足柄辰巳は勇者である   作:幻在

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注意


とんでもない描写があります。

かなりグロいです。

苦手な方はブラウザバックを推奨します。


最初の犠牲(スケープゴート)

――――『地獄』

 

そう、形容する以外に、この光景を表す事は出来なかった。

 

「■■■■■■■■――――――――!!!!」

 

叫ぶ、人の形をした――――『竜』。

人とは思えない叫びで、周囲にいる『敵』を蹴散らし、破壊し、徹底的に、塵も残さないように、念入りに、確実に、絶対的に、殺し尽くしていた。

それは、まさしく神話の『怪物』。あるいは、伝承に伝わる『化物』。

乃木若葉は、その神話を垣間見ているような感覚に陥っていた。

 

―――何故、こうなった?

 

乃木若葉は、武人の力を纏い、そう、声にならない声でそう呟いた。

『竜』の咆哮は、怒りを込め、憎しみにまみれており、そして―――――泣いている様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

果たされない約束と、今失われた二つの『命』を守れなかった事を、悔やむ様に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「花見?」

突然、杏と球子の口から、その様な言葉が出てきた。

「もうすぐ四月なので、全員で見に行きませんか?」

「せっかく桜が咲きそうなんだ。だったら、皆で見に行こうぜ!」

その二人の言葉に、友奈は乗り気で元気よく答える。

「楽しそう!やろうやろう!」

「そうですね。丸亀城にいて、桜を見ないなんてありえませんからね。ですよね?辰巳さん」

ひなたも乗り気なようで、辰巳の方を見る。

「ああ、うん・・・・そうだな」

何故か落ち込んでいる辰巳がいた。

「・・・・あれ?なんでそんなに暗いんですか?」

「うん・・・桜っていえば母さんの名前でさ・・・・それ思い出したら、うん」

「あああ!?そ、そんなに暗くならないで下さい!お、お花見ですよ!?楽しまないと損ですよ!?」

「まあ、うん、そうだな。いい気分転換になるかもだしな」

どうにか立ち直る辰巳。

「お母さんの名前、桜って言うんだ」

「正確には『良い桜』と書いて『桜良(さくら)』って言うんだよ。桜のように美しく、良い人生を送って欲しい、て意味らしい」

「へえ」

友奈が興味を示し、それに辰巳が答える。

「花見か。いい気分転換になるだろうし、いいんじゃないか」

「若葉、それさっき辰巳が言ってたわよ。もちろん私もAgreeよ!」

若葉と歌野の同意も得られた。

「でも、バーテックスは二週間以内に来るのでしょう?そんな事してていいのかしら?」

「そ、そうですよ。もしその間に敵が来たら、どうするんですか?」

しかし、千景と水都は乗り気ではないらしい。

その意見は最もだ。確かに火野の神託では、近々、敵がやってくるかもしれないのだ。

そんな状況で、そんな呑気な事をしててもいいのか。

しかし、そんな難しい考えを断ち切るかのように、友奈が千景の頬を引っ張る。

「た、たかひぃまひゃん・・・!?」

「ぐんちゃん、難しい顔をしてるよ。いいじゃない、お花見ぐらい!」

「そうよみーちゃん、次のバーテックスをちゃっちゃと倒してしまえば、あとはお花見の準備をすればいいだけなんだから」

「うたのん・・・」

「それに、哮兄なら、身構えて重い空気を作るよりも、楽しんで笑った方が良いってきっと言うわよ」

「・・・・そうだね」

歌野の説得に、水都はうなずく。

「よし!それじゃあ俄然やる気が出てきた!次のバーテックスをさっさと倒して、祝勝会としてお花見するぞー!」

掛け声が、教室中に轟く。

辰巳も窓の外を見て、笑みを零して、呟く。

「早く、花見が出来ると良いな」

 

――――この黒い痣に、喰われる前に―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、敵が襲来してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数はそれほどでもなく、ざっと数えて百体。

「なんだよ。これまでにないほど熾烈になるっていってたのに、案外そんな事もなかったな」

球子が拍子抜けとでもいうかのように呟く。

「油断するな。十天将がどこかにひかえてるかもしれない。警戒を怠らないでくれ」

「はいはい分かってるよ。タマに任せタマえよ」

辰巳の注意を軽く受け流す球子たちを他所に、杏は辰巳に歩み寄った。

「辰巳さん」

「ん?どうした杏?」

「・・・・左肩、大丈夫ですか?」

杏の問いかけに、辰巳は一瞬目を見開き、やがて細めて問い返す。

「・・・・いつから気付いてた」

「最近、辰巳さんが左肩を気にするようになってたので、それで、何かあるんじゃないかと思いまして」

「そうか・・・・」

「・・・・ファブニール、ですよね?」

「・・・・どうしてそう思う?」

杏は、説明する。

「私たちが使っている精霊は、確かに強力なものです。ですが、そのほとんどが悪霊や妖怪などの、人に害を及ぼすようなものばかりです。若葉さんの『義経』だって、兄頼光に殺された事で怨霊になったという話があるじゃないですか。それに、貴方の『ファブニール』は、その中でもダントツで危険なもの。だから、体のどこかに、何か不具合があるんじゃないかと思いまして・・・」

「なるほどな・・・・それで、お前は俺に何を要求する?」

「・・・・・今回の戦いでは、『ファブニール』を使わないで下さい」

「・・・・分かった」

杏の要求を、あっさりと受け入れる辰巳。

「それがお前にとっての正しい判断なんだろ?だったら俺はそれに従う。だけど、もし危険な状態になったら・・・・・」

「分かっています」

杏は、確固たる眼差しで、辰巳を見つめる。

それに辰巳は安心したように笑う。

「そんじゃ、いくか」

「はい!」

すでに敵に向かって飛んでいった若葉たちに続くように、二人も飛び上がった。

比較的、簡単に片づけ終わり、全員、精霊を使う事無く無傷で済んだ。

実は、若葉、歌野、千景の三人はまだ新たな精霊を使えるようになるにはまだ至っていない。

「ふぃー、終わったー!」

「今回はかなり楽勝だったね」

球子が呟き、友奈が伸びをする。

「これで終わりかしら?」

「だといいんだが・・・・」

歌野の言葉に辰巳が答えようとする。

 

 

その時―――拍手が聞こえた。

 

 

『!?』

「いやあ、関心関心。あの程度では苦にもならんのやなぁ」

全員が、勢いよく身構える。そこには、一人、白髪で、ひょろりとした、なんだかお気楽そうな顔をした男が、樹海の根に腰をかけていた。

「・・・・誰だ」

辰巳が、剣を構えつつ、そう問う。

「誰・・・・?ふむ、人間(ブタ)()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「ぶた・・・!?」

その男のいきなりの暴言に、思わず絶句する友奈。

「俺は足柄辰巳だ。言っておくが、()()()()()()()()()?」

辰巳の言葉に、男は僅かに反応する。

「ふむ・・・口が達者なようで」

「それが取り柄なんでな」

「あー、嫌だ嫌だ。これだから人間(ブタ)は嫌いなんや」

「おい、お前、さっきからタマたちをブタブタ言ってるが、そんなに他人に暴言吐いて楽しいか!?」

球子が怒声を上げる。

「――――黙れ人間(クズ)

