ボーイズ&ルフトヴァッフェ~空の道化師~   作:Ocean501

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ドーモ、オーシャン501です

今回も名もなき艦爆パイロットの戦い
主役はエンジンに泣かされ続けた名機彗星をはじめとする
帝国海軍艦上機の皆さん
艦攻隊は今回ちょい役ですが、また別の回で書きたいです(願望





推奨OP angela「Shangri-La」


Mission34 Welcome to the battle field

 どれ程の時間がたったのだろうか?

 加賀航空隊所属、逆叉隊7番機のパイロットはふとそんな考えにとらわれて、コンソール上にはめ込まれたアナログ時計を確認する。しかし、その表面をなぞる長針の位置は最後に見た時から10度も動いていないようだった。操縦桿を握っていた手を持ち替えて狭いコクピットの中で静かに回し肩をほぐす。長時間の作戦行動に対する耐性はあるほうだったが、いい加減限度がある。ありていに言って待ちくたびれた。

 

【定時報告、周囲に敵影なし】

 

 搭載されたフライトコンピューターが光学による索敵情報の結果をよこしてくる。2人乗りの艦上爆撃機であるが、後部機銃手はフライトコンピュータが兼任しており、後部座席に取り付けられた旋回式カメラが後方警戒を行っていた。

 機首に搭載されたアツタ三二型発動機は快調に3枚羽のプロペラを回転させ、腹の爆弾倉に搭載した二式五〇番通常爆弾の重量をものともせず日本軍機としては珍しい外見の愛機に推力を与えてくれている。周囲に目を向けてみると、同じ隊の彗星一二型がV字に並び操縦席に陣取ったパイロットが盛んに視線を空へ巡らせて索敵している様子が見える。さらに視界を広げると、自分達が所属する加賀所属の彗星艦爆隊を取り囲むように無数の彗星一一型、一二型と九九式艦上爆撃機が編隊を組んで一路敵を目指して突き進んでおり、少し離れた空域には流星、天山、九七式艦上攻撃機からなる艦上攻撃機隊が同じ機種でまとまって行動している。

 普段では見られないような大編隊を組んだ知波単の攻撃隊が風を押しのけ、敵めがけて進撃する様は式典の航空ショーのようにも見える。しかし、彼らが進む先で空を見上げているのはカメラを携えた観衆ではなく、小鳥一匹見逃さないレーダ網と砲身を振り上げた対空砲、そして

 

『敵機直上!全機警かうわぁっ!?』

 

 電子の目に誘導されたF6Fヘルキャット(地獄の猫)だった。

 自分とはほぼ反対側、知波単攻撃隊の最も外縁を飛行していた九七艦攻の1機が瞬時に火だるまとなって空に赤黒い花を咲かせ、それに連鎖するようにさらに数機の艦攻や艦爆が煙を吹き、主翼をへし折られて空に散っていく。雲に隠れて絶好の位置から奇襲を仕掛けた12機の群青色の戦闘機は編隊を維持したまま再上昇し仕切り直す。

 瞬間、先ほどまでのある種の牧歌的な空気は掻き消え、青と白のコントラストが映える昼下がりの空は硝煙と曳光弾に塗れた戦闘空間へと切り替わる。

 無線封鎖が解かれ隊長機から編隊を密にするように通信が飛び、翼が触れ合いそうになるほど感覚を詰めて間に合わせのコンバットボックスを形成する。いくら身軽な日本機と言えど腹に爆弾を抱えたまま戦闘機の攻撃をかわせる事などありえない。貧弱な防御火器と脆弱な機体構造をカバーするには身を寄せ合い味方の護衛戦闘機の奮闘を祈るほかない。

 

 《おいおいおいおい!レーダーの故障じゃなかったのかよ!?》

 《フィリーズ2よりエンタープライズ!敵は大群だ!200機近いぞ!》

 《やるだけやってみるがおそらく守り切れん!シャングリラから援軍を呼んでくれ!》

 

 レーダーによる航空管制で有利な位置へ誘導され満を持して殴りかかったエンタープライズ所属の艦上戦闘機隊12機は、目の前を埋めつくす200機近い深緑色の艦上機を前に嫌な汗を流す。通常、空母の戦闘では第1次攻撃隊と第2次攻撃隊に分かれ反復攻撃を行うのが基本だ。理由の一つとして挙げられるのが一度に発艦できる機数の最大が決まっているということがある。艦上機は発艦前に飛行甲板に並べられた後発艦するが、どれだけ多く並べたところで搭載機数の半分程度が相場だった。すなわち、それが一度の発艦作業で速やかに空にあげられる航空機の全数ということになる。

