METAL GEAR WORLD ーMonster Eaterー   作:ひいまるモツ

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なかなか話が進みません

どうして…




1章 生命の方舟 4

 二足歩行の喋る猫か…。それが本当なら、僕の研究の参考になるかも知れないね。ところで奇妙な猫といえば、君は“シュレーディンガーの猫”を知っているかい?1935年にオーストリアの物理学者、エルヴィン・シュレーディンガーが提唱した量子力学の思考実験さ。有名な実験だから、名前だけは知ってるって人も多いかもしれない。ちょっと物知りな人なら、猫に毒ガスを浴びせる野蛮な実験とか何とかって、そう言うかもね。

 念のため、この実験はあくまでも思考実験であって、実際に命ある猫を使用したものではないってことを伝えておくよ。安心して。

 じゃあ、その実験の内容を簡単に説明しよう。

 

 まず、一つの箱を用意する。その箱には、中にいる生き物を殺してしまう毒ガスの発生装置が取り付けられている。毒ガス装置には放射性原子の入った容器が付いていて、その原子の崩壊を検出する装置が備わっている。もし検出装置が原子の崩壊を感知したとき、それがスイッチとなって毒ガスが箱の中に充満する仕組みさ。“シュレーディンガーの猫”の実験は、そんな悪趣味な箱の中に一匹の猫を入れるところから始まるんだ。猫を入れた箱には蓋をして、外からは中の様子が見えないようにしておく。これでオーケーだ。

 

 さて、途中ではあるけれど、ここで量子力学の“コペンハーゲン解釈”というものも簡単に説明しておこう。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。これがコペンハーゲン解釈だ。量子力学の実験により、原子・分子・電子などのミクロな粒子は、複数の状態を同時に持つことが判明しているんだ。でも、人間が観測を始めた瞬間に、粒子は今まで持っていた複数の状態のうちどれか一つとなって現れる。初耳の場合、きっと理解し難いだろうね。誰だって、一つの粒子が“位置Aにある状態”と“位置Bにある状態”を同時に持っていて、観測された瞬間にどちらかに収束する、なんて言われても訳が分からないさ。だけどミクロの世界ではこういった、僕たちの常識では考えられないことが起こると分かっているんだ。だからコペンハーゲン解釈では、ミクロな粒子には特別な法則があるのだと、そうやって納得してる。

 

 話は戻ってシュレーディンガーの猫だ。さっき粒子は観測されない限り複数の状態を同時に持ち得ると説明したよね。これは毒ガス発生装置のトリガーである放射性原子にも言えることで、原子は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだ。でもそうなると、箱の中にいる猫は原子の崩壊によって生死が左右される訳だから、外から見えない箱の中にある限り、猫が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という奇妙な状況になってしまう。

 これまでの話から粒子の状態に関しては、「これは我々(マクロ)の常識では測れない量子(ミクロ)の世界の法則だ」と物知り顔で言えるよね。だけど、ミクロの常識を猫というマクロの存在に当てはめた瞬間、その異質さが浮き彫りになる。生きてもいるし死んでもいる猫なんて、あり得ないんだから。猫の生死は箱の蓋を開けて人が観測した瞬間に決まるんじゃなくて、すでに箱の中で決まっているはずだろう?

 つまり“シュレーディンガーの猫”とは、コペンハーゲン解釈を批判するために持ち出された例え話なんだよ。コペンハーゲン解釈が正しいと仮定すると、生と死を同時に持つ猫が発生してしまう、それはおかしいだろ、ってね。

 

 って、スネーク?僕の話、聞いてる?

 

 ――ん、あ、ああ。聞いてるさ。トレニャーはシュレーディンガーの猫なんだろう?

 

 ……はあ。まあ、良いよ。

 

 ――…ところで博士。なぜ急にそんな話を?

