ボーイズ&ルフトヴァッフェ~空の道化師~ 作:Ocean501
さて、サンダース在庫処分セール第2回
今回はいつもの2話弱ぐらいの分量があります…が
や☆ら☆か☆し☆た \(^o^)/
なんかもう、悪乗りが過ぎましたorz
気づいたらこんなに書いちゃってて
何が起きたかは、本編をどうぞ
ヒント:ハード・ランディングの愚行再来
あ、そうだ
とりあえず推奨OP置いときますね
つ「MAN WITH A MISSION higer」
「回せーっ!」
「準備が出来た機体から上げろ!出し惜しみは無しだ!」
『ヴュルガー・コントロールより第2飛行戦隊へ!ズーク隊を最優先で上げてください!』
「ズーク1から4の出撃準備完了!パレットで移動中!」
『ああ、くそ!多すぎる!サンダースの奴ら今日が決戦だと勘違いしてるんじゃないのか!?』
『ズーク隊!上がりきってもまだブンカ―から出るな!北からサンボルが突っ込んできているぞ!』
開きっぱなしの無線から敵のワイルドウィーズルの接近を知らせる悲鳴じみた報告が流れる一方、コクピットの外をあわただしく走り回る整備員の怒号がミックスされて飛び込んでくる。目の前をパレットに乗せられた異形の機体が何時もの倍のスピードで滑っていき大量生産されるおもちゃのように壁の端に口を開けたエレベーターシャフトの中へと消えていく。5番機を努める自分の機体ももうすぐ準備か完了するころだろう。
コンソールに指を走らせて機材の最終チェックを行っていくが特に異常は見られない。ある意味ゲテモノともいえる機体ではあるが、当時の既存技術の組み合わせで作られた以上扱えないものではなかった。もっとも、1度尻を擦ってしまったことは悔やむべき部分だが。
「マイスター、1番2番ともに問題ない。最悪でもカタログスペック通りには動作する」
「ありがとう、火器は?」
「機首上面の20㎜、30㎜モーターカノンともに
「30㎜は70発、無駄遣いは厳禁」
「まだあるぞ、Mk.108は初速も精度も高いがだからと言ってビビッて遠距離から狙うな。近づいて一撃必殺を心がけろ」
ズズンと遠雷のような地鳴りが響き、無線がにわかに騒がしくなる。サンダース攻撃隊の先陣として基地周辺に配置された対空砲を叩き潰すことに快感を覚える
「そして、今の状況が絶体絶命だということも忘れるな」
あいかわらず小言の多い自分の機体の整備長であり親友に苦笑する。面倒見の良さはこの背の高い色黒の青年の美徳の一つでもあったが、そのおかげでオカンや姑などあまり男子にはふさわしくないあだ名がつけられてしまっていた。そのくせ、女子にはやたらモテる。
「了解、それとリア充炸裂しやがれ」
「なんでさ」
思わず真顔で口走ってしまい、何か残念な子でも見るような視線がバイザー越しに突き刺さる。
「フン、まあいい。敵は強大だ、勝たなくてもいいが負けるな。31Rからの離陸には適した強風が吹いているが細心の注意を払え」
「了解!じゃあ、行ってくる」
「それなりの戦果を期待している、グッドラック」
整備長がコクピットから離れると同時に軽い衝撃を感じ、自分の乗る機体を固定していたパレットが回転灯とともに動き出す。キャノピーが油圧で閉まり、パレットが通り過ぎる道の両サイドには今回は出撃しないアプサラス隊の面々や整備員が並び手を振って見送っている。その中に眼鏡をかけた見慣れた少女の顔もあった。何やら話しているようだが、無線と注意喚起用サイレン、キャノピーの防弾ガラスにさえぎられて聞こえない。こちらから返しても聞こえないだろうからラフに敬礼して見送りの礼に替える。
『ロメオ7よりズーク1から4!今だ!上がれ!』
『行け行け行け!次が来るぞ!急げ!』
『ズーク4!上だ!』
『おわあっ!?』
