アルトリア「絶許」
「もうすぐ私の手に新たな剣がやってくるのですね」
そう呟くのはアーサー王。ブリテンの王である。彼女は性別を偽り、一国の王として君臨していた。
彼女が所持していた剣、カリバーンはある戦いにて折れてしまった。あくまで儀式用であった剣は彼女の魔力の出力に対応出来なかったのだ。
そこで彼女は湖の乙女のもとを訪ねている。湖の乙女が折れた剣を鍛え直すため持ち込んでから月日が経ち、彼女は新しい剣を受け取るために湖に訪れていた。
自身の直感に従い正面を見据える。するとふわりと霧が湧きたち、やがてそれは人型を取り、魅力に満ちた少女の姿となった。彼女はふんわりと笑う。
「ご機嫌よう。麗しきアーサー王よ」
「息災でしたか?美しき湖の乙女よ」
「ええ」
一通り挨拶を交わし、お互いに軽く笑う。
「それで湖の乙女、ヴィヴィアンよ。私の新しい剣は完成しましたか?」
「ええ、もちろん。私が鍛えしこの剣はアーサー王に勝利をもたらすでしょう」
そうアーサー王が話しかけると湖の乙女ヴィヴィアンは軽く微笑む。彼女が湖面に手をかざすと、波紋を起こしながら一本の黄金に輝く剣が現れる。
精密に描かれた装飾。
傷一つない美しき刀身。
それをヴィヴィアンとアーサー王の間、宙に浮かべた。アーサー王は剣の美しさ、迫力に息を呑んだ。
「これは……」
「エクスカリバー。貴方に勝利をもたらす聖なる剣です。これをあなたに授けます」
「感謝する。ヴィヴィアン」
そう感謝の言葉を述べながら、アーサー王は鍛え直された聖なる剣に手を伸ばし受け取るろうとするも、彼女の手から逃げるように剣はするりと動かされた。その所業に疑問を抱くアーサー王。
「どういうことですか」
「いえ……。この剣を貴方に授ける前に一言忠告をしておきます」
告げるヴィヴィアンは先程まで浮かべていた明るいものではなく、どこか困ったような、申し訳なさそうな顔をしていた。聖剣は彼女の手に収められる。彼女は剣をぎゅっと握りながら宣言した。
「私は貴方から預かった剣を鍛え直しました。貴方の力になるように力を込め、願いを込め、魔術を用い、新たに剣を生み出しました」
「えぇ。感謝しています」
「私が鍛えたこの剣はとても強力になりました。いえ、
「は?」
「そして強力な力にはそれ相応の代償が必要とされます。貴方にはこの聖なる剣に要される対価を呑むことができますか?」
ヴィヴィアンはそう言いながら剣から手を放し、試すかのように湖に剣を半身ほど沈め、柄をアーサー王の前に晒す。まるで彼女が選定の剣を引き抜くかのように。
眼前に見える黄金の聖剣を一瞥し、それから凛々しい顔つきでヴィヴィアンを見た。
「私は王になるために生まれてきた。この身にどんな災厄が降りかかろうと私は王としての責務を果たすのみ。そのためにより大きな力が手に入るというのなら是非もない」
アーサー王は言い切ると力強く聖剣の柄を握りこみ、湖から引き抜き、黄金に輝く剣を構えた。そんな様子を見て安心したかのようにヴィヴィアンは息を吐いた。
「それではアーサー王よ。あなたの王道に幸あらんことを。……あ〜良かったぁ〜あいつをちゃんと引き取ってくれて〜」
満足そうな表情と共にさぁっとヴィヴィアンが空気に溶けるようにして消えていった。一人取り残されたアーサー王は数度軽く剣を振り、それから剣をじっと見つめた。満足そうに笑みを浮かべ、それからしまおうとした直前、声が響いた。
『ほうほう。これが私の担い手となる者か。まだまだ青臭い小娘ではないか、ヴァカめ!!』
*****
「グッ!」
短い悲鳴とともに体が空へと吹き飛ぶ。体が吹き飛ばされ、地に落ちた衝撃で肺から空気が漏れる。勢いのまま転がり、やがて土蔵の前で止まる。
わけがわからない。
それが衛宮士郎の感想であった。何故か尋常でない赤と青の戦闘が校庭にて繰り広げられており、そこから逃げた自身は殺された。と思いきや生きていて、そして家に辿り着いたと思いきや再度命を狙われている。
そんな不条理な事態に巻き込まれながら、それでも衛宮士郎は懸命に肩で息をして、必死に脳に酸素を送り思考を続ける。
そんな士郎の努力を他所に青い戦士はぼやく。
「ったく、嫌な仕事を一日に二度もさせられるとはよ。お前も俺も、お互いついてねぇな坊主」
