足柄辰巳は勇者である   作:幻在

36 / 49
聞こえた友の声

「■■■■■■―――――!!!」

咆哮がとどろく。

それと同時に、辰巳が蹴り飛ばされる。

「しつっこいッ!」

幸恵が、蹴り飛ばしたのだ。

それで辰巳は、大きく飛ばされるもとどまり、再度反撃に出ようとするが、先ほどまで幸恵がいた空中には、何もいなかった。

それがどういう事なのか、結論に至る前に、今度は横から頭を蹴られる。

そのまま蹴りを放った幸恵はその進行方向のまま辰巳の射程から離脱。

そして、すぐさま視界が外れ、また別の方向から攻撃をしかける。

それに辰巳がどうにか反応しようとするが、予測してみた方向にいた幸恵は、すぐさま急激な緩急で方向転換し、姿を視界から外し、反応出来ない程の速さで追撃していた。

やけくそになって剣を振れる時はある。しかし、それでは幸恵のスピードに追い付けず、躱され、その隙をついて攻撃されて、落下する。

まさしく一方的。為すすべなく、蹂躙されている。

「■■■■■■――――――!!」

しかし、幸恵の攻撃は、全て辰巳に通用していなかった。

「ったく、どんだけ硬いのよこいつは!」

そう悪態を吐く幸恵。

事実、速さに特化した彼女の攻撃では、辰巳の鋼以上の高度を持つ皮膚を貫通する事は出来ない。

もし、彼に攻撃を通用させる事が出来る者がいるとしたら、それは、御竜はもちろんの事、五右衛門と峻司、そして、可能性として、紅葉くらいか・・・・

「ウオォォォォオオオオォォオオオ―――――――!!」

その時、突如として聞き覚えのある咆哮が聞こえた。

「峻司!」

幸恵は思わず、その声の発信源に視線を向けた。

そこには、飛行能力によって、峻司の放つ拳の嵐をどうにか掻い潜って応戦している勇者の姿があった。

その勇者は、炎を纏い、峻司を焼き尽くそうと攻撃しているが、どうにも効いていないようすだ。

その事実に、幸恵はほくそ笑む。

「ふふ、馬鹿なコバエね。峻司にその程度の炎が通用するとでも思ってるのかしら」

ふと、幸恵は思いつく。

あの峻司に、この化物をぶつけてみたらどうか。

確実性があると思ったら、すぐさま行動に移る。

「ついてらっしゃい!」

幸恵は、辰巳を挑発して峻司の元へ飛ぶ。

その事に、峻司を相手取っている勇者、若葉が気付く。

「お前は・・・!?それに・・・辰巳!?」

「峻司、新しい獲物よ!」

幸恵がそう叫ぶと、峻司がすぐさまそれに気付いて、幸恵の方を見る。

そして、背後から人とは思えぬ咆哮を迸らせてせまる辰巳を見た。

それを認識した瞬間、峻司は、飛んだ。

「なッ!?」

「え!?」

それに若葉と、今、峻司を倒す為にある準備をしていた友奈は目を見開き驚く。

その峻司の行動に笑みを零した幸恵は、すぐさま峻司の突進の軌道から外れる。

そして、目の前から接近する辰巳と峻司が正面衝突した。

 

 

ぐしゃぁ・・・・

 

そんな音が響いて、辰巳の体から、血が爆散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァァアアッ!!!」

ありとあらゆる水の暴力が、五右衛門に降り注ぐ。

しかし、五右衛門はその悉くを全て避け切っていた。

(あたら・・・ない・・・!!)

この暴風雨の如し攻撃の数々は、実は歌野の精神をかなり削っているのだ。

八岐大蛇自身のバックアップもあるが、それでも彼女への精神の負担があまりにも大きい。

しかし、そんな五右衛門は、そんな彼女の精神を削る攻撃を掻い潜って一撃を入れようとしてくる。

「ッ!」

その度に歌野は鞭を使って牽制しようとする。

その鞭の先には水の刃が備えられており、超振動するその刃は、ありとあらゆるものを切断する。

だが、五右衛門はそれをいとも容易くかわすと、すぐさま歌野の懐に入り込んでくる。

「死ね」

「ッ!!!」

脇腹に走る、痛み。それは、彼女の本能を揺さぶる警告が与える。攻撃の直撃予想地点。

その一点に向かって、五右衛門の刃が迫る。その攻撃を、歌野は高圧の水流の楯で防ぐ。

「チッ」

舌打ち一つ。しかしそれで諦める五右衛門ではなく、そして次の攻撃を赦す歌野でもなく、五右衛門の返す刀が歌野の首に迫り、歌野は再度高水圧の楯で防ぐ。

すかさず歌野は左掌に水の弾丸を作り出し、それを五右衛門に向かって発射。五右衛門は、ありえない反応速度でそれをかわし、もう一度斬りかかる。

そのような、一進一退の攻防戦が繰り広げられる。

しかし、どういう訳か――――歌野が押されている。

水という実態を持たず、変幻自在の性質を持ち、その気になればコンクリート並みの硬さになれる性質をも持ち合わせているものを自在に操る歌野に対して、五右衛門はただその一刀の刀を振るっているだけ。

