止んだ時雨は宵の内   作:春宵

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宵風の役割と兎のプライド 中

訓練が終了した。

 

一夏の班とシャルの班は騒いだことによるペナルティを受けているようだ。

ラウラ・ボーデヴィッヒはうなづいているだけで指導などしていなかったが、織斑先生も思う所があるのか、

お咎めはなかった。

 

罰として授業が終わってから一夏が一人で片付けに行ったので、

帰ってくるまでにシャルと私は着替えに行こうと思う。

 

着替えながら、原作キャラへの対応を協議してみたところ更識簪についてのことが話題になった。

 

シャルが知っている原作ではまだまだ邂逅は遠いはずだが、三世代機開発者である私がいる以上、

邂逅が早まるうえ、一夏ではなく私が更識簪の機体についての相談を受ける展開になりそうだということで、シャルがあらかじめ対処の仕方を考えていてくれたらしく、その対処の仕方とは、

この先あるらしい軍用機の暴走の際の戦力にすることを見据えて相談された場合は協力するという事だった。

さらに、そうするとなると原作ブレイクしてしまうということで、

すでにデュノア社への通知も終わらせてしまったらしい。

そこまでされてしまっては逃げ道も無いのでその通りにしようと思う。

 

 

着替えが終わった後で一夏に呼び出された。

どうやら食事のお誘いのようだ。

シャルや山風も誘っていたが二人は弁当を持っていなかったはずなので、

私が飛行機の中で小腹がすいた時と昼食用を兼ねて作ったサンドイッチを分けようと思ったが、多分足らないと思うので、さらに作ってシャルや山風に分けようと思う。

 

昼休みになって、私たちは屋上にいた。

いつもは賑やからしいのだが、今日はみんな学食に行ったのか誰もいなかった。

訂正、代表候補生たちが居た。

みんな不満そうな顔をしているあたり、一夏が個別で誘ったのだろう。

皆で座った後に代表して篠ノ之箒が不満げに声をかけたが、一夏が

「せっかくの昼飯だし、大勢で食う方がが弁当はうまいだろ。それにシャルル達は転校してきたばっかりで右も左もわからないだろうし」と言うと納得したのか彼女は不満を飲み込んで一夏に弁当を渡していた。

そのすぐ後に声と共に鳳鈴音がタッパーを投げ渡し、

最後にセシリア・オルコットがバスケットを開いて中身を一夏に見せた。

篠ノ之箒と鳳鈴音の時は喜んでいたがセシリア・オルコットの時は笑みが少し引きつっていたため、

多分、セシリア・オルコットは料理下手なのだろう、そんな様子の一夏を見て鳳鈴音は笑っていた。

そんな風な仲良しそうな雰囲気を感じてか、シャルはここに本当にいていいのかと一夏に聞いていた。

それに対して一夏は男子同士仲良しようと返答をしていた。

その後、「わからないことがあったらなんでもきいてくれ。IS以外で」

と言って、鳳鈴音にもっと勉強しろと怒られていた。

そこから言い合いになり、

その途中でセシリア・オルコットが遅くともジュニアスクールのうちに専門の学習を始めると言い、

そこでこちらに一夏が「そういえば、お前らはどうなんだ?」と話を振ってきた。

 

「ISについてなら私は代表候補生にも並べる程度にはわかっているさ」と返すとショックを受けたようだった。

多分、ISのことがあまりわからない存在が欲しかったのだろうが、

私だって第三世代機を作らなければならなかった以上勉強はしてある。

そしてへこんだ一夏は鳳鈴音から

「こいつはステラ社の第三世代機開発者の一人よ、それも二機の。そんな奴がISに対して素人なわけないでしょ」

という言葉をもらいさらに意気消沈していた。

その様子を心配したのか篠ノ之箒が無言で弁当を差し出すことで空気を変え、やっと食事が始まった。

 

「箒、なんでそっちには唐揚げがないんだ?」と一夏が訊くと、

ごまかすかのように篠ノ之箒がダイエット中と答え、

一夏が「お前は太ってないだろ」と言ったことで空気が凍った。

そしてその言葉に反抗するように鳳鈴音とセシリア・オルコットが怒ってこう言った。

「ダイエット=太っているにつなげるんじゃないわよ」

「まったく、デリカシーに欠けますわね」

流石に今の言葉はだめだと思うので、追撃のようになるがこちらからも言っておこうと思う。

「「女性にそのセリフは駄目だよ(だからね)。もう少し考えて発言するようにしようか(しようね)」」

シャルも同じことを考えていたようで被ってしまった。

「お前ら、なんか怖えよ。」

怒りが目から感じられたらしく怖がられてしまった。

そして惜しげもなく体(それも胸を)見ていたのでそれも非難しておくことにする。

「女性の体を凝視するのはマナー違反だよ、やめようね。」

出来る限り穏やかに笑顔で言うことを心掛けたが、一夏が恐れているので、

多分、今の私は怖い笑顔を浮かべているのだろうと予想できた。

それを中断させるようにシャルの携帯からメールの受信音が響き、デュノア社から

用事があるので後で私たちに掛けなおしてほしいという事なので、

さっさと食べて席を離れた。


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