 そこから考えると、いまサンダース艦隊を目指して飛行している知波単の機体の数は多すぎる。これだけの数の艦載機を繰り出すには、知波単の航空艦隊が丸ごともう一つ必要になるだろう。

 どこからこれだけの機体を引っ張り出してきたのだと余計なことを考えてしまい、一瞬でも周囲の索敵をおろそかにしたのがこのパイロットの運の尽きだった。

 サッとコクピットに一瞬影が差したかと思うと、彼の愛機であるヘルキャットは20㎜破砕榴弾と13.2㎜徹甲焼夷弾によって切り刻まれ、先ほど自分が落とした天山と同じ運命を辿ることになってしまう。

 

『阿蘇3番、敵グラマン撃墜!敵の数が少ない、やれるぞ!』

 

 角ばった主翼が粉砕されたヘルキャットがガクリとうなだれるようにして機首を海へと向けて火を吹きながら落ちていく。撃墜した敵に用はないとばかりに、艦攻かと思うほど巨大な主翼を振り回した知波単最強の艦上戦闘機が空へと駆け上がり、次なる獲物へと向けて宙を舞う。一見、零戦の様な印象を持たせる機体は、それよりも大きく、力強い。

 がっしりとした機体はそれまでの軽戦とは異なる重戦と呼ぶにふさわしく、両翼に搭載した20㎜機関砲と13.2㎜機関銃は火箭に絡めとった敵機に大穴を穿つ。鋼鉄の心臓はベアキャットと同じ2000馬力級航空エンジンであるハ四三を採用し、最高速力は600㎞/hを優に超える。零戦の弱点であった最高速力、加速性能、急降下性能を大幅に向上させ、旋回能力は見劣りする者のそれでも他国の戦闘機と比べると格段に小さな旋回半径を誇る怪物機。

 サンダース機動部隊の切り札がベアキャットであるならば、今この空域で攻撃機に襲い掛かるヘルキャットを子猫扱いしてしまう機体こそ、知波単機動部隊の切り札。三菱A7M2、烈風一一型。加賀航空隊に12機のみ配備された精鋭中の精鋭だった。

 編隊を解いた12機の烈風は最初の一撃こそ奇襲を許したものの、そのあとの戦闘は一方的と言ってよいほどの戦闘を見せる。巨大な主翼に太陽の光を反射させ、攻撃機の編隊へと突入しようと旋回したF6Fの後方へと最短距離で回り込むと至近距離から20㎜と13.2㎜の洗礼を群青色の機体へ浴びせかける。いくら頑丈で有名なF6Fとはいえ、この火力を前に耐えきることなど不可能だった。滑らかな機体表面はたちまちのうちに砕かれ、機体を支えていたフレームが裂けて空中分解する。

 勇敢なヘルキャットが味方を撃とうとした烈風へ一撃離脱を仕掛けようとダイブするが、トリガーを握りこむ寸前に照準器にとらえていた烈風が宙返りしたかと思うと射線から掻き消える。直観に従ってペダルを蹴飛ばし機体を横へとスライドさせるが、それよりも早く20㎜破砕榴弾がコクピットブロック後方のカーボン装甲に突き刺さり、ファストバック式風防を形作っていたコクピット後部が爆圧で吹き飛び、パイロットキル判定を受けてしまった。

 烈風に狙われなかった幸運な機体も若干数存在したが、エース部隊の攻撃で獲物の割り当てが少なくフラストレーションがたまっていた残りの加賀戦闘機隊の紫電改9機に集られ、あっという間に脱落させられていく。

 

『古鷹1番!敵艦隊発見!空母3!軽巡6!駆逐艦20以上!』

『戦闘機隊!4時方向から敵の新手が接近中だ!追っ払ってくれ!』

『信濃1番より全雷撃隊。サンダースの対空砲火は濃密だ!ペラで波を叩くまで高度を下げろ!雷撃はビビったやつから落ちていくことを忘れるな!全機突撃!』

 

