言い忘れてたんですが時系列の提示を。
一応東方深秘録後ということで書いていきます。
紺珠伝はどうしよう…多分本編じゃ触れないと思います…
(番外編まで生き残れたら書くかもしれません。)
…そもそも紺珠伝はプレイしてないんですよねー。
「…不思議な少年だったなぁ…」
まるで嵐が去ったかのような顔をして霖之助はしみじみと言葉を漏らした。
先の自己紹介の後、蒼月は何の武器も持たないままずかずかと外へ出てどこかへ
行ってしまった。
もちろん霖之助は本心から心配したのだが
「へーきへーき、フレンズによって得意な事違うから」
とよく分からない言い回しで断られてしまった。
しかし霖之助がここまで武装を勧めるのには理由がある。
この世界には霖之助が妖怪であるように妖怪が闊歩しているのだ。
別にRPGのように一歩歩けばぷるぷるのアイツと出会ったりするわけではない。
最近は巫女の働きもあり、里の近くでは捕食された人間はほぼほぼ見られなくなってはいる。
しかし妖怪とて食わねば生きてはいけない。
…つまり目を盗んで人間を喰っている個体もいるのだ。
事実森に狩りをしにいった猟師がそのまま行方不明、という事態も稀に、とは言えない
頻度で起こってしまっている。
だが初めてここに来たと思われる蒼月がそこまで知っているとはとても思えないのだ。
「だが…」
先程自分を妖怪だと断定した蒼月。
明らかにあの時の彼には迷いはなかった。
それどころか外界では既にオカルト扱いされてると言われた妖力を感知し、さも当たり前であるかのように霖之助に問いを投げた。
脳内に追加書き込みをしたように彼は間違いなく一般人ではない。
彼自らが行った自己紹介も。
‘人間以上、神未満‘
……もう一度考えてみる。あの時は若干熱くなっていた節がある。
落ち着いた今なら違う説が出るかもしれない。
霖之助は頭の中に考えうる種族を思い浮かべてみた。
妖怪・吸血鬼・天狗
妖怪退治専門ではない彼が可能性として見出したのはこの三種であった。
まずは妖怪。
これは霖之助自身でも分かるが違うと思われる。
そもそもこの世界はむやみやたらと妖怪を外界へ出したり入れたりしないように安全装置が組まれている。
それが「博麗大結界」と呼ばれているものだ。
この結界は内部の妖怪の数がある一定に下回ると結界近くに存在する外界のある程度の大きさの生命体を幻想郷に呼び込むシロモノらしい。
らしいというのは霖之助は陰陽師ではないため結界に関する知識など年下の女の子から
少しかじった程度なのだ。
そこは彼を責めるべきではないだろう。
しかしこれは長くこの地で生活している霖之助の感覚だが、まだその「呼び込む時期」
ではないと思うのだ。
呼び込む時期になれば何かしらの喚起が里で出される。
しかし最近そんな喚起がだされたというのは一度も耳に挟んでいない。
それにその時期になれば里だけではなく、誰かしらの友人が店でその手の話題を
挙げていく。
というわけでここでは妖怪という説は否定される。
…全く正確な証拠はないが。
次に天狗と吸血鬼。
この二種族に関してはそもそも出会うこと自体が滅多にない。
(記者の彼女を除いて)
しかし彼らに関して何も情報がないという訳ではない。
霖之助は今一度過去の知り合いとの会話記憶を洗ってみる。
…………。
「(吸血鬼やら天狗って分かりやすいのよね。基本的にあいつら妖力やら魔力やら馬鹿みたいに多いから
判別しやすいし)」
「(それにあいつらの特徴って隠すのがほぼ無理らしいのよ射命丸から聞いたんだけど。
…え?例?例えば吸血鬼だったら日の下に出れないとか白狼天狗なら耳を隠すことはできないし)」
…とりあえず今現在出てくるのはこれくらいか。
そのまま椅子に体を預けため息を漏らす。
「…現状彼に合いそうな条件はないなぁ…」
いずれの条件も当てはまりそうにない。
「…一体彼は…」
そこで霖之助は半ば諦めた。
どちらにせよ霖之助には彼を邪険にする必要もなく、
むしろ商売相手として関わるべき相手だ。
別に遠からず分かるだろう
霖之助はそう結論付けて目を閉じた。
まだ未の刻ではあったが霖之助に睡魔を払う気力はなかった。
……実際彼の正体は今日中に明かされるのだがそれはまた別のお話。
~店主爆睡中~
「まさか異世界で森林浴かぁ…んん…」
ところかわってここは森の中。
現在は店主と別れて歩き続けている真っ最中なのだ。
そしてこの森の中を歩くのが何とも心地よい。
今までいた世界ではそもそも身近に歩いていて清々しい森林というのが
存在しなかっだ。
経験上‘森林‘というとじめじめしていて暗いイメージが強い。
