昔、憧れた物があった。
どんな困難も覆し、どんな絶望の真っ只中に居る人をも助けられる
だけども、大人になるに連れてそんなものは
誰もを助けれるそんな存在は居ない。そんな冷めた大人になった俺を精々自分が守れるのはこの手が届く大切な人だけだとそう思う事が出来るようにしてくれた人が俺にも出来たんだ。
だけども俺はそんな簡単だけども重要な事さえも出来なかった。
突然現れた通り魔に胸元を刺され地に伏せる俺。
そして、目の前で狂喜しながら俺の大切な人を滅多刺しにしていくそんな光景を見せ付けられながら俺の意識はズブズブと暗闇の中に沈んでいったんだ。
ここで俺は死んだはずだった。
次に目が覚めると目の前には全てを飲み込む黒く恐ろしい何かが近付いて来る地獄が広がっていて、何故か俺は子供になっていた。
気が付くと俺は逃げ出していた。状況は上手く掴めていなく思考はぐちゃぐちゃだった。
目の前に広がる大災害に何も出来ず死んでいく人々、ついさっきの様に見せられた死ぬ前の大切な人が死んでいく光景。
そのどちらもが微かに残った心を粉砕して俺を追い込んでいった。
すでに体はぼろぼろで、歩く気力さえも尽き果てた。
そんな時、俺を助けてくれたのは後に義理の父親になった衛宮切嗣だった。
その傍らには後の義理の妹、美遊も居た。
それから暫くして俺は切嗣に引き取られた。
そこからは平凡だが人並みに幸せな生活が続いたんだ。
その合間に、俺は魔術と言う神秘を習っている。
本来は秘匿され、身内に伝えていく物だが切嗣は魔術師だった事から習うことになった。
魔術を習い始め、数年後切嗣は静かに息を引き取った。その際に美遊が持つ『人の願いを無差別に叶える力』の事やその力を使い世界の救済を掲げていたエインズワースの事を聞いた。
切嗣はエインズワースの世界の救済に賛同して協力関係にあったらしいがあの大災害を目にして何かが違うと感じ取ったらしい。
そして、相討ち覚悟で当主を討ち取り美遊を連れて逃げ出したらしいんだ。
俺に魔術を教え込んだのもエインズワースは完全に活動を停止しているが何時活動を再開して美遊を強奪しにした時の備えだったんだ。
俺は息を引き取る間際の切嗣に美遊は護りきってみせると誓ったんだ。
切嗣が息を引き取ってから数年が経ち、俺は高校生になった。
あの大災害が災いして生徒は学校が成り立つギリギリの人数しか居なかったがそれでも、ごく普通の学校生活を送ることが出来ていた。
切嗣が居なくなってしまって美遊とは良好な兄妹の関係になれるか心配だった。
でも、何時だか美遊が俺と本当の兄妹になりたいと願いを流れ星に願ってからは不思議と上手くやっていけてると思うし、同じ部活で一年後輩の間桐桜とも良くやっていけている。
彼女は前世の大切な人に良く似ていた。
前向きな所や優しげな表情、その声まで全部が。無意識に
こんな何時までも続けば良いと願ってしまうぐらい幸せな日常だった。だけども、そんな日常は簡単に打ち砕かれてしまった。
エインズワースが再び活動を再開した。
エインズワースの連中は俺と美遊、そして桜が居た日本家屋に襲撃してきた。
必死に抵抗したがただの魔術師と英霊化した魔術師の差は歴然で俺は奴等に敗北し美遊と何故か桜も連れていかれた。
俺は始まりのあの日の光景を重ねながら意識を失う。
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「ここは……?」
「気が付いたか、少年。ここは冬木教会。まぁ、誰も巡礼に来ない忘れ去られた廃教会だ」
気が付いたらそこは冬木にただ一件しかない教会だった。そして、俺が寝込んでいたベッドの隣に座っていたカソックを着込む神父がいた。
「そうか……世話になったな。あんたが治療してくれたんだろ?」
「言峰綺礼だ。あぁ、自己紹介はしなくて大丈夫だ。衛宮士郎。あの
俺の名前を言峰綺礼が言った瞬間、無意識のうちに弾かれたように身体が距離を取る。
「てめぇ……エインズワースの仲間か……それとも親父に恨みでも持つ魔術師か……」
「はぁ……待て。私は彼らの仲間ではないし魔術師でもない。
私はこの冬木で行われている聖杯戦争の監督役として聖堂教会の者だ。
それに……ある程度、此方側に居るものは
そして、そんな男と同じ姓を持つ君が衛宮切嗣の息子だと言うことは一目瞭然」
「そうか……悪かったな……。治療代はまた払う」
急激に動き出した反動か激痛を訴える身体を無視して立ち上がり外に向かおうとすると言峰綺礼は俺の行く手を遮る。
「まぁ、待て。今、無鉄砲に飛び出し何になる? 衛宮美遊と間桐桜の居場所も知らないのだろう?」