 

 ストレンジラブの話を思い出してね。前に彼女が言っていたんだ。「ママルの中で、“彼女”はシュレーディンガーの猫になる」って…。

 

 ――生きてもいるし、死んでもいる…。

 

 そう。誰にも見えない、0と1の羅列になって存在し続けるAI…。結局、ママルは君という観測者によって収束したけれどね。皮肉な話だよ。

 

 ――……いや。“彼女”は10年前に、既に収束している。俺がこの手で収束させた。あのAIは過去の幻想に過ぎない。それよりも俺たちが観測すべきは未来だ。ピースウォーカーのその先を、俺たちは見据える必要がある。

 

 そうだね。……うん、そうだ、スネーク。僕たちは、今を生きているんだから。そのためにも、過去ばかり振り返ってないで、僕たちは力を付けなくちゃいけない。

 

 ――そのことなんだが…、博士。メタルギアへの核搭載…よく協力してくれたな。

 

 今さらどうしたんだ。

 

 ――もちろん、こちらとしては助かるが…いいのか?……―――――――――――――

 

 

 

 

 

 

1-4 出会いの海岸

 

 

 

 

 海岸に打ち上げられた木箱を目前にして、スネークの脳裏に浮かんだのは眼鏡をかけた仲間の講釈だ。開けてみるまで状態が収束しない、奇妙な猫の話。

 自然と同化したスネークの直感(センス)は、木箱の中に探し求めた猫の存在を捉えている。

 ならば、それが生きているのか、死んでいるのか。結末を収束させるのは、己の手にかかっているのだろうか。

 

 スネークは木箱など貫いて見通さんとばかりに目を見開いて、木箱をゆっくりと持ち上げる。やはり、そこにいたのはスネークの記憶に強烈な印象を残した、ヘルメットとゴーグルを着けた猫だった。

 

「トレニャー!」

 

 ここが危険地帯であるという説明を忘れたわけではなかったが、それでも叫ばずにはいられなかった。こんな大声、野生の恐竜が歩き回る場所で出していいものではない。だがそれほどの声量でも猫に反応は無く、スネークの頭にイヤな想像が浮かんだ。何しろ自分がここに打ち上げられたのは二日も前のことで、助けられた自分とは違いトレニャーはその間もここにいたかもしれないのだ。

 首元の脈を確認しようとしたが、二足歩行の猫――彼らは“アイルー”と呼んでいたか、その種族の動脈の構造など知るはずも無い。首元を探っても脈動があるのか無いのか、それとも場所が外れているのか分からなかったので、スネークはトレニャーの口に耳を近づけた。すると弱々しいものではあるが、か細い呼吸が聞こえてくる。

 まだ息があった。激しく衰弱しているが、それでも生きていた。この狩り場(フィールド)で弱った猫が数日間横たわり続ける事など不可能に思えたが、きっと流れてきた木箱が偶然被さって、カモフラージュになっていたのだろう。

 奇跡としか言いようのない状況に、スネークは安堵のため息を吐いて、しかしトレニャーの容態は良くはない。その身体をそっと抱き上げて、案内役が待つ海岸へと戻っていく。

 

「スネーク、見つかったのね!」

 

 編纂者が笑顔で出迎えて、だがスネークは決して表情を緩めなかった。

 

「呼吸が細い。俺は獣医じゃないから詳しくは分からないが、まずい状態なのは素人目にも明らかだ」

 

「そうね。すぐに戻って、診せたほうが良いわ」

 

 彼女はスネークの言葉に同意して、一同は今下ってきたばかりの坂を見上げる。

 

「気休めだけど、アイルーは華奢に見えて俺たちヒト属よりもずっと頑丈なんだ。すぐ治療すれば、きっと良くなるさ」

 

 切羽詰まった状況で、陽気なハンターはあえて笑顔を浮かべている。心強い表情だった。

 スネークはハンターの励ましに少々眉間のシワを和らげると、帰還の一歩を踏み出して。

 

 その最中だった。

 

 地響きのような、空気を震わす咆哮が響いたのは。

 