そんな、確実に力や威力で勝っている筈の歌野の攻撃を、五右衛門はその悉くの全てを弾き斬り飛ばし凌いでいた。

まさしく達人。

「なんっで・・!?」

「分からんか、娘」

ふと五右衛門が歌野に、自分が押されている理由を答えた。

 

川津五右衛門。

彼は、実は日本では名の知れた居合の達人。

その一閃は、肉眼ではとらえる事が出来る、カメラのスローを使っても、ただ普通に剣を振っているとしか思えないほどの速さで振りぬかれている。

彼に斬れぬ物はなく、ひとたび得物を握らせれば、それが鉄だろうが鋼だろうが、悉く全て斬り捨てる事が出来るのだ。

剣に生き、剣を極限まで極めた男。それが、川津五右衛門。

しかし、彼にも家族がいた。

妻一人と、息子一人。

彼の人生は、まさしく順風満帆であり、幸福であった。

 

 

―――一人の男がそそのかすまでは。

 

 

その男は、五右衛門に近付き、こうささやいた。

 

『あの子供はお前の子じゃない』

 

そう、そそのかした。

ようは、五右衛門の子どもは、妻が別の男と交わった結果生まれた子であり、血縁上、五右衛門の子どもではない、という事だった。

当然、五右衛門は初めは信じなかった。

だが、その男が見せた写真によって、全て壊れた。

 

それは、妻が別の男と交わる写真。

 

それを見た五右衛門は、怒り狂い、己が手で妻と息子を斬り殺した。

そのまま怒りのままに家さえも斬り倒した。

ただただ、怒りと悲しみのままに。

 

 

 

 

あとで、知った。それが全て嘘だという事を。

 

 

 

 

あの写真は、合成。とても精密に作られた写真であり、五右衛門は、その写真一枚如きに騙されたのだ。

その事実をもたらしたのは、五右衛門をそそのかしたあの男。

男は、ひょうひょうとした態度で、五右衛門を嘲笑った。

 

『騙したのは僕だ。だが殺したのはお前だ』

 

五右衛門は、その時から家族殺しの殺人者となった。

剣に生き、剣を極めた男は、ただの殺人者へとなり下がったのだ。

 

たった一人の男によって。

 

誰も、彼の言葉を聞きいればせず、強さを求め続けるが故に、自分の家族にさえも手を出した、醜い殺人者。

そんなシナリオを、五右衛門は歩かされたのだ。

 

それと同時に、バーテックスの襲撃が始まり、そして、彼は、誰も自分の言葉を信じなかった人類に、この手で復讐すると誓った。

 

だから、彼はなったのだ。人を蹂躙する存在『バーテックス人間』へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の能力は、純粋な剣技と斬撃。

極みに究めた剣技は、ありとあらゆる敵を討ち、その斬撃はありとあらゆるものを両断する。

それが、五右衛門の能力。

 

 

魂を込めた血に濡れた剣技。その純粋な想いが込められた、そのたった一つの剣技が、彼の最強の一を作っていた。

 

 

 

その一が、歌野の力に勝っているのだ。

 

 

 

 

「それが、お前と拙者の絶対的な差だッ!!」

五右衛門が刀を鞘に納める。

(来るッ!)

歌野は防御の構えを取る。

「笑止ッ!!」

五右衛門は叫ぶと共に、刃を抜き放つ。

「一斬必殺――――」

放たれるは、最強にして最速の一撃。

 

 

「――――『二ノ太刀不要(ニノタチイラズ)』」

 

 

 

歌野の、防ぐという判断は、極端に言って間違いだった。

抜き放たれた、五右衛門の刃は、歌野の張った高水圧の楯を()に斬り裂いた。

歌野の水流の楯は、下から水流を噴き上げるというもの。

しかし、刀のように薄いものは、水流の影響を受けにくく、水は全て避ける。

故に、突破は可能。

鞘に納めた刃の向きを上にして、柄の向きさえも上にして抜き放ち、そのまま弧を描いて上段から叩き付けるその居合。

それが、神速で放たれるそれが、歌野に理解される前に、頭部に直撃する―――――

 

 

 

 

 

筈だった。

 

 

 

 

 

「なん・・・・だと・・・・!?」

五右衛門の最強の一撃は、歌野の()()()()()()()()()()()()()ところで、止まっていた。

そして、その一撃を止めた正体、それは―――――

歌野の、両手の甲だった。

歌野の、交差された手の甲が、五右衛門の刃を受け止めていたのだ。

「・・・・やっぱり、そう来たわね」

「馬鹿な・・・・どうやって予測した!?」

「簡単な話よ。()()()()()()()()