「ッ・・・!?」

濃密な殺意が、その場に充満する。

「お前らこそ、ワイらの同胞を殺しまくって楽しいか?虐げて楽しいか?ワイらだって必至に生きてるんや。それなのになんでお前たちはワイらを殺そうとするんや?なんの力も持ってないゴミクズどものくせに、ワイら『十天将』に逆らうな」

冷たい眼差しに、球子は何も言えない。

否、それは他の者達も同じだった。

杏は、その怒気に怖気づき、友奈は彼らの存在というものに動じて、千景は男から発せられる死のビジョンを振り払えず、歌野は何も言えず、若葉は、自分がした事を改めて感じて動けなかった。

 

ただ一人を除いて。

 

「お前さ」

「ん?」

「お前が今やろうとしてる事ってさ、俺達を殺す事だよな?」

「そうや、それがどうかしたんか?」

「それ、俺達と同レベルって事に気付いてるか?」

辰巳の言葉に、男のこめかみに僅かに青筋が浮かび上がる。

しかし、すぐに冷静さを取り戻すと、やれやれと頭を振って口を開いた。

「やっぱ口が達者な奴は嫌いですわぁ。ま、これから死ぬ奴らの戯言を聞いた所で、()()()()()()()()()()()

くっくと笑い、男は言う。

 

「十天将が一人『無残』の市丸迅や。どうかよろしゅうございます」

 

 

 

 

 

 

 

瞬間

 

 

 

 

「そしてサヨナラ」

 

 

 

 

辰巳が叫んだ。

「飛べェッ!!」

『ッ!!』

一番初めに跳んだのは歌野、しかしその後に動いた若葉が歌野を追い越し、それに続くように、他の勇者が飛ぶ。

次の瞬間、辰巳達がいた所が、突如爆散した。

「なッ!?」

「何!?」

何が起きたのか分からず、戸惑う。

しかし、辰巳の眼には見えていた。

「・・・・剣を射出したのか」

「答え合わせする気は毛頭ありませんで?」

迅の周囲には、いつのまにか空中に複数の剣が漂っていた。

「何・・・あれ・・・?」

「Oh・・・」

それが一体なんなのか、勇者たちには分からない。だが――――

「若葉、義経ッ!!」

「分かった―――降りよ『義経』

辰巳の言葉に若葉が叫び、その身に神速の武人を憑依させる。

「他の奴らも精霊を使っとけ!」

「辰巳さん、貴方は・・・」

「分かってる。温存しておくッ!!」

その言葉に、歌野以外の全員が答える。

 

「―――来い『一目連』ッ!!」

「―――出番よ『七人御先』ッ!!」

「―――行くぜ『輪入道』ッ!!」

「―――お願い『雪女郎』ッ!!」

 

それぞれが、自分たちの精霊をその身に憑依させる。

しかし、まだ歌野は、自分にあった精霊を持っていない、故に、彼女は精霊を使えない。

しかし、それでも、戦う事が出来る。

対峙する両者。

敵は一人、一方こちらは七人。十分に勝ち目はある――――

「なんや?一対七だから勝てるとか、そう思ってるのかいな?」

迅の言葉に、その場にいる者達が首をかしげる。

しかし、その言葉の意味を、すぐさま理解する事になる。

迅の後ろ、壁の向こう側から、巨大な何かがやってきていた。

「・・・・・なんだ、あれ・・・」

今までに見た事もないようなサイズの、バーテックス。

尾らしき器官の先には、鋭い針があり、三本の手のようなものは、巨大な球体を抱えていた。

「やっときなすったか。あれがワイらの新型の一つ『スコーピオ』や」

巨大なバーテックス、『スコーピオ』と呼ばれたそれは、なおもゆっくりとこちらに進撃してきていた。

ふと、そのスコーピオのすぐそばから、何かが飛んでくる。

それは、一人の少年であり、その少年は槍の上に寝っ転がっていた。

「な・・・!?」

「どうなっているんだ・・・!?」

その摩訶不思議な現象に、驚きを隠せない、勇者たち。

「やあ、連れてきてあげたよ」

「遅かったなぁ」

「アレのスピードが遅くてね。それで、こいつらがあの忌々しい人間どもを守ってるっていう勇者って奴かい?」

ふと、その少年が、勇者たちを見た。

(・・・・冷たい)

友奈は、その眼差しに怯えた。

あの小さな少年でさえ、あんな、ゴミを見るような眼が出来るのだろうか。

「ま、いいや」

ふと、少年は、なんと()()()()()()()()()()()()()、彼らにその切っ先を向けた。

「僕の名前は『清水怜』。ま、覚えてなくてもいいよ。どうせ死ぬんだしね。人間」

嘲笑うかのような笑み。

おそらく、これが、彼らなりの怒りの表現の仕方なのだろう。

それほどまでに、人を憎んでいるのか。

「御望み通り、自己紹介も終わったし、始めようや、人間(ブタ)

瞬間、辰巳が仕掛けた。

間髪入れず、あまりにもフライングな辰巳の先制攻撃。

「『疾風』ッ!」

そのまま迅の首を取りにかかる。

迅は体を反らしてその一撃を躱す。

「チッ!」

「舌打ちしたいのはこっちですわ」

瞬間、辰巳を迅が空中に用意していた剣が、まるでミサイルのように襲う。

空中では身動きが取れない。故にこの攻撃は、直撃する。

 

誰かの介入がなければ。

 

刃が直撃する瞬間、辰巳を横から何かがかっさらっていく。

「!?」

それの正体は若葉。若葉の精霊、義経の能力の『飛べば飛ぶほど速くなる』能力で、一瞬で回り込んで辰巳を危機から救ったのだ。

「助かった」

「気にするな。行くぞ」

若葉が高く飛び上がる。

そこで辰巳を手放し、辰巳に向かって足を向ける。

そのまま、辰巳の足裏を蹴っ飛ばし、地面に向かって、辰巳を落下させる。

「対天剣術合技『飛断(ひだん)』ッ!!」

蹴っ飛ばすエネルギーと、重力を掛け合わせた、全体重を乗せた絶対切断の一撃。

そして、そのあまりの速さに、迅はかわす暇がない。

だが。

「僕を忘れて貰っちゃ困るよ?」

怜が割って入って来た。

浮遊する槍が、辰巳の剛撃を防いだのだ。

それ以前に―――

「飛断に耐えた・・・!?」

その槍は、確実な破壊力を有している飛断に耐えたのだ。

おそらく、相当な頑丈性を有しているといえるだろう。

だが、今問題なのは――――

(威力を全て殺された・・・!)

