ボーイズ&ルフトヴァッフェ~空の道化師~ 作:Ocean501
( ゜Д゜)ノε=======【駄文】
『アプサラス4より護衛機!左上から1機突っ込んで来る!』
悲鳴のような報告を聞きつつ機体を傾けてダイブさせる。いつの間にか迂回上昇を完了させていた2機のシーファイアが編隊左側上方から降下攻撃を仕掛けて来た。こちらの位置は爆撃機編隊前方、2000ftほど上空。同じ高度旋回戦を仕掛けようとしてきたシーファイアの鼻先に7.92㎜弾を叩き込んで黙らせたところだ。高度は上空から突っ込んで来るスピットファイアの方が高く、速度も大きい。
「ダイブも旋回もお手の物ってチートだよな、スピットファイアは」
誰に聞かせるでもない愚痴を呟き、上空から逆落としに急降下するスピットファイアとの予想交錯点へ向けて前進。速度に乗ったシーファイアにこちらも降下しているとはいえ横合いから銃撃を浴びせる位置。二階から落とした針の穴に待ち針を打ちこむような、滅茶苦茶な位置取りだが半ば奇襲の様な形で襲われたのだから射点へ付けるだけでもマシと言うものだ。
トリガーを引き絞り機銃を咆えたたせる。一瞬遅れてヘクサーの鼻先を降下していったシーファイアに十数発が命中する。
《はぁっ!?何で当たったんだ!?》
パイロットの驚愕する叫びを聞きつつこちらもダイブを続ける。エンジン付近に1発当たったのか、微かに黒煙を噴きつつ機首を上げるシーファイアの進行方向へと機体を捻り本格的な急降下。機体を右へロールさせて逃げる動作を見せたため、間合いが少々遠いことを承知で1連射。こういう時、夜間戦闘で目立つ曳光弾は威力を発揮する。例え7.92㎜の豆鉄砲であっても、圧倒的な射撃速度で吐き出される光り輝く弾幕を前にしり込みしないパイロットはそう居ない。
ビクリと一瞬硬直したシーファイアへ本命の射撃を叩き込む。コクピットが白く染まり、主翼に無数の穴が穿たれ、補助翼が粉砕される。1機撃墜確実。機速が乗り過ぎないうちに操縦桿を引いて上空へ、全身の血液が足元へ持っていかれるような感覚と、主翼や機体が軋む音を聞きながら急角度で上昇。頭上――急角度で上昇しているため、編隊の後ろ方向――の遠くを大きく旋回する機影が4機、アプサラスの後ろのジルウェットを狙う様だ。
操縦桿をさらに引いて背面飛行、180度ロールで元に戻しインメルマンターン。後ろを振り返ると集まってきたシーファイアとミンクス隊が派手な空戦を繰り広げている。旋回性に優れるスピットファイアから派生したシーファイアは当然のようにBf109の後ろを取ろうとその広い主翼を振り回して乱舞し、一方のBf109を要するミンクス隊は勝ち目の薄い旋回戦を避けて一撃離脱に徹しようと夜空を駆ける。20機以上の戦闘機が飛び回り、曳光弾が闇を引き裂く。
「リヒター。編隊後方に敵機4、迎撃するぞ」
『了解、どっちが突っ込む?』
「俺が先に仕掛ける、掩護を頼めるか?」
『勿論』
Ju87の4機編隊の頭上をフライパスし、上下の2隊に別れて接近するシーファイアの4機編隊に接近していく。上の部隊はこちらよりも1500ftほど高度が高く、下の部隊はジルウェットよりも500ftほど低い。後下方が死角になっているJu87を相手に同時攻撃でケリをつけるつもりだろう。
スロットルを開いて急上昇、上空から悠々とこちらを見下ろすスピットファイアへ曳光弾のシャワーをくれてやる。
《ディンゴ5!下方注意!》
《当たらねぇよ!射程外だ!ディンゴ5!迎撃する!ディンゴ6!援護してくれ!》
