魔神王が断つ!   作:なと〜

5 / 10
二週間空いてしまった…

でも、頑張る。ᕦ(ò_óˇ)ᕤ


後、今回以降、キャラ崩壊、独自設定が多いですが心を広くしてみて下さい。


人類悪とは即ち人類愛に他ならない

 時間神殿にて

 この場には現在、72柱の魔神柱、ゲーティアそして帝国皇帝の姿があった。彼らがこうして一堂に会したのはこの世界に来た当日の深夜以来である。

 

「グラシャ=ラボラスよりここにいる全ての同胞に感謝を送る。早速だが、今回の議題は我々の現計画の推敲と今後の活動について決めたい」

「アガレスより質問。現計画には何か不足している要素が存在するのか?それは致命的なものであるのか?」

「バラムより否定。現計画『現世理想/創成国家』には我ら全員の賛同を受けていた。推敲の余地は無くこのまま計画を進行すべきだ」

「パイモンより同調。現計画も未だ第一段階。この国の救済は一刻を争っているのだ」

「オセより反論。現段階でも僅かではあるが計画の相違が存在する。ナイトレイドなる暗殺集団の活躍は特筆すべきものだ」

「グラシャ=ラボラスより抗議。私の論点はそこではない。この計画には重大な欠陥が存在する」

「ボディスより提示。それは一ヶ月間の被害者の無念であろう。それは致し方ない犠牲と決着したはずだ。彼ら全てを救う方法はない。ならばせめてもの安寧の為、早期に決着すべしと決議されたのを忘れたか」

「グラシャ=ラボラスより再度抗議。当時の私と今の私の意見は違う。彼らを救うためには今すぐの救済が必要である。だが、私にはその妙案が存在しない。これに同胞達の力を貸して欲しい」

 

 グラシャ=ラボラスの突然の抗議と懇願。魔神柱達は大きく分けて二つの派閥に分かれた。

 

 一つは現在の計画をそのまま進めようとする派閥。被害者の無念を仕方ないものとして、一刻の計画成就を願う者達。主にバアル、フェニクス等が所属している。

 もう一つがグラシャ=ラボラスの様に被害者の即時救済を望み、計画修正を考える派閥。主にフラウロス、ラウムが所属している。

 

 真っ二つに分かれた魔神柱達を前に中立を守る者が二人。ゲーティアと皇帝である。

 

「お前はどの様に考える。小を切り捨て大を救うか、小を守る為に大を犠牲にするか」

「王としてなら前者だよね。でも個人的には小も守ってあげたいんだ」

「成る程、お前らしい。だがそれは空想である事は承知の筈。いかにして現実とするのか。何か策があるのか?」

「無いよ」

 

 即答する皇帝。

 

「余は全能じゃないからな。そんな都合のいい意見なんて持っていないよ」

 

 自らの至らなさをしっかりと理解する皇帝。単純だがこれを成せる人間はそういない。ましてや、その人の立場が高くなるにつれ、くだらないプライドが自らを奢らせていくものである。

 

「そうだな。貴様は平凡(・・)だ。皇帝の家という家柄こそ特別だが、お前自身は平凡なのだ。神の血を引くわけでも、異常な愛国心を持つわけでも、生まれながらの王でもない」

(藤丸立花の様にな…)

 

 皇帝と藤丸立花はどこか似通っている。どちらも生まれた時からあった特別(家柄とレイシフト適正)の為に数奇な運命を辿り、その他はどこまでも平凡。だが、必ず大きな事を成す、否、成さなければならない(・・・・・・・・・・)人間。

 

 

「統括局より論争の一時休止を命じる。各々、冷静に論議せよ」

「バアルより了承。しかし統括局よ。双方を納得させる意見を出すには時間が足りない。だがこのままでは今後の活動に支障をきたすだろう」

「アロケルより提案。我々、魔神柱の思考回路では最適解を出せないのならば、我々の世界から英霊を呼び出し、意見を仰いではどうか」

「クロケルより反対。英霊の存在は我々の計画を大きく阻害する可能性も秘めている。例えあのマスター(藤丸立花)がいなくとも奴らの存在は危険極まりない。それに聖杯を作成する時間も我々には惜しい」

「アガレスより結論。我々の計画を漏らさず、新たに意見を仰げる人間など存在しな……訂正、一人いた」

 

 瞬間、アガレスの言葉を理解した魔神柱72体が玉座を見る。3×72の視線に晒されたのは、この神殿にただ一人いる人間、皇帝陛下である。

 

