3. 親友なんだけどやっぱりちょっとウザい
『おいカレン!ほんとにあんな怪しい奴の言うこと聞くのかよ!』
「扇さんがそうするって言ったんだから、そうするわよ。それにあいつのおかげでKMFが手に入ったのは確かだし……」
扇グループの面々は突如通信に割り込んできた男に命令され、指定された位置についていた。
扇グループの一人であり、エースでもある紅月カレンも同様に、突如として現れた傲慢に命令を下す男に戸惑いながらもその指示に従っていた。
男から通信があったのは本当につい先ほどのことだった。絶望的な状況で仲間の多くが死を覚悟していた時、突如として高慢な物言いをする男から連絡があったのだ。
頼る先も無く、最早命を諦めようとしていたカレン達は破れかぶれのまま指示された通りに動いた。
結果的に窮地を脱し、それどころか大量のKMFを輸送していた貨物列車を奪うことが出来て戦力は大きく上がった。未だに戦力差が大きいことには変わらないが、碌に重火器さえ無かったつい先ほどまでと比較すると天と地程の差がある。
しかし、カレンはKMFの操縦桿を握り締めた。玉城の言う通り、未だ信用ならないのは確かだ。
扇がなぜ男の指揮下に入ることを決めたのかは定かではないが、自分達のリーダーは扇だ。リーダーには従わなければならない。しかしカレンは男への警戒を緩めようとは全く思わなかった。
だってこのメンバーで一番強いのは私だもの。
少数であるが精鋭はいない。扇グループの中で唯一戦力らしい戦力として戦ってきたカレンはその年齢に見合わない責任感を背負わされていた。
しかし男の指揮による戦闘が開始してからの短い時間、カレンは長く背負った重苦しい責任を忘れていた。それは男の指示があまりに卓絶していたこともあるが、それ以上に男の指揮に従うのはKMF操縦には天賦の才を持つカレンであっても至難の業だったことによる。
男の指揮通りに動く。言葉にすれば簡単だが、実現するには困難を極めた。
何しろ指示が非常に細かい。分どころか秒単位で指示される作戦はKMFを未だ扱いきれておらず、さらに系統だった命令など経験の無い扇グループの実力を遙かに凌駕していた。少しでも男の指示と機体の動きにラグを作ってはいけないと、エースであるカレンでさえ冷汗が零れる。
さらに男の指示はあまりに優れ過ぎていたために誰も作戦の意図が読み取れなかった。意図が読めないと恐怖や躊躇いが生じ、それは作戦の失敗に直結する。もしもこれが旧日本軍から成る集団であればここまでブリタニア軍と拮抗することは困難であったかもしれない。
だが扇グループには唯一の長所があった。それは素人の寄せ集めであるということだった。
誰も自身に自信が無い。リーダーである筈の扇にはリーダーシップの才は無く、団員も扇にリーダーシップを求めてさえいない。
それは良い意味でも悪い意味でも自身の個を主張せず、下された指示に機械のように従うことへの躊躇が無いと言い換えられた。さらに現状があまりにも絶望的であるせいで思考能力が低下していることが良い方向に作用した。
どうせ駄目なんだし、扇が言うならこの男の言う通りにしよう。
混迷を極める状況の最中、テロリストである筈の集団全員が、突如として出現した男の指示に従うという正常な思考能力があれば有り得ない判断を下していた。
他に生き残る術が無かったからとも言える。誰も彼もが必死だった。
その結果は今カレンの目の前にあった。
密集する敵のKMFと、その周囲に展開されたこちら側のKMF。カレンはグリップを握りながら興奮のあまり震えていた。
全て男の言う通りになった。まるで手中の小石を弄ぶように、男は1時間にも満たない間にブリタニアのKMFを誘導して一点に集中させた。
人が作ったとは思えないような作戦は、まるで神様が考えたようだ。
カレンはぶんぶんと頭を振った。子供じゃあるまいし何を考えているんだか。
しかしいくら否定しようとしてもカレンの中に未だ顔も知らない男への敬意が生まれ始めていることは事実だった。
この男は、すごい。きっとこの男がいればもっとすごいことができる。お兄ちゃんみたいに、きっとみんなを引っ張ってくれる。
「よし、今だ」
男の冷ややかな声と共に爆発が生じる。
脆い地面に密集したブリタニア軍のKMFは計算尽くで配置された爆破と共に、漏斗に落ちる水のように地下道へと吸い込まれていった。
重量のあるKMFを地下から引っ張り出すには専用の重機が必要になる。こうなればあと数時間はあのKMFは動けない。
慌てて手元の画面を見て味方の機体の安否を確認する。確認できる限りで味方に大きな損害は無かった。
「すごい……」
『勝った……勝てるんだ!俺たち、ブリタニアに勝った!』
マイク越しに聞こえる仲間達は皆歓声を上げていた。ブリタニアに対して上げた、扇グループの初めての勝利だった。それも物量も、KMF操縦技術も全て覆しての勝利だ。
カレンも皆と一緒に歓声を上げた。死んでしまったナオトお兄ちゃんの仇がようやく少し討てたような気がした。
湧き上がる喜びを噛み締めながら機体の状態を画面でチェックする。驚くほどに損害は軽微だ。これならまだ戦える。
今日本の総督として君臨しているクロヴィスだって、このままいけば倒せるかもしれない。
これまでの作戦で一度も感じたことが無い感情はカレンを高ぶらせた。
きちんと頑張ったら、それだけの結果が返ってくる。そして失敗したら死んでしまう。シンプルなことだ。しかしこれまではそんなことはなかった。いくら頑張っても負け続けて、どれだけ耐え忍んでも仲間は殺されていった。
今なら勝てる。今なら。だってブリタニア人なんかよりも私達は苦しんできて、だから誰よりも頑張ってきたの。
頑張ったら頑張っただけの見返りがないと、そんなの嘘だもの!