青い戦士、ランサーは槍を軽く振るう。名を馳せた英雄の身であるはずだが、ろくな闘争もさせてもらえない。そんな我が身と、自身に殺される青少年を軽い口調で嘆きながら話す。
「センスや機転は悪くねぇな。だが、俺に会うには早すぎた。だから、恨んでくれて構わなぇからよ。もう一度死んでくれや」
「誰が……!!」
死んでやるか、という言葉を飲み込んでぐっと体に力を込める。緩く構えられた槍に意識を集中しつつ、打開策を考える。自分が今持っている武器やあたりにあるもので使えるものなどないか、思考する。
打つ手が浮かばず、彼はランサーから距離を取るように後ろに下がると何かに躓き、後ろにこけて土蔵に転がり込む。
「ぅお!?」
間抜けな声と共に転がり、地面に手をつくと土蔵の地面全体が光り輝いた。
「なっ!?この魔力!この陣!まさかサーヴァントの召喚か!?」
ランサーの狼狽する声が聞こえた。光の中央に影が見えた。やがて光が収まり士郎とランサーの間には一つの影があった。
清らかな白き長い帽子。
身を包む純白の服。
曇りなき丸い瞳。
身の丈より少し短い杖。
つんととんがった長い顔。
……なんだこれは?
そんな想いが士郎の胸を渦巻いた。ランサーも同様に、人、というよりも魔獣か何か得体の知れない物体?生物?の登場にどう対応していいか測り損ねている。
「ほう、君が私を呼んだ者か。少年」
まるで何かの妖精のような見た目に反して低い声を発した。話しかけられた士郎は虚をつかれながらしどろもどろになりながら答える。
「た、多分?いや、呼ぶってどういうことだ?」
「テメェ、サーヴァントか!?」
「私の武勇伝が聞きたいか少年」
「え?」
「いや、やはり私を召喚したということは武勇伝よりも私が要求する1000の項目を守っていただきたい」
「は?」
ビッと白い杖を士郎の首元に突きつける人の話を一切聞かない謎のナニカ。
「それをここにまとめてきた。しっかりと目を通しておきたまえ」
「え、ちょ、ちょっと待ってくれ!というかどこから出し……」
「まず、最も重要でえるのは452番目の私の五時間におよぶ朗読会だ。これには是非参加してもらいたい」
「おい!!」
士郎は声を荒げて説明を求めるが白い何かの口を止まらない。
「さて、私の朝は一杯のコーヒーから始まる。これには上質なものを求めたいところだ。一日の始まりというのはやはり上等な質であるのが良いだろう。マスターである君の手腕に期待している」
「話を聞けよ!!」
そう叫ぶが聞く耳を持たず、彼の話は止まらない。杖を振り回しながらつらつらと話は続いていく。
「そうそう。項目その278にも記載している通り私の食事には決して人参は使……」
「フンッ!!」
「っ!!!」
短い掛け声とともに赤い槍が白い生物がいた位置を貫く。英霊の名に恥じない早業である。が、そこには影も形もなくなっていた。ランサーの神速の業と謎の生物が消えたことに士郎は目を見張る。
ギロリとランサーの赤い瞳が士郎を射抜いた。彼の発する圧力にたじろぎ、目線を恐る恐る追うと、彼は士郎の手を睨みつけていた。否、より正確に言うのならば、いつのまにか士郎の手に収まっていた黄金の剣を見ていた。
「なっ!?いつの間に!?」
「自身が剣となる宝具か?」
『ヴァカめ!!私は召喚された宝具だ!私の真なる担い手は何故か『貴方を持って現界したくない』と召喚に応じなかったのでな。代わりに私のみが召喚されたのだ!』
そう黄金の剣が返答する。先程まで目の前にいた白い生物と同じ声である。何が起きているか事態がさっぱり掴めていない士郎を置き去りに話は進んでいく。
「俺はマスターの命令で動いてるんでな。宝具のみだろうが手加減は抜きだ」
緩く構えていた槍をしっかりと握り、ランサーは士郎と対峙する。対する士郎はひとまず命の危機に瀕しているという状況を飲み込み、黄金の剣を構えた。
『さぁ、マスターよ。私を待っているということだけでこの戦い勝ったも同然だ』
「抜かせ!!」
剣が言い切るよりも早くランサーが動く。が、士郎の身には不思議な現象が起こっていた。
先程まで何とか防ぐのが精一杯であった攻撃がゆっくりとしたものに士郎の目には映った。それに対して余裕を持って避けるように体を動かすと
目の前の景色が一変した。
気がつくと士郎はランサーよりも後ろの位置に立っていた。