誰も持っていない筈の槍、空中浮遊するそれは、確かに辰巳の一撃を防ぎ、そして、辰巳に大きな隙を与えた。

「ほな、さいなら」

その隙を見逃す程、敵は甘くない。

迅が空中の剣の切っ先を変え、いくつかの剣が辰巳に狙いを定める。

そのままでは、剣が射出され、辰巳が串刺しにされてしまう。

しかしそれを黙って見ていられる程、彼女たちが動かない訳が無い。

「させませんッ!」

杏が、クロスボウを連射する。

それと同時に、友奈と歌野が前に出る。

矢は冷気を纏い、故に威力が高い。

だが。

「甘いね」

次の瞬間、槍が光ったと思ったら、無数の短剣へと変化し、杏が放った矢を全て叩き落した。

「な・・・!?」

「これが僕の武器、『霊装・トリアイナ』だよ」

 

トリアイナ。

それは、海の神ポセイドンが使用する穂先が三叉ある(もり)のような槍の事だ。

海の神ゆえに、海に関係する形態に変形し、莫大な力を行使する事が可能。

 

そして、この無数の短剣に分裂するこの形態の名は―――。

 

 

「第三形態『カランギダ』」

 

 

アジ科、という意味を持つ形態。それ故に、その刃は全て、一個の群れという意味を成す。

だが、それで止まる彼女たちではない。

「やぁああッ!!」

「はぁぁあッ!!」

友奈が超高速でジャブを放つ。

歌野が加速する鞭を振るう。

短剣は叩き落されていき、確実な穴が出来る。しかし―――

「知ってるかい?アジの群れはね・・・・多少が犠牲が出る事を前提で動くんだよ?」

次の瞬間、短剣が一斉に友奈と歌野に襲い掛かる。

このままでは確実に斬り刻まれる。

だが――――

「勇者パンチッ!!」

すかさず友奈が『右』を繰り出す。それも、暴嵐を巻き起こす『神風』で。

その風は短剣の嵐を突っ切り――――辰巳を吹っ飛ばす。

「うおぁぁあああ!?」

「あ!?飛ばし過ぎた!?」

彼方へ吹っ飛んでいく辰巳。

その様子に、しまった、と思ってしまう友奈。だが。

「天敵に襲われた時とか、すぐさま大軍で回避行動を起こし、また元の形に戻る。だからこそ、君たちはこの攻撃を避けれない」

なんと、吹き飛ばした筈の無数の短剣が、瞬く間に戻っていき、元の大軍となって友奈と歌野を襲う。

流石にこれには二人は反応出来ない。

「千景ッ!」

だが、ふと短く若葉が叫ぶと、若葉は歌野を上空からかっさらい、千景は友奈を横へ引っ張り投げ飛ばす。

次の瞬間には千景は無数の短剣と餌食となり斬り刻まれる。

「ぐんちゃん!」

「大丈夫よ」

しかし、それでは死なない。

それでこの七人御先(ちかげ)は殺せない。

七人同時分身及び存在の分割。七人はそれぞれ彼女であり、彼女の分身であり、互いに本物。

故に無敵、故に不死。たかが一人を跡形も無く斬り刻んだところで、彼女は死なない。

「おや?」

「喰らえッ!」

そして、怜の側面から、球子が巨大旋刃盤を投げる。

 

「霊槍・トリアイナ、第一形態『トリアイナ』」

 

気付けば、無数の短剣はまた輝き出し、その姿を先ほどの槍へと変形させる。

そして、その槍で球子の巨大旋刃盤を弾き飛ばす。

確実に重量が上の筈の球子の旋刃盤が、だ。

「な!?」

「知ってるかい?海の生物はね?人間なんかよりも耳が物凄く良いし、危険を察知しやすいんだよ!」

槍が、球子に向かって一直線に突き進む。

楯の役割を果たせる旋刃盤は先ほど弾き飛ばされて球子の手には無い。

さらに、球子は投げる際に空中に跳んだ。故に回避も出来ない。

だから、その槍は必中不可避。

されど、それも想定の内。球子の脚に極太のローブのようなものが絡みつき、一気に地面に向かって引っ張られる。

「うおあ!?」

「はーい一名様ごあんなーい」

「うげあ!?」

そのまま地面に無様に落っこちる球子。

「てっめー、歌野!もうちょっとマシな助け方なかったのかよ!?」

「Sorry、でも助かったから許して?」

「まあ、いいけど・・・・さ!」

球子が手を振り上げる。

すると、弾き飛ばされた旋刃盤が弧を描いて戻ってきて、怜を襲う。

「無駄だよ、霊槍・トリアイナ、第二形態『クラーケン』」

また、槍が輝いたかと思うと、次に出てきたのは巨大なタコ。

その出現と同時に、足が球子の巨大旋刃盤を受け止め、その回転を止める。

「な、なんだありゃ!?」

「Wow!?Big octopus!?」

その巨大さは、規格外とはいかないが、少なくとも球子の巨大旋刃盤よりはかなりデカい。

「迅」

「あいよ」

しかし、これで球子の旋刃盤は封じられた。その間に迅が空中の剣を一気に射出する。

それらは、全て勇者たちをロックオンしており、追尾する。

機動力を持つ若葉、攻撃の到達タイミングをずらせば助かる千景、一撃で剣を粉砕出来る友奈の三人はともかく、まともな迎撃方法及び回避能力を持たない者は、この攻撃の餌食になる可能性がある。

だが、それでも、見捨てる理由にはならない。

「ッ!!」

千景が動き、剣と歌野、球子、杏の間に、それぞれ一人ずつ割り込む。

そして、無数の剣が三人を千景を串刺しにする。

だが、それでは死なない。

七人同時に死ななければ、決して死ぬ事はないのだから。

さらに。

「お前にぶつけてやるッ!!」

超速で動く若葉が、迅に迫る。

「そうはいきませんな」

しかし、迅はまた新たな剣を出現させると、すかさずそれを射出する。

これでは、挟撃される。

しかし若葉は止まる訳にはいかない。

ここで普通なら、横に逃げると考えるだろう。

だが、若葉はあえてそうしなかった。

 

若葉は、そのまま突っ込んで剣を全て弾き飛ばした。

 

「なんやて・・・!?」

「私の反射神経、舐めるなッ!!!」

そう、若葉の反射神経は、常人のそれを凌駕している。

それによって引き起こされる、『高速防御』は、ありとあらゆる害意を凌ぎきる。

故に、若葉は迅に急接近出来た。

「取った・・・!!」

すでに納刀した刃を、低姿勢から一気に解き放つ。

「・・・・と、思うやろ?」

しかし、迅はニヤリと笑った。

それに、若葉はとてつもない悪寒をゾッと感じ、すぐさま距離を取った。

離れた直後、先ほどまで若葉がいた足元から、無数の剣が真上に向かって射出された。

「なん・・!?」

「おや、外してしもうたか。ま、それでも、当たるんだけどな」

「ッ!?」

若葉の後ろから、無数の剣が落ちてくる。

土煙を巻き起こし、大きな衝撃を無数に巻き起こす。

「若葉さん!」

「直撃じゃないかこれ!?」

それぞれの悲鳴があがるも、しかし若葉は無事だった。

「・・・なんでや?」

「ハア・・・ハア・・・危なかった」

直撃の瞬間、若葉の反射神経が機能し、直撃する剣だけ全て、あの一瞬で弾き飛ばしたのだ。

やはりすさまじい反射速度である。

「やれやれ、無駄にしつこいですな、ゴキブリかなんかですか?」

「生憎と、私はしぶといと過大評価されている身なんでな。せめて知力に長けた『(からす)』と称して欲しいものだ」

不敵に笑う若葉。しかし、それがどうしても()()()()()()()()()()()