喜ぶカレン達に、しかし指揮を執る謎の男は水を差すように冷たい声で新たな指示を下した。
一番の立役者だというのに声色は作戦中と同じように凍り付くように冷たい。
『浮かれるな、No3はそのまま待機。No4-12は二つ向こうの路地に移動しろ。次が来る』
『へ!こうなりゃ何が来ようと負けねえさ!』
『いや、負ける。そのためこれから先は撤退戦となる』
「……はあ!?」
高ぶる感情のままにカレンはマイクに掴みかかった。
「ちょっと、どういうことよ!もうほとんど勝ってるじゃないの!」
『クロヴィスの部隊だけになら既に勝っている。しかし運が悪かった』
男は忌々し気に舌打ちをした。
『そろそろクロヴィスが特派へ通信をし終わっている頃だろう。あと10分以内に枢木スザクが出撃する。新型KMFのランスロットに勝てる機体は未だ理論上存在しない』
「っ、でも、一機だけでしょ!?」
『ランスロットはE.U.において一機だけで三十機体以上を破壊した実績がある。敵対するのならそれなりの準備が必要だ。今は諸君らと話し合っている暇は無い。指示した通りに移動すれば被害は最小限で済む。……勿論、枢木スザクに惨殺されたいという者は自由にしていい』
小馬鹿にするような言い草に、カレンの怒気が生まれたばかりの男への敬意を叩き潰した。
たかがKMF一機に負けると断言されるなど、扇グループのエースとして聞き流せない。
さっきまでの自分達の戦いぶりを見ていただろうに、よりにもよって売国奴の枢木スザクなんかに負けるだなんて。
命令を無視して突っ込んでやろうかと思ったものの、それより先に扇が口を開いた。
『分かった、そうしよう』
「ちょっと扇さん!」
予想外の言葉にカレンは苛立ち混じりに声を上げた。
しかし扇は声も固く引く様子は無い。それどころかカレンに通信を繋いで窘めてきた。
『カレン、俺たちはこの男のおかげで今回勝てたんだ。だから俺は最後までこの男の指示に従うべきじゃないかと思う』
「でももうちょっとで勝てるかもしれないのに!」
『カレンと言ったか』
男から突然名前を呼ばれて思わず舌打ちした。
カレンはブリタニアの学校に通っている。生徒として個人情報は護られてはいるが、調べれば名前ぐらいすぐに分かる。
もしハーフだということがバレて脅されでもしたら面倒だ。
しかしカレンの懸念とは裏腹に男は淡々と言葉を紡いだ。
『お前は次を求めはしないのか』
「次?」
予想外の言葉に首を捻る。
『ここで無理をおして勝ったとして、クロヴィスを殺せたとして何になる。何十人という皇族の内の一つの首を斬り落としても現状は何も変わらない。味方の命を危険に晒すだけで、そこに意味は無い。KMFに乗る騎士ならば得られるリスクとベネフィットを常に天秤にかけろ』
「でもクロヴィスを殺せば総督はいなくなるわ!」
『そうだ。そして次の総督が送られるだけだ。恐らくはコーネリアあたりだろう。そうなれば何も変わらない。今は生き延びて次を待て。追って指示する』
「次って」
『早いな、来るぞ。No.4から12、さっさと逃げろ!』
え、カレンは画面を見やった。
白く塗装された機体が宙を舞いながらこちらに飛んできている。しかしとてもKMFとは思えなかった。
まるで鳥のような何かだ。はためきながら宙を漂い、しかし一瞬の後には轟音と共にこちら側のKMFを一機粉砕した。虫でも踏みつぶすように、そのKMFは易々と分厚いKMFの装甲を踏み砕いたのだ。
視認さえ難しい速度にカレンは本能的な恐怖を感じた。死への恐怖、未知の存在への恐怖、そして勝利に酔っているからこその敗北への恐怖。
ルルーシュは扇グループを指示しながら薄々勘づき始めていたが、紅月カレンはKMF操縦者としてナイトオブラウンズでさえ凌駕する程の才を持っていた。
碌にKMFの訓練を受けていないにも関わらず、既にブリタニア軍が誇る正規の騎士より遙かに腕が立つ。これからKMFの訓練を受ければそこらの選任騎士をも軽く凌駕する程の実力を手にするだろう。天才的な格闘センスに加えて人間離れした反射速度は枢木スザクに勝るとも劣らない。
だからこそカレンは踊る様に迫り来るKMFの恐ろしさをこの場の誰よりも早く理解した。
まず間違いなく、あれには勝てない。
「なによ、あれ」
『ランスロットだ!』
『あれが白い死神か!』
