ボーイズ&ルフトヴァッフェ~空の道化師~ 作:Ocean501
今回は拠点回です
ああああ…恋愛描写のれの字も無いのに指が進まなかったorz
ハイパー扇風機様
ネタを提供していただき
本当にありがとうございましたm(__)m
「信じられるか?Me410とかあるだろうに」
「高性能機であることに変わりはないだろう?」
「だけどさぁ…」
椅子に逆座りした青年は納得できないと両肩を落とす。彼は丸藤薫。特務戦第2飛行戦隊第4飛行隊ズークの3番機を務めるパイロットで、TACネームはマイスター。昨日の聖グロリアーナを相手にした防空戦では、旧式のBf110Cを駆りランカスターとボーファイターを1機ずつ撃墜、なおかつわずかな被弾で帰還した実績を持つ。
椎原が転入したA組に、偶々在籍した唯一の特務戦のパイロットで明るく愉快な青年だった。とは言え、今の彼の顔には不満がありありと現れているが。
「なんで代替機がDo335なんだよ」
「まあ、慣れるまでは大変だろうな」
Do335 プファイル。終戦間際の第三帝国が開発した双発の戦闘爆撃機だが、他に類を見ない機体でもあった。出力1750馬力のDB603Aを機体前方と後方に1基ずつ搭載した独特のレイアウトは串形配置と呼ばれ、実用上昇硬度11400m、高度6400mで763㎞/hの速力を発揮し、1000㎏までの爆装を可能とした。このエンジンを機体に対して直列に配置する方式は、従来の主翼にエンジンを搭載する方式に比べ機体をロールさせる際、重量物であるエンジンが回転軸とほぼ同一直線状にあるため、素早いロールが可能だった。逆に、ピッチ方向の機動は回転軸からエンジンが離れているため重くはなったが、空力的に優れた機体や主翼の効果で致命的な欠点とまでは至らなかった。
終戦間際のため、量産のための工場が爆撃などに会い終戦までに35機しか完成しなかった幻の機体だった。
「しかし、なんでプファイルが特務戦に回ってきたんだ?そんなにメジャーな機体でもないだろうに」
「元々は7防空の機体だったけど、今回の空戦で4機がやられて、フォッケウルフに交換するんだとさ。それで、余った8機が
「よっぽど整備に苦労したんだな」
「止めてくれ、この先苦労するのは俺たちなんだから」
気が重いと丸藤は頭を抱えた。
「機体が珍しいから部品も高い。Bf110の部品は有り余ってるからぶっ壊したところで直せば済んだけど、こいつは部品が少ない。大事に飛ばさないと、准将に殴られる」
「プッシャとトラクタの合いの子だからな。離着陸の時に尻擦らない様に神経使いそうだ」
「空戦やってクタクタで帰ってくるのに怖すぎるよ」
「でも、30㎜は魅力だろう?」
「Mk.108は直ぐ弾切れするからなぁ。20㎜3門積んでばら撒くのも手の様な気がする。そういやお前、昼行かなくていいのか?」
時刻は既に昼時。周りには机を繋げて弁当を広げるモノや、一つの机に集まって菓子パンをかじる生徒の姿が見られる。此処に見当たらないクラスメイトは学食にでも食べに行っているのだろう。
「学食でとるよ。お前は?」
「俺は」
「あ、あの!」
鈴を転がす様な声が二人の耳朶を打つ。気が付けば、隣に眼鏡をかけたショートカットの少女が立っている、二つの弁当箱とともに。
「なるほど、そういう事か」
「いや、あの、ヘクサーさん?」
にたりと人の悪い笑みを浮かべる椎原と、一見クールな男が初めて見せた悪魔のような笑みに冷や汗が噴き出る丸藤。
「このリア充め。末永く爆散しやがれ!」
「あだぁっ!?」
スパン、と出しっぱなしにしてあったノートで丸藤の頭を一閃。自分の事を棚に上げているような気がしないでもないが、ここまであからさまにやられてシバかないのは男子高校生として無いだろう。つまり。俺は悪くない。
「じゃーな、丸藤。式には呼んでくれ」
「ちょおぃ!?何言ってくれちゃってんのこの極悪ピエロ!」
「式…結婚…先輩と…あ、あわわ…」
「ちょっと?光さん?光さーん?聞こえてるー?」
「はっ!ふ、不束者ですが」
「まってまってまってまって飛躍しすぎ!後お前等!見世物じゃねぇぞ!散れ!散れぃ!」
丸藤の彼女(仮)がトリップしたり、にやけた同級生がやじ馬に集まったり、丸藤がそれらの対応に忙殺されている間に、まんまと椎原は離脱することに成功したのだった。