「な!?」
「はぁ!?」
ランサーの驚愕の声と士郎の素っ頓狂な声が庭に響く。そんな中で堂々とした癪に触る剣の声が聞こえる。
『ヴァカめ!何を驚いている。この私を待っているのだから当然のことだろう、この程度など驚くに値しないわ!』
「なんだその光の翼は?」
「え?はぁ!?なんだこれ!?」
剣を手にした士郎の背中には神々しく輝く光の翼が生えていた。今の移動はこの翼が?と愕然としているとランサーは警戒を一層強くする。
「テメェ、一体何もんだ?いや、剣ってことは持ち主はセイバーだろう」
『ヴァカめ!!私のような存在がクラスという矮小なものにとらわれるわけがなかろう。たとえ剣士だろうが、暗殺者だろうが、魔術師だろうが、狂戦士であろうが、私は私の求める1000の項目に応じ、資格のあるものであれば応じるのだ!!』
剣がそう叫ぶ。今まさに構えている士郎にとってはただ騒がしいだけである。ランサーと士郎はお互いに構えながらじっとしていたが、不意にランサーが構えを解いた。
「チッ。マスターの命令だ。撤退させてもらうぜ」
『ほう。臆病な英霊というのもいたものだな。マスターの命に逆らってでも戦うという気概はないのかねランサー』
「言ってろ。次はテメェとそこの坊主の心臓を貰い受ける」
ランサーは霊体化してこの場を去って行った。その様子を見届けると剣は体を元に戻した。士郎も安堵してすとんと地べたに座る。
「一体何だったんだ……」
ぽつりと自然にそんな感想が士郎から漏れた。それに応えたのは謎の白い生物である。
「奴はランサー。聖杯戦争における槍兵のサーヴァントだ」
「聖杯戦争?サーヴァント?」
「そんなことも知らずに戦っていたのか?ヴァカめ!」
先程から馬鹿にするような発言しかしていない気がするんだが、この白いやつ。と士郎は思いつつ疑問を口にする。
「なぁ、お前一体何なんだ? 剣になったり、そもそもの元の形もよくわからないし」
「ほう、私のことが知りたいのかね。ではマスター。1から12の中で好きな数字は何かな」
「は?……えっと、7かな?ラッキーセブンって言……」
「ヴァカめ!!君に選択権はない。私の伝説は12世紀から始まった」
「じゃあ何で聞いたんだ」
「いやより正確には栄光を勝ち取ったのは5、いや6世紀だったかな。たがそれでも私が伝説として広まったのは12世紀であっただろう。ふむ、どちらが適当かね」
「え?じゃあ5世紀じゃないのか、栄こ……」
「やはり12世紀だろうな。いやはや私も伝説の一つとなり世に広まったのだよ。あれはそうある人物が書いた一冊の本によって私の武勇伝は広がっていたのだよ。……いや、やはりちょっと待ってもらいたい。もしかしたら10世紀だったかもしれない。そうだ、彼がいたのだ。彼もまた私というスーパースターに魅せられた一人の被害者であったのだろう。いやはやこれは失礼なことをしたものだ」
「お前は結局何なんだ」
「彼は元はというと確か中流貴族だった。たしかあまり目立った功績のない家柄であった。そうだそうだ。なぜ忘れていたのだろうか。いや、ちょっと待て。もしかしたら教会の神父であったのかもしれない。あぁ。そう考えたほうが自然なのだ。辻褄があうな。そう、彼は私という魅力的な存在を知ってしまったから人生が狂ってしまったのかもしれない」
「それで聖杯戦争って何だ?」
「いや、やっぱり待ってもらいたい。そう、やはり私の伝説の幕開けというのは6世紀だった。そう、あの頃の私はなかなかワルでね……」
その後謎の白い生命体の話はアーチャーの襲撃があるまで続いた。
ノリと勢いで1時間で適当に書いた。
多分この後凛はキレる。
アルトリア「エクスカリバーを伴うなら召喚には応じません」
エクスカリバー(ソウルイーター)
ソウルイーター作中で最強の武器。たがウザい。
次元切断が可能。たがウザい。
瞬間移動と見間違うレベルの高速移動が可能。たがウザい。
所有者に1000の項目を要求してくる。ウザい。
歌がとてもウザい。
今作においてはビームも撃てる仕様。
アルトリアはエクスカリバーを黙らせるために風王結界を使って擬似封印しているが、それすらも破ってくるので意味はない。
そのためマーリンによって認識阻害の魔法が組み込まれており、真名解放をしない限りは解けないようななっている。