「そんなでたらめを・・・!」

「でたらめなんかじゃないわ」

歌野は、得意げに語る。

「さとりっていう妖怪をしってるかしら?」

「なに・・・?」

「相手の心を見る事が出来る妖怪よ。その妖怪に姿を見られれば最後、心の奥底のどんな思惑だって見抜かれてしまう。そんな、ふざけた能力を備えた妖怪よ」

「それがなんだというんだ?」

「あら?これだけ言っても分からないの?私達勇者の共通能力は、精霊を憑依させる事よ」

「そんな事分かっている。今お前は――――」

「私が一体いつ、()()()()()()()()()()()()()()()()のかしら?」

「ッ!?」

そこで、五右衛門は気付く。

 

「そう、私は今、二体の精霊を同時に使っているのよ」

 

今思うとおかしかったのだ。

歌野では、五右衛門の神速の斬撃には対応出来ない。

互角に打ち合う事は出来ない。

ならば何故、五右衛門の攻撃に全て対応できたのか。

 

それは、歌野が、八岐大蛇だけではなく、さとりという妖怪までもを憑依させているからだ。

 

『全く、無茶をする奴じゃのう』

「それほどでもないわ」

それは、ほぼ賭けに近い行為だった。

成功するかどうか分からない。逆に、二匹の精霊を受け持つ事で、精神に多大なる不可がかかり、最悪廃人化する可能性だってあった。

もしくは、精霊の瘴気にやられて、精神的に最悪な方向へ傾いてしまうかもしれなかった。

だが、歌野の持つ、特大級の精神力が、それを可能にしたのだ。

ある意味、究極の反則技。

精霊の憑依は原則一体という常識を破る、歌野の反則技。

 

精霊二体同時使用。

 

「そこまでするか・・・!?」

「ええ、するわ!哮兄が守った諏訪の皆、そして、哮兄の最愛の人であり、私の親友であるみーちゃんを守る為。そして、この四国を守るためにッ!!私は、どんな事だってしてみせる!!!」

さとりの能力で五右衛門の意図を文字通り見抜き、そして、八岐大蛇の力の全てを身体能力へ割り振り、見事防御してみせた歌野は、手の甲で挟み込んだ刀を押し返し、そして弾いた。

「『スネイクアーツ』ッ!!」

すかさず、歌野は鞭と体術の複合格闘術『スネイクアーツ』で五右衛門を追い詰める。

「ハァァァァァァアアアアアアッ!!!」

八岐大蛇を、その小さな体に収束したその乱撃は、五右衛門を確実に追い詰めていた。

(こんな、事が・・・!?)

なりふり構わず、歌野は五右衛門を叩き続ける。

しかし、五右衛門は腐っても最強の剣客。

歌野の乱撃にある隙を縫って、その腹に、刀を突き立てる。

「がッ!?」

腹筋の合間を縫って、その奥にある大動脈に到達したその一撃。

確実に致命傷だ。

だが。

「つか・・・まえ・・・たぁ!!」

(!? ぬ、抜けん!?)

何故か、その刃は抜けなかった。

筋肉を収束させ、刃をわざと抜けないようにしているのだ。

歌野の右手に、水が集まる。

それが球体を作り、それが、五右衛門の目の前に突き出される。

「もう、にがさ、ない・・・!!」

血を吐き、歌野は、叫ぶ。

 

 

「――――『その水、蛇が如く(アメノムラクモ)』ッ!!」

 

 

歌野最強の水の刃が、五右衛門の喉を貫く。

「―――――みご、と」

五右衛門は、それだけを言い残し、砂となって消えた。

 

刀ごと。

 

「ごふッ!?」

腹から、大量の血が流れ出る。

「あの野郎・・・最後の最後でいい置き土産してくれたわね・・・!」

『落ち着け、歌野。血も水と同じだ』

「OK、分かったわ。こうね・・・・」

歌野が意識を集中させると、流れ出た血が、急に止まり、それどころか歌野の体に戻っていく。

『しばらく傷が塞がるまで待っとれい』

「そう、させて、もらうわ・・・・」

流石に、二体同時使用は無理があったのか、すぐさまさとりの能力を解除する歌野。

それと同時に地面に倒れ込む歌野。

(まだ・・・だまよ・・・・八岐大蛇を解除しちゃだめ・・・・まだ、敵が、残ってるんだから・・・・・!!)

