ランク戦の数日前。
玉狛支部の支部長林藤匠に呼び出された秀一は、基地に訪れていた。初めて会った時は何故か胃を押さえて死にそうな顔で「玉狛支部にようこそ」とゾンビのようなイメージがあったが、今は普通に接して貰っている。ただ、地下の部屋には入らないでくれとそれとなく釘を刺されていたりし、歓迎されているのかされていないのかイマイチ分からなかった。
さて、彼が玉狛支部に呼び出された理由だが……それは千佳のB級昇格に関係がある。
「千佳をB級に上げようと思っている。遊真と修……それと良かったらなんだが秀一の貰った戦功のポイントを千佳に移して昇格させる」
「そんな事できるんですか!?」
「普通はできないが、今回は例外として認められている。上層部が……というか主に鬼怒田さんが『千佳に
それだけ彼女のトリオン能力は桁外れであり、今までもトリオン兵や近界民が狙っていた理由でもある。大規模侵攻でもそれは変わらなかった。むしろ本格的に攻めて来たあの時がもっとも狙われた時期なのかもしれない。
林藤の言葉に修と遊真は頷き、秀一は横に振った。
しかし、それは千佳にポイントを移すことに反対なのではなく、未だC級隊員である遊真がポイントを移す事に反対したのだ。
「おれは別に構わないぞ?」
ランク戦でガンガン稼ぐと言う遊真に、秀一は冷静に諭した。修と秀一のポイントを千佳に上げるだけではギリギリB級に届かない。だからこそ林藤は秀一も呼んだのだろう。彼女をB級に上げること自体は構わない。
「だったら何が不満なんだ?」
彼は言った。ギリギリ上がらないという事は、一、二日訓練でポイントを稼げばB級に上がる事ができる。ならば、遊真にはそのままポイントを加算させて二人とも早期昇格してランク戦に向けた訓練を早めに始めれば良い、と。
C級隊員とB級隊員ではトリガーが違うので、早めに慣れておくべき。
その言葉に三人とも思案顔になり、林藤が彼の言い分を取り入れる事にした。
「よし、分かった。元々秀一が居なかったら遊真のポイントを移させて貰う予定だったんだ。それが無くなった分遊真も早くB級になれるだろう。それで良いか?」
「……まっ、それで良いか」
「はい。元々千佳の力で戦っていたので」
――こうして、玉狛第二は全員B級隊員となり、来たる日に備え……。
◆
――現在に至る。
「隊服、間に合わなかったな……」
三雲の視線の先には、彼の部下たちがそれぞれC級隊員の隊服で立っていた。本来なら、玉狛第二の隊服を着てランク戦に挑む予定だったのだが、ちょっとしたゴタゴタがあり間に合わなかった。
千佳は一般の白い訓練服。遊真と秀一は旧ボーダー時代の黒い訓練服を着ていた。
「まっ、次の試合にお披露目って事で」
「修くんは今回見学なんだよね?」
遊真が軽快に笑いながら玉狛第二の隊服は先の楽しみにしようと呟き、千佳は少し心配そうにしながら修に尋ねる。それに対して修は頷いて観覧席で、部下たちの活躍を見ていると言った。
先日の記者会見での無理が響いたのだろう。修が退院したのはつい最近で、ランク戦に本格参戦するのは二試合目となる。
「……最上、二人を頼む」
隊長として戦場に立てない事を気にしつつ、この中でボーダー歴が長い(修と同期)秀一に頭を下げた。それに秀一は頷いて応えた。
と言っても、今回は下位チームとの試合。彼らが負ける光景を思い浮かべる方が難しかったりする。
そろそろ時間だ。秀一たちは修と別れ、作戦室に向かう。
そこにはオペレーターの宇佐美が居り、眼鏡を光らせながら彼らの到着を待っていた。
「さて、いよいよ試合だけど――三人とも準備はOK?」
ステージは既に宇佐美が選択している。
時間が来れば隊員たちは自動的に転送され、戦場に降り立つだろう。
しかし、デビュー戦だというのに彼らに緊張した様子はない。
つまり――準備万端というわけだ。
「もちろん。さっさと倒して点を取ろう」
「ちょっと不安だけど……遊真くんも最上さんも居るから大丈夫です」