「ホンマ、ウザイなぁ」

更なる剣を出現させる迅、その数、先ほどの比ではない。

「ッ・・・・」

これには流石に若葉も笑みを引っ込める。

「死ねや」

刃が、放たれる、その寸前。

 

 

 

 

何かが降ってきた。

 

 

 

 

「がぁぁああぁあああ!?」

悲鳴が聞こえ、思わずその場にいた者達が一斉に視線を向ける。

そこには――――

「た、辰巳・・・!?」

「たっくん・・・!?」

そこには、ボロボロな状態の辰巳がいた。

「ぐぅ・・・がぁ・・・」

装束は所々破れ、体のどこもかしこもから血を垂れ流している。

さらに、その体の所々が赤くはれ上がっていた。

「辰巳さん!大丈夫ですか!?」

杏が慌てて駆け寄る。

「ぐう・・・・杏か・・・?」

「はい!何があったんですか!?」

「きをつけ・・・・がはっ・・・」

何かを言おうとする前に、吐血する辰巳。

「辰巳さん!?」

「辰巳ぃ!」

若葉が叫ぶ。しかし、迅は、まるで愉快そうに笑う。

「くっくっく・・・どうやら、想像以上の出来栄えのようですわ」

「どういう事だ!?」

「あれやあれ」

迅が指さす方。そこには、あの巨大サソリ型バーテックスがいた。

「まさか・・・・辰巳はあれにやられたのか!?」

「その通りや。しっかり、現勇者中最強と謡われるあの()()()が、こうもあっさりやられるとは・・・・ホンマ、愉快やわ」

けらけらと笑う迅。

「今までのカスは、お前らの言うバーテックスやない。()()()()()()()()()()や」

「かん・・・せい・・・けい・・・・だと・・・!?」

若葉は、驚きを隠せない。

それを愉快そうに見て、迅は言う。

「悪いがオタクらに勝ち目はありまへん。大人しく、人類(ブタ共)が虐殺される光景を、指をくわえてみてるがいい」

にやぁ、と醜悪な笑みを浮かべる、迅。

それに、若葉は刀を構えるも、動かない。

しかし、そうしている間にも、あの巨大バーテックスは、こちらに到達する。

「辰巳さん・・・辰巳さん・・・!」

杏は、目に涙をためて呼びかける。

そして、辰巳はどうにか動く口で、答える。

「に・・・げ・・・ろ・・・・」

「え・・・」

「あい・・・つは・・・」

辰巳は、指を指して、答える。

「ゆう・・・なにしか・・・・たおせ・・・ない・・・!」

その時、スコーピオが、千景の分身の一体を射程に捉えた。

 

 

気付いた時には、千景はスコーピオの針に貫かれていた。

 

 

『―――!?』

あまりにも、一瞬の事で、理解はできなかった。

しかし、あのサソリは、確実に千景を刺し貫いた。

だが、それでは千景は殺せない。

「たかが一体殺したぐらいで、私を殺せるとでも・・・?」

刺し貫かれた千景以外の六人の千景が、一斉にスコーピオに飛びかかる。

しかし――――。

「無駄だよ」

怜が、呟く。

「それはただのサソリじゃない。生物の頂点に立つ、バーテックス『スコーピオ』なんだよ」

六つの刃が振り下ろされる。

軽快な金属音を響かせ、千景たちは降り立つ。

『なっ!?』

しかし、スコーピオには傷一つついていなかった。

「なんだと・・・!?」

若葉は、驚愕に立ち尽くす。

いくら、千景の能力が自らの強化ではなく、不死化する分身といっても、精霊を纏った攻撃。それも六ケ所同時にだ。

「杏ッ!」

「はい!」

球子が叫び、杏がクロスボウガンを構える。

六ケ所同時攻撃、それがだめなら、一点集中の強化攻撃ならどうか。

それ故に、杏は引金を引く。

放たれる、絶対零度の矢。

それが、一直線に突き進み、スコーピオに直撃する。

「やった・・・!」

直撃に、僅かに安堵する杏。しかし、それでもスコーピオには傷一つつかない。

「そんな・・・・!?」

渾身の一撃も効かない。

しかし、それならば、友奈の『右』は――――。

「勇者パンチィッ!!!」

二度目の奥の手発動による、渾身のブローがスコーピオに炸裂する。

すでに友奈は動いていたのだ。それゆえに、完全に隙をつく事が出来たのだ。

これでだめなら、もう打つ手が――――。

「くぁ・・・!?」

それでも、スコーピオには傷一つつかなかった。

「高嶋さんの、右が・・・・!?」

「きか・・・ない・・・!?」

千景と若葉は驚愕に言葉を漏らす。

「アッハッハッハッハッ!!!」

その途端に高笑いが響き笑う。

「なんって面白い顔しとんのやアンタら!そう、その顔や!ワイらはずっと、お前らのそんな顔がみたかったんやッ!!!」

歓喜、いや、狂喜に振るえる迅。体を仰け反らせ、天に向かって嗤う。

「さあ、今度は何で絶望してもらいましょうか?」

にやぁ、と笑う迅。

その笑顔に、若葉は、怯える。

(こ・・・怖い・・・)

その狂気に、その感情に、若葉は怯えた。

力は、こちらが総出でやって、互角、否、それ以上。

こんな奴らが、あと、何人出てくるのだろうか。

そもそも、勝てるのか?こんな化物染みたやつらに?辰巳でも勝てないような化物がいるのに、どうやって勝てと言うのだろうか。何か策はないのか?この状況を打開する何か――――

「考え事している場合かいな?」

「ッ!?」

気付けば、刃は若葉の喉元まで迫ってきていた。

「っくぁ!?」

驚異的な反射神経でその刃を弾き飛ばす若葉。

そして、その間にスコーピオは、未だ空中にいる友奈に向かって針を突き出す。

「高嶋さんッ!」

千景が助けようと飛び上がる。しかし間に合わない。このままでは、友奈は串刺しにされる。

 

しかしその時、巨大タコが捕まえていた巨大旋刃盤がそのサイズを一気に小さくした。

 

「な!?」

それに驚く怜。しかし、そうしている間にも旋刃盤は巨大タコの手から逃れ、次の瞬間、また元の大きさに戻り、友奈に向かって一気に飛ぶ。

「何ッ!?」

その光景に、杏は球子を見る。球子は、かなりの疲労を、顔に滲ませていた。

(まさか・・・一度解除してまた発動をしたの・・!?)