「そこで余なのか?先程、ゲーティアに意見は無いと話したであろう」

「だが事実、この中で最も視点が違うのは陛下である。何でも良いのだ。我々には無い発想を望んでいる」

「ええ〜っと…つまり、多くの人を救いたいけど、その時間や計画が無いって事だろう?う〜ん…人手(・・)を増やすとか…どう?」

「現地での協力者か…しかし、我々との接触は不安要素を生み出す可能性がある、諸刃の剣だ」

「待て、フォルネウスより意見がある。接触する人物を絞り、接触後の行動予測が容易な者を手駒とすれば良いのでは無いか?」

「フラウロスより抗議。人間の力は侮り難い。あの特異点での藤丸立花の行動と時間神殿の戦いを忘れたか」

「フォルネウスより否定。忘れているのはお前だ、フラウロス。決戦前のお前ならば人間を軽んじていただろうに。接触すべき人間は我々が現段階までに救済した人間や異常な性格を持つ者に絞るのだ。俗な人間ならば我々に対する恩義や自らの信念に従い行動するだろう。我々が操るのに容易い者達ならば警戒は最小限で済む。我々が真に警戒すべきは英霊達のような強靭な心を持つ者だけで良い」

「「「………」」」

「統括局より皇帝陛下へ。この案はどう思う?」

「…了承しよう。計画を変更し、一部の者達に活動に参加してもらうように手配しよう。すぐさま行動してくれ。生命院と情報室は心身共に健康な者達に声を掛けろ。覗覚星と観測所は勧誘を。溶鉱炉、兵装舎は実動部隊の武装を考えてくれ。死なれては意味が無いからな。管制塔、廃棄孔は指揮を頼む。事後報告で構わないから後で報告を」

「統括局ゲーティアが72柱を代表し、了解の意を示す。お前は寝ろ、もう0時を過ぎた」

「すまないな…」

 

 テキパキと指示を出す皇帝。まだまだ大雑把だが、これから凄まじい決断を国に対して何度も要求されるのだ。今の内から力を付けるに越した事はない。これもゲーティアの教育の賜物である。

 だが未だ幼い身。深夜ならば眠くなるのは当然であり、この場をゲーティアに任せ、一人ベッドに潜り込んだ。

 

 

 

「統括局よ。フラウロスより一つの可能性を提示したい」

「許可する。何だ?」

「これからの計画において、やはり人間の可能性は否定できない」

「フォルネウスより抗議。私が担当した第三特異点ではメディアリリィは我々の力に屈した。英霊でも圧倒的な力の前に自らの力を十全に出せない事があるのだ。異世界とはいえ、俗な人間ならば我々が手駒に取ることは容易い」

「サブナックより抗議。メディアリリィの話題はやめろ。ハーゲンティが狂死寸前だ」

「ゼパルより叱咤。魔神でありながらトラウマをまだ克服できんのか」

「アミーより提唱。議論が逸脱している。フラウロスの意見も最もである」

「バアルより提示。俗な人間の中にも逸脱者は存在する。あの藤丸立花も元はただの一般人だ。今後、藤丸立花のような人間が出現する可能性など不愉快極まりない」

「カイムより提案。不安要素がある人間には簡易的な洗脳工作をしてはどうか。自らが正しい事をしている認識ならば、反逆の可能性は低くなる」

「ダンタリオンより補足。洗脳は周囲の環境によって解除や異変に気付かれる可能性がある。ここは扇動行為程度にしておこう」

「ナベリウスより報告。武装作成にあたって接触したい人間が存在する。ハルファスと共に接触許可を」

「統括局より却下。そう急ぐな。管制塔に詳細を報告し、決議せよ。一刻も早い行動を望むが、妥協など不認。心して活動せよ」

 

 

 __________________________

 

 

 

 ここ数日、帝国では一部で混乱が起きていた。

 

 一部の貴族、高官が使用人(・・・)が誘拐されたと騒ぎを起こしたのだ。自宅の豪邸に住み込みで働く使用人の大多数が姿を消した、という報告を受け、帝都警備隊だけでなく宮殿警護の近衛までも駆り出され、徹底的な調査が行われるも、これといって情報は出てこなかった。

 帝都に住む者達も誘拐された人々の安否を気遣う……などということは無かった。

 それと言うのも誘拐を訴えた貴族が外道の噂が絶えない者達であり、使用人というのも彼らの悪行に耐えられずに逃げ出したのではないか、と考え特に心に残らぬまま、たわいの無い噂となった。

 

 しかし、帝都に住む市民達にはあずかり知らぬ事だが、実際は使用人が誘拐された貴族や高官の数は訴え出た者達の数倍の数である。使用人と方便を並べているも、誘拐された者達はほぼ全員が非人道的な手段で手に入れた奴隷(使用人)である。