二人に続いて秀一も問題ないと答える。かつてS級A級B級混合の模擬戦をしたからか。あの時の注目のされようとビッグネームの数々に比べれば、今回のランク戦はリラックスして挑める。それと若干仕事モードに入っているからというのもある。
――そうこうしているうちに時間が来た。
「よし! じゃあ三人とも、頑張って来てね!」
宇佐美の声援の声を背後に、玉狛第二の三人は転送された。
◆
観覧席では、実況に海老名隊のオペレーター武富桜子。解説席には嵐山隊の狙撃手佐鳥賢と怪我で見学中の三雲修が居た。初日ということもあり、武富と佐鳥によるB級ランク戦の大まかな説明がされ、話題は解説席に着いている修の部隊へと移る。
『さて、実は私先ほどからずっと聞きたい事があったのですが……ズバリ三雲隊長! どうやってあの最上隊員を勧誘したのですか!?』
彼女の言葉は、観覧席に居る最上秀一という男を知る者たち全員が疑問に思っていた事だった。先日入隊した隊員たちは「何の話だ?」と首を傾げているが、それだけ彼が取った行動は驚愕に値するものだった。
近界民を憎む城戸派の最上秀一が、正反対の位置に居る玉狛に異動するなど普通ではない。さまざまな憶測が飛び交うなか、一つの仮説が隊員の間で囁かれていた。
『噂では、ライバル同士の熱い激闘の後に最上隊員が三雲隊長に力を貸したとありますが?』
『何ですかその噂!?』
しかし当の本人は初耳だったのか、冷や汗を垂らして思わず叫ぶ。
修自身、秀一に対して思うところはある。入隊時に首を撥ね飛ばされた時に『強者』というものを肌で実感し、彼に近づけるように努力していた。しかし逆に秀一の方は修に対して特にこれといった関心は無く、それは大規模侵攻後に遊真と共にお見舞いに来た時に再確認していた。
……記者会見以降はそうとも限らないが。
(ぼくと最上がライバル!? どういう事だ!?)
なんて答えれば良いのか分からず、修がしどろもどろと戸惑っていると各隊員の転送が完了した。
それに気づいた佐鳥が、修に詰め寄っていた武富を落ち着かせてランク戦の解説へと移らせた。それによって修と秀一のライバル云々の話が有耶無耶になり……修は今後この噂で要らぬ注目を浴びる事になる。
『転送して皆すぐに合流したね。と言っても、玉狛第二の狙撃手はバッグワーム着て狙撃地点確保しているけど』
『各部隊定石通りの動きという訳ですね。しかし、玉狛第二は最上隊員以外の隊員はB級に上がったばかり。経験の差から両部隊に狙われると思いますが――三雲隊長はどう思われますか?』
彼女の言う通り、遊真と千佳は正隊員になったばかり。ゆえに、観覧席に居る隊員のほとんどは新米隊員である二人を見て笑っていた。吉里隊も間宮隊も下位ながらもこれまでチームとして動いて来た。それはつまり新参部隊とのランク戦は慣れっ子だ。彼らからしたら格好の得物だろう。誰もがそう思っていた。
しかし――修は違った。
『――大丈夫です』
『え?』
先ほどとは違い自信満々にそう呟き、それに武富が振り返ると同時に――彼らは動いた。
「相手は攻撃手だ! 止まった所を一斉に叩く!」
「「了解!」」
吉里隊は攻撃手、万能手、銃手で構成された近・中距離対応型の部隊だ。
秀一と合流後、別れて吉里隊に突貫する遊真に、彼らは足を止めた瞬間一気に叩くために各々トリガーを構えた。基本、B級に上がったばかりの攻撃手は攻撃する瞬間動きを止める。人数が勝っている分、吉里隊が有利かと思われた。
しかし――遊真は足を止めない。
「な――」
気が付いた時には、全員通り過ぎ様に首をスコーピオンで斬り裂かれていた。
トリオン伝達系が破損され、戦闘体が崩れ――三つの光が空を飛ぶ。
『!? は、はや!? あっと言う間に吉里隊が全滅! というかB級下位の動きじゃないぞ!?』
開始して数分後に玉狛第二は3得点。
小学生か? と笑って見ていた隊員たちは、常人離れした動きを見せた遊真にポカンと口を開く。当の遊真は仕事が終わったとばかりにスコーピオンを消して呑気に歩いていた。