エレベーターシャフトを上り滑走路横のブンカ―へ上がる。ズーク1からズーク4がエンジンを全開にして滑走路を滑っていき大地を蹴飛ばしたかと思うと、最後尾のズーク4の右主翼にHVARが突き刺さり粉砕される。バランスを崩したズーク4からパイロットが射出され、無人となったDo335が火だるまになりながら滑走路横の芝生に激突し、回転しながら燃え盛った部品をまき散らしつつ爆散する。
ズーク4を叩き落したAD-1は、上空から逆落としに急降下してきたカーミラ隊のFw190A4の機銃掃射に胴体を穴だらけにされ、黒煙を吹きながら学園艦の端をかすめて落ちていった。無事に上空に上がれたのは3機、いまは小康状態だが次にいつサンダースの戦闘爆撃機が突っ込んでくるのかはわからない。かといって、ぐずぐずしていると第2波の制空隊に被られてしまう。自分たちにとって時間が不利に働くのならば、多少のリスクは踏み抜く必要があった。
『ヴュルガー・タワーよりズーク5、敵攻撃機の波が来るまでに時間がある。滑走路31Rへの進入を許可、ローリングテイクオフで速やかに出撃せよ。ズーク6から8はズーク5に続け』
「了解、ズーク5は滑走路31Rへ進入、ローリングテイクオフで離陸。手厚い花火を希望する」
『追加の対空砲の準備は済んだ。ブンカ―から出た瞬間派手に打ち上げてやる』
パレットがブンカ―内の床に固定され、非常灯が消える。エンジンを始動させると、機体の前後に取り付けられたDB603Aがせき込むように黒煙を噴出したかと思うとすぐに安定して周り始める。皮肉っぽいが機械整備の腕は一流の整備長がよくやってくれた結果だった。キャノピーをクローズ、ギアのブレーキを解除し、スロットルをわずかに開ける。にわかに回転数が上がり、ゴトゴトと地面の凹凸を拾いながら戦闘機としては大柄な機体が誘導路へとその機体をさらし、同時に滑走路の周囲に再展開された無人自走対空砲が破壊された高射砲や対空砲の代わりに曳光弾を打ち上げ始める。戦車道で売ろうとして大コケした会社から安く買いたたいた
『ロメオ・リーダーよりヴュルガー・コントロール!クラウン隊はどうしたんだ!聖グロへでも興行にでも行ったのか!?』
『現在リフトで上昇中だが、タイミングが悪い。ズークの残りをあげるので精いっぱいだ!』
キャノピーのはるか頭上ではF6FがFw190A8に切り刻まれて巨大な火球となって散華し空を汚したかと思うと、その爆煙の死角を利用して急降下してきたP-51Dに報復とばかりに放たれた12.7㎜弾によって主翼をへし折られ墜落していく。急降下によって得られたエネルギーを垂直上昇によって高度に変換しようとしたP-51Dだったが、横合いから殴りかかってきたBf110Gの20㎜機関砲弾を受けてピンクのスモークを翼端から吹き出した。
敵と味方、撃墜と非撃墜、歓喜と恐怖が入り乱れた文字通りの大乱戦。これがヴュルガーシャンツェだけでなくほかの2つの基地でも同時に起きているのだからサンダースの物量は呆れるものがある。
チェックリストをできる限りすっ飛ばしつつ進めていく。油圧、制御系正常、フライトコンピューターチェック、全行程クリア。
『ヴュルガー・タワーよりズーク5からズーク8、ランウェイ・クリア、離陸を許可する、グッドラック』
「ズーク5、了解」と短く返答し、誘導路から出て滑走路と軸線を合わせたと同時にスロットルをさらに開いて加速。前後で別々の方向に回転するプロペアの速度が一気に上がり、暴風が機体を包みこむ。DB603Aの
「ズーク5!エンゲージ!」
マイスターが3機のプファイルを引き連れながら蒼空へと上っていく。その上空では刻々とその表情を変える空の青とヴェイパーの白が織りなす幾何学模様が描かれ、時折赤や黒の色が混ざり横切っていく。
