どうやってうちの士郎(偽)を原作に絡ませようか悩んでしまったので遅くなってしまいました。
私は困惑していた。
ただでさえ、慣れない都会に来て監視対象である
「ねえねえ、そこの彼女。どうしたの? 逆ナンでも失敗した?」
「退屈してるんなら、俺たちと遊ぼうぜ。俺ら、給料出たばっかで金持ってるからさ」
「あ、いえ……私には用事が有りますので……」
「良いからさ、俺らと色々と楽しいことしようぜ」
「それじゃあ、行こうか!」
「っ……?! 止めてください!!」
私の腕を掴み強引に連れていこうとしてくる魔族の男の手を咄嗟に振り払う。
「ってぇな……このガキがお高くとまってんじゃ……ねぇ!!」
「っ?!
手を振り払うとその
私はほぼ条件反射で剣巫の技である《
「このガキ!!攻魔師かよ!!クソがっ!!」
威力を抑えたとはいえ吹き飛んだ魔族の男は私を攻魔師だと看破し、本性を現しす。
そして、私はその男の正体を見て内心驚いてしまう。
「D種!!」
そして、その吸血鬼には魔族の王と言わしめている切り札があります。
「
D種の男は絶叫し、左脚からどす黒い炎を吹き出した。その炎はやがて歪な馬ような姿になり現れた。
眷獣。
宿主の寿命を代償に実体化する異界からの召喚獣。
意思を持った魔力の塊にして強大な戦闘力を持つ反面、召喚の代償である命の消耗が激しく常人の寿命では一瞬で尽きてしまう。
その為、不老不死である吸血鬼にしか扱えないとされている。
強大な力を持つ眷獣はそれ単体で人類の有する最新鋭の戦車や戦闘機をも凌駕する。
そして、そんな危険な召喚獣がショッピングモールを駆け回るだけで壊滅的な被害が出るのは火を見るより明らかだ。
「こんな街中で眷獣を使うなんてっ!!」
咄嗟にギターケースから、今回の任務の為に支給された
この雪霞狼は神格振動波駆動術式”と呼ばれる魔力無効化術式が組み込まれています。簡単に言ってしまえば魔力を無力化する槍です。
そして眷獣が私に向かって駆け出したその時、誰かが私と眷獣の間に割り込んできました。
何らかの術式で強化しているでろう身体能力と両手に白と黒の中華刀を握り締めたその人は無駄の無い洗練された動きで眷獣を切り伏せる。
「なっ……?! 嘘だろ!! 俺の
その光景を見てD種の男は動揺し、私は呆然としてしまいました。
目の前の光景がどれだけ現実場馴れしているものなのかを攻魔師として、剣巫として理解出来きてしまうからです。
基本的に吸血鬼を平均的な攻魔師一人では対処出来ません。何故なら一般的な攻魔師には眷獣を対処する術が無いからです。
ただし、雪霞狼の様な眷獣を対処出来る術が有れば別ですが……雪霞狼は世界に3本しか無いぐらいに稀少なものです。
だから、目の前の2振りの剣に眷獣が切り伏せられる光景は非常に稀なんです。
そして、目の前にいる人が私達剣巫が出来る規模の神降ろしを遥かに凌駕した規模の神降ろしをしている状態に気が付きます。
何故、一歩間違えれば破綻してしまう状態にしか見えないのに平然として居れるのか理解が追い付きません。
ただ、これだけは理解できました。この人は強い。それも貴族クラスの吸血鬼とも戦えるレベルで。
「大丈夫か?」
その光景を作り出し、張本人は何故か苦笑いを浮かべながら私に声を掛けてくるのでした。
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改めて少女を見てみる。そして、この少女に俺の助けは要らなかった事が分かった。
その理由が彼女の持つ銀の槍にある。どうやら魔力その物を無効かする術式が仕込まれているらしく、俺の解析でも先ほどの魔獣程度ならば片手間で倒せる業物だった事が分かった。
「貴方は……一体……?」
そんな事を考えていると呆然とした表情で俺を見ていた彼女が我に返ったのかしっかりと俺を見てそう尋ねてくる。
「あぁ……すまない。