ランスロットの青いアイカメラがほんの少しこちらを向いた。カレンの本能がこちらに来ると全力で叫んだ。
とっさに背後へ飛びずさる。一拍を置いてランスロットがカレンに襲い掛かってきた。こちらが先に動いたというのに、子供のお遊びに付き合う大人のように容易に追いつかれた。
速い。速すぎる。サザーランドじゃだめだ。
咄嗟にスタントンファを起動して組み付きにかかるも容易に回避され、逆に機体を蹴り一発で吹き飛ばされた。
空中で機体を安定させて着地する。
「くそ!」
攻撃の一発が重い。装甲には罅が入っているだろう。もう一発食らえば胴体が機体が千切れるかもしれない。
歯を食いしばる。
撤退を指示した男の言葉の意味が分かった。
実力云々の話ではない。そもそも機体のスペックが違う。いくら攻撃しようとも恐らくは意味が無い。あの装甲は今の装備では絶対に貫けない。
飛び上がる猫のように身軽に機体を立て直したランスロットの優美な動きに、カレンは寒気すら感じた。
死ぬかもしれない。
手が震える。こんなのは初めてだ。どんな敵が立ち塞がって来ても、負けるなんて思ったことは無かったのに。
人を模して造られたKMFは本当に趣味が悪い。カメラ越しに白と金に塗装されたランスロットの青い瞳のようなレンズと目が合った。白い肌に金髪の髪、それに青い瞳。典型的なコーカソイドの色彩は典型的なブリタニア人の色でもある。
表情の無い冷たい機械だというのにこうして真正面から睨みつけられるとまるで人間のように思えた。
だとすればあの表情は日本人を嘲っている顔だ。
どうしてブリタニアに与さないのか、どうしてまだ敵として無駄に足掻いているのか。這い蹲って腹でも見せれば命は保障してやらないでもないというのに。
嘲笑が幻聴として聞こえるようでカレンは全身の筋肉を叫ぶように強張らせた。操縦桿が軋む程に握り締める。カメラを通じて、カレンはランスロットを真正面から睨み返した。
「冗談じゃ、ないわよ!」
震える両手を叱咤する。
機体性能の差なんて知ったことか!あいつは売国奴だ!
どれだけ日本人が辛い思いをしているかなんて知らないで、ブリタニアに尻尾を振って媚を売っている、恥知らずの屑野郎だ!
あんな奴に誰も殺されてたまるか!
襲い掛かってくるランスロットから上体を捻って逃げる。
『カレン、スラッシュハーケンだ!』
「了解!」
両手に装備されたスラッシュハーケンをランスロットに向けて打ち込む。ワイヤーのついた銛のような形をしたスラッシュハーケンは機体に突き刺さり、一瞬だがランスロットの動きを止めた。
その瞬間に物陰に隠れていた他の味方達がランスロットに向けて発砲する。
しかしランスロットは銃弾を気にする様子も無く、うっとうしそうにスラッシュハーケンを片手で引き抜いた。
『今だ!発射しろ!』
男の号令に合わせて数台のKMFがランスロットを見下ろしているビルへと発砲した。
大量のガラスやコンクリートが周囲一帯に降り注ぎ、瓦礫が割れる耳障りな音が響き渡る。だが銃撃でさえまともに傷のつかないKMFには落下する瓦礫など目くらましにさえならない。
しかしランスロットはいきなりカレン達に眼もくれずビルへ向かって走り出した。
「え、何?」
『全員退避!今すぐ退避だ!』
ランスロットが走り去った方向に眼を向けるが、しかしすぐにカレンは男の言った通りに撤退を開始した。
これ以上のあの化け物と戦う気にはなれなかった。
そして何より、この男の命令に従えば上手くいくという思いがカレンの中に生まれていた。
その場からすぐに撤退したカレンには見えなかった。
ランスロットは銃撃によりビルから落下した親子を護るために戦線から離脱したのだった。
■ ■ ■
指先でKMFのグリップを叩く。ルルーシュは親子を掌に載せて庇うランスロットの画像をカメラ越しに眺めていた。
もしかしたら自分は嬉しいと思っているのかもしれないが、そんなことを実感できる程の余裕が今のルルーシュには存在しなかった。
「そうだなスザク。————お前はそうするだろう」
ランスロットの掌から離れて一目散に逃げ出す親子に怪我が無いことを確認する。いきなり逃げ出されたことに傷つきでもしたのか、ランスロットは少しの間項垂れていた。相も変わらず子犬のような挙動をする奴だ。
あれから五年の月日が経ってもスザクは相も変わらず甘い。
そして相も変わらず、馬鹿だ。
あいつは気づいているのだろうか。
