地球防衛軍5 俺は普通の一般人です! 作:師匠@ゲーム実況者
師匠です!
気づけばこの作品もお気に入り2,000件突破!UAも50,000を越えるということになりました。
書き始めた当初はこんなことになるなんて思ってませんでした(笑)
今回は軍曹視点。
結構難産でしたので変なところがあるかもしれません。
その際ははっきりとコメントください。
直せるならその場で直しますし、修正が難しければ今後に生かします!
それでは本編どうぞ。
初めてアイツを見たときから、ヤツは何かを持っていると気づいていた。一体その"何か"がなんなのか、俺はすぐに知ることとなった。
自衛のためEDFの基本装備を渡し使い方を教えたあと、脱出のため基地内部を移動していた際のことだ。行く先々で怪物と遭遇、その度に駆除を俺たちは行っていた。
状況が状況なため、もちろんアイツも戦っていた。しかし所詮元民間人、戦うことに慣れていないのか危なっかしい姿を見せていた。だから俺もヤツのことを救助対象としか見ていなかった。
その考えが覆されたのは基地を出てからだった。
基地の外には内部より多くの怪物がおり、隊員たちと戦闘を繰り広げていた。もちろん俺たちも援護のため戦闘に参加した。その最中で俺は見たのだ。
ヤツが相手の酸を跳ね返し、怯んだ隙にスピアを撃ち込むその瞬間を。
その動きの無駄のなさに俺は驚かされた。
さらにヤツはスピアに搭載されているスラスターを利用し、相手の裏取りを許さない動きを見せていた。
それは、経験のない民間人にしてはあり得ない光景だった。
何より驚いたのはヤツの危機察知能力だ。
自分に関する危険はもちろんのこと、ヤツは近くにいる他の隊員の危険すら把握し、カバーを行っていた。
それをみた俺は確信した。
─────アイツは俺たちの
基地を捨ててからの戦闘でその思いは真実味を帯びてきた。
類い稀なる戦闘センスに、周囲の誰かを助けようとするその心意気。
こいつは必ず化ける。そう確信していた。
そしてその考えは見事当たることとなった。
アイツが正式にEDFの隊員として出ることになった初めての任務。ヤツは俺たちと共に戦場に出ていた。
全身をくすんだ金と黒の装甲で包んだヤツは、新人とは思えない雰囲気を纏っていた。
そしてそれは雰囲気だけではなかった。
ヤツはその初任務にて、今まで歩兵によって落とせたことのない敵輸送船を単独で落とすという快挙を上げたのだ。
作戦立案はあくまで俺だ。だが、そもそもその作戦はその場で伝えたとっさにのものであって、あらかじめ伝えていたわけではない。だから、対応できるような装備を持っていたヤツには驚くしかなかった。
それに、その作戦を実際に行えるかは本人の実力に関わってくる。それを踏まえていうのであれば、アイツはやはり切り札となる可能性を多分に含んでいるということだ。
俺は作戦を終え帰投するヤツの後ろ姿を見て、口元を緩ませるのだった。
◇
その後、ヤツの可能性に気づいた上層部は、多くの経験を積ませるため、あえて固定のチームには入れず、多種にわたるチームと行動させることとした。
その目論見は上手くいき、ヤツは数々の任務にて戦果を上げ、経験を積んでいった。
そんなヤツが精神的にも一皮むけたのは、二足歩行のエイリアンが初めて襲撃してきたときだった。
アイツが参加していたレンジャー部隊、デルタチームがエイリアンに囲まれた。
隊員たちはその前の戦闘にて戦力は減退、さらに疲労が残っており、とても勝てるような状況ではない。
その状況下でデルタチームが出した結論が、ヤツ一人を逃がすという選択だった。もちろんアイツはその結論をすんなり受け入れることはできなかった。だが、結果として、そうすることとなった。
アイツは隊員たちの思いの込められたドッグタグを持って一人合流地点へとやって来た。
俺は、アイツがまだ心に迷いを抱えていることに気がついていた。
どれだけ戦果をあげようと、所詮は元民間人。人が多く死ぬこの戦場はヤツにとって非日常な世界だろう。
だから、ヤツがここで挫けるようならば、戦場から下げてやるという考えを俺は持っていた。実際、何人か仲間の死によって心が壊れ、退いていったやつもいる。アイツの心が壊れきってしまう前にどうにかしてやろうという思いが俺にはあった。
だが、ヤツはそこで挫けることはなかった。
敵の殲滅作戦の途中までずっと迷いを抱えていたアイツは、目の前で失われそうになった一人の隊員の命を目にして、迷いを振り切った。