歌野は、そう自らを叱咤し、沈みかける意識を必死に繋ぎとめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辰巳が、いとも容易く、地面に沈んだ。

あの、暴走状態の辰巳が、たった一撃の元に、沈んだ。

その事実が、友奈と若葉の思考を止めていた。

「ウオォォォォォオオオオォォォオオオオ――――――――――――――!!!」

そして、今、血と臓腑を撒き散らして地面に倒れ伏す化物のすぐ傍で、緑の怪物が雄叫びを挙げていた。

「ふふ、やっぱり(ひらめき)は凄いわ。その強さ故に周りから恐れられて、悪口を言われて恐れられて、殺されそうになって、いつも独りぼっちだったが故に、世界を壊そうとする生きた破壊兵器・・・・やっぱり、彼こそが、私達の切り札ね」

幸恵は、その光景に、狂喜するように嗤っていた。

「た、たっくん・・・・」

友奈が、思わず手をのばす。

その時、峻司の視線が、友奈に向いた。

「ひっ・・・・」

その視線に怯える友奈。

まだ、準備は終わっていない。

『アレ』を発動させるための準備が、まだ、出来ていない。

まだ、彼と戦う為の準備が出来ていない。

峻司が、こちらに向かって歩いてくる。

逃げなければならない。だが、足がすくんで動けない。

峻司の放つ威圧が、とてつもなく重いから。

それは、若葉も同じ。

そして、こう思っていた。

 

誰があんな化物に勝てるのか。

 

今もなお、怪物は友奈に刻一刻を迫ってきている。

助けなければ、だが、体が言う事をきかない。

声で奮い立たせようとしても、言葉さえも喉の先へ出てこない。

まさしく万事休す。

もう、何も出来ないのか――――

「■■■■―――――!!!」

しかし、突如として脅威的再生速度で復活した辰巳が、峻司の背後から大剣を振り下ろした。

「辰巳ッ!」

思わず叫ぶ若葉。

その強力無慈悲な一撃が、峻司に叩き付けられる。

地面が陥没し、土煙が舞い上がる。

まるで一つの爆発が起きたかのような衝撃波が撒き散らされ、周囲を吹き飛ばす。

その一撃を受ければ、どんな敵もただではすまないだろう。

だが、そんな一撃は、怪物にとってはただの蚊に刺されたようなものだった。

峻司が振り向く。もはや、その眼には怒りではなく呆れが移っていた。

巨大なその手が、辰巳の両手を掴む。それだけでばきりと骨が砕ける音が響き、次の瞬間、まるで子供がぬいぐるみを地面に叩き付けるかのように、何度も何度も辰巳を地面に叩きつけ続けた。

まさに遊戯とでもいわんばかりの行為に、辰巳の体はボロボロ。

その叩き付けは、回数を重ねるごとに速く、重くなり、どんどん地面を砕いていく。

やがて一際強力な最後の一撃が叩き付けられ、辰巳は、地面にめり込んだ。

鎧はボロボロ、体中からだは血を流し続け、掴まれていた腕はもはや無残としか言いようがなく、振り回されたからか千切れかけていた。

そのまま動かないかに思えたが、次の瞬間、辰巳の兜の口のような部分が響き、そこから黄昏色の砲撃が放たれた。

その一撃は、峻司の上半身を飲み込み、空を貫いた。

その一撃は、以前、迅と怜を屠ったものと同一。

これを喰らえば、いくら防御力が高くても、ひとたまりも――――

 

 

しかし怪物は平然としていた。

 

 

「・・・・・バカな」

若葉が、そう呟いた。

辰巳の、あの咆哮を、あの化物は耐えきったのだ。

否、それどころか、効いてすらいない。まるでどこ吹く風のように涼しい顔をしていた。

峻司は拳をふりあげる。そのまま、地面に倒れ伏す辰巳に向かって振り下ろす。

「■■■!!」

しかし辰巳は、めり込んだ体を無理矢理地面から抜くと、その一撃を回避。

からぶった拳は地面を砕くも、辰巳は、すぐさま剣を構えた。

すると、左腕につけられた楯が高速回転する。

力を貯める為の機関『炎輪炉心機関(タマエンジン)』だ。

それが、一瞬のうちに臨界に達し、そのまま、解放(バースト)する。

「■■■■―――――――!!!!」

咆哮と同時に、『零式吹雪撃鉄(ブリザードトリガー)』が叩き落され、溜め込んだ力が解放される。

それは、辰巳の最強の技『黄昏に咆える邪竜の咆哮(ファブニール・フォン・アテム)』。

それも、『炎輪炉心機関(タマエンジン)』によるチャージのオマケつき。

まだ、全力で放たれた事がないから、威力はわからない。

だが、この一撃を本気で撃てばおそらく、大陸は吹き飛ばせるかもしれない。

そんな一撃が放たれる。

 

 

 

 

 

筈だった。

 

 

 

 