しかし、その行動が功を奏した。

巨大旋刃盤は友奈を横から掻っ攫い、見事窮地から救い出した。

「わ・・・ありがとー!タマちゃーん!」

「おう!」

友奈のお礼に、球子は、無理をしながらもしっかりと答える。

しかし、スコーピオは友奈を執拗に狙う。

巨大な針が、友奈を旋刃盤の上から叩き落そうと振り下ろされる。

しかし―――。

「こっちよ!」

すかさず歌野が背後から鞭を振るう。

その鞭が、スコーピオを叩く。が、その身に一切の傷を作らない。

そして、スコーピオは歌野を無視する。

「あら?Ignore(無視)?それはそれで、結構Shockingなんだけどねッ!!」

しかし歌野は追撃をやめない。

連撃を続ける。

「おっと、連続して()()()()を叩きつけているみたいだけど、そうはいかないな」

「ッ!?」

だが、そこへ怜が邪魔に入る。

「霊槍『トリアイナ』、第四形態『シーペント』」

「ぐぅ!?」

まるで、蛇のように歌野の首にしまる、鞭。

「これは・・・がぁ・・・!?」

「どうだい?蛇っていうのはね。そうやって獲物を締め上げてから捕食するんだよ。もちろん、海蛇も例外じゃない」

歌野の首を締め上げ、そのまま窒息させるという根端か、一気に締め上げる。

「歌野ォ!」

若葉がすぐさま助けに行こうとするが、

「そうはさせません」

迅が妨害してくる。その手に剣を持ち、若葉の前に立ちふさがる。

「そこをどけェッ!!」

「どけと言われてどくのは弱い奴らだけや」

若葉が刀を振るう。しかし、迅はそれに見事に対応してみせる。

「何!?」

「剣を使えんのは、お前らだけじゃないって事や」

そのままの状態から、剣を一気に射出する迅。若葉は後ろに飛びのき、回避に徹する。

しかし、その間にも歌野の首は絞め続けられている。

「が・・・かぁ・・・・」

「ふふ、どうだい?苦しいだろう?僕らはいつも、その苦しみを味わってきたんだよ」

脳に酸素が行き渡らなくなり、その肌を蒼白にする歌野。

しかし怜は、それを楽しそうに見ている。

このままでは、歌野は、死ぬ。

「させないッ!」

だが、そこへ千景が飛び上がり、鎌を振るう。

「引っ込んでろよ」

冷たい声。気付けば、千景は、鞭の先端が肩に当たっていた。否、それは――――蛇の頭。

「な・・・!?」

「海蛇の毒は、強力な神経毒だ。だから、痛みは一瞬のまま、ゆっくりと安らかに死ねる」

千景の体が地面に落ちる。

だが、それでも残り六人の千景が襲い掛かる。

「うざいよ」

しかし、三人は頭部の牙、あと三人は尻尾によって叩き落される。

「流石にこれ以上邪魔が入るのはよろしくない。ここで一度死んでもらうとするよ」

歌野を締め上げる力が一気に上がる。

それによって、歌野の意識は一気にブラックアウトしていく。

(たけ・・・にぃ・・・・みー・・・ちゃ・・・)

大切な人の名前を、脳内に思い浮かべながら、そのまま意識を手放し掛ける、その時―――

 

 

剣が飛んできた。

 

 

「うわ!?」

それは歌野の首のすぐ横を通り過ぎ、歌野を締め上げていた蛇を切断する。

「なんだって・・・!?」

「――――はぁッ!!!」

呼吸が復活した、コンマ数秒。歌野はその体を捻り、怜の体に一撃、蹴りを叩き込む。

「ぐぅ!?」

不意打ちに対応できず、吹き飛ばされる怜。

「しって・・る・・・かしら・・・!」

歌野は、落ちる最中で、怜に指を突き出す。

「蛇ってのはね、追い詰められた瞬間に、天敵に噛みつく事が出来るのよ・・・!!」

落下していく。

流石に酸欠状態が長すぎた。

まだ意識が朦朧となっている。このままでは頭から落下してしまう。

だが、そこへ千景が飛んできた彼女を受け止める。

「まったく、辰巳さんと違って、貴方は世話が焼けるわね」

「あはは・・・・Thanks」

ふと、千景は、先ほど剣が飛んできた方向に目を向ける。

そこには、ボロボロの状態で、何かを投げ終えた態勢でたたずむ辰巳の姿があった。

(全く・・・・無茶して・・・)

その様子に呆れつつも、他の千景が飛んできた剣を回収する。

しかし、その間に、辰巳は吐血して膝をつく。

「辰巳さん!」

その辰巳を杏が支える。

「無茶しないでください!」

「げほ・・・無茶しないと勝てないだろ・・・!」

「足柄さん!」

剣を持った千景が戻ってくる。

「これ」

「すまない」

剣を受け取る辰巳。その直後に、上空から短剣の雨が降ってくる。

「お前たち・・・よくもやってくれたな・・・・!」

そこには怒りに顔を歪めた怜が、空中に浮遊していた。

「あいつ・・・!」

幸い、直撃は無く、全員無事だ。

「杏、すまない」

「え・・・?」

「使う」

剣を地面に突き立てる。

それで、杏は、辰巳がしようとしている事を悟る。

「まっ・・・!!」

 

「――――来やがれ『ファブニール』ッ!!!」

 

辰巳の姿が変わる。

装束は鎧に、頭部は竜を模した鉄兜に覆われ、剣は一回り大きく。

それは、まさしく、邪竜の鎧。

 

体現するは、黄昏の邪竜。

 

「・・・・・それが、御竜さんと同等の力を持つ、ファブニールか」

怜が、辰巳の姿を見て、そう呟いた。

傷は、鎧の自動回復機能によって完治する。

「行くぞ・・・・!」

踏み込み、辰巳は、一気に走り出す。それに身構えた怜だったが、辰巳はあろうことか、怜を()()()()

「な・・・!?」

その行動に怜は目を見開くも、すぐさまその目的を悟る。

辰巳の走っていく先には、なおも球子の巨大旋刃盤に乗った友奈を狙う、スコーピオ。

辰巳は、その力を持ってスコーピオを打倒する気なのだ。

「そうはさせないよ。霊槍『トリアイナ』第一形態『トリアイナ』ッ!」

無数の短剣が一つにまとまり、槍と化す。

その槍が、何か、禍々しい気配を出すと、その身を海色の光に包まれる。

 

「これこそは太古の海を支配せしめし、覇者の力――――」

 

怜は、その槍を振りかぶる。

 

「その巨体は全ての生物を凌駕し、その顎はありとあらゆる生物を噛み砕く―――」

 

海色の光は、その強さを増し、やがて、強大な力となって、解き放たれる。

 

「故に、その力を抑えつけられるもの、無し―――!!!」

 

