから気をつけて!」

 

『こ……これはなんというのでしょうか』

『あー雪の自称ライバルのレオ選手と最近転校してきたミィル選手です。2人とも高い身体能力を有しています』

『運動神経化け物十二神将である人達と同等レベルですよこれは……』

 

実況者である鞠が絶句していると、カメラの端に新たな影が映る

 

『こ、これは運動神経化け物十二神将の6人が集まった! 手には沢山のハチマキが!』

『これは翠刹高校の選手が何人も脱落していますね。ざっと30人くらいやられています』

『長紅高校側も勢いを取り戻してきました!』

『運動神経化け物十二神将の皆さんがミィル選手とレオ選手を追い込んでいきますね。2人も粘っているのですが、時間の問題でしょう。多勢に無勢ですね』

 

玻璃が言うように、ミィルとレオは運動神経化け物十二神将によって押されている。2人の桁違いの運動神経は運動神経化け物十二神将の1人よりは高いが、連携には勝てない

 

「雪に勝つまでは俺は負けられないんだよ!」

「雪に負けた姿なんて見せられないねぇ!」

 

2人が奮闘していると──-

 

「まだ翠刹高校は終わってないぞ!」

「こいつらをここで倒せばこっちに勝ちの目がみえる!」

「こんな所で負けられないよなぁ!」

 

燈と禊以外の翠刹高校の生き残りが全員この場に集まった

その反対の道路から

 

「長紅高校の主軸である6人はやられたが、まだ6人残っている」

「この勢いに乗るしかない!」

「今年は長紅高校が勝たせてもらう!」

 

由鶴以外の長紅高校の生き残りが全員この場に集まる

 

『全員集まったァ!』

『これは総力戦ですね。とはいえ、燈さんがこの総力戦の場に来ているのでまだ戦況は変わっていきます』

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「やるぞー!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

両陣営の雄叫びのような叫びにより最終決戦が始まる

 

 

 

 

 

 

それを翠刹高校で見ていた幻想郷のメンバーは

 

「おーおー、外の世界の奴らも血気盛んだな」

「これは良いですねぇ! 次の新聞にはこれは確定です!」

「ねぇねぇ私もあそこに混ざってもいいかな!?」

「イルカミアさん。それはダメですよ。幽々子様や雪さんに言われているじゃないですか」

 

魔理沙、文、イルカミア、妖夢が一箇所に集まって観戦していた。特大のモニターで繰り広げられる激闘を各々の反応をしながら楽しく観戦していると、急に静かになった

 

「おい周りに誰もいなくなったぞ!」

「あやや……これは人払いの結界でしょうか」

「誰がこんなことを……」

「あ、あそこに誰かいる!」

「おや、バレてしまったか」

 

魔理沙達4人は誰もいなくなった空間で周りを見渡すが、誰も見つからなかった。しかし、イルカミアだけは気配を消した人物を見つけることが出来た

 

「君たちは見たことがない人達だね。ここら辺に住んでいるわけではないだろう。遠くから来たのかな?」

「それはどうかな」

「そうであったとしても急にこんなことをする必要はありません」

「そうだね。だけど君たちからなんとも言えない気配を感じてね。この結界内に招かせてもらったよ」

「これは拉致ですよ」

 

魔理沙達と会話している人物……長身で髪を短く整え、グラサンをかけている白衣を着た男だった

白衣を着た男はハッハッハと笑う

 

「いやなに、君たちには私の実験に付き合って欲しくてね」

 

白衣の男が言うと同時に、男を中心に空間が歪む

 

「こんなことを外でやるのは私としては不都合なんだ。だからこの空間に誘ったのだよ」

「これは紫と同じタイプか?」

「油断せずに行きましょう」

「外の世界にもまだ神秘は残っているんですね」

「さーて、戦おっか!」

 

魔理沙、妖夢、文、イルカミア、白衣の男以外の居ない空間でこの5人しか知りえない戦闘を始める

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……雪は

 

「ハァ……ハァ……」

「どうした、まだそんなものでは無いだろう?」

 

刀を構えて無傷の鬼刃の前で全身から血を流して白雪を支えに立っている雪が息を荒らげながら目の前の敵を睨みつけていた




次回は雪が今に至るまでの戦闘になります。次回はどれくらいかかるのか……
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