宵風が出会うは紡ぐ者達
飛行機に揺られて8時間強、車に揺られて三時間弱、モノレールに乗って三十分、
やっとの事で学園に着いた。
私含めた全員は織斑千冬が担任を務める一年一組に編入する事になった。
私たちを除いてもう一人編入して来る人が居るらしく、
その人と合流してからクラスへ向かうそうだ。
その人はラウラ・ボーデヴィッヒという名前で、軍で部隊を任されている軍人らしく、
私とは話が合いそうだが、織斑千冬にどん底から救い上げられたという話を聞く限りで、
更にこのくらいの年で今までずっと兵器として扱われ続けたともなれば、
織斑千冬の狂信者のようになっているだろうと思う。
そうだとすれば、多分クラスで一回はトラブルになると考えたほうがいいだろう。
ラウラ・ボーデヴィッヒと合流した、少し内面を言葉から探ってみたが、
思ったより面倒そうだと言う印象を受けた。
自己紹介には無関心、クラスメイトの話にもおおよそ無関心だが、
織斑一夏の時のみ憎しみで満ち満ちていた。
自分の自己紹介は名前以外無く、緊張も無い様なので、
これでは自己紹介も真面にせず織斑一夏とトラブルを起こすだろう。
言葉遣い的に常識というものが欠如している可能性があるが、
この物語の重要人物の一人であったと教わっているので、
教えてやりたいが、頼ってきた時だけにしようと思う。
そんな事を考えつつ編入するクラスへと向かった。
一年一組に着いた、五十音順で自己紹介するらしく、
最初は山風、次に私でその次がシャルそして最後にラウラ・ボーデヴィッヒ
という順番になった。
何事も無く終わればいいが、おそらくそうはならないだろう。
全く、初日から不安になってくる。
やはりトラブルが発生した。
山風はできるだけ頑張ったし、
私やシャルの時は鼓膜が破れそうなほどの絶叫だけだった。
問題はラウラ・ボーデヴィッヒだ。
ラウラ・ボーデヴィッヒが自己紹介をした後に織斑一夏にビンタしたのだ。
それによってラウラ・ボーデヴィッヒは初日から織斑一夏に惚れているであろう
セシリア・オルコットと篠ノ之箒と険悪な雰囲気になってしまった。
これからしばらく険悪な雰囲気が続くとなると憂鬱になりそうだ。
知り合いしかいない環境になったら思いっきり愚痴るのもいいかもしれない。
自己紹介をして席が決まった後の最初の授業は二組と合同のISの模擬戦闘だった。
一度ここで山風と別れ、織斑一夏に連れられて更衣室まで行くことになった。
この際男としてふるまうことに慣れておらず、
この場で着替えようとしたシャルを連れていくことも忘れていない。
他のクラスの人に捕まったら遅刻確定なので、一心不乱に駆け抜けることにする。
この際、胸を圧迫されて浅い呼吸しかできないシャルはお姫様抱っこで運んで行った。
他のクラスの女子のBL妄想の格好の的になるかもしれないがいない事を祈る。
更衣室に着くまでの道すがら、織斑一夏にこの学園について聞いてみた。
やはり男一人は肩身が狭いらしく歓迎しているそうだ。
親しみを込めて一夏と呼んでほしいとも言われたので一夏と呼ぶことにしようと思う。
更衣室に着いた後、着替え始めたのだがシャルは男の裸に慣れていないらしく
一夏が上半身裸になったときに真っ赤になって恥ずかしがっていた。
私はステラ社特注のものを下に着ていたのでさっさと終えたが
一夏が着替え終えるまでシャルは着替えにくそうなので急かしておいた。
そのとき一夏にはシャルが着替えを見せようとしない理由を
シャルルは背中に大きな手術痕があるという事にして話しておいた。
なんとか私を遮蔽にしてシャルも着替え終えた(ISスーツを下に着ていた)ので良いが
一夏はまだ時間がかかりそうだ。
いつまでも此処に居るわけにもいかないので、先に行っておくと伝えてグラウンドへ向かう。
実習開始前に一夏が来ていない理由を織斑千冬に問われた。
着替え始めるのが遅いうえに気が散りまくっていたと言ったら
織斑千冬の雰囲気が冷ややかなものに変わった気がした。
話を終えた頃に一夏が走って来たが
そのまま「遅れるな馬鹿」
と織斑千冬に言われながら出席簿で叩かれていた。
その後に来たセシリア・オルコットと誰か(鳳鈴音というらしい)も叩かれたのだが
一夏が受けたものの方が圧倒的に威力が有った。
しかし一夏が受けたものの方が愛が感じられたので多分、
戦いで死なせないために強めの指導をしているのだろうと考えていたら織斑千冬に
何か言いたい事が有るのかと睨まれながら言われた。
問われたからには答えなければならないだろうと思い、こう返した。
「言いたいことは特には有りませんよ。ただ、
たぶん千冬先生は弟の一夏を愛していらっしゃるんだろうなと思っていただけです。
だからこそ一夏が戦いに駆り出されたときに死なせないようにと
今から厳しく指導をしているんでしょう?」
それを聞いた織斑千冬は
「下衆の勘繰りをする等、よほど教育的指導を受けたいと見える」
と言ったかと思うと私にも出席簿を振り下ろしてきた。
咄嗟に受け止めたものの前の三人とは違い恨みが込もっていたので、
もうこれ以上言うのは(主に頬に赤みがさしている理由など)やめておこうと思った。
最後にお前もちゃんと織斑先生と呼べと言った後、次は無いぞと言って織斑千冬は離れていった。