怜は、その槍を投げた。

 

 

「―――喰らい尽くせ『太古の海を支配せし鮫の王(メガロドン)』ッ!!」

 

 

 

巨大な鮫が解き放たれた。

それは、巨大な口を開けて、辰巳を襲う。

「辰巳さぁぁあん!」

「足柄さん、避けて!」

杏と千景が叫ぶ。

しかし鮫は止まらない。

「無駄だ。鮫の聴覚は距離を知り、嗅覚で接近し、視覚で視認して、至近距離となると獲物の出す微弱な電気で正確な位置を割り出す。故に、この攻撃は必中だよ」

怜は不敵に笑う。巨大な鮫は、そのまま辰巳を飲み込まんと迫る。

だが、突如として辰巳が振り向いた。

「そう来ると思った!!」

そして、辰巳も切り札を切る。

 

「我こそは邪悪なる竜である――――」

 

剣から、黄昏色の光が発せられる。しかし、鮫が予想以上に速く、辰巳の目の前に迫っていた。

 

「ッ―――『黄昏に咆える邪悪なる竜(ファブニール・フォン・アテム)』ッ!!!」

 

詠唱をすっ飛ばした、即席の砲撃。

黄昏色の咆哮が、巨大な鮫と衝突する。

「グ――ギ―――ッ!!」

「無駄だよ。いくら君の邪竜の息吹が強力でも、大海の覇者であるメガロドンには勝てない」

無理な態勢からの、必殺の砲撃。

その、不十分な条件が、辰巳の撃ち負けた事を物語った。

「ぐぁああ!?」

「辰巳さぁあああん!!」

押し負けて、吹き飛ばされる辰巳。

それに悲鳴をあげる杏。歌野は、ただ息を飲むだけ。

しかし、歌野には分かっていた。

吹き飛ばされる辰巳、その先に、友奈を襲う、スコーピオがいる事を―――

「ッ!?しまった!?」

「もう遅いッ!!」

辰巳が剣を振りかざす。

「『滝打』ィィ―――!!」

メガロドンの威力を剣で受けつつ、後ろへ飛ぶための推進力とし、それによってついた加速によって敵を叩き斬る。その瞬間だけでも、その一撃は、強烈な一撃になる。

その一撃は、スコーピオに到達する――――その寸前、横から剣が飛来。それによって軌道がそれ、真っ二つにする筈だったスコーピオの体は、体の四分の一を吹き飛ばされるにとどまる。

「な―――!?」

「そうはいきませんな」

剣の嵐によって、若葉を完全に封殺した迅が、辰巳の一撃を逸らしたのだ。

「やろっ・・・」

「霊槍『トリアイナ』、第三形態『カランギダ』」

さらに、怜が短剣の雨を降らせる。

空中にいて、それを諸に喰らった辰巳は、その体を斬り刻まれて、地面に落ちる。

「たっく――――ん!!」

友奈が叫ぶ。それと同時に、球子の旋刃盤から飛び降りる。弾丸の如き勢いで、地面に突っ込み、なおも追撃しようとする怜よりも先に倒れ伏す辰巳に到達。

一目連の能力である風を使って、辰巳をかっさらう。

「チッ!しぶとい!」

「勇者パンチッ!!」

それでもなおも追撃をやめようとしない怜に向かって、友奈は拳を振るう。

『右』から放たれる嵐の暴拳。それが怜に直撃する。

そのまま友奈は辰巳を安全な所まで運ぶ。

「たっくん!たっくん!」

どうにか鎧の修復能力によってある程度までは回復しているようだが、それでも喉は潰されたのか言葉を発せないようだ。

「たっくん・・・・」

「やれやれ、酷いじゃないか」

「ッ!?」

ふと、いきなり背後から聞こえた声に思わず振り返る友奈。

そこには、先ほど友奈の『右』を喰らった筈の怜がいた。それも、()()で。

「・・・嘘」

「嘘じゃないよ。まあ、君たちを絶望させるためには、わざと互角を演じて、その後圧倒的強さを見せつけて、力の差を知らせてから殺そうとしてたけどね」

その口ぶりから、友奈は戦慄する。

彼らの言っている事は、本当であるならば、彼らは、まだ、全力を出してすらいない。

それだけじゃない。完全にこちらを弄んでいるのだ。

 

圧倒的力の差があるから。

 

「うん、良い顔をするじゃないか」

怜の顔が、その姿に似合わず、気持ち悪く笑う。

「く・・・」

「いいよいいよぉ。もっと絶望してよ。そして僕たちの為に、悲鳴を――――」

「ちょっと黙れよクソガキッ!!」

瞬間、巨大旋刃盤が怜を襲う。

「おおっと!?びっくりしたぁ。酷いなぁ。今良い所だったのに」

「ふざけんなよお前。さっきの何が楽しいだ。タマは絶対に、そんなの楽しいとは認めないぞ!」

球子が、旋刃盤を操作する。

球子が操作する事で移動する巨大旋刃盤が、怜を襲うも、怜は空中浮遊している。いとも容易く躱される。

「チッ、めんどくさいな。霊槍『トリアイナ』、第二形態『クラーケン』」

無数の短剣が輝き、その姿を巨大なタコへと変形させ、球子の巨大旋刃盤を捕まえる。

「舐めるなッ!」

しかし、次の瞬間、旋刃盤が爆発したかと思えば、巨大タコの脚から逃れていた。

「『タマブースト』ッ!!」

それは球子の使う『輪入道』の奥の手、一定時間、火力を上げて威力と速さを上昇させる『火力噴射』。

それによって威力は底上げされ、ただ使う時よりも数倍の威力を発揮する。

故に球子の旋刃盤は巨大タコの体を打ち据える。だが。

「タコは軟体生物の一種だ。それ故に、弾力性とかがあって打撃とかにはめっぽう強いし、ついでに破れにくいから、斬撃にも強いんだよ」

しかし、効かない。

「くそ・・・!」

「さっき君はなんと言ったかな?クソガキ、だっけ?だったら僕も言わせて貰うよ」

タコの脚が、球子を打ち据える。

「死ねよゴミクズ」

「がっぁあ・・・!?」

口から血を吐き出し、彼方に飛ばされる球子。

「タマっち先輩!!」

「ほーぉー、お嬢ちゃん、随分とあのガキにご執心のようやなぁ?」

「ッ!?」

いつの間にか、背後を取られていた。

(しまっ・・・・!?)