騒がしい廊下をすり抜け、数人の男子生徒が屯している階段の踊り場を通り過ぎ、昨日訪れた学食に入る。ヴュルガーシャンツェに近い学食は、今日も今日とて大盛況。パンツァージャケットに身を包んだ戦車道履修者が4人掛けの机で会話の華を咲かせ、パイロットスーツに身を包んだパイロットが一人用の席でカツ丼をかきこんでいる。一見満員のようにも見えるが、部屋の端のほうなど探せば空席は見つかった。
食券を買って、昼食と交換する。トウモロコシパンにハンバーグとシチュー、味はともかく値段にしては量は多い方だろう。目当ての席に足を向けると、彼女の他にもう一人見覚えのある人物が座っていた。
近づくと、彼女はその仏頂面を少し緩めて彼へ微笑みかけた。
「2分遅刻だな」
「パンがなかなか出てこなくてね。失礼、隣良いかい?」
まほと向かい合って座っていたもう一人の人物――西住みほは突然現れた幼馴染を前に目を白黒させつつも、何度か頷いて了承の意を返した。「ありがとう」と一言返し、みほの隣へと腰を下ろす。
「まったく、みほが吃驚しているだろう?あまり驚かせないでやってくれ」
「この件に関してはみほちゃんに話してない君に問題があるんじゃないのかい?」
「博おに…んんっ、博さん、何時から黒森峰に?」
「昔みたく、お兄ちゃんでもいいのに。変わったな」
「い、いえる…」
顔を赤らめて言えるわけないよとしりすぼみに小さくなって行く声に、小さく苦笑する。以前はもっと快活な性格だったと記憶しているが、これも時の流れだろう。それを考えると、まほは全くと言っていいほど変わってないと言える。
「お姉ちゃんも、博さんが居るなら居るって言ってくれればいいのに…」
「一応聞くが、西住。何て言ってみほちゃんを呼び出した?」
「いや、単に。ちょっと話したいことがあるから、一緒に食事をしようって誘っただけだが?」
「話したいことじゃわかんないよぉ…」と力ないセリフが隣から聞こえてくる。実際の所、椎原が来るまでの空気に耐えかねたみほは、何度か姉に話題を振っていたのだが。当の本人の意識は約束通り待ち人が来るかの方に振り分けられてしまっていたため、普段の彼女からは考えられないほど適当な返しが多くなり、結局みほの心労が増える悪循環に陥ってしまっていた。
「苦労してるな、みほちゃん」
「もう、慣れたから」
アハハと力なく笑う少女、姉は何のことだ?と片眉を上げるだけにとどまった。
「そう言えば、博。昨日の夜、どこ行ってたんだ?」
「旦那の浮気を疑う嫁か何かか?」
「ぶふっ…くくっ…」と言う声と共に、隣で身をよじる気配がする。簡単な冗談のつもりなのに、正面のまほは少し視線をきつくした、
「誰が嫁か。それとみほ、笑うな」
「ご、ゴメン…お姉ちゃんが弄られるの初めて見たから…つい…」
よほどツボに入ったのか、顔を隠して笑いを堪えている妹に釘をさす。妙なところでツボにクリーンヒットする部分は変わっていないらしい。
「昼間に空襲が合っただろ?それの第2波が空母機動部隊でな、払暁前の夜襲を仕掛けてくるつもりだったらしい。うちの司令がそれを見抜いて、偵察機を出したらビンゴ。特務戦の22機が出撃して攻撃を仕掛けたんだよ」
「敵の規模は?」
「後から聞いた話だが、空母4、軽巡4、駆逐艦16隻の機動部隊だ。アーク・ロイヤルが混じっていたから第1機動部隊らしい」
「おいおい、飛行機より船の数の方が多いじゃないか」
呆れたような顔をして水を一口。軍艦24隻に殴り掛かるちっぽけな飛行機22機、空の事は点でわからない彼女にとっても無謀の2文字が浮かぶ。
「なに、直撃さえすれば沈められるさ。現に、スツーカ1機で空母1隻沈めた奴もいる。最終的な戦果は空母1隻撃沈、1隻大破。軽巡1隻大破、駆逐艦1隻撃沈、1隻小破だ」
「………冗談だろ?」
「俺も空から見て無ければ、冗談だと笑い飛ばしたいよ。しかもそいつ、空母に急降下爆撃した後上昇する時に、発艦したばかりで速度の乗ってないシーファイアをおまけ感覚で叩き落して離脱したんだよ。こっちの仕事あがったりだ」
「
「7.92㎜弾をコクピットに十数発叩き込んでパイロットキルだそうだ」
「目の前をプカプカ飛んでたから撃ってやった」と何でもない様に言いながら牛乳瓶を傾けるハンスの姿が頭をよぎる。敵のパイロットは急降下爆撃機に撃墜されたマヌケとして暫く弄られるだろう。相手が悪すぎたというのもあるが。