「…ッ、ドスジャグラスだ!スネーク、相棒と一緒に逃げてくれ!」

 

 その音を聞くや否や、ハンターは陽気さをかなぐり捨てた険しい表情で怒鳴りつけるように言った。

 彼がそんな様子になるのも頷ける。浜辺の坂を上った、先ほどアプトノスらが徘徊していた場所。そこに、今までの生き物たちとは明らかに大きさの異なる存在がいたのだ。

 

 第一印象は、巨大なライオンだ。鮮やかな黄色の体色と、首周りに生える(たてがみ)がそう思わせる。だが、二目見ればその印象は大きく覆されるだろう。巨大な口が目立つ頭部はどう見ても爬虫類のものであり、鬣もドレッドヘアーを髣髴とさせる異質なもの。体躯は重心の低い低姿勢で、まるで蜥蜴(とかげ)のようだった。しかし、大きさがあまりにも違いすぎる。現存する爬虫類で最大級とされる“イリエワニ”よりも遥かに長い全長を持ち、加えて体高も非常に高く、ワニの平べったさとは似ても似つかない。

 そんな存在が、こちらを視認したか。ずるずると這うような動きで、勢いよく海岸へと突っ込んできたのだ。

 幸いなことに、今は破片手榴弾(グレネード)を所有している。かつてソ連の沼地(ドレムチイ)で行く手を阻んだワニにそうしたように、口に放り込んでみるのも良い手かもしれない。だが今のスネークはトレニャーを抱えており、すばやくバックパックから物を取り出せる状態ではない。どう考えても、巨大トカゲの突進の方が早かった。

 

 万事休す。そう思ったときだ。

 

 ハンターが片手剣を抜刀しながら躍り出て、突進動作中のトカゲの横をすり抜けながら前足を斬り付けた。坂道を下りながら猛スピードで走っていたドスジャグラスは、たまらず転倒して腹を見せる。四肢をばたつかせ口から涎を垂らして悶えていたが、混乱しているのかなかなか立ち上がれない。

 

「こいつの狩猟経験は何度もある!スネーク、構わず行ってくれ!」

 

 一瞬耳を疑いそうになる。あの巨体の化け物を、それなりに幅広とはいえ片手で扱えるような剣と、顔を覆うのがやっとな小盾で狩猟する?まるで映画じゃあないか。

 だが、ハンターの言葉には空元気の虚勢も、死地に向かう悲壮さも、己を奮い立たせる鼓舞すらも感じられない。ただ淡々と事実を述べて、現状の最適な行動を口にした。そうとしか思えない口ぶりだった。

 

「スネークさん、行きましょう!」

 

 編纂者にも急かされて、スネークはドスジャグラスと呼ばれた巨大トカゲを迂回するように坂を上る。その間に脇目に見えるハンターは、ドスジャグラスの巨体から繰り出される噛み付きや突進などをひらりひらりと事も無げに避けながら、回避の合間に着実に攻撃を重ねていた。先ほどケストドン相手に披露した攻撃と同様に、明らかに硬質であろう鱗をやすやすと切り裂いている。それに、ハンターの立ち回りには経験に裏打ちされた確かな構成が見える。狩猟の経験が何度もあるどころか、もはや狩り慣れて久しいのではないだろうか。化け物と対等以上に戦うその姿こそが、スネークには化け物に見えて仕方なかった。

 

 化け物級の狩人(モンスターハンター)の手厚い援護に戦慄を覚えながら、同時にだからこその安心感もある。が、その安心感もそう長くは続かなかった。

 

「――ケストドンッ!」

 

 トレニャーを抱えるスネークの前を走る編纂者が、上ずった声で吐き捨てるように言った。その表情は見えないが、想像はつく。苦虫を噛み潰したような特大の渋面を浮かべているのだろう。

 スネークたちの目の前に現れたのは、先ほども目撃したケストドンという二足歩行の恐竜だ。体格の大きなもの一体と小さなものが二体。海岸にいた個体はハンターが全て狩り尽くしたというのに、どこから出てきたのか。