慌てて振り向く杏。しかし、その時――――

 

 

 

 

視界が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

「――――――――あぁぁぁあぁぁあぁぁああああぁぁぁあああああぁぁぁぁぁああぁぁああああ!?!?!?!?」

同時に、目から強烈な痛みが走り、脳を突き抜ける。

思わずボウガンを取りこぼし、それすら気にならない程、杏は自分の両目を抑える。

それと同時に、どこからか咆哮が迸った。

「杏―――――――ッ!!!」

若葉が絶叫し、義経の奥の手を発動。たった八歩だけ、音速を超える移動を可能とする、超神速を使い、一瞬にして迅に接近する。

そして、その音速の中、刀を抜刀。迅を吹き飛ばす。

「杏!しっかりしろ!杏!!」

若葉は杏に駈け寄る。

しかし、杏はなおも目を抑えたまま。

「うう・・・その、声は・・・若葉・・・さん・・・?」

「そうだ!どうした!?何をされ―――」

とうとつに、若葉の言葉が止まった。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()・・・・」

 

杏の閉じられた眼から、血が流れ出ていた。

その事実に、若葉は、想像せざるを得なかった。

「あは、アハハハハハハハハハハハハッ!!」

仰向けに倒れている迅が、そのままの状態で高笑いする。

瞬間、若葉がその迅に向かって剣を突き立てる。

「いやぁ、滑稽滑稽。なんとも無様な姿やなぁ」

「ッァア!!」

今度は背後から。振り向き様に剣を振るう若葉。しかし、その眼前に、刃が迫っていた。

「ッ!?」

とっさに頭を傾ける若葉。しかし刃は若葉の額を切り、さらに若葉は態勢を崩して地面を転がる。

「ひゃは、どうしたんです?そこに何かありますかいな?」

「・・・・しい」

「はい?よう聞こえんかったわ」

 

「何が可笑しいッ!!?」

 

若葉の怒号が轟く。

「杏の眼を奪って、何が可笑しいッ!?そんなに笑えるのか!?杏の、大好きな本を読む為に、必要なものを、奪って一体何が可笑しいッ!?」

若葉の殺意のこもった怒号。しかし迅はそれをどこ吹く風と受け流す。

「いい。実にいいで、その顔、まさしく怒り。憎しみや。その、怒りのままに動く奴を叩き伏せる時の快感が、一番、心地良いんや」

「ッ―――きっっっさまァッ!!」

完全に怒りに取り憑かれている若葉が、迅に襲い掛かる。

「どこ・・・どこ・・・タマっち先輩・・・・お願い・・・答えて・・・」

一方の杏は、手を前に伸ばし、ふらふらと彷徨っている。

「杏!そっち言ったら落ちるわ!!」

歌野が叫ぶ。しかし、それでも杏は彷徨う。

「あんずぅ!!」

球子が叫ぶ。

叩きつけられてボロボロの状態で、球子は叫ぶ。

しかし。

「タマちゃん逃げて!!」

「え・・・・!?」

気付いた時には空中に跳ね上げられていた。

「が・・・はぁ・・・・!?」

「うるさいよ。ゴミクズ」

そのまま杏の方へ向かって叩き落す。

「げぼぁ・・・!?」

体中が痛む。

少なくとも、体中の骨にヒビが入っているかもしれない。

あまりの痛さに、体が動かない。

「球子ッ!!」

歌野が駆け寄ろうとする。しかし、そこで横から来るものに気付き、慌てて退く。

スコーピオだ。

「くっ、どいてッ!!」

スコーピオが立ちはだかり、行く先を阻まれる歌野。

「皆・・・!」

友奈が、辰巳を抱え、戦いの様子を茫然と見ている中、彼女の横に誰かが落ちてくる。

「若葉ちゃん!?」

「ぐぁ・・・」

そこには、無数の切り傷を作ったボロボロの若葉がいた。

体は血に塗れ、動く事すら出来ないようだ。

すでに、精霊も解除されており、その反動さえも重なっている。

「いやいや、予想以上に弱かったなぁ」

「ッ!?」

見上げれば、迅がこちらを見下していた。

その顔を、醜悪さに満ちた笑みに染めていた。

友奈は、その笑みに、怯えつつも、立ち上がる。

「おや?やる気ですかいな?でもすんませんなぁ」

「僕が相手だ」

「ッ!?」

タコの脚が、友奈を襲う。

しかし友奈はそれを飛ぶ事で回避する。

「あ・・・!?」

ふと、そこにいた辰巳と若葉を見るが、いつの間にかいなかった。

「探し物はこれかい?」

「あ!?」

見れば、タコの脚に、辰巳と若葉が捕まっていた。

それだけではない。何人かの千景も捕まっていた。

「くぅ・・・」

「そんな・・・!?」

「しばらくそこで大人しくしててもらうよ。ま、どうせ皆殺すんだけどね」

くっくと笑う怜。

逃れている千景は、どうにか杏たちの所に行こうとしている。だが、巨大タコによって阻止されている。

歌野はスコーピオによって足止めされ、辰巳と若葉はクラーケンの脚に掴まり、友奈でさえも、そのタコに足止めされている。

そして、杏は、目を潰されており、球子は、叩きつけられた衝撃で、動けない。

「さぁて、そろそろ楽しい愉しいショーの時間や」

迅が、その手に剣を持ち、杏と球子に近付く。

「あん・・・ず・・・にげ・・・」

「タマっち・・・?どこ、どこにいるの?」

目を潰された事により、杏は一種の恐慌状態に陥っていた。

球子はどうにか杏に逃げる様に促すが、上手く口が動かない。そもそも、声が出せない。

「さぁて、まずは()()()()にしましょうか・・・」

迅が、剣を持ち上げる。

「よし、ここにしよう」

 

刃が、杏の腹を貫いた。

 

悲鳴が響き、杏は、地面を痛みにのたうち回る。

「ん~、いい音やぁ」

「アンちゃん!!」

友奈が、助けに入ろうとする。しかし、怜が邪魔をする。

「邪魔しないで!勇者パンチッ!!」

風を纏うフィニッシュブロー。

それが、行方を阻むタコの脚に直撃する。しかし衝撃はまともに伝わらず、吹き飛ばされる事なく、逆にしなやかなその足が、友奈を吹き飛ばし、壁に叩きつける。

「くっぁ・・」

叩きつけられると同時に、一目連が解除される。

「高嶋さん!!」

千景が叫ぶ。だが、それで何かが好転する訳じゃない。

「さて、次は・・・」

「や・・・」

「ん?」

「やめ・・・・て・・・くれぇ・・」

球子が、どうにか絞り出した懇願。

「ん~、嫌や」

剣を振り下ろす迅。

杏の胴体に、縦に一筋、深い傷が出来る。

「あぁああああぁあああ!!!」

また、悲鳴が迸る。

「さて、勇者は丈夫で、それも精神力が強いと聞くでぇ?一体どこまでだったら耐えられるんやろうなぁ?」

他の勇者は助けにこれず、唯一、一番近いところで、何も出来ない。

その事実に、球子は、今すぐにでも自分を引き裂きたい気分になる。

倒された杏の腹が切り開かれる。

臓器がむき出しになり、噴き出た血が、彼女の白い肌を赤く染める。

「そんじゃ、解体ショーといきましょか」

手を突っ込む迅。

そして、その手に、臓器を一つ掴み、それを力任せに引き抜く。

「まずは、腎臓」

「ぎっぃあああ!?」

内臓に、神経はあるのかどうかは知らない。だが、杏は、あまりの痛さに叫ぶ。

「いい、いい・・・もっとや、もっと、良い声を聞かせてくれや・・・!!」

 