その緊張感の無い姿に修がひっそりとため息を吐き、隣の武富は戸惑いを見せながらもプロ根性を見せて実況を続ける。
『さあ吉里隊の
映像には、間宮隊の元へと腰に弧月を引っさげた秀一が駆けていた。
バッグワームを展開していない間宮隊の位置はレーダーで確認できるが、先ほどから全く動かない。建物に身を隠している。
『こりゃ「待ち」っすね。向かってくるのが一人だから、全員で削り倒す感じじゃないすか?』
『なるほど! 間宮隊は全員が射手のコンセプトチーム。三人同時の両攻撃の「追尾弾嵐」は決まれば超強力!』
『最上隊員は射手トリガー持っているけど基本攻撃手だからね。彼への対策としては正解だけど――』
今回間宮隊が相手をするのは最上秀一ではなく玉狛第二だ。
狙撃ポイントに着きひっそりと
『千佳ちゃん。あの建物撃ってくれる?』
「はい!」
彼女が構えているのは、対大型トリオン兵用の狙撃銃『アイビス』。威力に特化したこの狙撃銃から放たれる弾丸は、並みのシールドや壁を貫く強さを持つ。
だが、それは持ち主が普通の人間ならの話。
ブラックトリガー級のトリオンを持つ千佳が放つアイビスの弾丸は――もはや大砲だ。
閃光が一瞬走り、次の瞬間薙ぎ倒される家屋の数々。
『どああ!?』
『出たぁ!』
衝撃的なその光景に思わず悲鳴を上げる武富。
対して、大規模侵攻前の入隊試験で起きた外壁ぶち抜き事件を知っている佐鳥は笑って反応を示す。修は見慣れた光景なのか粛々と試合を見ていた。
そんななか、建物ごと吹き飛ばされた間宮隊の三人は何が起こったのか分からず口を開けて呆然とし――すぐにその口から悲鳴が上がる。
何故なら、千佳の砲撃で吹き飛ぶ瓦礫を足場に猛スピードでこちらに向かってくる無表情の鬼が現れたからだ。
「「「ひ、ひいいいいい!?」」」
一人は弧月で縦に真っ二つにし、一人はバイパーでハチの巣にし、最後は脳天にスコーピオンを突き刺して地面に叩き付けて容赦なく戦闘体を破壊。
苛烈な殺し方をされた間宮隊三人は恐怖に震えながら戦場を脱し――玉狛第二の勝利が確定した。
『し、衝撃の決着! 雨取隊員がアイビスで障害物を粉砕! というか威力がおかしいぞ!?』
生存点の2点を含めて一気に8点を獲得した玉狛第二。これにより暫定順位は12位に急上昇し中位グループを果たす。
それを見た観覧席の隊員たちは自分たちの認識を改めた。
彼らは普通ではない、と。
『この勢いでどこまで行けるか玉狛第二! 水曜日に当たる第2戦の相手は、暫定順位10位の荒船隊! そして同じく8位の諏訪隊! B級に現れた新星の戦い。次回も大注目です!』
彼女の興奮した声は、その場に居た者たちの胸に響いた。
◆
「お疲れ~モガミン」
玉狛第二のデビュー戦が大成功した翌日。
秀一は現在、本部の三輪隊室に招かれていた。
「と・い・う・か。お前、何で玉狛第二に入った事黙っていたんだ~?」
……訂正。どうやら尋問のために呼び出されたようだ。
米屋にアームロックをかけられて痛みに悶える秀一を見ながら、奈良坂は三輪に尋ねた。
玉狛嫌いの三輪の反応が薄い事に疑問を抱いていたのだろう。可愛がっている後輩が、裏切り者とまで評している玉狛に……それも因縁深い遊真と同じチームになったのだ。この事を知った時、ついに城戸派と玉狛派で戦争か? と危惧していた奈良坂だったが……。
「お前は知っていたのか?」
「ああ」
「よく認めたな」
「アイツが決めた事だからな――それでも気に入らないが」
どうやら、一通り暴れた後だったらしい。その時に何処かの暗躍エリートが珍しく疲弊していたらしいが、彼は知らないし知ることもない。
「おら吐け! きりきり吐け!」
「――」
「ああん? 栞の奴がギリギリまで隠したいって? それでもオレたちには言えよ!」
一方、米屋から尋問を受けている秀一を見ていた古寺はあるキーワードに反応し彼らに近づく。
「最上」
アームロックをかけられている秀一を上から見下ろす古寺。しかし何故だろうか。今の彼からは妙な威圧感を感じる。反射で眼鏡の奥が見えずどこか不気味だ。