民間人と軍人やテロリストを区別するのは良い。民間人は助けるが軍人やテロリストは殺すという判断は、ブリタニアの軍人としては至極真っ当だ。
しかし、しかしだ。ルルーシュは憐れみと微かな憤怒を抱いてスザクを見やった。
どれだけ民間人を助けても、お前が助けたいと思っていても、このままブリタニアの支配が続けばどうせ皆死ぬぞ。
一人でどれだけ問いかけようとも返事は返ってこない。スザクの理解できない言動はいつだってルルーシュの範疇外にある。頭を振った。
そのことに思い到っていないのか、それとも見ない振りをしているのだろうか。
結果的に死ぬのなら今助けても何も変わらないだろうに。
相も変わらずの馬鹿だ。
カメラを切り替える。周囲には敵の姿も、テロリストの姿も無い。
ブリタニア軍のKMFは今やその殆どがシンジュク制圧のために動いていた。ランスロットが動きを止めた隙をついて逃亡したテロリストを捕縛するためだろう。
だがそのやり方は余りにも稚拙だと言わざるを得ない。子供のような戦争のやり方をルルーシュは鼻で笑った。
住居が破壊され施設に集まっている日本人を片っ端から攻撃し、虐殺していくという物量に物を言わせる作戦はコストもかかれば時間もかかる。さらには効率が悪い。
さらにさらに重ねて言うと、貴重な労働力である日本人の数を減らすことは今後のエリアの発展にも支障をきたす。
戦争は正義などという甘ったるいもののために勃発するものでは無い。
土地と資源、そして安い労働力と市場開拓。つまりは国家の利益のために行われているだけだ。
だからこそ本来であれば余計な手間を減らすため、戦勝国は敗戦国の機嫌を取りながら金を毟るのが最善だというのに。クロヴィスはその真逆を行っている。
そう思うと同時に現在この地上でただ一人その手法を実践している男を思い起こした。
シュナイゼルは現在E.U.にかかりきりになっている。今度こそ地上からE.U.の文字を抹消するべく、ブリタニアは主戦力であるシュナイゼルをヨーロッパに据え置いたまま動かす様子が見えない。
戦うのではなくE.U.の国民を篭絡し、今や四十人委員会よりも民衆からの指示を得ているシュナイゼルを相手にE.U.が持ち堪えるのは長くとも1年から2年程度だろう。
ならばE.U.がまだ踏みこたえている間に自分は少なくとも東アジア程度は纏めておかなくてはならない。
ブリタニアを潰すためには軍隊が必要だ。
ジェレミアの腕を丁寧に座席に置いて、KMFのコックピットを開けて飛び降りる。
端末で自身の位置を確認しながら奪ったKMFの情報から算出したクロヴィスの現在位置に向かって歩いた。
距離はそう遠くない。瓦礫が降り積もる廃墟であっても5分もあれば到着する。
それほどまでに近い距離であってもまともにブリタニア兵が見えないところを見るに、クロヴィスは想定以上程に兵を消費してしまったらしい。
さらに散々にKMFを消費した今クロヴィスの周囲の警護は歩兵ばかりになっているだろう。
暫く歩き、ようやく警備兵が視認できてルルーシュは胸を撫で下ろした。あまりに兵が少なくもしやダミーの指令所かと疑い始めていたところだった。
血塗れの学生服を着たルルーシュの姿を認めて警備兵はにわかに警戒を露にした。
「貴様、何者」
「俺に従え」
眼を見つめながら告げると、男は態度を一転させてルルーシュに向かってブリタニア軍式に敬礼した。
「————イエス、ユアハイネス。ご命令下さい」
「ここを通せ。他の兵士には“何も異常は起こっていない”と告げろ」
「イエス、ユアハイネス」
何事も無かったかのように警備を続ける男の横を通る。
その後も何人か警備に遭遇するも、同様の命令でルルーシュは堂々と真正面からクロヴィスのいる司令室へと辿り着いた。
■ ■ ■
シンジュクにおける一般市民への攻撃を中止するよう命を下した後、クロヴィスは溜息を吐いて通信を切った。
普段から護衛に囲まれているためか、広い会議所で自分一人しかいないという状況には些かの緊張感がある。
いや、二人か。
床より数段高い位置にある豪奢な椅子に腰かけて、クロヴィスは目の前の華奢なブリタニア兵の恰好をしている男を見下ろした。軍服もヘルメットも短機関銃も見慣れたブリタニア兵が装備するそれだが、その男はブリタニア兵ではない。短機関銃の銃口は迷いなく自分に向けられている。
「これでいいのかい?」
