ボーイズ&ルフトヴァッフェ~空の道化師~   作:Ocean501

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ドーモ、オーシャン501です

海の日が異聞帯案件になりましたが私は元気です(レイプ目)
今回は久しぶりに人外飛行隊の出番
空母機動部隊の戦闘は機体の制約とか残り機体数とか
考えなくてはいけないので陸上航空戦よりも設定することが多くて面倒ですねー
でも雷撃書きたい(瞳孔全開


推奨OP angela「Shangri-La」



Mission35 崩壊の序曲

 

 「まずいな…」

 

 晴れ渡る空のもと全力航行を続けるペーター・シュトラッサーの空軍道指揮用コントロールルームに、スカイアイの名をつけられた管制官の嘆きが漏れた。ひと昔前の戦闘艦並みの薄暗いCICルームに並べられたディスプレイには現在戦闘を行っている航空戦力、味方残存艦隊の位置、敵残存艦隊の予測位置、残燃料・弾薬、全機発艦完了までの時間などありとあらゆる上方が集約されているが、それらが導き出す結論は一つ。

 黒森峰・知波単連合は負けかかっているという事だった。

 

「サンダースとBC自由の第1波攻撃を我々の戦闘機を全力投入して防ぎ切ったのはいいが、やはり後が続かないか。いくら狩る側の戦闘機とはいえ、戦えば消耗し落とされる」

 

 スカイアイの隣で僅かに渋面を浮かべているのはペーター・シュトラッサーの艦長。いつの時代も、どんな戦いでも、母艦の航空機を落とされて愉快な気分になる空母の艦長など存在しない。

 

「第2派の発艦は何時完了しますか?」

「そろそろ終わる。が、知っての通り出せるのは全て合わせて52機だ。12機は艦隊直掩に必要として投入できるのは40機、空中集合せず発艦次第戦闘空域に突入させているが、最後の方に発艦した機体は敵の第2派攻撃に間に合わんだろうな」

 

「解っています」と重々しく頷く。「初撃でシャングリラを落とせなかったのが厳しいですね」と愚痴るように続けた。その言葉に同意するように、艦長は小さくため息を吐く。

 

「作戦が凡て上手くいくのは紙の上に限られるものだ。いや、しかし、ここまで読み切られて戦果を抑えられるとは思わなかったが」

 

 深山を改造した知波単の大型空中給油機のほぼ全数を投入した奇策だったが、その欠点として最初の一撃を躱されると途端に苦しくなる諸刃の剣でもあった。一度の戦闘に投入した航空機の数が倍になれば自ずと収容にかかる時間も倍以上になる。初めから反復攻撃を度外視した作戦であるうえ、艦隊上空の直掩を黒森峰に事実上丸投げした戦いであるため、黒森峰の航空機が補給の為に交代すると直掩として残るのは消耗した僅かばかりの知波単艦上戦闘機だけになってしまった。

 流石に全機が引き上げるのはまずいということで、いくつかの飛行隊は知波単の空母で燃料を補給し直掩任務を継続することになったが、砲弾の規格が異なるため弾薬の補充はできない。母艦まで後退した飛行隊は弾薬を受け取ることが出来るが、着艦してから再び出撃するには時間が必要だった。

 

「特に痛いのは給油機の喪失ですね。これで同じ手は二度と使えません」

 

 さらに悪い知らせの一つは先の奇策を支えた空中給油機部隊の壊滅だった。第1波攻撃隊に空中給油を行った後は知波単学園艦まで後退し燃料を補給して再出撃する手はずになっていたが、帰還途中に運悪く聖グロリアーナの哨戒飛行隊と遭遇してしまい、防御機銃を搭載していない給油機の編隊は瞬く間に壊滅させられてしまう。もちろん、知波単も学園艦から足の長い護衛機を出してはいたが、それ以上の数のスピットファイアMk.ⅩⅣe(グリフォン・スピットファイア)に襲われてしまえばひとたまりもなかった。

 

「此方の戦果は空母2隻撃沈、1隻小破。しかし、その中に旗艦は含まれていない」

「喪失した機体は戦闘機69機、攻撃機65機、爆撃機55機。全て合わせて189機、戦闘可能機体は106機ですね。敵へも同等以上の損害を与えているでしょうが、いかんせん向こうの機体は戦闘爆撃機(マルチロール)が多いので、此方よりも柔軟に対処してくるでしょう。それに対し、こちらに残ったのは損耗した艦爆と艦攻が合わせて51機、戦闘機はまとまった数がいますが、サンダースの空母2隻と正面切って戦うのは…」