瞬間、大きな破裂音が響いた。

「――――」

それは、峻司の猫騙し。

辰巳の目の前で、対象の意識を一時的に吹き飛ばす、強力無慈悲な、拍手。

それが、暴走した辰巳の思考を止めた。

峻司が、拳を振り上げる。

そして、その一撃が辰巳に叩き付けられ、地面に押しつぶされる。

そのまま、峻司は、何度も、何度も拳を叩き付け続けた。

とにかく徹底的に、もう、立ち上がれない様に。

再生さえも追いつかない程、速く、重く、確実に死ぬように。

何度も何度も何度も。

やがて、その乱撃が終わるころには――――

 

殴られ続けて、もはや立ち上がる事すらできない、無残な怪物の姿があった。

 

「たつ・・・み・・・」

その光景に、若葉は、息をのんだ。

あの状態の辰巳でも叶わない怪物。

(そんな奴に・・・・どうやって勝てと言うんだ・・・・)

「絶望したかしら?」

「ッ!?」

背後から聞こえた、声。

それに、若葉は本能のままに前に飛んだ。

背中を何かがかすめ、すぐさま若葉は後ろを見た。

そこには、槍を構える幸恵がいた。

「貴様・・・・・」

「どう、圧倒的力の前に絶望する気分は?さぞ、素晴らしいのでしょうね」

「く・・・・」

その幸恵の言葉に、若葉は何も言えない。

事実、若葉の足は震えている。

それは、あの規格外の化物の放つ威圧によるもの。

そして、その圧倒的強さからくる、恐怖。

もはや、あの化物を倒せる存在はいない。

辰巳は、戦闘不能。友奈は、なにかしらの準備をしているようだが、それも頼りになるかどうか分からない。

大天狗の力でも、どうにかできる自信はない。

 

絶望。

 

もう、それ以外浮かばない。

「諦めなさい」

ふと、幸恵が囁く。

「これ以上抗った所で無駄。どれほどあがこうと、もはや貴方達に勝ち目は無いわ。だったらさっさと諦めて、楽になりなさい。あとは、運命のままに」

幸恵の言葉が、若葉の耳に滑り込む。

確かに、このまま戦っても、あの化物に勝てる確証はない。

このまま戦った所で、なぶり殺しになれるのが落ちだ。

もう、これ以上、戦った所で―――――

「・・・それでも、断る」

だが、若葉はその提案を蹴った。

「それでも、私は諦めない。例え、この世界が終わると分かっていても、それに屈したら、それは、心の敗北を意味する。それは嫌だ。死ぬなら、せめて、心では負けないようにしたい。心まで屈してしまったら、大事な何かが、なくなってしまうかもしれないから」

だから、若葉は倶利伽羅を構える。

そして、炎を発する。

「だから、私は諦めない!」

若葉は、そう叫んで幸恵を睨みつけた。

「あ、そう」

一方の幸恵は、面白くなさそうにそう呟いた。

「負ける、ねえ。すでに負け戦になってるこの戦いに、一体これ以上、何に負けると言うのかしら」

まあいいわ、と続ける幸恵。

「その傲慢な心も打ち砕いて、全て終わらせてあげるわ」

そう、槍を構えた時だった。

 

 

 

ぎぎっ

 

 

 

そんな音が聞こえた。

まるで、歪んだ金属と金属が擦れるような、そんな音が。

その音に、思わず若葉は振り向き、幸恵はそちらに視線を向けた。

「■■・・・」

「・・・・うそでしょ、閃のあの連撃を受けて、まだ生きてるっていうの?」

辰巳は、生きていた。

今もなお、峻司を倒さんと、手を伸ばそうとしているのだ。

だが、体に蓄積されたダメージが思った以上に深く、まともに体を動かす事が出来ないようだ。

それに気付いた閃の行動は、至って単純(シンプル)

 

止めを刺す事だ。

 

拳を振り上げる峻司。

若葉はすぐさま助けに入ろうとするが、その間にすぐさま幸恵が入り込む。

どけ、と若葉が叫ぶ。幸恵はそれを聞き入れない。

このままでは、辰巳が今度こそ殺されてしまう。

どうにか、どうにかしなければ―――――

 

 

「やめろ」

 

 

突然、そんな声があがった。

峻司は、拳を振り上げたまま、声がした方向へ視線を向けた。

そして、目を見開いた。

 

そこには、鬼がいた。

 

「ごめんね、たっくん。遅くなっちゃった」

少女は、謝罪する。

 

少女の肌は赤く染まり、目の色も赤く染まり、体からは蒸気が発せられている。

それだけではない。

 

角が、生えている。

 

飾りなどではない。額の皮膚の下から、突き破って出ているのだ。

犬歯も見える。とてつもなく鋭い、牙ともいうべき歯が、唇の下から見えた。

腕にあった巨大な手甲は無く、そこにあるのは彼女の一見して細い腕。

 

それは、精霊との完全同化。

人としての枠を完全に外れ、人外の存在へ足を踏み入れる、禁断の領域。

そう、それは、それはまさしく――――

 