ひっきりなしに打ち上げられる対空砲火が高度を下げすぎたP-47をからめとり両翼を赤で彩らせるが、それとほぼ同時に火だるまになったサンダーボルトの両翼から巨大な無誘導ロケットが白煙を引きながら伸びていく。数瞬の後、翼全体に炎が回った巨体からパイロットが打ち出されたかと思うと雷電の名を冠された戦闘爆撃機は業火の中に消え、ティニーティムの至近弾を受けたヴィルベルヴィントが不可視の巨人に蹴飛ばされたかのように横転し沈黙する。その一方で、3か所の航空基地から選抜された精鋭飛行隊による黒森峰学園艦手前の防空網をかいくぐった敵機が続々と第3基地絶対防空圏内に突入し、基地直援任務に当たるメイヴ隊、カーミラ隊、ズーク隊、ロメオ隊へ躍りかかっていく様子がヴュルガー・コントロールのモニターに映し出された。
『メイヴ3がやられた!』
『キリがないぞ!』
『ヴュルガー・コントロール!早く次の部隊をあげてくれ!このままじゃ第2波まで持たないぞ!?』
「今攻撃を加えている3機のスカイレイダーを何とか追い払ってくれ、出ないとあげさせられない!」
『前進防空ラインはどうなってるんだ!?なんでこっちにこんなに敵機が寄ってくる!?』
『ズーク5が1機撃墜!グッキル!』
『ぐぁっ!?まずい、火が』
無線から聞こえてくる戦況はお世辞にもいいとは言えない。隙を見て戦隊機を上げてはいるが、2機を落とし1機上げたら1機落とされ、その間に敵が3機増えているのが現状だった。ヴュルガー・シャンツェの錬度が低いという訳ではなく、むしろ寡兵でここまで戦えているのは驚異的ともいえる。
ヴュルガー・コントロールの別の大型ディスプレイには3次元表示された赤と青の矢印が短い航跡を引きながら複雑に絡み合い、時折黒く変色して画面から消えていく。青の数は時間がたつにつれてじわじわと減ってはいるが、赤の数はじわじわと増え続け管制官達の精神を締め付ける。
「状況は深刻と言っていいでしょう」
「ふぅむ、なかなか上手くはやっているようだがネ」
司令室中央の多角形の会議机に陣取った2人の将官が小さく言葉をこぼした。片方は眉間にしわを寄せ、もう片方は楽しくて仕方がないという風に。
「第1、第2ともに基地の防空で手いっぱいでヴュルガー・シャンツェに回せる戦力はありません。それどころかロメオ隊を返して、こちらの機体を貸せと通達してきました」
「連中にとっては、余剰品の百舌は二の次なんだろうサ。まさか承諾していないだろう?」
「もちろん。我々は他の航空団の補助が主任務ですが、小間使いになり下がったつもりはありません。独立した指揮系統をもつ航空団に変わりはない」
「結構。となると我々は独力でこの困難を打ち勝たねばならないということだ。第2滑走路は?」
「強風により単発軽量戦闘機の離着陸が禁止されています。もっとも、被弾して滑走路に突っ込んだ2機のB-25を片付けないことには使用不可です」
「ヤンキースピリットは健在のようで何より」と守屋が笑い、「笑い事ではないでしょう」と栗林がにらむ。
「空野君」
「は、はい!」
突然名指しで呼ばれた航空管制官がびくりと肩を震わせて向かい合っていたコンソールから背後の司令へと視線を向ける。気の弱そうな瞳は、久しぶりの大航空消耗戦におびえるかのように揺れ動いていた。しかし、その怯えは余裕たっぷりと言った風の守屋を見て、若干の鎮静化がなされる。いつの時代も、相手がどんなに胡散臭くても、余裕のある上司は部下の動揺を抑制する。
「予備戦力として出撃待機中の自走対空砲は?」
「ヴィルベルヴィントが6両、ゲパルトが8両です」
「全部Cブロックの掩体壕へ展開してくれ、1両残らず。残っている対空砲もそこへ集め別名あるまで自衛射撃以外を禁ずる」
