摂氏0℃   作:四月朔日澪

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いい夫婦の日はとっくに過ぎた?
何言ってるんですか?毎日いい夫婦(意味深)です。


【番外】いい夫婦

それは健一を地下室に入れてからまだ数ヶ月くらいの話だ。

 

「ほらダーリン、あーん」

 

文加が椅子に拘束された健一にスープを含んだ木の匙を口に持っていく。健一は動けない体を無理やり動かして、首を前に出して文加の手を噛む。文加は一瞬顔を顰めるが、噛まれて血が流れる拳を見て恍惚の表情を浮かべた。

 

「今日もダーリンは元気だね。こんなことしても無駄なのに」

 

文加は手の甲にキスをする。持っていた匙とスープの入った器を仕舞う。

 

「今日もおあずけ、だねダーリン。このままだと死んじゃうよ?ちゃんとダーリンの健康を考えて作ってるのにな...」

 

「....せ」「ん?」

 

「出せ.....」

 

健一は声を絞りだして文加に懇願する。

そんな悲痛な叫びに文加は意外な言葉を発する。

 

「出たいの?いいよ。縄、外してあげるね」

文加は素直に健一の腕を縛っていた縄を外し、足枷の鍵を開けて外す。

 

「あとは私が持ってる鍵を奪えばダーリンは自由だよ?ここ以外は鍵は閉めてないからお外に出られ....

 

健一は立ち上がり、文加を押し倒して首を絞める。

しかし、文加は苦悶するどころか興奮したように笑みを浮かべていた

 

「何が......おかしい...!」

 

「嬉しくて....久しぶりにダーリンから襲ってくれたから...懐かしいなぁ。私が浮気のことで嫌味を言ったら私の頬を張ったり、髪を掴んで床に叩きつけたりして....下腹部が熱くなっちゃう...」

 

文加の常軌を逸した言葉に首を絞める健一の力が弱まる。

 

「今ならわかるなぁ...昔大学で聞いた中東の神話....ひとりぼっちの死の世界の女神が派遣されてきた神と関係を持って、その神のことを好きになってまた死の世界に呼び戻すの...そしたらその呼び戻された神は怒って女神に乱暴を働くけど女神はその神に惚れ込んで妻になるっていう話...

 ダーリンも罪だよね。長野から上京した生意気で周りからも浮いていた私のことを好きだって言って結婚までしたくせに...あんな女なんかにうつつを抜かして...私がそのこと言ったら私のこと滅茶苦茶にして...でも私そんなダーリンが好きなんだ❤︎

ほら、私のこと⚪︎してもいいよ?滉一の弟作りましょう?それとも私のこと⚪︎したい?そうだよね。ダーリンにいっぱいお仕置きしてきたもんね。私のこと恨んでるよね?憎んでるよね?⚪︎したいくらいに。いいよ私のこと⚪︎したって。ダーリンの手で⚪︎されるなら私幸せだなぁ.,

でも、私が死んじゃったらダーリンの人生台無しだね♩私を殺したらダーリンは殺人犯。監禁されたって言っても世間はきっとダーリンが私のことを地下に閉じ込めて乱暴したって思うだろうね。私の部屋にはダーリンに沢山沢山愛された映像とか残ってるしね。きっとダーリンは家庭内で暴力を日常的にしていた殺人犯として情状酌量の余地もなく犯罪者としてみんなに嫌われて虚しい人生を送ることになるね..

 だから、ダーリンはここでずうっと私と暮らすことが1番の幸せなの。ごはんだってちゃんと食べさせてあげるし、体だって拭いてあげる。エッチだって....したくなったら私が処理してあげるね❤︎

だから私に依存してね...」

 

文加は起き上がって茫然とする健一に優しくキスをする。

健一は気が抜けたように目が虚になり、壊れたおもちゃのように膝をつく。

 

「ダーリン壊れちゃったかな?ふふっでも、私はずうっとダーリンのこと愛してあげるからね。だって夫婦だもの。」

 

**********

文加はキッチンに戻ると、滉一がやってきた。

 

「ママー、ママ手どうしたの?」

 

「あはは。ちょっと間違って切っちゃった」

 

「じゃあ、僕が直してあげる」

 

滉一は薬箱から絆創膏を持ってきて文加の手に貼る

 

「ほら、治った」「ありがとう。滉一」

 

「痛かったでしょー?」

 

心配をする滉一に文加は優しくつぶやく

 

「ううん。とても気持ちよかったよ」

「?」

 

滉一は不思議そうな顔をした。文加がお菓子おいてあると言うと滉一はそのままキッチンを後にした。

文加は絆創膏が貼られた手を見つめる

 

「治らなきゃいいのになぁそしたらダーリンをずっと体で感じていられるのに...ダーリンに首絞められた時の映像撮っておきたかったなぁ...監視カメラつけようかしら。ダーリンはもう逃げないと思うけど念のためにね」

 

文加は貼られた絆創膏を撫でながら一思いにふけていた。




いい夫婦の日に書こうとしたのですが、仕事が多忙でしてなかなか取り掛かれませんでした。

あんまりいいアイディアも思い浮かばずショートになってしまいましたが...
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