勿論、当たらない事は重々承知だ。発光物質を詰めたため、軽く初速の遅い曳光弾は徹甲弾に比べて射程が短い。しかし、これでいい。すぐさまシーファイアの片割れが機首を下に向けて射撃体勢。スロットルMin、フラップDown。すでに無茶な上昇で機速が落ち始めていたところにフラップも開いて急ブレーキ、ハーネスが肩に食い込み血が体の前方に集まる様な感覚。それと同時に左のペダルを蹴飛ばし操縦桿を左へ倒す。ガクンと一瞬だけ左翼が錐もみ状態となり、機体が左へ沈み込んでスナップロール。一瞬前まで機体が存在した空間を7.7㎜弾と20㎜弾が貫くのを肌で感じつつスロットルMAX、軽い機体は強力なエンジンと重力によって蹴飛ばされ、今まさにロー・ヨーヨーからの突き上げを狙っていた2機のシーファイアの背面へと迫っていく。
《ディンゴ5よりディンゴ7、8!チェック》
《ぐあっ?!》
《ディンゴ6!どう、なっ!?》
『お休み!』
上方の2機のシーファイアがヘクサーのBf109へ視線を誘導されている隙に、攻撃ポジションへと駆け上がったリヒターが逆襲に移る。ディンゴ5の攻撃を掩護するためダイブを遅らせたディンゴ6へ機銃掃射を叩き込んで撃墜した後、ヘクサーを追撃しようとダイブした結果、無防備な背中を見せていたディンゴ6に銃弾を叩きつけて撃墜する。
《ディンゴ5、6がやられた!?》
《ディンゴ8!チェックシックス!逃げろ!ダイブだ!》
状況が不利と判断した下方の2機編隊の内、片割れがマイナスG旋回を駆けて退避しようとする。一瞬回避が遅れそのまま上昇を続けていた1機に照準し曳光弾のシャワーを浴びせてやる。
《あだだだだだだだだだ?!?》
ボンと機首から黒煙を噴き上げたシーファイアがピンク色のスモークを噴きながらぐらりと傾いて離脱していくのを尻目に、一瞬早く回避をしたシーファイアを追う。速度差ではより高空から駆け下りて来たこちらが優位、間もなくシーファイアの後部が照準器に収まる。
『敵機撃墜!後方クリア!クラウンの連中がやってくれました!』
『見たか?アイツ等どっちも一瞬で2機ずつ落としやがった!うちの隊長の戦闘機版か何かか?!』
「おい、聞こえてるぞジルウェット4」
無線機からメンバーの爆笑が響いてくる。既に戦闘空域だというのに隊の雰囲気は底抜けに明るい。もともとジルウェット隊は緊張感やプレッシャーからは最も遠い部隊ではあるが、今日はいつも以上に気楽なムードが漂っていた。
というのも、後ろを警戒する2機のBf109。クラウン隊の働きによるところが大だ。常に編隊上空を遷移するこの飛行隊は前方に展開したミンクスの囲みを突破した機体があればすぐさま飛びつき火球へと変え、こそこそと後ろや左右から回り込もうとした敵機に手痛いスパンクを加え接近を阻んでいる。それどころか、ミンクス隊が取りこぼした戦闘機はほとんどすべてがクラウン隊のスコアになってしまっていた。
そのため後部機銃も沈黙したまま。無線から聞こえてくる敵や味方の阿鼻叫喚の混声合唱や時折機体を揺らす対空砲がなければ遊覧飛行と変わりがない。そして眼下の獲物はもう目の前だった。
「さて、各機聞こえるな?道は開けた」
一瞬にしてそれまで続けられていたジルウェット隊のバカ騒ぎがなくなる。隊長として、この先に言うべき言葉はたった一つだけ。
「――――狩りの時間だ」
ずっしりと重い操縦桿を傾けて機体をバンクさせる。手の届きそうなほどすぐ近くに、4つの
「ジルウェット1は敵1番艦を狙う。他はジルウェット2に続け。突入!」
ジルウェット1のJu87がバンクから降下体勢へ入るのに続き、他の3機もジルウェット2に続いて高度を下げていく。スツーカ隊の突入を察知した眼下の輪形陣からは祝うかのように