 雲の合間から見えたのは3隻の空母を中心に据えた巨大な輪形陣。1隻足りないが、十中八九ここよりも後方の海域に退避させているのだろう。旗艦が沈めば大抵の場合その時点での敗北が決定する。知波単や黒森峰では護衛艦の不足から空母の集中運用が基本だが、潤沢な護衛艦を保有するサンダースでは護衛の一部を切り離し、旗艦を安全な後方へ退避させる事がしばしばあった。

 魚雷を抱いた艦攻隊が翼を振って高度を下げ、海面へと向かっていく。今回は全機が雷装となっており、水平爆撃を狙う機体は居ない。というのもサンダース艦隊の対空砲火は史実以上に強力であるうえ、水平爆撃による命中率は高くない。最たる理由として、知波単空軍道の雷撃機乗りは大多数が魚雷信奉者であり海が荒れていない限りは魚雷を抱いて出撃するのが日常だった。海面に激突するほどの超低空を駆け抜けて敵艦に魚雷を叩き込むことを至上の喜びとする彼らにとってみれば、水平爆撃など低空飛行もできない新人にやらせる任務という考えに染まり切っているのが現状だった。

 

『逆叉隊、聞こえるな?わざわざ空中給油機(バカガラス)かき集めて艦隊の全航空機を空中集合させたのだ、一撃で一切合切ケリをつけるぞ』

 

 航空機の絶対数で劣る知波単・黒森峰連合がサンダースを打倒するために取った作戦は単純なものだった。少数が多数を打ち破るには保有する戦力を集中させる必要があるが、航空母艦の制約上一度に繰り出せる航空機の数には限りがある。そこで、知波単と黒森峰が保有する空中給油機のほぼ全数を味方艦隊近海にまで進出させ、先に上がった航空機の燃料を空中給油で補充させたのだった。

 空中給油を活用して艦隊に所属する艦上機を最初の1撃に集約し、強引に数的有利を捥ぎ取る構想と言える。

 空軍道に使用される航空機に空中給油設備の取り付けが義務付けられている事と、フライトコンピュータによる操縦の簡略化がもたらした作戦であり、空軍道でしか成り立たない奇策。なお、立案は黒森峰の胡散臭い司令という噂が艦隊内で実しやかに囁かれていた。

 高度10000ftを飛行する逆叉隊の彗星をはじめとする爆撃隊も数機ずつの編隊に分かれてそれぞれの獲物へ向かって進路を調整していく。ここで彗星の後ろを進んでいた飛龍と蒼龍から発艦した九九式艦上爆撃機の編隊が彗星の前方へと進出していく。空母を沈めるには実力不足の二五番爆弾しか搭載できない爆撃機ではあるが、空母の盾を引き剥がすには最適解と言える機体だった。

 

『邪魔なフレッチャーを黙らせろ!飛龍の奴らに負けんじゃねーぞ!』

『そりゃこっちのセリフだ!全機、なるべく艦橋か煙突を狙え!突撃!突撃!突撃ィィィィ!』

 

 勇んで増速した九九艦爆だったが、そのすぐ後に沈黙を守っていたサンダース艦隊の全艦がパッと砲煙に包まれた。それはついに、知波単攻撃隊がサンダース艦隊の対空砲の間合いに入り込んだことを意味する。

 

『敵艦隊発砲!散開!』

 

 サッと蜘蛛の子を散らすように敵戦闘機に備えて密な編隊を組んでいた攻撃隊が距離を開ける。ラッキーヒットで一網打尽などという間抜けな最後になりたいパイロットは居ない。

 僅かな時間が過ぎ去り、艦隊から放たれた無数の凶弾が空を舞う猛禽たちを覆いつくす。

 

「ぬおっ!?」

【警告、左翼被弾。エルロン損傷】

 

 加賀の艦爆隊を襲った無数の5インチ砲弾は弾頭に搭載されていたVT信管の導きにより、逆叉隊を包み込むように連鎖的に炸裂し無数の破片と爆圧をまき散らした。四方八方から襲ってくる爆風が機体をあおり、飛び散った弾片が彗星の優美な機体を切り裂き、左翼のエルロンを叩き割る。危うくバランスを崩しそうになった機体を操縦桿で抑え込むが、その動揺が収まらないうちに第二波が到達し、深緑色の急降下爆撃機は濁流の中の木の葉のようになすすべもなく弄ばれてしまう。

 