「し、しかしそれでは基地の防空が、自走車両も予備戦力をすべて放出してしまうのは」
「構わんサ。どうせこの後来るのは爆撃機による高高度爆撃だ、ウチの自走対空砲程度では届かん。今後の制空権争いにはあまり大きな役割を持てないことを考えると、ここで景気よく使いつぶした方がいい。それで、我々の勝ちの目が拾えるのなら安いものさ」
そこまで言い切り、守屋は目を細めていつも身にまとっている諧謔味を抑え込み指揮官として決断を下す。
「全対空車両はCブロックへ移動、別命あるまで待機だ」
「りょ、了解!」
モニター上ではひっきりなしに曳光弾を打ち上げていた自走対空砲が履帯を鳴らしながら陣地転換を開始し、別のモニター上では複数の自走対空車両を乗せたパレットが大型シャフトの中を上昇して行く。それらの行きつくCブロックには、とある飛行隊を乗せたパレットが到着するブンカ―が2か所口を開けていた。
「君は、この判断をどう思うね?副司令」
「彼らが空に上がるリスクを極限できるのならば、20両程度の対空車両を使いつぶしてもおつりがくるでしょう。そろそろ、維持費も馬鹿にならなくなってきましたし、ちょうどいい在庫処分です」
栗林の回答に守屋は満足げにうなづき、頬杖を突く。その視線の先では味方の航空隊が一時的にではあるが制空権を取り返そうとしていたが、再びP-47の編隊が前進防空ラインを強引に突破して滑走路へと迫りつつある。そして、前進防空ラインには無数の赤い点が迫りつつあった。下手に受けようとすれば、防空ラインに展開させた全ての戦闘機が飲み込まれかねない。
「それにしても、トランプでも空軍道でもノーリスクで切れないのが歯がゆいネ」
「ええ。ですが、その分リターンは大きい。彼らさえ上がれば、負け戦を痛み分けに持ち込めるかもしれません」
「持ち込めるかもしれないでは困るなァ。”引きずり込む”事しか望んでいないのだよ、私は」
にやりと口の端に笑みを浮かべ、誰に聞かせるともなく言葉を紡ぐ。
――
『ヴュルガー・シャンツェよりクラウン隊、離陸を許可する』
「離陸許可だって?」
思わず聞き直したヘクサーは見慣れたコクピット中から周りに視線を向ける。今自分がいるのは対爆ブンカ―の中、上下左右後方を分厚いコンクリートで囲まれ、唯一空いた前方の開口部からは誘導路が滑走路まで伸びており、遠くのほうを火だるまになったA-36が流星になって落ちていく姿が見える。ここで出される司令はタキシング許可のはずだ。通信機からの不可解な司令に首をかしげ、聞き直す。
「タキシング許可の間違いじゃないのか?」
『いや、離陸許可だ。ブンカ―前のエプロンでも誘導路でも滑走路でもいいから、爆撃の合間を縫い速やかに離陸せよ。離陸の際にはありったけの対空砲火で援護する』
また一機、ブンカ―の正面100mほどのところにFw190が真っ逆さまに墜落し、閃光が一瞬ブンカ―の中を照らしたかと思うとエルロンの破片が屋根にあたって跳ね返る。無線の状況を聞く限りでは、第1滑走路の上空には少なく見積もって10数機の敵戦闘機、爆撃機が乱舞しており、外に出た瞬間ロケットや機銃の暴風雨を受けるのが容易に想像できる。常識的に考えれば離陸どころかタキシングも不可能と判断すべきところだろう。しかし
『早く落とせ!第2波が来たら終わりだ!』
『ズーク7!チェックシックス!回避しろ、右だ!』
『くそっ!被弾した!テメェも落ちろ!』
『クラウン隊さえあげちまえばこっちのものだ!』
《クラウン隊ってなんだ?》
『道を開けろ
《マリナー7がメッサーと空中衝突したぞ!?》
《知らねぇよ!なんなんだこいつら!?体当たりは知波単や泰南の専売特許だろうが!》