 

「きっとドスジャグラスから逃げてきて…――ッッ!」

 

 編纂者の言葉は最後まで紡がれることは無かった。編纂者の推測が正しいかは分からないが、とにかくケストドンは気が立っているようだ。体格の大きいケストドンが、頭を下げた姿勢で力強く突進してきたのだ。

 編纂者はたまらず言葉を途中で切ると、横方向にすっ飛ぶように大げさな回避をした。彼女は武器を所有しているようには見えない。ここに来る直前で説明された通り、戦う人間ではないのだろう。何とか不意の攻撃は避けきれたものの、それで危機が去ったわけでもない。特に、編纂者がすれ違うようにケストドンを避けたので、スネークとトレニャーが最も危険な位置関係になってしまった。

 

「スネークさん、逃げて!」

 

 その言葉と同時に、今度はスネークに向かってケストドンが突撃してきた。

 言われずとも、スネークの身体は自然に動く。あの力強い後ろ足が生み出したエネルギーを頭部の分厚い頭殻に乗せた突進攻撃。受け止めるなどという選択肢は端から無い。人間以上の動物が見せる突進は大迫力で、見る者を震え上がらせる。まともに食らえば命の保障すらない。そんな危機感により萎縮した意識は視野狭窄を引き起こし、実際のそれ以上に強大な脅威として映ってしまうだろう。

 だが、スネークはそんな人間の本能を強引にねじ伏せた。音速を超える銃弾に比べれば、こんなもの避けるのは容易い。ケストドンの直線的な動線から、ステップを踏むようにして逃れる。同時にスネークは、回避の動作で坂道の脇にある岩場へと足を踏み入れていた。砂場よりも、岩場のほうが踏ん張りが利く。そうすれば、回避も楽であるし、何よりも反撃の余地が生まれる。

 そう、反撃だ。確かにケストドンの単調な攻撃を避けることは容易い。だが、トレニャーの容態から戦闘を長引かせるわけにはいかない。今はハンターが抑えてくれているが、弾みでドスジャクラスがこちらに来ないとも限らない。かと言って背を見せて逃げ出したとき、あの二脚が人間以上の速度を出して追撃してくる様子は容易に想像できた。

 今は様子を見ている体格の小さい二頭のケストドンを牽制する意味でも、反撃という行動(アクション)は必要だ。スネークは覚悟を決めて、激しく動き回ってもトレニャーを落とさぬよう強く抱きかかえた。

 

 ケストドンが、再びスネークを捉えて突進を始めた。やはりその速度は人間よりも圧倒的に速い。だがスネークは先ほどとは違って、すぐさま回避行動に移ることはない。ケストドンが突っ込むその先に突っ立って、腰を落として待ち構えた。

 編纂者の目からは、その行動はどのように見えただろうか。武器も持たずにモンスターと対峙することが自殺行為にしかならないこの世界(ワールド)では、諦めだと受け取られたかもしれない。

 だが、ケストドンの頭殻がぶつかるというその寸前。スネークは脳を押さえつけるような圧迫感に屈することなく、文字通り紙一重の動作でケストドンすれすれを回避。同時に、踏み出した足をケストドンに向かって打ち出した。狙うのは蹴りではない。いくら腰を低くして待ち構えたとはいえ、限界に近い回避動作からの蹴りなどたかが知れている。相手が恐竜ではなく人間だったとしても、大した効果は期待できない。だから、スネークが狙ったのは()()()()だ。突進動作のとき、ケストドンは前傾姿勢になる。それは一度目の回避で学んでいた。だから、比較的容易にケストドンの小さく頼りない()()を狙えるだろうと、スネークは気づいていた。