 

鬼だった。

 

 

 

「酒呑童子、完全同調!」

そう、今、高嶋友奈は、酒呑童子と完全に同調した。

友奈は、今、人としての枠を外れたのだ。

その、ただならぬ姿に、峻司は、警戒せざるを得ない。

「・・・・」

「・・・・」

双方、動かず。互いに睨み合い、今にでも、衝突しそうだった。

その中で、幸恵は思う。

(大丈夫、閃にはありとあらゆる物理攻撃は効かない。あの子に勝ち目なんてないわ)

そう、峻司の勝利を確信していた。

静寂が、身を包む中、小石が、地面の落ちた。

 

瞬間、友奈が動いた。

 

たった一歩で峻司の懐に入り込んだ。

それも、地面を踏み砕いて。

そのまま友奈は、峻司が反応する前に拳を振りぬく。

その拳が、峻司の腹に突き刺さる。

「―――――げぼ」

そんな、声が聞こえた。

そして、峻司が顔を歪め、吹き飛ばされる。

そのまま、数々の建物を破壊し、吹き飛ばされる。

「・・・・・嘘でしょ」

その光景に、幸恵は、目を疑った。

あの峻司が、初めて顔を歪めたのだ。

それも、痛みで。

友奈の拳は、あの細い腕は、峻司のあの規格外の硬さを誇る皮膚に突き刺さったのだ。

「・・・・行ける」

友奈は、振りぬいた拳を、いっそう強く握りしめる。

「これなら、倒せる」

友奈は、飛んだ。峻司に向かって。

「勇者ぁぁぁああ――――――」

拳を振り上げる友奈。

それに対して、峻司は―――――

「―――――ウオォォォォオオオオォォオオオ―――――――――!!!」

友奈を迎え撃つかのように拳を振り上げて構えていた。

「―――――パァァァァァァァアンチィィィィィィイイイイッ!!!」

「オオオオオオオオォォォォォォォオオオオオオォ―――――――――!!!」

拳が、正面衝突する。

それだけで、周囲にあった瓦礫の全てが吹き飛ぶ。

「貴方は、私が倒すッ!!!」

「ウォォォオオオオオオォオ――――――!!!!」

そう叫んで、拳の応酬が繰り広げられる。

一方、若葉たちの方では、そんな激しい戦いの様子が、遠目からでも見えていた。

拳がぶつかり合う度、瓦礫という瓦礫が飛んできて、そして、地面を砕いて抉り飛ばして、もはや、その戦いは一種の暴風雨のような光景になっていた。

「まさか・・・」

ふと、背後から声がした。

そこには、幸恵が槍を構えていた。

「閃にダメージを与えられる奴がいるなんてね」

「それが友奈だ。アイツはいつも、私達が想像もつかないような事をしてのける」

若葉は、振り向くのと同時に、倶利伽羅を払う。

「今度は先ほどのようにはいかないぞ」

「それは、どうかしらね」

互いに睨み合う二人。今度は、こちらがぶつかり合うのか。

そう言った空気が充満した時。

 

 

 

 

 

――――黄昏色の光が、立ち上った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辰巳は、一人、広い草原の上に立っていた。

何もなく、だだっ広い、緑の草原。

「ここは――――」

辰巳は、ふと呟いた。

「俺は、死んだのか・・・?」

あの状態になると、竜の力が過剰に発揮される。

そして、終わった後でも、その時の事は、朧気ではあるが、覚えている事がある。

特に、痛みを伴う攻撃は。

だから、あの緑の怪物にたこ殴りにされた事は、しっかり覚えている。

だが、勝つ事は出来なかった。

そんな状態で、意識を刈り取られるとは思わなかったが。

「ここが死後の世界とは・・・・なんにもないな」

辰巳が、そう呟いた時。

 

「ここは、生と死の間にある世界です」

「神樹様が作ってくれたんだぜ」

 

息が、止まるかと思った。

それほどまでに、その声は、とても懐かしくて、もう聞く事はないと思っていた。

振り向けば、そこには、見知った人物が、二人いた。

「杏・・・球子・・・」

「よ、辰巳」

「久しぶりです、辰巳さん」

伊予島杏と、土居球子だった。

「なんで・・・」

「なんか知らないんだけどさ。気付いたらここにいてさ」

「それで、神樹様が教えてくれたんです。ここは生と死の間であり自ら作った場所であると」

「なんでそんな事を・・・」

「それはきっと、お前が一番危なかったからじゃないのか?」

「危ない・・・?」

辰巳は思わず首を傾げた。

「私達の中で、唯一西洋の怪物であるファブニールでも、瘴気は溜まります。辰巳は、知らず知らずのうちに、瘴気に犯されていた。だけど、それに私達が気付けないほど、辰巳さんは元気だったんです」