彼は『無惨』の市丸迅。

 

己がどれほどの大罪を犯そうとも、一切気にも止めず、どれほど惨たらしい事をしようとも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

それが、彼だ。

 

 

「あん・・・ず・・・・あんずぅ・・・・!!」

球子は、地面を這いずって、杏の元へ向かおうとする。

(きめ・・・た・・・・んだ・・・・タマは・・・あんずを・・・・絶対に・・・・守るって・・・・なのに・・・)

手を伸ばす。しかし、その間にも、杏のはらわたは曝け出される。

大腸、小腸、十二指腸、肝臓、腎臓、子宮、尿道、肋骨、腰骨、腹筋、神経・・・・数えたら、霧が無いほど、杏の腹から、内臓が引き出される。

「内臓のバーゲンセールやぁ」

返り血で血まみれになった迅が、その体を仰け反らせて、歓喜に震える迅。

もはや、ここまでくれば、杏はもう、助からない。

生きる為に必要な内臓は、全て曝け出された。

あとは、心臓と肺。

それのどちらかを抜き出せば、あとは絶命する。

「くっそぉ!!!」

歌野が、スコーピオの攻撃から必死に逃れる。

今すぐにでも、二人の元に行きたい。でも、行けない。

「どいて・・・どきなさいよ・・・どけぇッ!!」

怒号を迸らせて、歌野はスコーピオに鞭を叩きつける。

だが、傷一つつかない。

 

運命とは、非情なものだ。

 

それは一体、誰の言葉だったか。

 

ふと、スコーピオの攻撃が唐突に止まった。

「!?」

それに目を見開く歌野。しかし、その驚愕は、一瞬にして恐怖に変わる。

 

()()()()()()()()()

 

その事実から、歌野は、最悪の結末を否応なく予想してしまう。

「だ――――」

しかし、それは遅く、運命は彼女たちに味方せず――――

 

 

 

 

 

球子の命を奪った。

 

 

 

 

 

 

スコーピオの針が、球子の背中を刺し貫く。

「―――――――――――ぁ」

あまりにも、呆気無く、抵抗する間もなく、球子は、針に貫かれた。

そこは腹。しかし、スコーピオにとっては、針を打ち込んだ時点で()()()()()()だった。

 

巡るのは、一瞬。

 

「ごぼぁ・・・!?」

それだけで、体中の、穴と言う穴から、血が溢れ出た。

「おんやぁ?いい仕事してくれるやないか」

それは、ただ単純に針に貫かれただけでは、決して起きない、症状。

それは、まさしく、かつて辰巳が受けた毒と同等、否、それ以上の猛毒。

体中の穴と言う穴から血を噴出させる、人間の常識を超えた、毒。

それが、球子の体を一瞬にして巡り、瞬く間に、その命の灯を消していく。

「あ・・・ぁ・・・」

もはや、声を出す事も、出来ない。

杏を、助ける事も出来ない。

死は絶対。助かる事など、無い。

でも、ああ、だけど―――――

 

 

 

 

(・・・・なあ、辰巳)

 

 

 

ふと、視界に移った、彼女の楯。

その名は、『神屋楯比売』。

とある女神の名を冠した、楯。

 

 

 

(もう・・・助からないかもしれない・・・けどさ・・・・)

 

 

 

それを見て、球子は、繋がったままのワイヤーから、想いを込めた。

 

 

 

 

 

(せめて―――――あんずの、さいごの――――言葉を――――)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――――――どけ」

「ん?」

ふと、怜の耳に、誰かの声が聞こえた。

しかし、それを理解する前に―――――力が爆発した。

 

「どけぇぇええええええぇぇぇえええぇえええぇえええぇええええぇえええぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええぇええぇぇぇえええ!!!!」

 

辰巳の中に流れる、邪竜の力が爆発し、巨大タコの足を吹き飛ばす。

「なに!?」

それに驚く怜だったが、辰巳はそれすら気にせず、()()()()

それは、邪竜の鎧に新しく現れた、『推進力装置(スラスター)』。

それによって爆発的速度を叩き出し、一瞬にして杏と球子の元へ到達した。

「な!?」

「ガァアアァアアッ!!」

剣を片手に振り下ろす。竜の膂力をそのままに、叩きつけられた剣は、地面を破壊し、迅を吹き飛ばす。

「杏!!」

辰巳は、杏を抱き上げる。切り開かれた中身は、その臓器を肺と心臓のみを残し、全て曝け出されている。

しかし、まだ、生きていた。

「た・・・み・・・さ・・・」

杏が、手を伸ばしてくる。

それを、辰巳は掴む。

「杏・・・・!!」

「たつ・・・み・・・さん・・・・」

杏は、残った力で、辰巳に、言った。

 

「・・・・勝って・・・ください・・・・・・・大好き・・・・です・・・」

 

その言葉を最後に、杏の手から、力が抜け、辰巳の手から滑り落ちる。

辰巳は、何も言えなかった。

ふと、そこへ迅がやってくる。

「やれやれ・・・酷い事しますなぁ。せっかく楽しい気分やったのに。これじゃあ興ざめや」

全く持って酷いと言わんばかりの言い草。しかし迅は笑う。

「でも、この落とし前は、アンタでつけさせてもらうわ。どうか、御覚悟を――――」

 

 

 

カ ラ ダ ガ ア ツ イ

 

 

 

辰巳が、立ち上がる。

しかし、明らかに様子が可笑しい。

ゆらり、としてもいなければ、足がおぼつかない訳でもない。

ただ、彼の中の、何か、()()()()()()が、暴走を始めていた。

それは、幸い鎧の中に留まり、しかし、明らかに異常な事態を招いていた。

 

 

 

カ ラ ダ ガ ア ツ イ

 

 

 

行き場を失った熱が、閉じ込められた器から出ようとするかのように。

噴火寸前の火山が、今その時を迎えるかのように。

 

手順を間違えた、原子力発電所が、その機能を暴走させるかのように――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワレハジャアクナルリュウデアル

 

 

 

 

スベテヲリャクダツシ、スベテヲハカイシ、スベテヲオノガママニスル、ジャリュウデアル

 

 

 

 

イマコソ、ソノカセヲトキハナチ、ソノホンショウヲアラワソウ

 

 

 

 

ソウ、コレコソガ、ワガゲンテン、ワガシンジツ、ワガツヨサ

 

 

 

 

 

 

ワガナハ、ジャアクナルリュウ

 

 

 

 

 

 

 

 

コノヨヲスベテリャクダツセシメシ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――今、爆発する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――人だった略奪の竜(ファブニール)デアル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、邪竜は、もはや人の叫びとは言い難い、黄昏の叫びを迸らせた。




次回『失う事でしか僕らは強くなれない』

人は間違いを犯すから強くなる。間違いなくして、人は成長しない。


故に、人は道を踏み外す。
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