誰も予想してなかった、フェンサーの立体機動で瞬間的に隊員のもとへと移動したヤツは武器を構えていたエイリアンを反撃の隙を与えずに倒した。
そしてその後もその立体機動で敵を翻弄し、倒していた。その姿に多くの隊員が士気を上げ、結果、死者を出すことなく作戦を終えることができた。
そして帰投の途中、俺はヤツについて考えていた。
迷いはなくなった。だが、あの人間に酷似した生命体を躊躇いなく殺すその姿に、俺は不安を感じてしまった。いや、不安ではなく"危険性"、と言った方が正しいか。とにかく、迷いがなくなったことが良いのか悪いのか、俺は判断できなかった。
だが、そんな考えもすぐに捨てることになった。なぜなら、ヤツがウイングダイバーの一人と腕を組んで歩いていくのが見えたからだ。
楽しそうな表情をするウイングダイバーの隣で困ったような戸惑ったような表情を浮かべるアイツはさっきまでの不安を感じさせない、いつものアイツだった。
それを見て、俺は考えを改めた。
ヤツが危なくなりそうならば、その前に俺たちが手をさしのべてやればいい。あのウイングダイバーのように、ヤツに日常を与えてやればいいんだと俺は考えることにした。
「…………俺は俺でやれることをするか」
俺はそう一人呟くと、開発研究部へと足を向ける。
アイツのため、多種の武器の開発を依頼しに行くのだった。
◇
エイリアン襲撃の件で一皮むけたヤツは今まで以上の活躍を見せるようになった。
アイツと任務を共にしたやつは皆、「頼りになるやつ」「期待の新人は伊達じゃない」「ちょっとイカれてるけどいいやつ」などと口にしている。
多くの任務をアイツがこなしていく中、任務を共にした隊員たちの証言で、俺はヤツが戦果をあげている理由が一つわかった。
アイツはフェンサー最大の利点である武器の多様性を最大限に生かしているのだ。
フェンサー以外は基本的に武器を二つしか持つことはない。それ以上持つと行動に制限がかかってしまうからだ。
それに対してフェンサーはパワードスケルトンのおかげで左右に二つずつで2セット武器を持っていくことが可能だ。
だが、いくら多く持っていけるとしても使いこなせなければ意味がない。フェンサーの武器は種類が多く、組み合わせが豊富だ。しかし、使いなれない、と言った理由で武器を毎回固定にしている隊員がほとんどだ。上もそれを理解しているため、部隊ごとに装備を揃えさせている。
しかし、ヤツは違う。毎回任務ごとに武器の組み合わせを変えているのだ。ブリーフィングで得られる敵の種類や地形、それらの情報を考慮した上で武器を選択して戦場へ臨んでいるのだ。
戦いを始める前から有利にして動く、当たり前のことでありながら実行が難しい"理想"というやつをヤツは実行しているのだ。
多くの武器を使いこなすヤツは、順応性・適応性が他の人間よりずば抜けているのだろう。そう考えればあの実力にも納得できる。
だが、それがすべてよい方向へ向かっているわけではない。残念ながらヤツは悪い方向でも吹っ切れてしまったようだった。
その証拠が今日起こった事件である。
それは作戦を終えた複数の部隊が合流し帰投している最中のことだった。
海岸線沿いにて赤色α種が出現。現場の判断にて戦闘に移ろうとしていたその時だった。
突然ヤツが武器を構えて敵中心地へと特攻。アクティブとなった赤色α種とそのまま戦闘へと移ってしまったのだ。
普通に考えればこれは重罰行為である。
しかし、現場の隊員たちの証言からあれが度重なる無茶な出撃によるストレスの蓄積が原因だったらしいこと。そして、ヤツのその行動により敵のターゲットが分散し、戦いがスムーズかつ安全に進んだことにより、今回は特例で罰則はなしということになった。
だからといってなにもしないというわけにはいかないため、俺が付き添う形でヤツと作戦本部長での回線越しでの会合を行うこととなった。
会合自体は長くなく、今回の件についての注意とこれまでの功績についての話だけで終わった。
そしてヤツが去った後、残された俺と"あいつ"は親密に会話を交わす。
「軍曹、アイツは思っていたより普通のやつだな」
「どういうことだ?」
「いや、戦果や今回の件を聞き、俺はどんな戦闘狂が出てくるのかと想像していたが……どこにでも居そうな、そんな青年が来たものでな。少し拍子抜けしてしまったよ」