 故に最近活動が活発化している親衛隊を恐れ、訴え出ない者達が大多数となった。訴え出た者達は自らの地位に絶対の自信を持つ者達(馬鹿)だけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ???side

 

 眠い。

 

 今の生活に不満と怒りしか無い中で唯一と言ってもいい癒しの時間が睡眠だ。

 昼夜問わず、命令されれば、主人(あいつ)が満足するまで奉仕し、時には人間であることすら許されない行為もする。

 だが、今は耐えるしかない。

 全てはいつの日か復讐するために。

 三人で地方に出稼ぎに行くつもりで帝都に足を踏み込んだ。

 そこで要求されたのは自らを家畜以下に扱う畜生共の戯れ。

 親友の一人は目の前で目を潰され、もう一人は脚を折られた。

 いつか必ず三人で帰るために、主人(あいつ)に尻尾を振る。

 プライドなんてとっくの昔に捨てた。

 

 だが眠い。

 昨夜は幸運にも夜の相手を求められなかったので、首輪付きであるがゆっくり眠ることができた。

 だがもうすぐこの時間も終わる。早く起きなければ主人(あいつ)の機嫌を損ねてしまう。

 早くこのフカフカのベッドから起きなければ……

 

 

 

 

 フカフカのベッド?

 

 意識を覚醒させると自分が横になっている寝床を確認する。シミひとつ無い白いベッド。

 

 あり得ない。あの家のベッドは派手派手のものだし、そもそも昨夜はロクでもない場所で寝たはずだ。

 周囲を見回す。そこには白いカーテンしか無かった。

 明らかにおかしい。もしや主人(あいつ)の新しい戯れだろうか。

 疑心暗鬼ながらも起きようと身体を起こす。

 まず、二つの事に驚いた。

 一つは首輪が無くなっていたこと。

 もう一つは裸で寝たはずなのに白い服を着ていること。簡素であるが決して使い古しでないことがわかった。

 

 もしかして…もしかして…と、自分の中から一つの感情が湧いてくる。

 おぼつかない足取りでカーテンの向こうに進もうとする。

 そこでカーテンを勢いよく開けられる。

 

「目覚めたか」

 

 そこに立っていたのは一人の女性。銀色の髪を束ね、赤い服を纏っており、その瞳は紅かった。

 

「あなたは…ここは…」

 

 女性だったので幾分か安心した私は心の奥にあった言葉(希望)を吐き出す。

 

「安心しろ。我々は全てを救う。この国もお前達もな」

 

 優しい声だった。安心できた。この人なら大丈夫。

 

「うわあああ‼︎」

 

 思わず泣き出してしまい、目の前の女性に寄りかかってしまう。

 

「汝ら、病めることなかれ…」

 

 彼女がそう呟いたのを今でも覚えている。

 

 side out

 

 

 

 

 

 

 

 

「グス…ごめんなさい…」

「構わない、感情の吐露は君の経験を鑑みれば必然。よく頑張った」

 

 一通り泣いたエアと言う名の少女は、ナイチンゲールの姿を模した魔神サブナックと相対していた。

 

「君の容態は順調だ。幸い、性病などの反応は無く、もうしばらく入院したらこちらで身元を預かろう」

「私より友達が…ルナとファルが…」

「友人か…すまないが今は立て込んでいてな…」

「お願いします!二人を助けて下さい‼︎」

「落ち着きたまえ。君の友人かどうかは分からないが、昨夜保護した人々の中にいるかもしれない。だが君の身体が…」

「大丈夫です!探させて下さい!」

 

 結果、車椅子でエアをサブナックが運ぶという事で決着した。

 ナイチンゲール本人ならば有無を言わせずベッド行きだっただろう…

 

 結論から言えばエアの友人、ルナとファルは見つかった。だが彼女達がいたのはエアがいた魔神柱が貸し切っている施設では無く、時間神殿内の集中治療空間だった。

 双方、心身共に多大な傷を負い、下手をすれば自殺しかねない程だった。

 

「彼女達の現状は芳しくない。だがここで安楽死という手段は取らない。何があろうとも彼女達を救ってみせよう。そこでエア。君の協力が必要だ」

「私ですか?」

「身体のケアは我々ならば容易い。だが心のケアは友人であるお前が適任である。それと時間神殿まで見せた以上、タダでは帰れんぞ。療養後、しばらく看護婦として活動してもらう」

「わかりました!必ず二人を救って下さい‼︎」

 

 

 

 