軽々しい挙動のままクロヴィスはその男を見やった。
「ええ。結構です」
結構、と言いながらも口調は冷ややかであり、銃口はクロヴィスを向いたままだ。容易に撤退してくれなさそうな様子にクロヴィスは溜息を吐いた。
皇族たるもの、誘拐や脅迫に晒されることは珍しいことでは無い。
しかしここまで自分の領域に敵の侵入を許したのは初めてだ。これまであまり選任騎士を持つ気は無かったのだが、ここまで今の部下が無能揃いだと知ると選任騎士を選出すべきかと考えてしまう。
広い部屋にはクロヴィスとその兵士しかいない。クロヴィスの親衛隊は全員がシンジュク制圧のために駆り出され、他の兵士達もいつの間にかいなくなってしまった。
いつも誰かが傍にいて自分の身を護っていた状況に慣れていたクロヴィスは、銃口を向けられている今を以てしても命の危機を感じていなかった。たとえ相手がテロリストであろうとも、自分を殺すよりも誘拐してブリタニアを脅迫する方が有用であることは明らかだ。有用な駒となり得る自分を殺すなどという愚行をテロリストが行う筈が無い。
クロヴィスは本心からそう思っていた。
「シンジュクへの攻撃を止めるよう命じて、今度は何かな?私を誘拐でもするのかい?」
「いや。あなたには聞きたいことがある」
男はブリタニア皇族を前にしているとは思えない程に淡々とした口調で吐き捨てた。
ブリタニアに反抗するテロリストにしては恨みが籠っておらず、いっそ無関心とさえ言える口調にクロヴィスは首を捻った。大抵のナンバーズは皇族を前にすれば緊張するか、もしくは怒りに震えて恨みつらみを吐くかのどちらかだ。ここまで淡泊な反応をされたことは少なくともクロヴィスの記憶には無い。
男はクロヴィスへ銃口を向けながらヘルメットをむしり取った。暗い部屋ではあるが、カーテンの隙間から入る光で男の顔が垣間見えた。
短い黒い髪に少し甘さの残る顔。思っていたよりも若い。ティーンエイジャーだろう。そして美しい。
彼の容姿が視界に入った瞬間の衝撃は、E.U.で哀れみと題された彫刻物を鑑賞した時の感銘に似ていた。しかし逞しい救世主とも、息子を抱くマリアとも言えない。むしろ男はその2つが合わさっているかのような容姿をしている。
男が持つ硬質な美も、女の艶やかさも持ち合わせた大人とも子供ともつかない顔は優れた芸術品であり、とても人には見えなかった。
男の容姿のあまりの美しさに一瞬呆け、しかしすぐにクロヴィスは眼を見開いた。男の顔には見覚えがあった。5年も前にエリア11へ捨てられた弟の顔に男の顔はよく似ていた。
しかしあの幼い弟がここまで冷徹な表情をしている所は見たことが無い。あの頃のルルーシュも優れた容姿をしていたが暖かい人間味がある顔をしており、その分この男と比較すれば容姿は劣っていたと言える。
怜悧な美貌はルルーシュに人間を凌駕する力を与え、その代償に柔らかで温かい人間性を奪い去ったようだった。
「ル、ルルーシュ、」
「戻って参りました、殿下。全てを変えるために」
ルルーシュは小さく微笑み、クロヴィスは突然絵画が動いたような驚きを感じた。まだ笑うことができる程に人間性が残っていることが驚きだった。
それほどまでに今のルルーシュは恐ろしい。
向けられた銃口を直視し、ひ、と喉から音が鳴る。
脳裏にエリア11へ向かう飛行機に乗せられた幼いルルーシュの姿が思い浮かぶ。たった5年前の話だ。
幼い弟はブリタニアのためにE.U.の最前線に身を投じ、何度も幼い命を危機に晒した。いや、晒させられたのだ。まだ12歳であったルルーシュはブリタニアのせいで敵にも、そして味方である筈の皇族や貴族に何度も暗殺されかけた。
だが危機を幾度となく乗り越え、ようやく選任騎士を迎えて一人前になろうとしていたルルーシュに自分達は、父は何をしたか。
全身の血液が突如抜き取られたような寒気が襲う。
殺されてもおかしくない。いや、殺される。
クロヴィスは椅子に取りすがって打ち震えた。体が震える。恐ろしい。目の前の少年と呼べる年齢の男が、ただ只管に恐ろしい。
「ま、待てルルーシュ!私達は兄弟だろう!?それを、」
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる」
恐慌をきたしているクロヴィスを遮り、ルルーシュは彼の双眸を真正面から睨み上げた。紫紺の瞳に吸い込まれるような感覚がした。
