魔法少女まどか?ナノカ   作:唐揚ちきん

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第百十一話 私たちの最愛の恋人 後編

「政夫。別働隊Aがマミを捕捉、別働隊Cが織莉子を捕捉したよ。二人とも命に別状はないみたいだ」

 

「そっか、よかった。なら、後はほむらさんだけだね」

 

 ニュゥべえに乗って、空中を飛び回りながら瓦礫に満ちた街並みを見回す。どうにもほむらのソウルジェムの反応が微弱になりすぎてニュゥべえにも捕捉するのが難しいらしく、ほむらだけが見つかっていなかった。

 おまけにショウさんの支配から外れたワルプルギスの夜の使い魔に狙われたせいで、多少時間を食ってしまった。

 内心、焦りが胸を焼く。ただ、まだ『ソウルジェム』の反応が微弱ながらある以上、死んだり、魔女になったりしていないという確定している分マシだ。

 しかし、悠長なことはしていられない。ワルプルギスの夜は未だ健在のまま、空に鎮座している上、先ほどからワルプルギスの夜の使い魔もニュゥべえが合間合間に片付けているが、まだ僅かに残っている。

 

 

「キャハハハッ!」

 

「邪魔だよ」

 

 鬱陶しく、襲い掛かる使い魔をニュゥべえは耳から生える触腕で()ぐ。一撃で腹部にあたる部分を貫通させて倒し、一体、また一体と数を減らしながら、空を泳ぐようにニュゥべえは移動する。

 僕はその背中で忙しなく、真下の瓦礫の中からほむらの姿を探す。

 

 ――見えた。

 瓦礫の山の中、ニュゥべえに目を弄られたせいか視力まで上がったようで、黒髪を大きく乱したほむらの姿を確認する。

 遠目から見ても分かるほどに傷だらけで額からも血を流していた。その顔には絶望の色が浮かび上がり、肉体以上に精神が疲弊しているのが分かる。

 すぐにでも抱きしめて安心させてあげたい衝動に駆られ、手綱を握りこんだ僕はニュゥべえを急かす。

 

「ニュゥべえ」

 

「分かってるよ、政夫。――――政夫! あれ!」

 

 急に声を荒げたニュゥべえの声に、弾かれたように僕は顔を上げる。

 そちらを見れば、倒れているほむらの上空にビルの残骸が浮いていた。今まで不気味な沈黙を保っていたワルプルギスの夜が再び攻撃を開始したのだ。

 さあーっと血の気が引いていく音を僕は感じた。

 

「ニュゥべえ! 急いでっ!!」

 

 僕がそう言う前に既にニュゥべえは加速を始めていた。展開された風圧や重力などから僕の身を守ってくれる魔力の膜があるおかげで振り落とされずに済むものの、周りの景色が急激に移動して見え、猛烈な眩暈(めまい)を感じた。

 巨大なビルの残骸はほむらの小さな身体を押し潰すために振り下ろされる。落下するしていくその塊の隙間を掻い潜るようにニュゥべえは進む。

 加速したニュゥべえがほむらの元に辿り着くと、瓦礫に埋まっている彼女の両脇に耳から生える触腕を突っ込み、器用に動かして僕の方へ差し出す。

 僕は即座に手綱から片手を外し、魔力の膜の内側に引き込むべく、渡されたほむらを片腕で強く抱きしめた。

 すぐさま、再加速してその場から離脱と僕らの後ろでビルの残骸が瓦礫の海にめり込む音が響く。

 腕の中のほむらはしばらく現状が把握できていないようだったが、生気のない弱々しい瞳に僕の顔が映りこんだ瞬間、その紫の瞳は驚愕に彩られた。

 

「ま、さお……? どうして、ここに……?」

 

「助けに来たんだ。白馬に乗った王子様じゃなくて、ごめんね」

 

 おどけて軽口を叩くと、ほむらは涙腺の堤防が決壊したように大粒の涙をこぼす。

 

「……私にとっては同じよ。貴方は私の王子様なんだから」

 