「玉狛第二のオペレーターって宇佐美先輩?」
その問いに彼はイエスと答えた。それを聞いた古寺は「ふーん」と何でもないように装いながらも、ギリギリと手に持っていたコーヒー缶を握り締めていた。
あ、これアカン奴だ。
秀一が危機感を覚えて逃げようとした時にはもう遅く、古寺に捕まってしまった。ちなみに米屋は既に退避している。一瞬の早業だった。さすが攻撃手(多分関係ない)。
「そっかそっか。うんうんうんうんうん」
「――」
「別に怒っていないぞ最上。何となくお前が玉狛に入った理由は分かっている。それでも人は理屈では理解できない事があるんだ。だから、ちょっとお兄さんとお話しよう――宇佐美先輩から美眼鏡男子認定貰ったって本当か?」
古寺に引き摺られながら助けを求める秀一。しかし、三輪隊の三人は目を逸らして見ないフリをする。彼の心のトリオンに亀裂が入り
「SEは使うなよ」
退路は断たれた。秀一、精神が擦り切れる可能性濃厚。記憶を無くさなければ良いが。
そんな二人を見捨て……見送った三人はため息を吐いて秀一に同情した。
「恋は人を変えるというが……」
「くだらん……」
「嫌なことを思い出したぜ。オレも従姉妹ってバレた時はヤバかった」
結局、秀一が解放されたのはそれから1時間後の事だった。
◆
三輪隊と別れた後、彼は玉狛基地に向かった。
次のランク戦は前回と違って試合になる事は、流石の秀一も理解している。それだけ中位と下位の間には実力の差があり、舐めてかかると痛い目に合うのは確実だ。
それに対戦相手は荒船隊と諏訪隊という、彼も認識のある隊員たち。秀一の動きは知り尽くされているだろう。無策で挑めばすぐに落とされる。
しかし、考えることが苦手な彼は出たとこ勝負で戦うため、あれこれ考えるのは苦手だ。ゆえに、
基地に着きミーティングルームに赴くと、宇佐美以外の玉狛第二は既に集合しており次の対戦相手の資料を閲覧していた。彼が来た事に気が付いた修たちは、挨拶はそこそこに対策会議を始める。
「諏訪隊は銃手二人と攻撃手一人。陣形は密集型。銃手二人のトリガーは散弾銃型で威力重視の射程短め。一発ごとに隙があり、近づいてドカドカ撃って来るタイプ」
「ふむ……」
「攻撃手は盾で二人を援護する役目で、
「なるほど。弾を防ごうとしたら、透明になって攻撃してくる感じだな」
前もって調べていたのだろう。修の口から出る諏訪隊のデータはかなり詳しいものだった。映像には散弾銃で暴れる諏訪隊が映っており、シールドを削って相手を倒す場面が幾つかある。それだけ
「……ぼくじゃあ火力勝負での勝ち目はないが……最上はどうだ?」
自分のトリオン能力のことを考えて修は真正面からでは勝てない事を察すると、視線を秀一へと向けた。千佳ほどではないが、豊富なトリオン能力を持つ彼なら……と考えたのだろう。
しかし、彼は修の問いに首を横に振った。
銃手と戦う際に、射手は真正面から戦うのは下策。トリオンでゴリ押しする事はできるが、それはあまり賢い選択ではない。
射手は銃手と違って弾丸の設定を弄る事ができるという利点がある。それを使って相手の射程外から攻めて攻撃させないようにしたり、置き弾を使って不意打ちする方が得策だ。
――と、以前出水から習った射手の戦い方を思い出しながら、彼は修に伝えた。
B級隊員になって日が浅い修は他の隊員に比べてトリガーの特性に疎い。
「分かった。だったら、ぼくは妨害に徹してやられないようにするか」
それでも、何となく察していたのだろう。秀一の意見に反対することなく頷いた。
「逆におれはやりやすいな。近づいてくるタイプだから、そこまで不利じゃない」
体が小さく身軽な遊真なら、散弾銃の弾道を見切って倒すことができるだろう。
それでもカメレオンの奇襲には気を付けないといけないが。
そしてそれは秀一にも言える事で、諏訪隊の銃手は彼にとっても倒しやすい相手。