君の持つその槍ならどうとでも成っただろうけど勝手に身体が動いてしまってな。余計なお節介だったかな? 」
正体をばらしたら南宮女史に迷惑が掛けるので俺は適当に話題をずらしはぐらかしておく。
それに今さらながら遅い気がするが正体がバレたら間違えなく厄介事に巻き込まれる予感がする。
「あ、いえ。助かりました……でも、なんでこの槍なら大丈夫だと断言出来るのですか?」
「ノーコメントだ。何も自分の情報を好き好んで流す者はそうそう居ないぞ?」
彼女は納得のいかないと言った表情をしているが俺も譲れない物がある。そう簡単に能力の一端とわ言えど話さないさ。
そして、俺はホスト風の二人組を一瞥し彼女に尋ねる。
「さてと……。で? そこの狼狽えている男はどうすれば良い? 適当に意識を奪って
「「くそっ……」」
「あ、えっと……」
「ちょっとまった!!」
その時、この暑い時期にパーカーを着込んだ同年代の少年が割り込んでくる。
そして、少年はてきぱきと二人組と此方側に指示を飛ばす。
「おい、おっさん達!! まだ
「暁古城?!」
「お、おう……。すまねぇなボウズ」
「あ、おい」
「おい、お前らも面倒なことにはなりたくないだろ!!行くぞ!!」
そいつは魔族二人を逃がし、鬼気迫る顔で俺達に着いてくるように促す。
その後、ある程度離れた場所に着き一息ついた時に少女から暁古城と呼ばれた少年が俺たちと向き合う。
その瞬時、なんとも言えない恐怖が俺を襲った。一瞬、ビクリと体が震えるが平静を装い取り付くる。
今の威圧感……。まるで最上級の英霊であった
いや……深く関わらないのが賢明だな。
一端、思考を元に戻すと少女と少年が言い争っている。どうやら少女が少年に割って入った事を咎めているらしい。
「どうして……あの魔族は町中で魔力を使いました。最悪殺されても文句はでないはずです!」
「あのなぁ……いくら相手がセクハラしてきても殺そうとするのはどうかと思うぞ……。しかも、お前が先に手を出しただろ?」
「ぐっ……」
「それにお前……隣の人や俺が居なかった時、歯止めが効いたか?」
「……いえ、無理でした」
確かに俺が彼女と二人組に介入しなかったら間違えなく殺していたはずだ。それほどまでに殺気を発していたからな……。
「まぁまぁ、彼女をそこまで責めるのも良くないぞ? 結果的に誰も怪我しなかったんだし」
俺は少年、暁古城を宥めるように二人の会話に割って入る。
「俺はあんたにも一言言いたいけどな……」
と、俺にも小言が有るようらしくジト目で見てくるが面倒なのでさっさとこの場を逃げる事にする。どうやらこの二人には浅からぬ何かが有るようなので俺まで巻き込まれたら大変だしな。
「ははは……。それは勘弁して欲しいところだな!!」
瞬時に身体に魔力強化を施し、近くの建物の屋根に飛び乗る。突然の行動に少女と少年は一瞬呆気に取られているが直ぐに正気に戻ったようだ。
「なっ……」
「じゃあな、俺としてはもう会いたくないかな」
そのまま俺は街を建物の屋根を駆け抜けると言う冬木でも何回かやったことのある移動方法で移動し、目的地の彩海学園高等部へ向かうのだった。
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彩海学園高等部に到着した時には既に待ち合わせの時間から一時間遅れてしまっていた。案の定、夏宮女史はイラついた様子で此方を睨み付けてくる。
「遅い、予定の時間から一時間も遅れるとわな。随分余裕でわないか、衛宮」
「いや……こっちも遅れる正当な理由が有るんですが……」
その言葉に夏宮女史は眉を顰めた。そして、俺の精一杯の抵抗を木っ端微塵に粉砕してくる。
「ほぅ……ライセンスも持っていないモグリ風情が魔族との戦闘に介入することが正当な理由だとは言うなよ?」
「……すみませんでした」
なにも言えない程の正論と共に防犯カメラに写っていたのであろう俺が干将・莫耶を握りしめ魔獣を切り伏せた瞬間の画像が携帯端末に表示されていた。