 スネークの足は狙い通りにケストドンの前足へと振り下ろされ、そのまま岩場と挟んで縫い付けるように固定した。全速力で駆け抜ける獣に対し、信じられないほど正確な足技だった。だが、常人ならばそんな超絶技巧の踏み付けを成功させても力が足りず、挟んだ前足などすっぽ抜けてしまうだろう。だがハンターほどではないとは言え、スネークもまた常人を超えた存在だった。万力のような力で押し付けられたスネークの足は獲物を逃さない。するとケストドンの突進エネルギー全てが片方の前足へと集中して、ぐらり、と体制を崩す。いや、浮き上がるほどの勢いでケストドンがひっくり返った。前に進む力が一点に縫い付けられて、止まることもできずに暴走したのだ。結果として、スネークの目の前にケストドンの無防備な腹が浮かんでいる。

 

 まさに神業だった。たった数度の観察で敵対者の行動パターンとクセを見抜き、そこから小さな活路を見出してしまう戦闘センス。その小さな活路を無理やりこじ開けて、押し通してしまう身体能力。その身体を正確無比に制御する技術力。綱渡りのような戦いを全速力で駆け抜ける胆力。戦士として完成された存在だからこそ、為せた技だった。

 スネークは低い姿勢を保ったまま、宙にひっくり返るケストドンに向かってこちらから突進してやった。肩を力ませて、最初は添えるようにするりと腹の下へと潜り込み、岩肌を強く蹴飛ばして押しのけるようなタックルを放つ。

 

 自然と、スネークもまた獣のような咆哮を上げていた。

 

 ケストドンは豪快に吹き飛ばされ、坂になる岩場の下に向かって落ちていく。一瞬の静寂を挟んで、その身体がごつごつした岩にわき腹からぶち当たって、静けさを破る悲鳴が響いた。スネークの肩に圧し掛かった重みは相当なもので、ならば落下も痛手だろう。ケストドンはしばらく立ち上がることなく、痛みに声を漏らして悶えていた。

 

「……すごい」

 

 編纂者がぽつりと呟いた。何もかもを忘れて魅入られたというように、静かに短い一言だった。たった一瞬の攻防だったが、それでも我を忘れるほどにスネークの業は鮮やかだった。

 

「引き上げるぞ!」

 

 だが、まだだ。まだ終わっていない。ひとつの危険を遠ざけたものの、苦難は現在進行形でスネークたちの周囲を覆っている。スネークは呆ける編纂者の意識を呼び戻すと、急いで坂を上り始めた。

 残った二頭の体格の小さいケストドンは、体格の大きい固体があしらわれたことを警戒してか、短く咆えてはいるものの一定の距離を保って近づいて来ることは無い。スネークはそちらにしっかりと睨みを利かせて、警戒心を薄めることなく走り抜けた。

 

あいつ(ハンター)はどうする!?」

 

「終わったら戻ってくるはず、先に戻って待っていましょう!」

 

 トレニャーは普通の猫と比べて大柄な身体をしており、それが意識を失っているのだから大型の武器装備を抱えているように重い。だがケストドンとやりあったせいか、スネークの身体は興奮状態(コンバットハイ)にあり、たとえトレニャーを抱えていようとも全力疾走が可能であった。現に隣で編纂者が精一杯走っているというのに、スネークの速度の方が僅かに速いくらいだ。脳内麻薬が分泌されて、疲れ知らずになっているのだろう。筋肉の疲労も体力の消耗もまるで気にならない。

 だがそれでも、両腕に抱える重みだけは、どうしても意識せざるを得なかった。

 

 恵まれた環境(フルトン回収)に慣れすぎたらしい。助けるべき存在を即座に安全な場所へ避難させてやりたいのに、今はそれができない。身を焦がすようなもどかしさが、心を荒らしていた。

 だがそんな心中を吐き出す無線装置もなければ、繋ぐ相手もいない。スネークは自らが身一つ(ネイキッド)新たな(NEW)世界(GAME)に放り出されてしまったことを、改めて思い知らされたのだった。

 

 

 




次回更新も再び不定期です

4月から忙しくなるので、今のうちにできるだけ進めておきたいという気持ちはあるのですが……
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