しかも森ってやたらと蟲が多いし。
だがどうやらここは違うらしい。
緑といっても見続けていればいずれの植物にも違いがあるということが見えてくるし、
地面をとっとこ跳んでいく兎は多少汚れていてもこの場所でなら相応だ。
本物の森林浴というのは木から出ている油を感じて楽しむらしいが
どうやらこの森は油ではなく魔力が満ち溢れている。
「植物由来の天然の魔力感じるの何時ぶりだろうなぁ…あっちじゃ人工芝生とか増えすぎて
全然感じ取れないもんなぁ…」
うんうんと頷きながら歩く蒼月。
「(それに時々聞こえてくる鳥のさえずりがまた何とも…あー…癒される…)」
さらには奥から反響しているかとも感じる鳥の鳴き声。
これもまた外界ではなかなかできない体験であった。
と、そこで蒼月は周りがだんだん明るくなってきていることに気付いた。
「そうか、そろそろ出口か」
最近この状態での生活が長すぎて時間間隔が麻痺してきている気がする。
もう少しここでの生活に慣れたら一度あの「形態」に戻った方がいいかもしれない。
そう思いながら森を抜けた蒼月の眼を待ってましたといわんばかりに太陽が—
「ぁぁぁぁぁぁああああああああああああああっ!?」
「…は?」
刺さなかった。
「うぎゅっ!」
刺す前に太陽よりもよっぽどインパクトのあるものが降ってきた。
…美しい森の木の幹を盛大に空にぶっ飛ばしながら。
先程その森林に癒されてきた蒼月の心の中ではいろいろ感じるものがあったのだが
「ちょっと、吹っ飛ばすことないじゃないですか!話くらい聞いてくれてもいいじゃないですかぁ!」
先程地面に不時着したUMA(仮称)が可愛らしい声で何事かと訴えている。
蒼月も気になったので女性型UMAと同じ方向に視線を向けてみる。
「だってあんたのそのアイデア下心見え見えなんだもの。誰がそんなもの許可するかっての!」
かと思えばまたまた可愛らしい声が。
そういえばこの世界に来てまだ野郎の店主としか意思疎通を交わした覚えがないと
今更認識する。
上から降ってきた声の主は太陽を背にして空に‘浮いて‘いるため顔は陰でよく見えない。
がはためいているあの服…見覚えがない。
しかし蒼月の中で一番結びついた名称は—
「巫女服?」
その時蒼月と巫女服の少女とで瞳同士が交錯した。
決して友好的ではなかったがそれでも敵意はない、澄んだ目だった。
しかしあんな細身の少女が同じ少女を木をなぎ倒すほどの勢いでぶっ飛ばす事例とは一体何なのか。
そもそもあの少女が凄まじいパワーだと言う事は突っ込まないでおこう。
そうしなければこの世界で生活するのは無理だと感じた。
「悔しいなら‘弾幕‘で私を負かせてみなさいよ」
「この鬼巫女めぇぇぇぇぇっ!」
と、蒼月がこの世界の真理の一端を捉えたかと思ったらまた喧嘩が始まった。
どうやらUMAちゃんに蒼月のすがたは見えていないらしい。
と、一つ引っかかる単語が。
「(…弾幕?)」
聞き覚えがない単語だ。
そもそも外界で日常で用いる語句ではない。
「(いや、なんかアイツが画面を指さしながら弾幕やめろとか笑ってた記憶が…)」
と、今度は蒼月が過去を捜索する前に美しい光が空を舞った。
「…おお」
思わず声が漏れた。
これが弾幕とやらか。
しみじみとうなずいている蒼月をよそにUMAちゃんも光芒を纏って空を滑るように舞い始める。
ここでUMAちゃんの背中に黒い翼が生えているのを視認して若干驚いたが—
「「はぁぁぁっ…!」」
両者がおもいっきり妖力とよくわからない力をため始めたと同時に、
空中に複雑な紋章が形成されていく。
それがたちまち蒼月の眼前を白い紋章と赤い紋章が埋め尽くしていく。
そして各々の紋章の中心点に煌々とした光が灯り徐々にその光から紋章全体-術式全体にスパークのようなものが発生していく。
と、そこで蒼月はある可能性に気付いた
「(あれ?ひょっとして人間の状態だったらこの状況不味くないか?)」
と気づいたのも束の間—
『夢想封印ッ‼』
『幻想風靡っ‼』
それぞれの術式から吐き出された光弾と光弾が混じるようにぶつかり――
すさまじい衝撃と爆発音を生み出し――
「ぬ……ふぁっ」
蒼月を空高くへ打ち上げた。
自分の体が悲鳴を上げているのが体で感じる。
何も強化していない人間の体では態勢を変えることすら困難であった。
何とか体を捩ろうとするが風がそれを許さない。
まるで網かなにかで縛られたような感覚だ。
「…むぅ」
そして蒼月は抵抗をやめた。
このまま誰に見られてるかも分からない場所で―――――を使うのは不味い。
仕方なく蒼月はそのまま体の力を抜いた。
そのまま体は加速し続け脆弱な人間の体を思うがままに風は弄ぶ。