「艦載機の絶対数で負け、今まさに無防備に等しい知波単機動部隊に向かっているのは大型空母4隻分の第2波攻撃隊。これを凌げば帰る家を失った機体の分だけ数を減らせるが、高々50機で守らねばならん。いいニュースがあるとすれば、奴らがまだ勘違いをしたままだというところだろうな」

「出来る事なら、シャングリラが沈むまで幻想を見ていてほしいですね」

 

「そいつは無理だろう」と艦長が笑う。

 

「どのみち最後は気づく。スカイアイ、できる限り戦闘機の損害を抑えるようにもう一度念を押してくれ」

 

 数百㎞先の海域で、知波単機動部隊最後の抵抗が幕を上げたのは、ちょうどその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『数が多すぎる!本当に第2派攻撃隊かこれは?!』

 

 ズィルバー4の悲鳴交じりの愚痴がヘルメットに仕込まれた通信機を介して木霊する。遠く先の海上を見下ろすと白い航跡が群青色のキャンバスをのたうち回っているのが見える。自分たちが到着したときには、知波単機動部隊上空で既に戦端が開かれ無秩序な乱戦に陥っており、1隻の中型空母に急降下爆撃機が殺到して複数の火柱が吹きあがっていた。

 

『飛龍がやられたぞ!』

『損害は?!損害はどうなっている!?』

『見ればわかるだろ!?1,000ポンド4発直撃!ついでに魚雷が2本で轟沈判定だ!』

『新手が来たぞ!コルセアとドーントレスだ!50はいるぞ!』

『このくそ忙しい時に!』

 

 事前情報では今味方機動部隊に襲い掛かっているのはF8F(ベアキャット)F4U(コルセア)SB2C(ヘルダイバー)TBF(アヴェンジャー)で構成された航空隊約50機、そこへもう50機追加された形になる。片や、こちらの防衛戦力は知波単の直掩機22機、黒森峰の戦闘機は発艦後順次こちらに向かっているが戦闘終了までに30機が集まればよいほうだろう。戦力比は少なく見積もって1:2、負けないどころか生き残れるかさえ怪しいものだ。

 

『こいつは酷い、エンジントラブルってことでいったん戻るのはどうだい?ヘクサー。個人的には、ここで体張るのは得策じゃないと思うんだが』

「そいつは名案だが、なにもわざわざ勘違いしている敵に真実を教えてやらなくてもいいだろう?今のうちに叩けるだけ叩いておいたほうが後が楽だ」

『そりゃそうだけど、あの中に突っ込むのは気が乗らないね』

 

 リヒターの声を聴きながら視線を正面の空域に向ける。海上から花火のように打ち上げられる曳光弾や対空砲弾の間を縫うように無数の航空機が乱舞し、時折流星となって海へと流れ落ちていく。機体の形は様々だが、全体的に青系の塗装を施された機体が圧倒的に多く、火だるまになるのは緑や灰色の機体が圧倒的だった。そこかしこで数機の青い戦闘機が1機の航空機を追い掛け回している光景を見ることが出来る。

 

「やるしかないさ。赤城に接近する機体を優先して叩くぞ、クラウン1、エンゲージ」

『味方の対空砲火で落とされてくれるなよ、クラウン2、エンゲージ』

 

 スロットルを全開にしてダイブ、まずは戦場に加わろうとしている新手の飛行隊に目標を絞って午後の光に包まれた空を駆けおりていく。正面の風防に移るのは幾重もの編隊を組んだSBDの群れ、ざっと数えて30機は下らないだろう。鈍足ではあるが腹に抱いた1000ポンド爆弾は大型空母を葬るのには十分な威力を持ち、史実では数多くの帝国海軍艦艇を漁礁へと変えた死神。周囲を守るのは逆ガル翼が特徴的なコルセア、しかし急降下するクラウン隊に鋭く反応したのはコルセアのうち半数程度、もう半数は爆装を施しているのか防御機銃を持つドーントレスの編隊へと接近し、対空砲火の傘へ入ろうと機動しているようだ。