「……そうだ。だけど、動かないと……」
「……聞け、少年。
現在、この冬木はエインズワース主催で聖杯戦争が開始されようとしている。
そして……その優勝者には聖杯が手にいれる事が出来る。その聖杯とは
その言葉で頭が真っ白になる。考えもしなかった現実に頭が追いつかず、思考が定まらない。
「おい……どう言うことだ……。桜が聖杯だと?!聖杯は神稚児だった美遊だけのはずだ!!冗談は止めてくれ!!!」
「いや、それは違う。
間桐桜は前々回の聖杯戦争で使用された聖杯……朔月家に伝わる神稚子の血肉を取り込まされ限定的ながら力を持ってしまった人工的な聖杯だ。
大方、衛宮美遊の失った機能を補助させる為に使われるのだろう。
だが、衛宮士郎。そこに貴様の勝算がある。
最もそれは砂漠の中から一粒の宝石を探しだすが如く、か細い道筋だがね」
そう言って言峰綺礼は懐から1枚のカードを取り出し、差し出してくる。
そのカードは弓兵の絵と『Archer』が書かれた色褪せたカードだった。
「持っていけ、これはクラスカードという。
もしくは聖杯戦争の参加資格とでも言うべきか。もっともそれは機能を失った前回の物だがね。それでも無いよりはマシだろう? でわな、衛宮士郎よ。君がこのイカれたデキレースを破壊してくれる事を願っている」
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それから俺はエインズワースの本拠地、あの大災害の爪痕であるクレーターの中央に美遊と桜は居る事を聞き出し、そこに向かう。
だが、エインズワースが1枚上手で先に英霊化した魔術師の刺客を送り込んできた。
言峰綺礼の話が確かなら戦争戦争の参加者は全員、エインズワースに殺され人形に人格を置換させられた操り人形らしい。
「あひゃひゃひゃひゃ!!無様に逃げ回れよ!!そうそう、そんな感じで豚みたいに泣きながらさぁ!!」
「ぐうぅっ!!」
目の前に現れた英霊化した魔術師と俺の戦闘力の差は大きい。
だからこそ、防戦に徹しチャンスをうかがっていたがその努力も虚しく俺は倒れ込んでしまう。
「良く頑張ったよ、君ぃ。なんでかクラスカードは持ってるみたいだけど所詮はカスカード。それが本物なら
息の根を止めようと放たれた一撃が自棄に遅く見え、前世と現世の記憶がフラッシュバックする。
そして、三人の顔が浮かび上がる。一人目は前世の最愛の人だったあの子、二人目は
そうだ、俺はこんな所で死ねない……もう大切な人を失いたくないんだ……。だから、寄越せよ……!俺の全てをくれてやる。だから……二人を守る力をっっ!!
その瞬間、何者とも繋がってなく色褪せたクラスカードに色が戻る。
そして俺は未来の英雄、なんの偶然か分からないが
俺は繰り出された一撃を回避し、カウンターとして右ストレートを仮面で隠された刺客の顔面に入れ吹き飛ばす。
「へっ……? 痛い? 痛い?? 痛いなああああああ!!
……どうして?!そのカスカードでどうして
そうか……そうか!! そうなんだな!! 聖遺物を隠し持ってたな?!そいつで座に繋げたのか?!」
「うるせぇよ」
聖遺物なんて大層な物なんてオレは持っていない。何せ、俺自身が聖遺物の様な物なのだから。
浅かったが斬撃は首筋に裂傷を与える。そこから追撃で腕を切り落とし、足に剣を突き刺す。
「ひっ……。まてまてまてぇえええ!! そうだ、僕が悪かったな!!」
「何?」
と、声を荒げて命乞いをしてきたので一旦攻撃を納める。そして、アサシンのエインズワースの刺客が土下座をしてくる。
「降参だよ……だからカードを渡す代わりに見逃してくれよ……」
「……」
アサシンの魔術師の必死の命乞いに思わず剣先が下がる。その瞬間、
「あひゃひゃひゃひゃひゃ!!!そんな分けないだろう!!僕のためにシネぇえええ!!」
「だと思った」
突然、後方から切り落とした腕が触手の塊となって襲ってくるがそれを大剣を幾つも投影し壁にして防ぎ、適当に投影した剣の宝具を矢に変換し、
「ひぃいいい?!!誰だ?!誰なんだ?!そんな弓兵で双剣を……それにそんなに剣を使う英雄なんて僕は知らない……知らない!!何なんだよ……お前はぁあああ?!!」
その様子を見て破れかぶれになったのか、起死回生を謀ったのか解らないが鬼の形相で勢いで突っ込んで来る。
俺は逆に
「別に……。ただの理想と現実の差に絶望した英霊崩れだよ。じゃあな」
倒れ付した
そして……
「ぐぎっ……え、衛宮……し、士郎……頼む……さ、桜を頼んだぞ……」
その言葉と共に生命活動が停止した。