驚くべきことに、上空の友軍はクラウン隊を上げるために体当たりすら――空軍道では推奨されておらず、体当たりで敵を撃墜したとしても墜落事故として処理されるため意図的に行う人間はごく限られた――選択し、必死の抵抗を続けているらしい。機体の数はわずかに2機、最新鋭機でも何でもない平凡なBf109F-4を装備した弱小飛行隊の道を切り開くために己の機体すらも武器に変えて、絶望的なダンスを空へと刻む。
『ヘクサー、僕は君に従う』
静かな、それでも強い意志が込められた通信が耳朶を打つ。ここから一つ隣のブンカ―では自分の機体と同じ部隊章を機体に描いたBf109がその時を待っているのだろう。彼は何も、責任から逃れるためにこんな通信をよこしてきたわけでは決してない。自分一人だけで突っ走ることをあえてせず、隊長ではなく一人の相棒として自分に問いかけているのだろう。
正直言って意外だった、考えていた以上にクラウン隊はほかの飛行隊や司令部に期待をかけられている。ここ一番で戦況をひっくり返し、勝負を台無しにする役割としてだ。気が付けば、自分の指はエンジンの始動スイッチにかけられていた。自分の頭の中の常識的な部分が警鐘をがなり立て、統制された
クラウン隊はたったの2機だ
――それがどうした、相手はたったの10数機じゃないか。
出たところで第2波が来る前に高度が取れるか
――空へ上がりながら叩き落せばいい話だ。
そもそも頭を押さえられた状況で離陸が出来るか
――ホバリングした戦闘ヘリが張り付いているわけじゃない。
そして何より
――これぐらいの逆境をひっくり返せなくて、
叩きつけるように鋼鉄の心臓へ火を入れる。待ちくたびれたという風に機首の側面に設けられたマフラーから薄い黒煙が吹き出し、倒立V型12気筒エンジンに収められた12個のシリンダヘッドがリズミカルに踊りだす。シャフトを通して伝えられた回転は先頭に搭載された3枚羽のプロペラを回し、焦げ臭いブンカ―の中の空気を拡販させた。
「クラウン・リーダーよりヴュルガー・シャンツェ。支援に感謝、出撃する」
『OK!目の覚めるような曲芸を期待するぜ!グッドラック!』
スロットルを開き、エンジンの出力を上げる。推力を与えられた機体が一瞬身じろぎし、地面の凹凸を拾いながら穴倉の中から陽光のもとへとその灰色の翼をさらした。別のブンカ―からもほぼ同時にリヒターの機体が地面の細かいごみを巻き上げながらブンカ―の中からはい出してくる。そうして現れた2機は、たちまち空を舞う猛禽たちに目をつけられてしまった。
《おい!また出てきたぞ!今度は2機だ!》
《飛ぶ前に潰せ!》
《俺がやってや、なんだと!?》
一番近くにいたサンダーボルトが翼を立ててブンカ―からはい出したばかりのクラウン隊へHVARを向けようと旋回する。地上を滑走し始めた戦闘機は空から襲い掛かられれば成す術はない。
とはいえ、そう簡単に切り札を失うほどヴュルガー・シャンツェは甘くなかった。瞬間、それまで沈黙していた自走対空砲が一斉に掩体壕から地面へと姿を現し、搭載した対空火器を振りかざして巨大な機体を無数の曳光弾で包み込む。いくら命中率が怪しい対空機関砲でも、20両近くが集まれば不用意に旋回した大柄な戦闘爆撃機をとらえることはたやすく、一瞬にして無数の風穴を穿たれたP-47はびくりと一瞬震えたかと思うとバランスを崩して落ちていった。
《トニック3、4、5!あの小うるさい
間髪入れず3機のAD-1がその翼下に抱いていた大量のロケットをクラウン隊を守るように退避壕から前面へと躍り出た対空砲へ向けて撃ち放つ。満足な装甲を備えていない対空車両は白煙を空に描きながら次々突き刺さった槍に耐えきれず爆発し、炎上していくがクラウン隊が誘導路に出る貴重な時間を稼ぎ出す事に成功した。
2機のBf109はブンカ―からまっすぐ滑走路へ向かう誘導路に乗り、徐々にスピードを上げていく。位置関係的に、滑走路の風上側に出るクラウン2が先に離陸することになるだろう。