『ええい!いつも通り盛大な歓迎だなおい!』

『逆叉12番がやられたぞ!』

『ちっ、こっちが鉄屑か』

『操縦系に被弾…っ!?』

 

 隣を飛んでいた彗星が機体後部に損傷を受けて機動性が大幅に低下し、直後に目と鼻の先で炸裂した5インチ砲弾の雲へ突っ込でしまう。反対側から抜け出した機体には無数の穴が穿たれ、風防ガラスにひびが入り、細くとがった機首からは黒煙とオイルが吹き出していた。

 

「逆叉6番、大丈夫か?」

『ハッハー!まだまだいけるぜなな』

 

 逆叉7番(自分)に返答しようとした瞬間、ぼろぼろの彗星は5インチ砲弾の直撃を受けて木っ端みじんに吹き飛んでしまう。弾頭自らがレーダー波を発し、半径15m以内に敵機が入った瞬間に炸裂する近接信管付きの対空砲弾をレーダーと連動させながら盛大に撃ち放つサンダース艦隊の猛攻はすさまじく、すでに12機いた逆叉隊は8機にまで打ち減らされ、残った機体も何かしらの損傷を抱えてしまっていた。

 眼下では蒼龍と飛龍から発艦した27機の九九艦爆が5インチ砲弾と40㎜機関砲弾にその翼を焼かれながら急降下し、海上を疾駆するフレッチャー級駆逐艦に二五番爆弾を叩き込み、半数が攻撃を終了させ、5隻を無力化、3隻を損傷させて戦闘能力の大半を奪い去っていた。さらに一部の九九艦爆が輪形陣のさらに内側の軽巡へとその牙を伸ばすが、それが届くことはなかった。

 翼を大きく振って一本鎖の体系のまま急降下を始めた九九艦爆を襲ったのは1隻あたり38口径5インチ砲連装砲6基12門、56口径40mm4連装機銃6基24門、同連装機銃4基8門、20mm連装機銃4基8門を搭載するアトランタ級軽巡6隻による対空砲火。防空巡洋艦として生を受けた6隻の火箭にまともに突っ込んでしまった7機の艦上爆撃機は、10秒と持たずに白銀の機体を二五番爆弾ごとハチの巣にされ空に咲く赤黒い雲の一部になる。脱出した人数分のパラシュートが空しく空を漂いながら高速航行する艦隊の後ろへと流れていく。

 

『アトランタに向かった艦爆隊が全滅したぞ!』

『奴を何とかしないとウチの艦攻隊でもただの的だ!彗星隊、何機行ける?』

『こちら白鯨1番、赤城艦爆隊はアトランタをヤる!加賀艦爆隊は空母を叩いてくれ!』

『狩野隊も目標変更だ!アトランタを潰すぞ!全機我に続け!』

 

 アトランタ級防空巡洋艦の対空砲火を取り除くため赤城艦爆隊の彗星18機と蒼龍艦攻隊の天山、九七艦攻18機が空母を取り囲む6隻のうち3隻に目標を絞って突入していく。狙われた3隻は周囲の駆逐艦や軽巡に支持を飛ばし、効果的な弾幕を張って攻撃隊を退けようとするが、対空砲火に恐れをなして侵入を誤るパイロットは知波単の母艦航空隊に存在しない。1機、また1機と5インチ砲弾の炸裂で翼を折られ、40㎜機関砲弾の直撃で火だるまになり、20㎜弾にミシン掛けされながらも一直線に目標へと向かって突っ込んでいく。

 アトランタ級の必死の対空砲火もむなしく、赤城艦爆、艦攻隊の捨て身の攻撃により3隻のいずれもが1発以上の500㎏爆弾を被弾し中破以上の損傷を受け、そのうち1隻は魚雷2本を受けて即座に撃沈判定を受けてしまう。

 

『防御放火が半減したな、逆叉隊。行くぞ』

 

 1番機が翼を翻し眼下をのたうち回る大型空母の予想進路へと空を駆けおりていく。それに続いて列機も翼を傾けて急降下体制。逆叉隊が急降下に入ったことで眼下からの対空砲火が一層ひどくなり、操作がわずかに遅れた11番機が複数発の5インチ砲弾の炸裂に巻き込まれて機体の原型をとどめないほどにまで解体されて脱落する。