「それで、君は何機落とした?」
「ハリケーン2機に、シーファイア4機。あとファイアブランドを共同撃墜」
「すごい」
「やるな、もう2桁いったんじゃないのか?」
「累計11機撃墜だ。なんでも特務戦の最速記録更新中らしい」
そう言って少し誇らしげに笑う彼を見ていると、まほも自然に顔がほころぶのを止めることが出来なかった。黒森峰に来てから2日と経っていないのに、これだけの戦果を上げるのは快挙を通り越して異常とも言えた。
「11機か、大した数だよ」
「もっと増やすさ。少なくとも、アイツの分まで働かないとな」
「っ…そ、そう、だな」
彼の言う”アイツ”が誰を指すのか解らないほど愚かではない。同時に、まだ、彼は縛られているのだと再確認させられた。いたたまれなくなり視線を逸らした自分に気付いたのか、「悪い」と椎原が小さく謝る。
「どうにも、久しぶりに会って浮かれてるみたいだ」
「いや、私は…」
「忘れてくれ」と言葉の先を制されて何も言えなくなってしまう。もし、ここで自分の心中を全て打ち明けることが出来ればどれほど気が楽になるだろう。胸に浮かんだ邪な気持ちに無理やり蓋をして、妹へと話題を振ってやる。もともと、彼女のために彼をここに呼んだのだ。
「そうか…。昨日も言ったが、みほには副隊長を務めてもらってるんだ、私には無い視点を提供してくれる」
「私に務まるのかなぁってのは、いつも思ってるけど」
「んん、確かにそうだ」
「え?」
「みほちゃんは副隊長やるより隊長で思い切り部隊振り回した方が上手くやれそうだ」
「そ、そんなのむりだよぉ!」と血相を変えるみほを人の悪い笑みを微かに浮かべながらあの手この手で揶揄い、弄ぶ。しかしその言葉に棘は一切なく、純粋にみほとの会話を楽しんでいるようだった。みほの方も、口調では怒っているが楽しんでいるのが解る。そういえば、この頃は暗い表情ばかり浮かべているのが常だった。妹のこんなに楽しそうな姿を見るのは何時ぶりだろうか?
ああ、やはり。そうなのだろうか。
目の前で会話に興じる二人を見ていると、大昔から抱いていた疑念が確信に変わっていくような気がした。それと同時に、どろりとした妹に向けるべきではない感情も頭を擡げようとする。
「西住、どうした?」
幼馴染の怪訝な声に、知らず知らずのうちに己の暗い部分に集中させていた意識が現実へと引き戻される。気が付けば、妹も自分の方を、首をかしげてみていた。いけない、そんなにぼうっとしていたのだろうか?
「ああ、いや。何でもない」
「疲れているなら、しっかり休む事だ」
「その言葉、そっくりそのまま返すぞ。昨日の戦闘の後、寝てないのだろう?」
「事実だから何も言い返せないな。ま、学校が終われば泥のように寝るさ」
「ええっ!?寝てないの!?」
「返ってきたのが4時ぐらいだからな。デブリーフィングやらレポートやら整備やらで気づいた時は始業時間だ。夜戦だから仕方がない」
最後のトウモロコシパンを放り込んで牛乳で流し込み、長居は無用とトレイをもって立ち上がった。
「もう行くのか?」
「ん、まあ。長く席を占拠するのは迷惑だろう。じゃあな」
「あ、行っちゃった」
まほが反射的に伸ばした手は昨日のように彼に届くことはなく空を切った。もう少し手を出すのが早ければ、明日も一緒に食事が出来たのだろうか?と浅はかな考えが浮かんでは消える。
「元気そうだったね、博さん」
「そうだな…」
「お姉ちゃん、良かったの?」
「なにが?」
妹のどこか探る様な視線から逃れる様に、残ったカレーへとスプーンを差し込む。
「何がって、せっかくまた会えたのに」
「ああ、いいんだ。それより、みほは良いのか?もっと話したかったんじゃないのか?」
「本音を言えば、もっと話してたかったかな」
ほんの少し恥ずかしそうに妹は笑う。これでいい、みほには自由に生きてほしい。西住流にこだわる必要もない、それに。
「昔から、博と仲が良かったものな」
「そうかな?」
「そうだよ」
彼も、それを望んでいるのだろう。だから、私は…
今日のカレーは、妙に辛い気がした。
ハイパー扇風機様
ネタを提供していただき
本当にありがとうございましたm(__)m
今後も活動報告にて提案していただいた機体は
駄作者のネタが尽きない限り出来る限り拾っていこうと思います(・∀・)
次は戦闘回ですかねー
ではまた ノシ