「だけど、そのせいで、あの時お前は暴走しちまったんだ。お前でも気付かないほど溜め込んでた負の感情が、一気に爆発したんだろうな」

「・・・」

辰巳は、絶句していた。

まさか、自分も瘴気に犯されていたなんて、思わなかったのだ。

だが、同時に納得していた。

今まで、どことなく、やる気が入っていなかったようにも思えた。

ようは、そういう事なのだろう。

千景の時も、あの時はあれでよかったのだと、無理矢理納得しようとしていた。

本当は、認めちゃいけない事の筈なのに、仲間として、認めてはいけない事の筈なのに。

「俺は・・・」

だから、あの時、溜め込んでいた瘴気が爆発した。

あの暴走は、瘴気が極限にまで溜め込んだ状態から、切っ掛け一つで爆発するいわば爆発し続ける爆弾のような状態なのだろう。

「まあ、その爆発のお陰で体んなかの瘴気は全部吹き飛んじまったみたいだけどなー」

「そんな呑気な事言わないでタマっち先輩、辰巳さんにとっては重要な事なんだよ」

そんな風に言い合う二人だったが、すぐに辰巳に向き直る。

「辰巳さん、戻って下さい。貴方は、ここにいるべき人ではありませんから」

「どういう意味だ・・・・?」

「お前にはまだやるべき事があるってことだよ」

「やるべきこと・・・・?」

「貴方はまだ死んでいません。そして、まだ皆さんが戦っています」

二人の言葉に、辰巳は息をのむ。

しかし、すぐに辛そうにうつむく。

「だけど・・・・俺に何が・・・」

「出来ます。辰巳さんなら、きっと最悪の未来を変えられます」

「どうしてそう言えるんだ?」

「辰巳は、タマたちの切り札だからだよ」

「俺が、切り札・・・・?」

「はい。辰巳さんがいてくれたから、私達は今までの敵に勝てたんです。他でもない、辰巳さんの力があったから」

杏は、辰巳の手をとり、そして、祈るように辰巳に言う。

「辰巳さんがいてくれたから、今の私達がいるんです。辰巳さんがいてくれたから、私達は、今日まで戦ってこれたんです」

「例え暴走しても、辰巳は、皆を守ったんだ。だってさ、辰巳はさ、優しいじゃん」

球子は、辰巳の背中を叩く。

「優しい辰巳だから、負けなかったんだ。タマたちは、負けなかったんだよ。辰巳のお陰で、タマたちは、諦めずに戦えたんだ」

「辰巳さんが諦めなかったから、私達は、貴方が好きになったんです。辰巳さんは、私達にとっての、英雄(ヒーロー)なんです。ですから―――」

「だから―――」

 

「諦めないで下さい」

「諦めるな」

 

そう、二人は辰巳に告げた。

他の誰でもない。辰巳に、励まされて生きてきた、二人からの、応援。

「今ここで辰巳さんが諦めてしまったら、きっと、後悔しますよ?」

「だから頑張れ!もう、タマたちはこれで会えなくなっちゃうけどさ、辰巳ならきっと、あいつらに勝ってくれるって信じてるから」

二人の、真っ直ぐな眼に、辰巳は、自然と心が軽くなるような気がした。

そして、自分の胸に手をあてて、想う。

 

いつも元気で、明るい、友奈。

 

お調子者だが、頼りになる、歌野。

 

誰よりも、強い心を持っている、水都。

 

己の信念をもって、戦う、若葉。

 

そして、最愛の人である、ひなた。

 

誰もかれもが、辰巳にとって、大切な人たちだ。

辰巳は、そんな皆を守りたいと思った。

だからあの日、英雄の剣を握ったのだ。

皆を守る為に。全てを守る為に。大切な人の為に。

もし、そうなら。もし、許されるのなら―――――

 

「・・・ありがとう、杏、球子」

辰巳の感謝の言葉に、微笑む杏と球子。

「おう」

「どういたしまして」

「行ってくるよ」

「ああ、行ってこい」

「いってらっしゃい、辰巳さん」

辰巳は、手を前に出す。その手に、あの大剣を握る。

そして、辰巳は、その名を叫ぶ。

 

 

 

彼の者は、竜殺しの英雄。

 

強大な邪竜を討ちし、最強の竜殺し。

 

一人の妻を最愛とし、人々の希望となった、一国の王子。

 

その最後は悲惨。されど彼の人生に願いはなく。

 

赦されるのなら、今度は、己の願い為に――――

 

 

 

 

 

「来やがれ、『ジークフリート』ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かくして、黄昏の英雄が、その姿を現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

その姿を、若葉は、間近で見た。

 

髪は銀色に、背中を覆うほどにまで伸びたその髪は、背中を隠し。体色は強く日焼けしたかのように黒くなり、その双眸はエメラルドに輝いている。

鎧は剥がれ、代わりに篭手とレギンスとベルトを纏い、胸元はさらけだし、頭部と胴以外の全てに鎧は纏われている。

 