「敵機直上!急降下ァァァァァァァァ!」
「総員対ショック姿勢!」
「取舵!」
甲板の左右のスポンソンに取り付けられた対空火器が銃身の過熱もモノともせず曳光弾を吐き出し、頭上に襲い来る悪魔を払おうと躍起になる。戦争ではなく空軍道に縛られた空母は、現状では満足な回避機動を行うことが出来ない。それでも、針路変更機能で無理やり針路を捻じ曲げ回避機動の真似事の様な悪あがきも試してみる。
「敵の数は?!」
「1機です!」
「他は落としたのか?!」
「いえ!フォーミダブルに3機!本艦に1機です!」
「単機でアーク・ロイヤルを沈めようというのか?!」
「そんなバカなパイロットがいるか!」と言葉を続けようとした時だった、高角砲の腹に響く重い音、対空機銃の絹を裂くような音、アーク・ロイヤルの奏でる心臓の音に交じって、
「な…んだ…?」
始めは幻聴かとも思った。しかし、その
「
呻くような艦長の声は、艦橋に更に大きく響き始めたサイレンの音にかきかき消された。
シュガッ、と鋭い音と軽い振動が愛機を揺らす。音のした方にちらと視線を向けると、風防を曳光弾が掠ったのか横一文字に真っ白な亀裂が入っていた。あと一歩間違えればエンジンをやられていたか、正面の防弾ガラスに直撃を貰い機体がよろけていただろう。
高度計は既に10000ftを切って狂ったように回転していると言うのに、エンジン出力を絞り、ほぼ垂直のコクピット内は静かなものだ。それも直、失われる静寂であったが。コンソールの一部、如何にも後付間満載のスイッチに手をかける。このスイッチを入れれば主脚に取り付けられた小型プロペラの羽がフェザリング位置からあるべき場所に戻る。オリジナルとは少々勝手が違うが、結果が同一ならば気にしない。
――さて、ラッパを鳴らすか
一息にスイッチを入れた瞬間、主脚に取り付けられた
元々はJu87が急降下する際に発生する風切り音が、敵に心理的ダメージを与えることから採用された急降下時に大音響を発するサイレンで、スペイン内乱時には空爆に不慣れなスペインや英仏の兵士に恐れられた。1941年以降は爆撃の隠密性を破壊するため使用されなくなったが、それ以降の連合軍兵士の間で風説として流れていたことからそのインパクトは計り知れないものと言える。空軍道でも、Ju87に取り付けるキットは存在していたが、1941年以降のドイツ軍と同様の理由でこれを取り付けて飛行する酔狂な人間は少ない。この男を除いては、だが…
「うぉっ、と」
機体下方で対空砲弾が炸裂し、1500㎏の爆弾を抱いた爆撃機が一瞬浮き上がる。操縦桿とラダーで針路を修正。艦隊後方から回り込んだ形になったため、機体と目標の進行方向は概ね一致している。取舵を切って回避機動を取っているようだが、こちらは既に回り切った予想進路へ向けて急降下中だ。
重い爆弾を抱いた急降下爆撃機は、急降下中に大きな針路変更はできない。とは言え、それは向こうも同じ事。排水量2万トン以上の巨体は廻り始めたらすぐには止まってくれない。条件がほぼ同じなら、彼にとって外す方が難しかった。
曳光弾がコクピットの上を、右を、左を通り過ぎていく光景は何度見ても肝が冷える。次の瞬間には真正面に機関砲弾を受けてパイロットキルの判定を受けるかもしれない、対空砲の砲弾が主翼に直撃してコクピットブロック以外が木端微塵になるかもしれない、操縦系統を破壊されて引き起こしも出来ず突っ込むことになるかもしれない。
有難くない未来予想図をサイレンで紛らわし、マスクの下で口元に笑みを浮かべた。