「こんな性格の悪い王子様がいる国があったら嫌だよ」

 

 両方の腕で僕の首をかき抱くほむらの背中を優しく叩く。傷だらけの身体を労うように愛を込めて。

 彼女の小さくて細い身体は震えていた。辛かったのか、不安だったのか、心細かったのか、それともそれら全てなのか。

 どれが理由だとしても、僕はほむらの心をそれらから解き放ってあげたい。そのために僕はここに来たのだから。

 

「ニュゥべえ……ほむらさんのソウルジェムを」

 

「うん」

 

 そっと触碗がほむらの手の甲の菱形のソウルジェムに触れる。すると、そこから黒ずんだ不定形の(まや)が沸きあがり、ニュゥべえの中に吸い込まれていく。

 

「え? これは……」

 

「ソウルジェムの穢れの『分離』だよ。原理はグリーフシードと同じ、負の感情エネルギーを吸収する。その相手がニュゥべえになっただけ」

 

「ニュゥべえ……? 」

 

 僕が説明するとほむらは怪訝そうな表情を浮かべ、ばっと自分が乗っかっているものをまじまじと凝視した。 

 

「!? この白いもの、インキュベーターだったの……!?」

 

「ほむら。ボクをまだその呼び方で呼ぶ気なら、この場で振り落とすよ?」

 

 不機嫌そうに首だけを動かして、背中に乗っているほむらを睨んだ。ニュゥべえは『インキュベーター』という呼び方を心底嫌っているから無理もない。

 ほむらの方はニュゥべえの顔を見たおかげで本当に自分が乗っている存在がニュゥべえなのだと理解したようで呆然としている。

 僕が背中を叩くと、正気に返り、ニュゥべえに謝罪した。

 

「ごめんなさい。つい、前の癖で……」

 

「もう言わないでよ」

 

 殊勝に謝るほむらとニュゥべえの組み合わせは前にも一度見たものの、いつ見ても新鮮に見える。ニュゥべえになった後も、ほむらは彼女のことをインキュベーター扱いしていたせいで二人の仲が良くなかったからだろう。

 非常に心温まるシーンだが、そうも言ってはいられないようだ。

 僕らを睥睨(へいげい)するワルプルギスの夜が動き出した。

 

「政夫……ワルプルギスの夜が正位置に戻ろうとしている」

 

 ニュゥべえのその台詞に戦慄を覚える。

 『逆さまになった人形が上部になるように回転したとき、地表の文明はひっくり返される』――ニュゥべえに前に聞かされていた最悪の展開。

 もしもそうなってしまえば、見滝原市だけではなく、文字通り世界が滅ぶだろう。

 

「政夫……」

 

 ほむらは不安な顔で僕を見つめる。彼女が文明の滅んだ光景を見たのかは知らないが、ワルプルギスの夜の行動で何もかもが壊されるということは理解しているようだ。

 僕は背中を撫でながら安心させるように微笑んでから、浮かべる笑みの種類を変えた。

 微笑から、牙を剥くような獰猛な不敵な笑みへと。

 

「……これを待っていたんだ。ニュゥべえ――『メーデーの朝陽(あさひ)』を行うよ」

 

「そう言うと思って、既に『アンカー』は手配していたよ。あとは政夫の号令次第だ」

 

「流石だね」

 

 本当に頼りなる相棒だ。以心伝心のやり取りが非常に心地良い。

 それでは気遣いに甘えさせてもらい、僕はニュゥべえに伝える。

 

「それじゃ……アンカー射出!」

 

 僕の言葉と共に突如として、宙に浮かぶワルプルギスの夜の真下の砕けた建造物から巨大な(いかり)のようなものが五本ほど飛び出し、ワルプルギスの夜の巨体に突き刺さる。

 碇は槍のような穂先に、その両脇にカギ爪のような反りの付いた部分が付属してあり、刺されば容易に抜けはしないだろう。鎖にあたる部分はリボン状になっており、ピンと張ってワルプルギスの動きを完全に封じていた。