「確かに、これといって特徴のないやつだからな、アイツは」
俺と本部長はさっきまでいたアイツの姿を思い浮かべ二人して苦笑する。
「だが、アイツは英雄の素質を持っていると俺は思うんだ」
「……ほう、それはなぜだ?」
俺の言葉に本部長は純粋な疑問を抱く。
そんなやつに、俺は確固たる答えを口にする。
「───自分の命すら危うい極限状態の中、誰かを気にして助けようとする。そんなヤツが英雄になれないはずがないだろう?」
アイツは民間人の頃からそうだった。
戦いなんて経験したことがなく、その場の誰よりも恐怖を感じてたはずなのに、どんな危険な状況でも、それでも目の前で危ないヤツがいたら手を出してしまう、そんなバカみたいにお人好しなやつだった。
けど、そんなやつだからこそ、多くの仲間たちに認められ、愛されているんだろう。
俺の言葉に、一瞬虚を突かれたような表情をするやつだったが、すぐにフッと笑みを浮かべる。
「……そうだな。あの新人なら、俺たちを救う英雄になってもおかしくはないな」
「ああ、アイツはきっと俺たちにとっての
「……そうだな。近々、夜間任務があり、その作戦はスプリガン隊を向かわせようと思っている。あの新人にはそれに参加してもらおうと思うのだが、どうだ?」
「権限はお前の方が上だろう……。まぁ、ヤツならスプリガン隊と行動を共にしても問題はないだろう」
「そうか。ならそう通達しておこう」
こうして、ヤツのスプリガン隊との合同作戦の予定が決まった。
そして、任務後のスプリガン隊の報告から、俺の予想は正しかったことが証明されたのだった。
◇
今日、俺は確信した。
アイツは────ソウゴのやつは隊長としての資質さえ有している、と。
今日あった山岳部での作戦にて、俺はその判断を下すことになった。
久しぶりにアイツと作戦を共にすることとなり、いい機会だということで俺はヤツを観察することにした。
今まで聞いてきた情報通り、ヤツはブリーフィングの時点で色々考えているようで、考え込む表情になっていた。
俺は今回の任務がちょうどいい機会だと考え、現場にてやつに考えていることを開示するよう言った。
ヤツの考えていた作戦はシンプルだった。
固定砲台となる誰かがアンカーを攻撃し、こちらへと向かってくる怪物をその他の者で抑え込む、といった作戦だった。
ヤツはその作戦を最悪一人でも行おうとしていたのか、狙撃武器と殲滅武器をセットで装備していた。
しかし、実際に行われたのはヤツ一人を固定砲台として全員で護衛するという結果だった。
その結果、想定された作戦時間を大幅に短縮することとなった。
驚くべきは、ヤツの考えた作戦に誰も異を唱えることなく実行に移したことだ。アイツはまだ新人。にもかかわらず、ヤツの作戦に誰もが賛同した。それは相当の信頼がなければ実現しないことだ。
ずば抜けた戦闘センス。強い人助けの意識。高い洞察力。
それに加えて、周りからの強い信頼に作戦思案に長けた思考。
隊長としてやっていくために必要な要素が揃っていることに俺は気がついた。
「(これは…………ヤツに隊長を任せてみるのもありかもしれんな)」
多くの隊員に囲まれ称賛を受けるヤツを見て俺はそんなことを思った。
帰ったら、本部長であるあいつに、真面目に思案するよう提案しよう。今はまだ少し早いが、そう遠くないうちに、ソウゴのやつもチームを持つにふさわしい存在になるだろう。
そんなヤツの未来を想像しながら俺は基地へと帰投するのだった。
つづく
はい、というわけでお送りしました軍曹回。
結構詰め詰めで書いてしまったのでぶっちゃけ上手く書けてる気がしません……
そのへんご容赦願います。
個人的にゲームやってて、軍曹と作戦指令本部長が親しげな会話してたので、その辺を考慮して今回は書いてみました。
たぶんあの二人は同期かなんかなんじゃないかな?と想像しながら書いてます。
前書きでも書きましたが、お気に入り2,000件&UA50,000突破ありがとうございます。
今後も頑張って続けていきたいと思っております。
しかし、自分は4月から社会人として働き出すので、4月以降は更新がゆっくりになると思われます。
3月中に出来るだけ進めるつもりではいます。
そんな感じですが、これからもよろしくお願いいたします。
次回はやっと主人公視点に戻ります。
更新は水木辺りを想定しておりますので、お待ち下さい。
ご意見ご感想お待ちしてます!
ほんじゃ、またな!!