――”急降下爆撃をするときは相手の表情が見えるぐらいまで降下して、ニッコリ笑ってブチかませ”先代のジルウェット・リーダーの言葉をハンスも忠実に、いやそれ以上に実行する。
狙う獲物は、もうすぐそこだった。
「Guten Abend!紳士諸君!そしてサヨナラだ!」
腹に抱えて来た爆弾が解き放たれ、彼の機体は自由を得た。
斯くして、魔笛を吹き鳴らす魔王は哀れな獲物へとたどり着く。高度わずか900ft、
2発の250㎏爆弾は一足先に甲板後部の逃げ遅れた艦上機群へと着弾。アーク・ロイヤルの甲板に張られたカーボン装甲は確実にその爆弾を受け止めたが、結果的に行き場を失った爆風と衝撃波は飛行甲板へと解放された。発艦作業がつい先ほどまで行われていたため、まともな固定をされていなかったファイアブランドがバラバラに砕け、横転し、周囲のバラクーダを巻き込んで2次爆発を起こす。ヴュルガーシャンツェに叩きつけるはずだった、その翼に抱いた爆弾やロケットも次々誘爆し一瞬にして飛行甲板は火の海と化した。
そして、本命。悪魔の鉄槌が、アーク・ロイヤルの中央エレベーターへ向けて振り下ろされる。
本来ならば装甲を貫通して内部で炸裂し艦に致命傷を与える総重量1tの対艦爆弾は、空軍道で使用されるカーボンに行く手を阻まれる。しかし、膨大な運動エネルギーがそれで消滅するわけでもなく、アーク・ロイヤルの巨大な艦体が直撃の衝撃で沈み込み、押しつぶされた海水が大量に両舷から吹き上がる。文字通り、巨大な不可視のハンマーで飛行甲板を殴りつけられたかのような挙動を示した彼女の甲板は、数百㎏の爆薬による破壊の奔流に八つ裂きにされてしまった。
まだ形を辛うじて保っていた艦上機や、すでに燃える残骸と化していたスクラップも須らく炎上しながら吹き飛び、紅い流星となって暗い海へとちりばめられていく。同じような光景が後続するフォーミダブルでも発生し、続くように輪形陣外縁の数隻の駆逐艦やダイドー級の1隻が業火に焼かれた。
すべてが終わった後に残ったのは。甲板の装甲がはぎとられカーボン装甲がむき出しになった飛行甲板の残骸と、黒焦げになり廃墟にしか見えない艦橋構造物が寂し気に佇み煙突から撃沈を示すスモークを立ち昇らせるアークロイヤルを初めとする、変わり果てた第1機動艦隊だった。
第1機動艦隊司令部は何とか無傷でやり過ごした2隻の空母へ、生き残った戦闘機を収容し、第2次攻撃におびえながら離脱を図る他無かった。
ハンス「イヤーッ!」250㎏爆弾
アーク「グワーッ!」
ハンス「イヤーッ!」250㎏爆弾
アーク「グワーッ!」
ハンス「イヤーッ!」1000㎏爆弾
アーク「グワーッ!サヨナラ!」
おお、ゴウランガ!哀れ、ハンス=サンの爆撃ジツにより
アーク・ロイヤルは爆発四散!
ハンス「ノーサイレン、ノースツーカ」
*・゜゚・*:.。..。.:*・゜b(* ´∀`)d ウソです゚・*:.。..。.:*・゜゚・*
戯言はここまでにして、空母2隻無力化された艦隊に
敵基地強襲能力なんぞありません、逃げ一択です
本来なら20機そこそこの爆撃隊なんぞ蹴散らせますが
今回は聖グロ側に不運(索敵失敗、発艦準備中、練度不足、夜間戦闘)が重なり
黒森峰側の勝利の女神が大爆笑した結果です。
裏を返せば、これだけ好条件がそろわない限りただの無駄死に
てか、そもそも夜間航空戦でこんなにぼかすか命中してたまるかぁっ!(逆ギレ)
野暮なツッコミは海に叩き落して、次は拠点回ですかね
まほさん、出番です
感想を頂ければ作者が狂喜しますので
どうぞお気軽に…