 それは杏子さんの槍と呉先輩のカギ爪と巴さんのリボンをニュゥべえが模倣し、無理やり結合させた混合物。ワルプルギスの真下に待機していた別働隊のニュゥべえが生み出した複合魔法だ。

 この『アンカー』には三つの役割がある。

 一つはワルプルギスの夜が反転するのを防ぐこと。二つ目は付加してある呉先輩の速度低下の魔法をワルプルギスの夜に当て続けることによって、動きや行動を遅くすること。

 そして、三つ目は――。

 

「ニュゥべえ。ドレイン開始」

 

 ワルプルギスの夜が文明をひっくり返すために使おうとしていた魔力を、そのまま、そっくり吸収すること。

 ソウルジェムの穢れの吸収と何ら変わりはない。何せ、ソウルジェムの穢れも、魔女の魔力、ただの感情エネルギーなのだから。

 これにより、相手の行動の制限、相手の弱体化、こちらのエネルギー補充の三つを同時に行うことができる。

 見れば、ワルプルギスの夜はアンカーに繋がれてから急激に動きが緩慢になり、傾げたままの状態で風船のように吊るされている。

 アンカーを外そうと暴れようとしているようだが、速度低下の魔法のせいで動きが遅くなっているのとエネルギーが吸われているので思うような効果は出せていなかった。

 纏っていた紺色の衣服のようなものは端の方から僅かに削られて行っている。

 

「一体、どうなっているの?」

 

「僕らが下準備をしていた『ワルプルギスの夜対策』が功を奏したんだよ」

 

 ひたすら唖然とワルプルギスの夜を見つめるほむらに僕はそう言った。

 するとほむらは視線をばっと僕に移すと、驚愕に満ちた声で尋ねてくる。

 

「まさか……政夫はたった一人でワルプルギスの夜を打倒する気でいたの!?」

 

「ドレイン完了したよ。砲台(・・)の方も」

 

 ほむらの疑問に答える前にニュゥべえの報告が入った。僕はほむらに苦笑を一つ落とし、ニュゥべえに最後の号令をかける。

 

「『メーデーの朝陽』――……一斉射!」

 

 見滝原市に居る全ての魔法少女の姿のニュゥべえがワルプルギスの夜を中心にするように空へと飛び上がる。その誰もが巴さんの巨大な『ティロ・フィナーレ』を模倣した巨大な銃を構えていた。

 今のニュゥべえは全ての個体がリンクしている。即ち、魔法少女から吸収した穢れも、ワルプルギスの夜から吸収した魔力も全ての個体に行き渡っている。

 

 ――世界を滅ぼすほどの自分のエネルギー、そっくりそのままお返ししよう。

 

 全方位から向けられた銃口は寸分の狂いもなく、標的へと真っ白い弾丸を放つ。

 白く、白く、どこまでも真っ白い……暗闇に差し込む朝陽のような無数の弾丸たちはワルプルギスの夜を抉り取る。

 僕にはそれが世界中の陽光が集約されたかのような激しい光が『夜』を食いちぎっているように見えた。

 

「キャ――ハハ――……ハハハ――!!」

 

 嘲笑のように聞こえた鳴き声は今や悲鳴のようにしか聞こえない。

 眩い光のカーテンが剥がれた後には、ドレスにも似た衣服は消滅しており、中央の歯車が惨めに剥き出しになっていた。

 その歯車さえ、(ひび)が入っていて、回転するのもやっとのようで今にも砕けそうだ。

 

「そんな……あのワルプルギスの夜が……」

 

「何をぼうっとしているの? ほむらさん」

 

「え?」

 

 呆けているほむらに僕はそう言うと、ニュゥべえに合図をする。

 ニュゥべえはこくりと頷き、尻尾でずっと持っていたものをほむらに渡した。

 

「これ……あの時に落とした私のRPG」

 

「これはおまけだ。と言っても放出できる魔力はもう微量だけどね」

 