この瞬間に俺は言い訳が出来るわけがないと悟り、謝罪するしか選択肢がなかった。
「むっ……、そこまで素直に謝られると調子が狂うな。お前も暁みたいに言い逃れしようと足掻いてくれると面白かったのだがな。まぁ、貸し一つだな。後始末はしといてやるから今度私の仕事を手伝え」
と、心底残念そうな表情でぼやく。
「ははは……俺は勝ち目のない戦いは余程の事がないとしない主義なのでね。了解しました、俺に出来ることなら」
仕事を押し付けられてしまったが、こればっかりは仕方がない。
何せ俺は、いや俺たちは目の前にいる夏宮女史の後ろ楯が無いと生活さえままならない状況だからな。
「余程のことか……」
と、俺の言葉に何とも言えない表情をする夏宮女史。
彼女の脳裏にはあと一ヶ月は絶対安静を言い渡され入院している桜と美遊を思い浮かべているのだろう。
「まぁ、いい。ここでお前に小言を言っても意味が無いしな。本題に入ろうとしよう」
そして、俺がこの場に来た本来の目的に話題は移る。
「まずは人工島管理公社に持ち掛けた件だが全てとは言わないが公社側が
そう、俺が今回夏宮女史の元にやってきたのは今後の為にこの島の政府機関と言っても過言ではない人工島管理公社に出した取引の結果を聞くためだった。
その為にほぼ回復してからは公社に提出するための俺の戦闘データの収集に明け暮れていたのだ。
そして、俺が望んだ結果が得られたわけだが……
「前者は分かる……だけども後者の監視は何の為に?」
「まぁ、待て。資料を読めば解る話だが……監視する対象は暁古城と言う。とある事件で世界最強と言われる吸血鬼《第四真祖》になってしまった私の出来の悪い生徒でな……」
そして、促され夏宮女史から渡された資料に目を通すと先ほど会ったあの人の良さそうな少年の顔写真が添付されていた。
「暁古城自体はそこまで危険な存在じゃないが……持っている力が問題だ。
それこそ奴が力の制御に失敗すればこの紡神島が沈む可能性が有るほどに。だから、
それに四六時中監視役をしろとは言われてないから可能な限りって奴だな」
「成る程……と、すると俺の役目は超遠距離狙撃か白兵戦って所か……」
「そうなるな。まぁ、そうな事は無いと思うがな……。あれは体はバケモノになっても心は人間のままで年相応の子供だからな。手間のかかる年下の後輩が出来たぐらいの心持ちで居ればいい」
「了解しました」
「あぁ、そうそう。お前達の住居と戸籍、あとは前払いで報酬が振り込まれている口座の通帳だ」
渡された口座通帳を見てみると何と0が7個もあるとんでもない値段が書かれていた。
「まぁ、万が一が有ったら死ぬ確率が高いからな。それぐらいは当たり前だ。あぁ、住居だが暁古城の住んでいるマンションで同じ階だそうだ。ちょうど部屋が空いたらしくてな。監視と生活を両立するにちょうど良いとそこに決まったらしいぞ」
俺の驚き様が面白かったのか夏宮女史は笑いを噛み殺して説明をしてくる。
「はぁ……まぁ、良いさ。やってみるさ……」
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夏宮女史の元を離れ、今後の家となるマンションに住所を頼りに向かう。
すると、指定された住所に向かうと高級マンションと言っても過言ではないマンションに辿り着く。
まぁ、間取りとか階数とか見てたら明らかにいいマンションと言うのは分かってたからそこまでは驚きはしなかった。
「さてと……今日は部屋の様子を見てマン喫かネカフェにでも泊まるとするかな……明日は最低限の家具を調達しないとなぁ」
そんな明日の予定を考えながら俺は渡された鍵を片手にマンションへ入るのだった。
これで心置きなくFGOの水着イベ復刻を走れそうです。
ただ、金リンゴもアポイベで50個を下回り、前回全く来てくれなかったPU1の水着鯖達を回収するために石を使い果たしたので普段より周回ペースは遅れそうですが……