「俺の質問に全て答えろ」
兄妹の中で誰よりも強いロイヤルパープルを持って生まれた弟だった。しかし生まれた時からその境遇は辛いもので、嫌がらせどころか命を脅かすような誘拐や脅迫に常に晒されていた。
それでも真っすぐに前を向いて歩くルルーシュをクロヴィスは尊敬していた。年下でありながら自分よりもずっと優れた能力を持つ弟に、いつかシュナイゼルの右腕として活躍して欲しいとクロヴィスは思っていた。
ルルーシュがシュナイゼルと手を組んでブリタニアを率いれば、ブリタニアは安泰だ。
自分は皇位継承なんて興味も無いから、戦争が終わればとっとと引退して、絵を描いたり詩を詠んだりして安穏と過ごそう。シュナイゼルやユフィ、ルルーシュとたまに穏やかに話をして、平和の中で暮らしたい。
そう願っていた。
嘘じゃないんだ、ルルーシュ。本当なんだよ。私は心からそう願っていたんだ。
そう伝えようとした。しかしそれより先に脳内で金属が擦れるような甲高い音が聞こえた。
意識は遠のき、ルルーシュは声の届かない所へと行ってしまった。
眼を真っ赤に光らせたクロヴィスはまるで悪夢を見ていたかのように目を瞬き、談話でもしているような柔らかな表情を浮かべた。先ほどまでの必死に懇願する様子は微塵も無く、ただぽつぽつと静かに喋る。
「ああ、分かったよルルーシュ」
まるで5年前のようにクロヴィスはルルーシュに向かって微笑んだ。アリエスの離宮で一緒に遊んだ優しいクロヴィスのそのままの姿に、しかしルルーシュは無表情を崩すことは無かった。
5年前と状況は変わってしまった。ここはアリエスではない。目の前の優しいクロヴィスは、ギアスが無理に強いているだけの仮初でしかない。
「ギアス教団とは何だ。知っていることを全て話せ」
「ギアス……ギアスとはブリタニアが古代から護っている禁呪、秘宝……コードの発露」
「コード?」
「大昔に作られた呪いのようなものらしいよ。私もまだ研究途中で詳しいことは知らないんだ」
クロヴィスはおどけるようにひらひらと両手を振った。
「コードもギアスも長年神聖ブリタニア帝国に深く関わっている存在らしいんだけど、皇帝以外にはその存在は秘匿されているんだ。私は偶然コードとギアスについて知って、それらを研究しているギアス教団に関わっていたC.C.という名前の少女———Code Rと呼称していたんだけどね———を捕らえて研究をしていたんだ」
「どうやってコードとギアスについて知った」
「兄上が教えてくれたんだよ」
「兄上とは」
「シュナイゼル兄上さ」
やっぱりか。予想を裏切らない兄にルルーシュは天を仰いだ。
とはいえ今はまだギアス教団が皇帝の手の内にある組織なのか、それともブリタニアとはまた別個に存在する組織なのかは分からないが、いずれにせよシュナイゼルがその組織に関わっているとは考え難いだろう。
普段宰相としてブリタニアの政務を一手に引き受けながらE.U.方面軍の指揮を揮うシュナイゼルにギアス教団とやらに関わる暇は無いだろう。今の仕事量だけでも普通なら数か月で過労死する。さらに“呪い”という21世紀には相応しくない呼称がその考えに拍車をかけた。
シュナイゼルは良くも悪くも超合理主義だ。ブリテン島にブリタニアがあった時代のことならともかく、現代では化石と言っても過言ではない“呪い”に関わる暇があれば一発で日本が吹っ飛ぶような兵器でも開発するだろう。
しかし皇帝を除く皇族で最も情報通なのはシュナイゼルで間違いない。皇帝しか存在を知らないとされるコードであっても、情報戦でシュナイゼルを凌ぐ化け物はブリタニアには存在しない以上、シュナイゼルがギアスについて何も知らない訳がない。
それにしても昔とは立場も状況も変わったと言うのにシュナイゼルには一歩も二歩も先を歩かれているようで、腹の奥がざわざわするように腹立たしい。苛立ち混じりに息を吐いて拳銃を握り直す。
「どうしてシュナイゼルはお前にギアスとコードについて教えたんだ」
「ちょっと日常にロマンが足りないなって思って。兄上に聞いたら『コードというものについて知っているかい?コードを手に入れれば不老不死になれるらしいよ。父上もコードの研究をしているらしいんだ。父上さえ興味をそそられるんだから、不老不死って凄くロマンチックだよね』って」
「お前は馬鹿か」