 ダイブブレーキ展開、爆弾層開放、安全装置解除。ハーネスが肩に食い込み、機首が海面を疾駆する灰色の大型空母の先へ振られる。風を読み、機体の姿勢を調整して着弾するであろう位置を微調整しながら10000ftの天空を駆けおりる。空母の周囲に陣取った護衛艦からひっきりなしに対空砲弾が撃ち込まれ、飛行甲板の左右に張り出したスポンソンや艦橋前後に据え付けられた38口径5インチ連装砲4基8門、38口径5インチ単装砲4基4門、56口径40mm4連装機関砲8基32門、78口径20mm単装機関砲46基から赤熱した対空砲弾によって作られた花道を紅蓮の華で彩る。

 高度計の針が狂ったように回転し、フライトコンピューターが機首上げ動作を急かす。正面に見える海面は昼下がりの太陽の光を美しく反射し、その周囲には撃墜された機体がもたらした油膜がぽつぽつと浮かび、異質な光景を形作る。高度は3000ftを切った。

 

『くっ、ここまでですか…!』

 

 逆叉9番がコクピットに直撃弾を受けたのかピンクのスモークを両翼から噴き出して爆撃コースから逸れていく。戦死判定が出る直前に爆弾を反射的に投下していたのかゴマ粒の様な通常爆弾が視界に映るが角度が悪い、あれは当たらない。高度2000ft並みの艦爆乗りならばもうトリガーに力を入れる高度だが、自分たちにとってはまだ遠い。

 

 《ええい!シャングリラからの増援はどこへ行った!?》

 《烈風(Sam)と殴り合っている!優勢とは言い難いがな!あんな飛び方して喜ぶか変態共がっ!》

 《全員何かにつかまれ!》

 《左舷より雷跡!主舵を切れエセックス!》

 

 この通信は空母とその随伴艦のものだろうか、確かに幾条かの雷跡が目標とする空母の左舷側へ向けて深い青の中に白い線を引いていくのが見える。その白線の逆側の端には白く泡立った海面と派手にまき散らされ、炎上する油膜と空に浮かぶパラシュート。撃墜される寸前に腹に抱えてきた槍を突き出した艦攻の搭乗員は、空に浮かびながら固唾をのんで槍の穂先を凝視していることだろう。

 高度計が1500ftを切った瞬間、愛機の左翼が横合いから飛んできた40㎜機関砲弾に撃ち抜かれ、強烈な風圧と砲弾の炸裂によって翼桁や補助翼をまき散らしながらはじけ飛び、バランスを崩した機体がきりもみ回転を始める。

 視界が回転し、脳が認識していた空間が捻じれ狂う。ヘルメットの中にアラートがけたたましく鳴り響き、正面には自動脱出までの1秒にも満たない残り時間が表示される。

 ――…潮時か、まあいい最早俺は無用だ

 ガチリ、とトリガーが作動した音を脳がとらえた次の瞬間にはキャノピーが吹き飛び、自分の体はロケットモーターで空へと打ち出されていた。片翼を失った愛機が眼下の空母の断末魔にも似た対空砲火に包まれて跡形もなく粉砕されるのが見え、続いて空母の飛行甲板で連続的な爆発が生じ、焼けた風がヘルメットの隙間から入り込む。4発の五〇番爆弾の衝撃波はパラシュートを大きく揺らし、つりさげられた彼の体をグラグラと揺さぶる。

 

To Yankees(ヤンキー諸君)Welcome to the battle field(戦場へようこそ)

 

 見事に敵空母へ爆弾を命中させた隊長の言葉が、ある種の厳かさすら纏って通信機から響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





索敵から書くと冗長になるので大幅カットの暴挙
この小説の主役は指揮官じゃなくてパイロットゆえ致し方なし(白目

残念ながら知波単攻撃隊の向かった先にシャングリラは居ませんでした
3空母スルーしてシャングリラを囲んで棒で殴る作戦もありますが
それやってる間に味方機動部隊が3空母の反復攻撃でボコされるとまずいので
手当たり次第にかみついています

アトランタ級の対空火器の数は異常、流石防空巡洋艦

なお、この小説において身体が闘争を求めるワタリガラスの皆様は
関係ありませんのであしからず

次はそろそろクラウン隊の活躍を書きましょうか
ヒロインに続いて主人公まで影が薄くなりつつある小説…
あれ?二次創作ってなんだっけ?(錯乱


では、また ノシ
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