 

その風格は、まさに英雄が如く。

 

 

「辰巳・・・・」

若葉は、そう声をかけた。

すると辰巳は、微笑んで答える。

「心配かけたな。もう大丈夫だ」

「・・・・バカ野郎」

若葉は、目尻に涙を浮かべて、そう言った。

「どういう事よ・・・」

ふと、幸恵が信じられないとでもいうかのように、辰巳に問うた。

「なんで、あれだけ殴られて、平然としていられるのよ・・・!?」

その問いに、辰巳は答える。

「・・・・仲間だ」

「なんですって?」

「仲間がいてくれたから、俺は今、ここに立っている。仲間がいなければ、俺はここにいない」

辰巳は、背中の剣を抜く。

そして、その剣を幸恵に向けた。

「だから俺は、ここに立っているんだ」

そう言い放った時、突如として、辰巳達の傍に、何かが落ちてきた。

土煙が舞い、僅かな風圧が若葉たちを襲う。

「―――――くく」

そして、笑い声が聞こえた。

「良い。良いぞ。足柄辰巳。お前こそ、私が追い求めた存在だ」

かくして、そこに、白銀御竜が推参した。

「お前が、十天将の親玉か」

「ご名答だ。妾が十天将の統率者にして『悪竜』の名を冠されている、白銀御竜だ」

御竜は、そう高らかに名乗り上げる。

「ああ、もう我慢できぬ。お前という敵と戦いたくて、体が熱く火照って、どうしようもないのだ」

槍を顕現させ、それを薙ぐ。

それだけで、周囲の瓦礫が吹き飛ぶ。

「・・・若葉、離れてろ」

辰巳は、己の心臓に―――正確には、心臓があるであろう胸の上に左手を当てる。

「白銀御竜だったな。俺は足柄辰巳。勇者の中で、先生の立場にいる者だ」

「名前は知っていた。だが、先生とは、なるほど。勇者たちにそれなりの戦い方を教えたのはお前か。なるほど、それほどの実力を有しているとは、ますますこの戦いが楽しみになってきたぞ」

「言ってろ戦闘狂」

「否定はせんよ。私は、ただ戦いたいのだ。一対一で、誰にも邪魔されず、互いの全てを出し尽くして戦いたいのだ。それが、私の生き甲斐だから」

「その為に、バーテックス人間になったのか?」

「それも否定はせんよ。ただ、魔王のような立場で生きていれば、いずれ妾に匹敵する力を持って妾を討ちに来る、そう、本物の『勇者』のような存在が来てくれると信じていたのだ。その結果、お前という存在が現れた」

御竜は、歓喜していた。

「妾は待っていた。妾と互角に戦える存在を、敵を。そして現れたお前という敵を、存在を。だから妾はここに来たのだ。お前を戦う為に」

「どうしてそこまでする?お前にとって、戦う事がそれほど大事なのか?それ以外で、何か、楽しめる事はあったんじゃないのか?」

「そうかもしれんな。だが、それは血というものだろう」

「血・・・?」

「妾の両親は、とにかく戦う事が好きでな。毎日のように互いの得物を持って試合をしていた。だけど、二人とも楽しそうで、私も惹かれたのだ。結果、妾もとんだ戦闘狂になってしまったのだよ。だけど、後悔はしていない。これが、妾の生き甲斐となってしまった以上、妾に引き戻る事は出来ない。だから、妾は最後までこの生き方を曲げるつもりは毛頭ないぞ」

言い切る御竜。

「お前こそどうなんだ?足柄辰巳」

そして、聞き返してくる。

「・・・・俺は、お前のように戦闘狂になった覚えは無い。だけど、母さんが、言ってたんだ。自分の大切な物を守れる男になれって。だから、俺はここにいる。俺が守りたいものを守る為に。ここに立っているんだ」

辰巳は、その手に持つ剣の柄を、両手で握りしめて、叫ぶ。

「だから、俺はお前を討つッ!!!」

それに、御竜は大いに満足したように笑った。

「良いぞ、やはりお前は良いぞ!足柄辰巳!それでこそ倒し甲斐があるというものだ!」

「悪いが倒すのはお前じゃなくて俺だ!そして勝つのもの俺だ!」

「いいや、妾が勝たせてもらう!お前を討ち取り、私はお前の屍を超えていく!」

双方、準備は出来ている。

 

「―――――十天将筆頭、白銀御竜」

「―――――勇者筆頭、足柄辰巳」

 

「行くぞッ!!!」

「来いッ!!!」

 

 

 

 

かくして、ここに、二匹の竜が激突した。




次回『ぶつかる意思』

力と力は、全てを吹き飛ばしてぶつかり合う。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。