「…以上でサブナックの報告を終了する」

「バルバトスより報告。今回の誘拐行為によって帝都の警備状況、防犯意識が判明した。今後の誘拐行為の際はより瞬時に行動できるだろう」

「バラムより反論。誘拐行為は下手をすれば痕跡が残ってしまう。魔術が使えぬとも、帝具を使用すれば痕跡を発見される可能性がある。今後は行動を控えるべきだ」

「グラシャ=ラボラスより抗議。我々が保護したのは全体の三分の一にも満たない。まだ助けを求める者達が存在する限り、行動を続けるべきだ」

「統括局より決断。今後は機を見て小規模に実行する。助けを求める者達がいるのも事実であるが、功を焦り、計画に異常をきたしては元も子もない。粛清部隊の調子はどうか」

「ハルファスより報告。協力者達の働きは想定より素晴らしい。ただ、一部の者達は感情を抑えきれず、目標を殺害しかけた」

「ベリアルより想定。彼らは現在まで虐げられてきたのだ。感情が爆発するのは至極当然。だが彼らに重荷を背負わせる事は許容しない」

「ナベリウスより報告。部隊に支給する武装の試作品が完成率90%を超えた。何らかのテストを要求する」

「グシオンより報告。協力者達の情報により、粛清リストに導入すべき存在が追加。全同胞に裁定を要求する」

「エリゴスより追加報告。帝都警備隊隊長オーガは看過できぬ不正を働いており、更に奴を排斥することで帝都警備隊を我らの手中に収められるという利点も存在している。粛清してもさして影響を及ぼさないだろう」

「統括局より統括。粛清部隊については現状維持。決して彼らの手を汚してはならない。武装試験については保留とする。粛清対象のリストは私から陛下に渡しておこう。警備隊の処置についても陛下の判断にて実行。対象の動向を観測せよ」

「フォラスより提案。警備隊隊長オーガは本日は非番である。動向を観測するのは難航するであろうが、奴が明日、警備隊屯所に出現した際に奴の罪を明らかとし、警備隊員からの信頼を地に落とせば警備隊の掌握も容易くなるであろう」

 

 

 数時間後……

 

 

「…フォラスより報告。警備隊隊長オーガの死体を発見。刃物で斬り捨てられており、下手人は不明」

「節穴か!フォラス‼︎何が明日やればいいだ!対象が怨恨によって殺害されるという可能性は十分にあっただろう!」

「失敬な!対象のオーガが私の予想を超えて弱かっただけである!節穴はフラウロスだけで十分だ!」

「フォラス、貴様ァ!誰が節穴だ!ロマ二・アーキマンの正体を見抜けなかったのは我々全員の失態である!」

「いや、そも、フラウロス担当の第二特異点も十分失態である」

「喧しい!それを言うなら音楽馬鹿のアムドゥシアスやメディアリリィのパンケーキも同罪だ!」

「アムドゥシアスより否定。私は本当に美しいものを見た…(尊死)」

「ハーゲンティより否定。召喚先で英霊数体に囲まれてはひとたまりもない。後、次に私をパンケーキと言ったら殺す」

「キアラ様(小声)」

「ああああああ!!」

「ゼパルが死んだ!」

「「「この魔神でなし!」」」

 

「何これ?」

我々(魔神柱)による黒歴史の暴露会だな。節穴にパンケーキ、ゼパった被害者だ。ああはなるなよ」

 

 何がなんだかわかっていない皇帝だったが、魔神柱が人間臭い事と黒歴史が恐ろしい事だけは頭に刻んでおいた。

 

 

 

 ____________

 

 

 所変わって、ナイトレイドと呼ばれる暗殺集団のアジト

 

 彼らは国を変えてみせるという信念と、そのためならば修羅に落ちることもいとわない覚悟を併せ持つ者達である。

 基本的に革命軍の命で動くが、帝都に住む人々から依頼を受け、悪人を斬ることもある。

 そんな集団に新入りが入ってきたのだ。名前をタツミ。まだまだ未熟だが、既に何人かのお眼鏡にかなう逸材である。

 そんな新入りの初任務。帝都警備隊隊長、オーガの暗殺。警備隊隊長の権力によって悪の商人から賄賂と引き換えに悪事を黙認し、あろうことか無実の人間に罪を被せ処刑する外道である。

 当初はそれなりに腕の立つオーガ相手ということで不安な者も多かったが難なく暗殺し、無事にナイトレイドの一員となった。

 

「さて、みんな今日は御苦労。ゆっくり休んで欲しいんだが、その前に帝都で新たな情報だ」

 

 ナイトレイド団長、ナジェンダの一言でメンバー全員の顔が真剣なものに変わる。

 

