夢を見る。
響く声の聞き覚えさえ、定かではない。
***
―――さて、唐突ではあるけれど、オオカミの話をしましょうか。
なに、狼の生態について講釈するわけじゃないわ。
正直、そちらのほうは大して知らないし。
今回のお話は、お伽噺のオオカミについてよ。
オオカミ、といえばいろんなお伽噺に出てくるわね。
例えば、赤い頭巾を被った少女を襲うお話。
例えば、子豚の三兄弟を襲うお話。
例えば、七兄弟の子ヤギを襲うお話
例えば、嘘つきの少年を襲うお話。
どれも、オオカミは襲い掛かる悪役として描かれ、そして大抵は成敗される。
では、オオカミとは一体なにかしら?
きっと答えは無数に出てくるでしょけど、ここでは一つの解釈を披露させてもらうわ。
オオカミとは、主人公にとっての不幸であり災禍であり試練であり理不尽であり、とどのつまりは絶望の象徴といえるのではないかしら。
赤い頭巾の少女は祖母と共に飲み込まれ、狩人が居なければそのまま死んでいた。
子豚の三兄弟は末っ子が機転を利かせなければ仲良く食べられていた。
子ヤギの七兄弟も末っ子がたまたま見つからなかったからこそ彼らの母は助けることができた。
嘘つきの少年に至ってはどこまで言っても自業自得だから助けが現れることもなかった。
どれも形は違えど、主人公やその周囲を飲み込む、問答無用の災害に等しいもの。
ならばオオカミが退治されることは、“絶望は打破できるもの”という希望を現わしているのかしら?
いえ、違う―――むしろその逆。
だって、
赤い頭巾の少女も、子豚の三兄弟も、七兄弟の子ヤギも、みんな『めでたしめでたし』で締めくくれたのは、たまたま
嘘つきの少年だって、運が悪かったから
つまりは、
……物語の都合、と言ってしまえばそれだけだけどね。
だから
もしそれでも
―――と、今日はこの辺で。
それじゃあ、また別の夢で逢いましょう。
***
夢から覚める。
夢中のことなど覚えていない。
というわけで、完全新作オリジナル、連載開始させていただきました。
……近いうちにやるとか言って、ここまで遅くなってしまってすいません。
とりあえず、現状書き溜めはそれなりに溜まっているので、様子を見つつ時間が空いたら投稿していきます。
一応、『小説家になろう様』と『ハーメルン』様の双方で投稿する形になりますので、内容に差はありませんがどちらもよろしくお願いします。
さて、舞台は魔法ありな世界の文明崩壊後。
しかも樹海に覆われた世界っていういろんな意味で大雑把な世界。
どのくらい大雑把かというと、まだあんまり決めてない部分も結構あるくらい大雑把(笑)
そんな世界で出会ったアカネと青年。
割と最悪だけど少女漫画とかだと割と使い古されてそうな出会いから始まる彼らがどんな物語を紡いでいくか。
温かく見守っていただければいいかなと思っています。
ただ、この作品の根底の一つに『絶望』というのがあります。
といっても、あまりダークにはならないかもしれないので、読み手が肩透かしにならないようこちらも頑張っていこうと思います。
それでは、この辺で。
次話からは、アカネの仲間も登場しますよ!!
……ただし、主人公の青年の名前はしばらく出てこないという……(震え声)