制限速度ぎりぎりで滑走路に侵入したクラウン2が戦闘緊急出力をたたき出しながら滑走路を滑っていく、周囲に敵影はない。クラウン2の離陸は確実だ。ヘクサーももうすぐ誘導路から滑走路へと出られる位置、スロットルを徐々に開けて滑走路へ出てからの滑走距離を短くするためできるだけ速度を稼いでいく。
『メイヴ9からクラウン隊!すまん!また何機か逃した!早く上がれ!』
首を巡らせると3機のサンダーボルトが緩降下しながら風下側から滑走路へと逃れようとする自分へと突入してくる。ぱっと見でその主翼の下にロケットはぶら下げていないが、8丁搭載した12.7㎜航空機関銃の弾はたっぷり残っているだろう。
さらに機体を加速させ、誘導路から滑走路へと躍り出る。ラダーとエルロンをわずかに操作し、遠心力で旋回の外側へとふらつこうとする機体を無理やり押さえつけると、ギシりと主脚から嫌な音が聞こえるが、このぐらいの過重ならぎりぎりで耐えられると無視する。
半ば片輪走行するようにして、主脚をわずかに軋ませながらクルリと向きを変えたBf109が滑走路の軸線上に乗り加速を始めるが、その後ろへ3機のサンダーボルトが矢じりのように陣形を整えて続く。
このままだと、車輪が宙に浮く前に最前列のサンダーボルトの射程に入ってしまう。そうなってしまえば最後、薄い主翼は12.7㎜弾に引き裂かれ、滑走路上に崩れ落ちることになる。
しかし、彼は迷いなく機体を直進させ速度を稼いでいく。自分の窮地を救う手段を視界の端にとらえながら、できるだけ”たやすい獲物”のフリを続ける。そして、ついに先頭の1機がヘクサーのBf109を照準器の中にとらえようとした瞬間、蒼空から放たれた矢が飛来する。
「マイスター!」
『落ちろっ!』
一瞬コクピットに影が差したかと思うと、最も接近していたサンダーボルトの巨大なエンジン部分が文字通りはじけ飛び、続いて両翼が叩き割られる。風上側から、離陸するヘクサーを追う3機のサンダーボルトめがけて700㎞/h以上の速度で緩降下したマイスターのDo335が、致命的な位置にいたサンダーボルトの真正面に残り少ない30㎜モーターカノンと20㎜機関砲を叩き込んだ。
対重爆用の機関砲の掃射を受けてしまえば、いかに頑丈と名高いサンダーボルトも紙切れと変わらない。一瞬にしてスクラップへとその姿を変えられたP-47が滑走路に激突しバウンドしつつ部品をまき散らす。相対速度が音速を超える中、致命的な1機を落としたズーク5は威嚇するように2機のサンダーボルトの頭上をフライパスし、速度を失わないうちに空へと駆け上がっていく。
《アリクイか!》
《構うな!まずは目の前のピエロを始末しろ!離陸直後は動きが鈍い!》
仕事熱心なP-47は猛烈な速度で距離を取るDo335ではなく、地上をよたよたと滑走するBf109から標的を変更する気はないらしい。
スロットルはとっくにMAX、尾輪はすでに宙に浮き、数秒と待たずに主脚も地面を離れる。機体が宙に浮けば、どうとでもなる。後はたった数十mを駆け抜けるだけ。それさえ我慢すれば、反撃に移れる。
しかし、クラウン1が機首を空に向ける直前、16丁のM2ブローニングが瞬いた。
一話丸ごと離陸に使って
主人公はぎりぎり離陸していないとか
なんだこの小説たまげたなぁ(←こいつ最高にアホ
クラウン隊が離陸時期を見逃しているようですが
これでいいのです。
「英雄を創るにはそれ相応の舞台を用意せねばネ」by胡散臭い司令
推奨OPは聞くなり見なかったことにするなり
聞きながらWTやったりご自由にどうぞ
さて、次こそ主人公にドンパチやらせるゾ
片っ端から米軍機をズタズタにしてやるんだ(白目