さとり×こころ×もどき   作:ヴィヴィオ

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小五ロリ、遺跡に……

 深い森の中をゆっくりと歩いていくさとりちゃん。ランドセルも合わせて、まるでその様子は遠足やピクニックといった感じだ。しかし、それはあくまでも普通の山で白濁液塗れじゃなければという註釈がつく。

 もちろん、ここはそんなのどかな山でもなく、人外魔境の暗黒大陸である。少し移動するだけで襲われてくるのだ。実際、さとりちゃんとこころちゃんがこちらに来てから数日。2,3時間に1回は襲撃されている。今も襲われていて泣きながら逃げている。

 

「無理ですっ、無理ですっ!」

 

 さとりを後ろから追っているのは小さなサイズや大きなサイズがいる無数の虫達だ。そのどれも凶悪な牙や顎、そして毒を持っている。それらはさとりちゃんが逃げるが、すぐに追いつかれて足を噛まれて引きずり倒される。身体を舐められて噛まれて毒を流し込まれていく。

 

「ひぎぃっ!?」

 

 さとりの足に噛み付いたのはムカデだった。それは絡みついて足を突き刺しながら猛毒を流し込んでいく。押し倒れたさとりちゃんは虫に食べられていく。

 

「やめっ、たすけっ、しにたく……」

 

 そもそもここまで執拗に狙われるのはさとりちゃんがかけられている白濁液が原因だ。あれはさとりちゃんが木の化け物に足をからめとられた時にかけられた奴だ。その効果は虫を匂いで誘き寄せ、取り込んで栄養にするためのものだ。そのために森の中にいたさとりちゃんには致命的だった。植物にも意識があると思っていなかったからこそ、意識が流れ込んでこなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

 草原でこころちゃんが目覚める。彼女はすぐに何があったのかを思い出して身体を抱きしめて無事なことを確認する。それから無表情のまま震えながら涙を流す。

 

「助かったの? でも、殺され……ううん、食べられたはず……まさか、残機が減ったの?」

 

 そう、彼女は生き残ったのではなく違う場所で蘇生されただけだ。つまり、残機を消費して助かったのだ。その残機がいくつあるかは不明である。これで何度も死ぬことができると思ったら、それはありえない。何故なら……

 

「やだぁっ、もうやだぁっ……」

 

 ガタガタと震えて三角座りをしながら頭を抱えて泣いていく。彼女にとって確実なトラウマになったのだ。簡単に死ぬことなんてできない。そして、死んだことによってこころちゃんの能力である感情を操る程度の能力が暴走して自分の感情がコントロールできなくなっていく。また、さとりが死んだからか、変身もできない。どうやら倒されると一定期間は最低でも代わることのできない仕様のようだ。

 動くことを止めたこころちゃんに安息の時はなく、暗黒大陸は即座に牙を剥く。やって来たのは巨大なティラノサウルスだった。大きな口を開けてこころちゃんを食べようとするが、こころちゃんは動かない。もはや絶体絶命の状況となり、後は食べられるのを待つだけの状態だ。その直前でティラノサウルスは動きを止めて、少ししてから倒れる。

 

「「…………」」

 

 恐怖のあまり動かなくなり、自分の中に閉じこもってしまったこころちゃんの心や感情が無差別に周りの者達にも感染していく。恐怖して恐慌状態になり、逃げだしていくものや同じように動かなくなるものが多数でてくる。

 そのまま何度も何度も太陽が登り、沈んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

いったい幾つの太陽が昇り、沈んだのかわからない。それでも確実に時間が流れ続け、こころちゃんの周りには動かなくなり、食事を取れずに餓死した幾つもの死体が集まる場所となっていた。

そんな場所に数十人の人がやってきた。彼等は武装しており、全員が超能力者、この世界でいう念能力を使う逸脱人達だ。そんな彼等がみたのは数多の死体が固まる場所だ。

 

「隊長。全部死んでいます。これは宝の山ですよ」

「待て。朽ち果てた奴もいる。毒でやられている可能性もある。念獣を先行させて調べさせろ」

「了解です」

 

隊員の一人が何も無い場所に念能力で念獣。念能力で具現化させた生物、鳥を作りだす。その鳥は術者と視覚を共有しているため、安全なところからでもしっかりと見ることができる。そんな彼等が発見したのは、三角座りのまま動かない不気味な幼い少女だ。

 

「た、隊長。要救助者を発見しました」

「要救助者だと? 詳しく説明しろ」

「し、死体の中心部に少女が一人、座り込んでいます!」

「暗黒大陸に人間の少女だと?」

「それにまだ幼い10歳から11歳ぐらいだと思われます……」

「助けましょう!」

 

隊員の一人が飛び出そうとするが、すぐに他の団員が止めにかかる。

 

「ここは暗黒大陸だ。罠の可能性が高い。慎重に行動しろ」

「す、すいません……」

「待てください。動きがありました……これは……火の玉か?」

 

 彼女、こころちゃんの周りには無数の青い炎が浮かびあがり、禍々しい気配を発する。離れた場所に彼等も近くに居た者達から恐怖や無気力や絶望に襲われて倒れだしていく。何人かの人が武器を持ち、念能力を行使して倒そうと挑むがその少女、こころちゃんの頭にある白い狐の仮面がニヤリと笑うと彼女の後ろに禍々しい気配を放つ化け物の姿をみることができた。

 

「化け物め……」

「どうにか逃げられればいいのだが……」

「何人かが決死隊になるしかないだろう」

「致し方あるまい」

 