「父上もコードを研究してるってことは、父上は不老不死になりたいのかなって思ったんだよ。なら不老不死になる手段を父上より先に研究して教えてあげれば喜ぶかなって思って」
「おま、シャルルを不老不死にしようとしたのか!?馬鹿だろう!!この地球上で最も不老不死にしちゃいけない男だろうあいつは!!地球が冗談でなく滅ぶぞ!!」
「だって喜ぶかなって」
「父の日のプレゼント感覚か!やって良いことと悪いことがあるだろう!!」
「テロを率いて祖国の軍を攻撃した挙句に実の兄に銃口を向けてるルルーシュには言われたくないなあ」
のほほんとしているクロヴィスに思わず怒鳴り返してしまいそうになったが、一旦息を吐いて目を閉じた。
ギアスを掛けられているクロヴィス相手にこんなことを話していても意味が無い。
取り合えず一旦全ての思考を横に押しやり、ルルーシュはクロヴィスへの詰問を再開した。
「ギアス教団の本拠地はどこだ。コードとギアスの研究とは具体的に何をしているんだ」
「ギアス教団についてはコードとギアスを研究している団体ということ以外に知ってることは無いよ」
「C.C.という女がコードを持っているのか」
「恐らくは。まだ碌に研究できていないから、不老不死ということ以外にコードがどんな力を持っているのかも知らないけど」
「不老不死……研究資料はどこにある」
「私の執務室のデスクの中に全て入っているよ」
執務室はこの部屋からそう遠くない。
そうか、と呟きルルーシュは眼を閉じた。
「最後に質問だ」
「何だい?」
両目を見開き、血管が浮き出る程に短機関銃を握り締める。
返答によっては殺す前に左手足と片目を吹き飛ばす心算だった。
「ビスマルク・ヴァルトシュタインと地面に引きずる程長い金髪の子供が先ほどシンジュクにいた。お前が呼んだのか」
空気が凍りつく程の殺気を迸らせるルルーシュを前に、クロヴィスはきょとんと首を傾げた。
「知らないよ」
「長い金髪の子供に心当たりは」
「金髪の子供なら親戚に何人もいるけど、そんなに長い髪の子はいないかなあ」
「………分かった。もういい」
ギアスは絶対だ。クロヴィスは嘘はついていない。両腕に込めた力が抜ける。
その瞬間にクロヴィスは穏やかだった顔を瞬時に恐怖で強張らせた。ひ、と声を引き攣らせて少しでもルルーシュから遠ざかろうと椅子に取りすがる。
「や、止めろルルーシュ!兄弟じゃないか!」
「だからどうした」
肉親に日本に捨てられ、兄弟に見捨てられ、血の繋がりなど意味は無いと教えてくれたのはブリタニアだった。
ナナリー以外の兄弟はルルーシュにとって憎悪の感情を呼び起こす以外に何の意味も無かった。
「止めろ、やめてくれ!まだ死にたくない!」
もうかける言葉は無かった。
これまでクロヴィスが殺してきた人々も、ルルーシュが殺してきた人々も同じような末期の言葉を叫んだ。だからクロヴィスも内心でこんな言葉に意味は無いと知っている筈だ。
それでも叫んでしまうのは、覚悟が無かったからだろう。
1発の銃声の後にクロヴィスは静まった。
椅子にもたれかかり、宙を見据えたまま四肢から力を失っている。首元には小さな穴が開き血が胸に向かって流れ出ていた。
近寄って首元を覗き込む。銃弾は延髄を撃ち抜いていた。クロヴィスの死亡を確認している間もルルーシュの心情は静まり返っていた。動揺は無かった。
仲が悪い兄弟ではなかった。むしろ他の兄弟に比べれば良い方だった。身内に対しては温厚で、争いごとを嫌うクロヴィスはよくヴィ家に出入りしてはチェスをして遊んだ。その度にルルーシュに負けては悔しそうに笑った。
アリエス宮での数少ない、柔らかな思い出はルルーシュの胸を痛い程に締め付けた。この痛みは消えないだろう。むしろこれから生きて行く限り痛みは増すばかりになる。いずれこの痛みで自分は死ぬのではないかと思った。
しかし優先順位は覆らない。
優先順位の2番目には復讐の2文字が重苦しく君臨している。
ルルーシュは踵を返し、クロヴィスの死体に背を向けた。
「————新しい総督が来る前に地盤を固めなければな」
ルルーシュはクロヴィスの執務室へと向かった。
■ ■ ■
シンジュク事変の起こった夜。ロロはシンジュクの工場跡地に向かっていた。
夜風は冷たい。扇グループにより鎮静化したシンジュク事変は数時間前まで銃撃戦が繰り広げられていたとは思えない程に静かだ。しかし死体はそこら中に散乱しており、鼻が曲がる程の異臭が周囲に漂っている。