後でログを見て相手の動きの再確認をしようと考えた秀一は、遊真にあるトリガーを教える事にした。体が小さく身軽で、スコーピオンを使う遊真ならすぐに扱いに慣れると踏んでの事だった。
「あの、私は……」
「千佳は見つからないようにするのが大前提だ」
そもそも狙撃手は近寄られたらどうすることもできない。基本中の基本だが、大切な事だ。
「でも、もし見つかったら……」
「その時は栞ちゃんに任せよう。場合によっては、おれかシュウイチがカバーに入れば良い」
千佳を釣りにして刈り取る……一瞬そんな事を考えた秀一だったが、それを提案するのはできなかった。
……何というか、小学生並みに体が小さい千佳を囮にするのは外道のする事に思えて。
それと千佳自身が自己犠牲の塊なので、ランク戦では彼女は極力生かす方針とのこと。
その事については、既に彼も了承済だ。
「次は荒船隊だ。荒船隊は三人全員狙撃手で、一人ひとりが大きく距離を取ってサポートし合う陣形だ」
「スワ隊と真逆って事か」
一人の狙撃手を見つけて狩りに行っても、他の狙撃手から狙われるのは必至。
玉狛第二にも狙撃手が居るが、千佳は人を撃つことができないため狙撃戦はできない。狙撃地点を全て潰すという手も考えられるが、アイビスの一撃は派手で一発撃つ度に居場所がバレてしまう。そうなると荒船隊に狙撃されておしまいだ。
遊真も修も射程で負けており、対策としては気づかれないうちに近づいて倒す……べきだが、それでも勝率は低い。
「狙撃手三人っていうのが厄介だな」
「うちにとって一番崩しにくい相手だ……」
どうしたものか、と悩んでいる二人に秀一がある提案をする。
それは、以前から考えていた一つの手。
サイドエフェクトを持っている秀一だからこそできる裏技を使ったゴリ押しに、彼は活路を見出していた。
「え!?
彼の言葉を聞いて驚愕を顕にする修に、秀一は少しだけ自慢げに頷いた。
ここ最近は暇な時間を見つけては練習し、三輪隊の面々にも強力して貰って形になってきたところ。ランク戦で使えば必ず一点を取れると自負しているだけに、彼は自信満々だった。
しかし、それに遊真が待ったをかけた。
「前に見たけど、成功率50%って感じだったぞ。荒船隊相手には使わない方が良いと思う」
「そうなのか?」
「うむ。確かに決まれば大きいけど、それは今回使うべきじゃない。今は練習して別の機会に取っておけ」
遊真の言葉に修はしばらく考え……。
「そう、だな。今回は空閑の意見を採用しよう。最上、申し訳ないがソレはまた別の時に使おう。それまで特訓を続けてくれ」
二人からダメ出しを喰らった秀一は、シュンッと肩を落として指示に従った。
自信満々だっただけに不採用のダメージは大きい。千佳が横で「私も手伝うから」と励ましてくるのも何気に辛かった。
「荒船隊には、どうにかして距離を詰めないといけないな……」
「スワ隊とも戦うからな。相手の動き次第ってところか」
荒船隊の狙撃をどうやって凌ぐか。それが今回の試合の肝になる。
あーでもこーでもないと四人が考え込んでいると……。
「おーやってるやってる」
「栞さん」
用事を終えた宇佐美が基地に戻って来た。
煮詰まっていた修たちは、早速宇佐美に相談する事にした。彼女は玉狛第一のオペレーターでもあり、ボーダー歴がこの中で最も長いため相談するにはうってつけだ。
彼らは、諏訪隊と荒船隊への見解を彼女に伝えた。
「なるほどね。でもまだやれることはあるよ」
ね、秀一くん? そう意味あり気に彼に問い掛ける栞。
初めは何の事か分からなかった秀一だったが、すぐにそれがステージ選択の事だと気づく。
「前回は使わなかったけど、その試合で一番ランクの低い部隊には戦うステージを決める権利があるんだ。次の試合は玉狛第二が一番下だから戦いやすいステージを選べるよ」
「なるほどそりゃ有利だ」
「地形を使って狙撃を封じるのか……! ――よし、残り三日を使って、ステージの選択も含めて作戦を練るぞ!」
『了解!』
隊長の言葉に、三人とも力強く応えた。
書きたかった作戦会議
でも主人公喋んないから難しい……