 

《上空から敵機だ!数は2!》

《たった2機だ!編隊を密にして弾幕を張れ!》

《パドレス6から12!無謀な奴らを追い払ってやれ!》

《パドレス11了か》

 

 目の前に躍り出てヘッドオンに持ち込もうと機首を上げ始めたコルセアの機首に15㎜弾を叩き込む。コルセアのエンジンカウルが卵の殻のように砕け散り、ダブルワスプが紅蓮の炎に包まれて飛行能力を喪失する。そのまま機体を滑らせて先ほどのコルセアを援護する位置へつけようと翼を翻した僚機へも1撃、20㎜薄殻榴弾の直撃を受けた特徴的な逆ガル翼が回転しながら吹き飛び、翼をもがれた機体がきりもみ回転しながら脱落していく。ドーントレスの攻撃に移る前に機首を上げて再上昇、一瞬遅れて先ほどの降下コースの延長線上でドーントレス十数機分の後部機銃座の火箭が交錯する。

 

《一瞬で3機落とされたぞ!?どうなってる!?》

《もう一度来るぞ火箭を集中させろ!》

 

 再上昇の後背面飛行しながら適当な獲物を見定め、再びピッチアップし降下体制。さすがはサンダースと言ったところか、奇襲から即座に立ち直り、ドーントレスを密集させてコンバットボックスを構築し後部機銃座から防御弾幕を展開する。7.62㎜連装機銃から放たれる曳光弾が光の川のように機体を押し包み、火箭に絡めとろうとするが、こちらは敵機のほぼ直上からの攻撃になるよう位置を調節したため、射角が制限されるドーントレスの後部機銃では追いきれない。

 先頭付近を飛行するドーントレスの機首へ照準を合わせてトリガーを握りこむ、風防のすぐ外がMG17のマズルフラッシュによって漂白され、照準器に収まっていた敵機の風防を砕き真っ白に染め上げる。続いてラダーで機体を滑らせてすぐ横で密な編隊を組んでいた敵機へ15㎜サーメットコアを十数発撃ち込むと先ほどのコルセアと同じようにエンジンカウルがズタズタに切り裂かれ黒煙を噴いた発動機が停止する。2機が脱落して空いた穴をくぐって下方へと離脱し、速度を失わないうちに右へ緩旋回しながら空を駆けあがる。

 

《ピエロのエンブレム…大変だ!敵は虐殺ピエロだ!散開したほうがいい!》

《勝手な行動をするな!編隊を解けばそれこそ奴らの餌食だ!編隊をさらに密にせよ!火箭を集中させて奴を叩き落せ!》

《パドレス・リーダーよりナショナルズ・リーダー!爆弾を投下してこっちを手伝ってくれ!》

《ネガティブ!何の為に爆装してきたと思ってるんだ!此方は防御火器がない、散開して敵艦へ向かう!旗艦の赤城を落とせばこちらの勝ちだ!》

《今の攻撃を見てなかったのか!?奴らの腕は本物だ!散開しても蹴散らされうわっ!?》

 

 当たり所が悪かったのかリヒターの攻撃により隊長機らしきコルセアが爆炎とともに空中分解する。指揮官を失ったパドレス隊のコルセアと彼らに護衛されるドーントレスの動きが目に見えて動揺し、ナショナルズらしき12機のコルセアは占めたとばかりに数機ずつに分かれて散開し、ダイブしていく。

 

『クラウン2より全機!爆装したコルセアが散開して空母へ向かったぞ!隊長、どうする?』

「散開した奴らは味方に任せる。まとまったドーントレスを放置するのは論外だ。ここで始末するぞ」

『またスコアがたまりそうだっ!と』

 

 真後ろから奇襲をかけられたリヒターのBf109だったが、読んでいたとばかりに無駄のないバレルロールで後方からダイブしてきたコルセアの一撃を躱す。不意打ちに失敗したコルセアは上昇して離脱を図ろうとするが、その選択は先に上空へと戻っていたヘクサーの鼻先へと躍り出ることを意味していた。容赦なく放たれた20㎜弾がコクピットブロックに直撃し、機体中央部を真っ黒に染めて力なく機首を下へと向ける。

