高町なのはや時空管理局が産まれる;遥か前;の出来事 作:喪○愛
とある山奥に人知れず研究所が構えられている事実に
一体どれだけの人々が信じるだろう?
それが採石場としてカモフラージュされているのだから、
闇が深い所では無い。
…そこに居る被験体達は実に様々な種類が存在する。
大まかに別ければ知恵ある者とそうではない物。
前者は頭脳労働に後者は肉体労働に従事している。
頭脳の方が後者より肉体の面においては安息を受けられる恩恵がある為、初めて(此処)に来る者達は決まって前者を懇願する。
受けられる者は時間を忘れられるがそれに炙れた者達の末路は悲惨極まりない。
…ただ一つ救いがあるとしたら前者より遥かに早く眠りにつける事だろう。
知恵ある者達にはそれぞれ個室が与えられる。
と言っても薄暗く異臭の立ち込めた部屋であり、尊厳の(そ)の字も無いのだが…。
「…」
部屋の隅に蹲る男の子が2人居た。傍らには分厚い本があった。
「(グゥウウ…)」
お腹が鳴ってしまい我慢出来ず顔を上げた。
「…」
顔が痩せこけており、目の下に隈が出来ていた。
…途端に側に置かれた本から淡い光が放たれる。
「…心配してくれてありがとう」
それに応えるように淡い光が点滅する。
「僕は大丈夫だから休みな」
本は徐々に光を消していった。
「…」少年は本を手に取った。
「うん。我ながら良い出来だな」と呟き鷹揚に頷いた。
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少年は現在と過去に於ける[全ての知識]を持っていた。
その知識から裏打ちされた閃きは湯水の如く溢れ、
それを実践する事で周りの大人達を驚かせた。
…だが、彼は幼過ぎた。
もう少し大人であったならば、時と場合を考えていた。
その幼さ故に「褒められたい」と言う思いから、
次々に知識を披露して見せたのだ。
…次第に彼は国の偉い人達からある[技術開発]を依頼されるようになる。
曰く[記憶転写クローン]で
それは「ポット内に浮かぶクローンらに自分のコピー因子を埋め込んでおき、例え肉体が滅びても一月もすればポットに存在する誰かが新たな自分として記憶を引き継ぎ新生する」技術であり、後にその時代の統治者としては常識となった。
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その過程で彼はある「書物」を製作した。
彼は純粋な願いをこの書物に託した。
書物は「主と共に旅をして、各地の偉大な魔導師の技術を収集し、研究するために作られた収集蓄積型の巨大ストレージ」で「人類の栄華の保全」を願いに造らされた。
〜その名は『夜天の書』。
後の古代ベルカ式魔法発祥の地であり、
闇の書やヴォルケンリッターの故郷とも言える次元世界『古代ベルカ』。
それより遥か昔から存在した[理想郷]にて純粋な願いである書物は製作された。
---故に彼は選択を間違えてしまったのだ。
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