そしてそのまま方角も分からぬまま蒼月の体を撫でまわし続けた。
「(とりあえず体質戻した方がいいなこれは。)」
空をロケット移動しながら蒼月は疲れた顔と共に。
その日幻想郷の上空を白く光る流星が駆け抜けたと記録されるのは仕方なかっただろう。
~少年飛翔中~
寒い。
猛烈に寒い。
さすがに5月とはいえこのお空の彼方を飛び続けるのは少々肌に堪えるものがある。
上着でももってくればよかったがそもそもこの時期に上着を持って行動する者の方が稀だろう。
「ずびっ…うーさびー………あれ?」
と、段々と寒気が遠ざかっていくのを肌が感じている。
そしてその証拠にチクチクとした痛みが蒼月の体を這い回っている。
それはつまり
速度が落ちてきたということ以外の何物でもないわけで。
「おー地面だ」
全く危機感のない蒼月だがそれには当然理由がある。
今の彼は先程までの脆弱な体ではない。
若干彼の体から青白い光が漏れ出しているのは気のせいだろう。
みるみる内に視界を流れて行ってた景色が徐々に色彩を取り戻していく。
そして彼の体は放物線を描いて地面に勢いよく衝突――はせず
「ふっ…」
若干息を吐き出しながら蒼月が視線を下に逸らすように首を下に曲げることで
蒼月の体が激突寸前にひときわ強く光る。
流れ出た光の粒子がまるで水面を流れる泡のように滑らかに宙を泳ぐ。
それと比例するようにまるでクッションに支えられたかのようにふわっと体が浮くように速度が落ちる。
そのまま蒼月はさも当然、何もなかったかのように地面に足を着く。
地面に足が着いた点についてとりあえず一安心する蒼月。
そして試していなかったものの案外姿まで変えなくてもこのままで落下対策の術は発動できることに
大いに安堵を感じた。
「生存率上がるのは大いにいいけども…ここは…」
と、そこで蒼月は今自身が最も確認せねばならない事があるということに思い立った。
位置の確認である。
そして辺りを見回して目に入ったのは
「……湖…か?これ、広すぎるでしょ」
自身の視界半分を軽々と覆いつくす広大すぎる湖であった。
そしてさらに特筆すべきは――
「霧……」
濃密すぎる霧、そのまま濃霧だ。
実際に既に吸っても身体に異常は一切見られないため
毒性ではないらしい。
最も毒があったとて蒼月に効くかは分からないが。
しかし古来より霧というのは珍しがられると同時に
非常鬱陶しがられるものの一つである。
人間は心理上正体が分からないものというのをひどく嫌悪する。
それは人間同士であれば相手の性格が分からないからとりあえず無視する…といったものだ。
それと同時に目を見えなくされる、あるいは耳が聞こえなくされる、というのも
上記の嫌悪に該当する。
どちらにも共通するのは「生存率が下がる」という点だ。
目くらまし、騙し討ち…いずれも相手を討つことに有用であるというのは既に
先人たちが立証済みだ。
故に人は先が見えなくなるこの霧を嫌うことが多い。
そして感覚上の問題として肌がべたつくような触感になって
不快なのだ。
そこに湿気から来る蒸し暑さを加えれば――
もう不快感しか感じない。
そして蒼月がたまたまここに飛ばされてきたこの時刻は霧が濃くなる時間だったのだ。
それ故に普段なら必ずと言っていいほど妖精が屯している事が多いこの湖も静寂に包まれている。
しかしこの湖は最初はこんな濃霧が発生する湖ではなかったのだ。
それで霧が発生するようにしたのは…
ところで蒼月は先程から妙に懐かしい匂いを感じていた。
例えていうなら子供のころ通っていた玩具店に大人になってから入店した際に感じる匂いだと
言えば共感してもらえるだろうか。
そしてこの嗅覚、音波まで封じられるほどの霧の中蒼月はその匂いの元を辿っていたのだが――
「…………そうか。そういえばそうだったな」
そして
「………元気にしてるかなぁあいつら」
少年は
「……あの本はまだ残ってるんだろうか?」
ついに
「…この館自体にいい思い出はないんだがな」
約500年の時を超え少年は紅い悪魔の館を訪ねる。
「元気にやってるといいんだがな、レミィとフラン」
かくして少年は館へと足を進める。
そして門の近くで眠りこけている門番に対して尋ねた。
「もし、悪魔が住むという館はここでいいのかな?」
初めてここへ来た時と同じように。
……序説の蒼月さんと今の蒼月さんて別人なんじゃないだろうかと思い始めてきたこのころ。
そしてようやく紅要素登場。
第二話でようやくか…
そして気づいたらUAが50を突破!
大したことないかもしれないけど普通に声が出てしまいした。
ありがとうございます!