 ニュゥべえの耳から生える触腕がほむらの手にあるロケットランチャーに触れた。一瞬で黒かったその砲身は純白に変わる。多分、魔力を付加してあげたのだろう。なかなか粋なことをする。

 それを持ったまま、僕へ(うかが)うように見つめるほむらに言った。

 

「最後は君が決めるべきだ。魔女を倒すのは魔法少女の使命なんだろう? ぽっと出のエキストラに何もかも持って行かせないでよ」

 

 僕らで決めては意味がない。これはほむらの因縁の相手なのだ。彼女の手で決着をつけなければ、それこそ茶番だ。

 ほむらはそんな僕の意図を酌んでくれたようで決心した目をすると、僕の腕から離れ、白くなったロケットランチャーを構えた。

 

「政夫。……支えていてくれるかしら」

 

「……うん」

 

 僕は彼女を背中から包み込むように抱きしめる。

 強く、強く、愛を込めて。

 ワルプルギスの夜と呼ばれた魔女に引導を渡すべく、ほむらは引き金を引いた。

 歯車は砕け散り、無数の黒い少女の影のような姿になり、そして、掻き消えるように消滅して行った。

 

「――キャ――ハ――…………」

 

「さようなら……」

 

 ほむらの頬を水滴が滑り落ちる。その涙の意味は僕には分からない。

 ただ複雑で言語化できないような万感の思いが込められていることだけは読み取れた。

 彼女にとって、ワルプルギスの夜はただの敵ではなかったようだった。

 持っていたロケットランチャーを手放し、ほむらは振り返り、僕の胸に縋り付いた。

 黙って僕は彼女の頭をそっと撫でる。

 

「よく……今日まで頑張ったね」

 

 最初の『鹿目まどか』との約束をほむらはようやく果たすことができた。それは彼女が迷い込んでいたどこまでも長い迷宮からの帰還を意味していた。

 今まで空を覆っていた暗雲が少しずつ、(ほど)け、太陽の光が顔を出す。

 まるで一人の少女の長い旅路の終わりを祝福ように、涙を流す横顔を照らした。

 

 

 しばらくした後、僕らはニュゥべえに近くの地面に降ろしてもらった。そこにはショウさんを含めた魔法少女の皆が既に待っていてくれた。

 

「終わったんだな。アタシらは結局あんまり役に立たなかったけど」

 

「そんなことないよ。杏子さんたちが居たから、僕はここまで大規模な計画が立てられたんだ」

 

 ふざけて拗ねたような口調で言う杏子さんに僕はそう笑いかけた。嘘偽りのない、僕の本心だ。

 一人で何でもできるなんて思っていた頃の僕にはとてもここまでできなかっただろう。誰かに支えてもらっていると思っていたからこそ、ここまでやり遂げることができた。

 

「ワルプルギスの夜が倒せたのはここに居る皆のおかげよ。本当にありがとう」

 

 僕に追随するようにほむらも言う。他人を拒絶していたあのほむらが労いと感謝を述べられるようになるとは、ほむらを嫌っていた時の僕では考えもしなかっただろう。

 皆はそれを聞き、微笑を浮かべた。

 ニュゥべえがすっと僕らの前へやって来て、僕に尋ねる。

 

「政夫。……いいかい?」

 

「うん。やってあげて」

 

 魔法少女システムを完全に掌握した本当の目的を実行してもらうよう、ニュゥべえに頷いた。

 ニュゥべえはそれを聞くと再び前に向き直り、皆への話を始める。 

 

「最後にボクから魔法少女の皆にプレゼントを一つあげるよ。皆、ソウルジェムを出して」

 

「俺はねぇぞ」

 

「ショウさん。そういうボケは後にしてください」

 

 片手を上げて、真面目な表情で寝ぼけた発言をするショウさんを(たしな)めつつ、僕は一歩下がって脇に逸れる。

 皆、ニュゥべえを信用しているのか、ほむらさえも渋るそぶり見せず、次々に自分のソウルジェムを預けていく。

 ニュゥべえは魔法少女たちのソウルジェムを全て受け取ると、器用に尻尾で包むように持つ。

 そして巴さんの前に来て、彼女の黄色のソウルジェムを耳から生えた触碗で持って向けた。巴さんはよく分からないと言った表情でそれを見守る。

 