 邪魔者を片付けて再び密集したドーントレスの編隊へと躍りかかる。編隊右側側面へ向かって緩降下、数機が機体を大きく傾けて後部機銃座の射線を確保しようとするが、それはヘクサーに対して脆弱な主翼をさらけ出すことと同義だった。回転するプロペラシャフトから打ち出された薄殻榴弾がわずかな距離を駆け抜けドーントレスの幅の広い主翼を叩き割る。バランスを崩した機体は接近しすぎていた隣のドーントレスに接触し翼をへし折り、空中衝突。2機分の残骸が空に飛び散り、後続する敵機へと降り注ぎ戦意を奪い去っていく。

 護衛機は既に半分近く落とされており、今の調子では後数分持つのかすら怪しい。それに、密集していれば一度のダイブで少なくとも2機が食われてしまい、最悪の場合空中衝突すらありうる。それまでの惨劇をもろに見てしまった爆撃機隊の、たった2機の戦闘機にいいように蹂躙されてしまうという恐れが、確信に変わってしまうのに時間はかからなかった。

 まず1機が奇妙な悲鳴を上げてダイブした瞬間、それまで張りつめ統制されていた狂気が一気に噴出し、伝搬していく。それは統制された”散開”行動ではなく、ただ目の前に現れたクラウン隊(理不尽)から逃れようとする逃走。

 古今東西、壊走する軍隊に次に齎されるものは相場が決まっていた。

 

『こちらインディゴ・リーダー。これよりクラウン隊を援護する』

「遅いじゃないか、男爵」

『済まないな、空が混んでたんだ』

 

 突如下から突き上げてきたのは純白に青いラインで塗装された11機のBf109K-4。クラウン隊のすぐ後に出発したインディゴ隊の面々だった。急上昇による速度低下をものともせず、統制を失い壊走を始めたドーントレスを10機近く爆散させ、空に散らす。編隊を解いたインディゴ隊が大きく旋回し、散開しようとした残りの20機近いドーントレスを包囲するように取り囲んだ。

 

『ここはインディゴ隊が引き受けた、クラウン隊は向こうを手伝ってやってくれ。流石の烈風も連戦な上ベアキャットが相手では劣勢だ』

「フリッツにベアキャットの相手をさせる気か?」

 

 そう呟きつつ、操縦桿を倒して急旋回。爆散した機体と炸裂した対空砲弾によって黒く汚された空域へと機首を向ける。

 

『エーミールで疾風に喧嘩を売った奴にはちょうどいいだろう?』

 

 揶揄いを多分に含んだ名目上の主将の言葉にため息を吐きたくなるのをぐっとこらえる、リヒターの笑いをかみ殺しているような声が微かに聞こえるが、自分もその喧嘩を売った一人であることを忘れているのではないだろうか。

 

『なに、手に負えないなら上手く引き付けておいてくれるだけでいい。オードブルを片付けたら直に救援に向かう』

「そうかい。なら、手早く済ませることだ。メインが無くなっても文句は受け付けないからな」

『その時はデザートでも頂くとするさ』

 

 クラウン隊の2機が、1のナンバリングが施された純白のBf109とすれ違う。

 

 ――幸運を(グッドラック)

 

 2機のBf109はすれ違った白いBf109と次々と火球に変えられていくドーントレスを後にして対空砲弾が乱れ飛ぶ空域へと突入していった。彼らが進む前方でまた一機、緑色に塗装された大柄な戦闘機が火炎の尾を引きながら空の舞台から退場させられる。

 道化師たちを出迎えたのは風と雷を引き裂く青い熊猫だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





そろそろ悪名が高まってきたクラウン隊ですが
敵に発見された瞬間に指揮崩壊が起こらないようでは
まだまだDEATHよ(愉悦

インディゴ隊がおいしいとこ掻っ攫って
面倒な相手をクラウン隊に押し付けたようにも取れますが
実際問題20機近いドーントレスが散開したらクラウン隊でも仕留め切れませんし
フリッツ装備のクラウン隊なら熊猫相手にも簡単にはやられないと
インディゴ1は確信しているので合理的だったりなかったり

主人公勢力の残り機体数が残念なことになってますが
逆に考えるんだ、空母が2隻も残れば全機収容できるから
4隻落とされても大丈夫だと考えるんだ(お目目ぐるぐる


では、また ノシ
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