同時に身体は人間の物から人形に変わり、クラスカード・アサシンが落ちていた。
「お前は……桜を頼むか。っ……。……言われなくてそのつもりだ」
そこからは怒濤のようにエインズワースの刺客が襲ってきた。だが、
そして、
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長かったたった一人の戦いは終わり、すべてのカードを収集し俺は聖杯戦争の勝者として円蔵山の地下大空洞に赴いている。
「桜を……そして美遊を返してもらうぞ……エインズワース」
俺の目の前に
「お前……それが人類全体に対する裏切りだって分かっていっているのか?」
エインズワースは俺を蔑むような目線で言葉を絞り出してくる。それが感情を圧し殺した物だと一目で理解できる程に。
「あぁ……そんな事か。
なぁ、エインズワース。お前には何かを心のそこから護りたいって思ったことはあるか? その護りたいって思った物を護りきれなかった事はあるか? 」
「そんな個人的な感情は世界の救済の大義名分の前には些末なものだ」
怪訝な顔をしながらエインズワースは苦々しく答えを返してくる。これには俺も少し驚いた。
そして、同時に理解する。こいつもまた大切な人を守れなかったんだ。そして、何処にもその気持ちを吐き出せないまま世界の救済を謳うエインズワースのしがらみに捉えられていることに。
「悪いな……俺はお前みたいに感情を圧し殺すなんて芸当出来ないんだ。
俺は
それはお前やこの世界から見たら裏切者……悪だろうな」
「……っ。てめぇはっ……それが解っているのに……何故だっ?!」
そして、俺の持つ8枚全てのクラスカードを強奪するために魔術回路を起動する素振りを見せる。
「させるか!!
ビキビキと身体が軋む様な感覚を無視して投影した剣を射出、掴みかかってくるエインズワースの目の前に突き刺さる。
「それはあのカードの力だと……衛宮士郎……貴様は……」
俺とエインズワースを遮る剣の壁が出来る。そして、空中に幾重もの剣を投影して剣先を全てエインズワースに向ける。
「……っ」
「宛が外れたな
お前らは知らなかっただろうが……自分自身のカードを使い続けた魔術師はその身を英霊に書き換えられるんだよ。
ご覧の通り俺は英霊の紛い物に成り下がった死に損ないさ。
カードを潰した所でお前程度なら俺程度の劣化した贋作でも潰すことも造作ないぞ。……じゃあな、もう二度と会うことは無いと願ってるぞ」
俺は
そして、その様子を見届けて背を向ける。
これで二人を救う事が出来る。そして、
地下大空洞の最奥にたどり着くと儀式様の祭壇に二人は寝かされていた。
俺が近くに行くと二人は気が付いたのか目を開けて顔を俺の方に向けてくる。
そんな二人になんて声を掛けて良いのか解らなかったので、俺は何時もの様に自然体で話し掛ける。ただし、目頭には涙が浮かんでしまったけどな。
「美遊、桜。迎いに来るのが遅くなってごめんな」
「おにぃ……ちゃん……?」
「せん……ぱい……?」
「あぁ、もう大丈夫だ……もう大丈夫だから……」
そして、二人の手を両手で握りしめ俺は願った。
『我、聖杯に願う。美遊や桜が決して苦しまなくて良い世界に行けます様に。そこで俺達3人が細やかな幸せを掴めますように……』
願いが終わった瞬間、俺達の周りが膨大な魔力で包まれ
る。俺の言葉の真意を汲み取った聖杯が命令を実行しようとしている。
「せん……ぱ……い……」
「おに……ぃ……ちゃ……ん……」
「ごめんな、頭が悪い俺じゃあこんな事でしか二人を幸せを出来なさそうなんだ」
俺が選んだのはこの世界から全てを捨てて逃げ出すこと。多分凄く起こられるんだろうなぁって思いながら俺は、俺達は第2魔法の奇跡に身を委ねる。
そして、暖かな光に包まれながら俺達はこの世界から逃げ出した。
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紡神島。自然の島ではなく東京の南方海上330キロメートル付近に浮かぶ人工島ギガフロートの一角に突如膨大な魔力の反応が検知された。
そして、現場に急行した
本編と違う点
・切嗣がエインズワースに協力関係だったが離反
・士郎(偽)は中の人が憑依する前も冬木在住
・桜がSN時空で言うところの間桐の黒聖杯的な存在で
死んでない
・クラスカードは愉悦神父から手に入れる。
・士郎(偽)はアンジェリカ(ギルガメッシュ)も撃破
・ジュリアン生死不明
・美遊だけではなく桜、士郎(偽)も異世界(ストブラ世
界)に飛んで行った。
ざっと洗い出すとこれぐらいですかね。