「じゃあ、まずはマミからだ」

 

 ニュゥべえは両の触腕で挟み込んだソウルジェムをぐっと巴さんの身体に触腕ごと押し込んだ。

 

「え!? これ……まさか」

 

 黄色い光を輝かせながら、ソウルジェムは巴さんの中へ吸い込まれるようにして消える。それと同時に巴さんの魔法少女の衣装は見滝原中の制服に変わる。

 驚いて、自分の豊満な胸を触るが、そこにはあの黄色い宝石はなかった。

 ニュゥべえは今度は巴さんではなく、他の魔法少女の前へと行き、また同じようにソウルジェムを体内に押し込んでいく。

 最後にほむらのソウルジェムを入れたニュゥべえは大きさをいつも通りのマスコットサイズに戻って僕の肩に飛び乗る。

 僕は両手を広げて、少しだけおどけるように言った。

 

「奇跡も魔法もない世界にお帰り、元・魔法少女の皆さん」

 

 数秒間誰も口を開かずに僕を見つめた皆の中、代表するように巴さんが僕に尋ねる。

 

「私たちは……もう魔法少女じゃないの?」

 

「ええ。もう貴女たちは魔女と戦わなくていいんです」

 

「普通の女の子みたいに遊んだり、楽しんだりしても……?」

 

「もちろんです。恋なんかも自由ですよ。命懸けの戦いなんてしなくていいんです」

 

 それを聞いて、顔を覆って泣き出す巴さんの肩に僕は優しく、労うように手を置いた。

 

「今まで街を守ってきてくださって本当にありがとうございました」 

 

「夕田君、ニュゥべえ……ありがとう。本当にありがとう」

 

 この人も、ずっと魔法少女たらんとしていた重責からようやく解き放たれた。これからは自由に楽しく生きて行ってもらいたいと思う。

 杏子さんはショウさんと嬉しそうに抱き合い、呉先輩と美樹は驚いたままお互いの腰元を触り合い、織莉子姉さんは静かにそれを見て微笑んだ。

 そうして、横を向くとほむらがまた泣きそうな潤んだ瞳で僕に抱きついてくる。

 

「政夫……貴方はどこまで私を救えば気が済むの?」

 

「何言ってるの? ほむらさん。僕は救ったつもりなんかないよ。大切な人には幸せになってほしいっていう、僕のわがままを満たしただけさ」

 

 愛する彼女を抱きしめ返し、頬にキスをする。

 

「帰ろう。まどかさんも待ってる」

 

 世界中に散らばるニュゥべえたちはこれと同じことをしてもらう手筈になっている。ただ、もう既に魔女になってしまった人たちはニュゥべえに処理してもらう他ない。

 可哀想だが、別にそれについて僕は思い詰めたりはしない。なぜなら、僕は神様じゃない。手の届くこと以外はするつもりなんてない。

 世界中の魔法少女がまた普通の戻ることも、彼女たちを助けたかったという訳じゃなく、ただのお裾分けのようなものだ。

 生憎と僕は普通の人間だ。必要以上のものを背負うことはしない。

 魔法少女も魔女もいずれこの世界から居なくなるかもしれない。世界には奇跡や魔法もそれと同時期に消えてしまうだろう。

 それでいいと僕は思う。

 この世界に奇跡も魔法も要らない。

 そんな都合のいいものに人はいつまでも縋り続けていい訳がないのだから。

 

 こうして、僕が関わった魔法少女の物語は幕を閉じる。

 そして、明日から――ただの普通の女の子たちとの日常が始まるのだろう。

 




多少端折った部分はありますが、最低限書きたい部分は書けました。これにて本編終了です。
今まで読んでくださった方々ありがとうございます。

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