「帝都で誘拐事件が発生したのは聞いてるな。その新しい情報だ。誘拐された者達の安否は不明だが、私はこれに親衛隊が関わっていると睨んでいる」

「親衛隊?」

 

 タツミの頭に?のマークが浮かんだのですぐさま解説が入る。

 

「タツミが知らないのも無理はない。親衛隊、正式名称は皇帝直属親衛隊だが奴らはほんの数日前に突然現れたんだ」

「大臣が皇帝に貸し与えた兵士(おもちゃ)って訳じゃねえ。少なくとも、ここ数日までに全く情報が出てこなかったんだ」

 

 ナイトレイド一員であるブラートの声には僅かであるが疑問の感情が見え隠れしていた。

 

「革命軍の密偵やスパイの力量不足なのかもしれないが、帝国の軍隊にも匹敵する人員が出てきたってのに、事前に全く情報が無かったってのは異常だぜ」

「そしてその行動も謎が多すぎる。周りの貴族や高官を片っ端から粛清しているんだ」

「え?それっていいことなんじゃ…」

「確かに悪人を処罰してるのはいい事だ。だけどあの帝国だぞ。民がいくら苦しもうと増税し、帝国の闇をずっと放置してきたんだ。今更、何をしようとしてるんだ?」

 

 ナイトレイド及び革命軍では親衛隊の対処について意見はバラバラだが、不気味な存在という事は共通認識である。

 少なくともあの(・・)帝国が善意でやる事ではない。上も下も腐りきっている帝国が今更、こんな事をしてもマグマに水である。

 

「だが、わからない事をいくら考えても仕方ない。例え親衛隊が私達の様な信念を持っていたとしても、今は(・・)敵同士。だが接触は控えろ。噂だが大臣が依頼した暗部が壊滅したらしい。真偽の程は定かではないが、並みの人間でない事は確かだ。敵対すればタダではすまない」

「暗部…」

 

 暗部という言葉に僅かに反応を示したのはアカメという少女。詳細は省くが、彼女の妹は帝国の暗殺部隊に所属している。

 

「心配するな、アカメ。暗部といっても雇われの二流だ。クロメは関係ない。話が逸れたが、今回の誘拐事件以降、親衛隊の活動が活発化している。偶然にしては出来すぎている」

 

 何の手がかりも無い誘拐と活発化した親衛隊。ナジェンダはこの二つを結びつけた。

 だが、親衛隊の活発化も粛清した対象が一日に7、8件になっただけの微々たるものであり、そこに目をつける彼女の観察眼はさすがと言えるだろう。

 

「親衛隊が押し入った家には金品はおろか、人っ子一人いないらしい。拉致した人々を何らか(・・・)の形で利用しているのでは、と私は考えている」

「だったら早く何とかしないと!」

「落ち着け、タツミ。まだ奴らが悪と決まったわけじゃ無い。下手に突けば何が出るか分かったものじゃ無い」

 

 本来ならば相手が大臣だろうが将軍だろうが、悪ならば斬り込むナイトレイドだが、今回は相手が善か悪かわからない上に、何が飛び出てくるかわからない危険な箱である。下手に触らないのも一つの方法だ。

 

「明日からタツミはマインと帝都に情報収集だ。どんな些細な情報でも構わないが、親衛隊の事は頭に留めておいてほしい。レオーネとラバックも同じだ。後、もし親衛隊に会っても極力関わるな」

「随分、消極的だね団長。接触はしてもいいんじゃない?」

 

 ナジェンダの言葉に疑問を覚えるレオーネ。彼女は団長の今までにない慎重さに疑問を抱いていた。

 

「レオーネ。これは私の勘なんだが奴らはヤバイ(・・・)。強さを身にしみて覚えたエスデスとは違ったヤバさを感じるんだ。たった一の情報で十を理解されてしまうような感じだ」

 

 ナジェンダはかつて帝国の将軍として戦地に赴いた事もある。そんな膨大な彼女の戦いの経験が警鐘を鳴らしている。

 

「…そんなに言うなら注意しとくわ」

「すまんな…さ!明日も早いぞ!みんな寝よう!」

 

 

 

 帝国の悪を正すという目的は同じである二つの集団。

 ナイトレイド(殺し屋集団)皇帝直属親衛隊(異世界からの人類愛)

 

 目的は等しくも立場は正反対。彼らの邂逅がどんな波乱を呼ぶのか。

 未来を見通す千里眼の持ち主しかわからない事である。

 




この物語では名前のある人物から名もなきモブ全ての人々の平和を目指しております。
わかりにくい所などあれば指摘して下さい。必要ならば修正します。

魔神柱の語尾が『なのよ』になった時は流石に疲れてると感じました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。