懐かしい臭いにロロは眉根を顰めながら、廃虚と呼んでも過言ではないその場所へと昔の記憶を辿りながら歩いた。
中を覗く。動いている人間はいない。死体しかいないらしい。
それもそうか。人の気配には敏感な女だ。ぐずぐずと同じ場所には留まっていないのは当然だ。この世界のC.C.もギアスという異能に慣れるまで数日間はルルーシュの挙動を観察するつもりなのだろう。
もしC.C.がまだここにいれば回収して家で保護してやろうかと思ったのだが、骨折り損のくたびれ儲けだったらしい。
一応の確認のため工場の中に足を踏み入れる。工場の中は惨憺たる有様だった。もともと倒壊寸前なまでに古びていたのだろうが、今はまるで中で爆弾でも爆発させたかのようだ。鉄骨は剥き出しになり、剥がれ落ちた壁の破片がそこら中に散乱している。鼻が曲がるような異臭もあり、源は何だと視線を向けると割れたコンクリートに混じってブリタニア兵士の死体が回収されずに未だ放置されていて顔を顰めた。
だがこれもしょうがないことだ。死体の数は多く、また活発化したテロリストへの対応に追われているブリタニアには未だに日本人どころかブリタニア人の死体さえ回収する余裕は無い。
全ての死体が片付くまでに数日はかかるだろう。自分の時もそうだった。
生きている人間の気配が微塵も無い様子に、ロロは無駄骨だったかと踵を返そうとした。しかし僅かな月明り以外に灯りの無い工場に落ちている一つの死体を見て目を見開いた。
こんな戦場には不具合な程に幼い頭蓋にはよく見慣れた顔が張り付いていた。
小奇麗な顔は最愛の妹とよく似た雰囲気があり、ふんわりとしたアッシュブロンドの髪が短く切り揃えられている。首から先はすっぱりと切り落とされていた。
眼を瞬き、見間違いでなく確かに彼であると確認するに至りロロは歯を食いしばった。掌に爪が食い込む程に握り締める。
そうだ。覚悟していた筈だ。ここは俺の世界じゃない。だからイレギュラーだって起こり得る。それでも手を出さないと決めたんだ。これまでそうしてきた。俺は傍観者として徹するんだ。
だって俺自体がイレギュラーなんだ。俺は世界から弾き出されたんだから。
ぶるぶると震える体を抑え込みながら胴体を探す。地下に降りる階段の程近くに、年齢にしては華奢な胴体を見つけた。記憶よりも小さく見えるのは自分がこの弟と出会った時よりもまだ2歳幼いからだろう。
ロロは小さな子供の死体を抱きかかえた。
「————ロロ」
ロロは首を刎ね飛ばされた死体を抱き締めた。冷たい。死後硬直のせいか、少し硬くなっている掌を握り締める。驚く程に小さな死体は腕の中にすっぽりと納まった。
労わる様に背中を撫でる。ロロの手つきは優しく、小さい子供の背中を幾度もなぞった。
「ごめんな、ロロ。助けなかった……俺は、傍観者だから。ゼロレクイエムで死ぬ予定だったのに、どうしてかここに飛ばされて、お前の名前を借りたんだ。お前の名前を使いたくなったんだ。何でだろう。俺にもよく分からない。でもお前のことをずっと心配していたよ。これは、嘘じゃない」
ロロは子供の身体を強く抱きしめた。
そのまま地面に転がっている首に手を伸ばす。首をしっかりと胸元に抱き締めて、血が流れ出たせいで随分と軽くなった弟の死体を持ち上げた。軽くなったとはいえ人一人分の重さにロロの足はがくがくと震えた。
数歩歩いて、しゃがむ。そしてまた立ち上がって歩く。またしゃがんで、しかしまた立ち上がる。
飛び跳ねそうな心臓を抑えながらロロはアッシュブラウンの髪を柔らかく撫でた。
「それなのに俺はお前を助けなかった———俺はもう関わらないと決めたから。俺はこの世界の住人じゃないから当事者になる権利は無いんだ。それに俺は死んで世界を創って罪を償う筈だったのに、まだ死んでいない。集合無意識にこんなところまで飛ばされて、のうのうとまだ生きている。罪を背負っている俺には、世界に関わる権利は無いんだ。また俺は、お前を殺した。見殺しにしたんだ。俺は、また」
ロロは、ルルーシュは、ロロの首を見下ろした。見慣れた弟の顔よりほんの少し幼い顔は真っ白だった。髪を整えて、頬の汚れを袖で拭う。可愛らしい顔立ちをした中心で、薄紫色をしている瞳は強く閉ざされていた。
ロロはその子供の遺体を、家族のように愛おし気に抱えて工場を出て行った。