 数人が近付くとその者達が倒れたりするが、それ以外に相手の行動がおきない。それに気づいた者達はロープなどを利用して引きずって助けることに成功する。死んではいないからこそ可能な方法だ。しかし、心は壊れているので再起不能となっている。更に念獣を放った術者もフィートバックされたのか、そちらも軽くない被害を受けた。

 

「撤退だ。これ以上の犠牲は看過できない」

「りょ、了解しました……」

「あの少女はいったい……」

 

 

 

 

 彼等が撤退してからしばらくすると、死体などが黒い炎となってこころちゃんの中に入っていく。そして彼女が無表情なままで動き出す。ゆっくりと歩いていくこころちゃんを襲ってくる者達は今までと同じよう殺され、炎へと変わって吸収されていく。

 こころちゃんが夢遊病のように歩いていくと植物に囲まれた人工物のところにやってきた。そこの警備のような丸い植物の球体が無数に現れてくる。

 

「%&”!%’”(%%!”=」

 

 球体はこころちゃんの周りを一周すると、まるで歓迎するかのように道を開いて誘導していく。それは古びた研究施設のような場所で建物は全てが植物に覆われていた。

 そんな中にこころちゃんが入ると、電気が灯り出して施設が一部復活していく。こころちゃんが廊下を歩く中、廊下の端には無数の培養槽が並べられており、そこには脳や身体の一部など様々なものが置かれている。当の本人は気にすることなくそのまま進み、ある一つの部屋に入って近くにあるベッドへと倒れた。まるで自分の家といった感じだ。

 

 

 

 

 

 研究所で眠ること数十日。まるで死んだように眠るこころちゃんだが、眠ったまま起き上がって色々と作業を行っていく。それは部屋の掃除だったり、洗濯だったりする家事はもちろんのこと、施設を復旧もこなしていく。夢遊病どころか、まるでマリオネットのように動いていくこころちゃん(?)は順調に回復しているようだ。

 

 

 さらに月日が経ち、ようやくこころちゃんが目を開ける。目覚めたこころちゃんは周りを見渡して不思議がるが、何故こんなところにいるのかもわかっていないので、仕切り小首を傾げて不思議がっている。

 

(ここ、どこ? 私は……あれ、思い出せない……)

 

 こころちゃんの死んだときの記憶は綺麗さっぱり消されていた。だからこそ、何があったのか思い出せない。だが、起きてから不思議な事ばかり起こっているこころちゃんはあっさりと結論をだした。

 

(まあ、どうでもいいよね。生きて居られたらそれでいいし……どちらにしろ、調べるならさとりの方がいいかな。なれるかな?)

 

 結論付けたこころちゃんは周りを確認してから、自分の姿を変えることを意識する。身体に適応してきたのか、すんなりとさとりちゃんに変化した。彼女は不思議そうに身体を触って確認するが、何もわからないので、少し考えてから服を脱ごうとしてやめた。

 

(ここが安全かはまだわからないですし、脱いで確認するのは止めておきましょう。しかし、服まで綺麗になっていますね……)

 

 さとりちゃんは確認するために袖をあげて匂いを嗅いでみる。

 

(洗濯したてのいい匂いがしますね。それにこの部屋は……)

 

 よくよくさとりちゃんが部屋の中を見渡せば服が沢山置いてある。それらは古くなっているものもあるが、さとりちゃんとこころちゃんの服であった。

 

「……ここに私達の秘密がある可能性は大きいですね……」

 

 さとりちゃんは部屋をくまなく調べていくと一つの写真立てが見つかった。そこには長い黒髪の女性と男性の姿が映っていた。二人は白衣を着て互いに赤子を抱いている。

 

「……もしかして……私、たち……?」

 

 さとりちゃんは赤ん坊が自分とこころちゃんのことだと思って、さらに色々と家探しのように調べていくが、何もわからない。

 

(ここではない別のところにあるかもしれませんね。外は怖いですが、何時までも引きこもっているわけにもいきません)

 

 決意をして拳を握りしめてから、外へと通じる扉をそっと開けて顔だけだして廊下を覗く。廊下は光がともっていなくて、さとりちゃんが出ると光が灯る。

 

「ひっ⁉」

 

 驚いたさとりちゃんはすぐに顔を引っ込めて扉を閉める。そして、少ししてから不安そうに顔をだすさとりちゃん。何度も何度も繰り返して安全が確保されているのかを確かめる。

 

(大丈夫、みたいですね。おそらくこれは赤外線などによる熱源の探知だと思います。この施設に生き残りの反応はないですから大丈夫な気がしますが……いえ、何か忘れている気が……)

 

 頭を押さえながら必死に思い出そうとするが、その度に痛みが襲ってくる。しかし、さとりちゃんは痛みに耐える。

 

(これ、絶対に何か有りますね。だいたい元いた場所から今いる場所まで移動した記憶なんてありません。それに自分のことを知るのなら、一番いいのは私の能力で私自身の記憶を読むことじゃないですか。大丈夫、頑張りましょう。私は古明地さとり。すくなくとも外側はそのはずです。だったら、これくらいできるはずです。えい、えい、おー!)

 

 さとりちゃんはサードアイを自らに向けて自分の記憶を読み込んでいく。本来は表層しかわからないのだが、サードアイを利用して催眠術を利用する方法で引き出していく。

 

「あっ、あっ、あぁぁぁぁぁっ!? むしっ、むしぃぃぃぃっ! いやっ、いやぁあああああああああぁぁぁぁっ!?」

 

 さとりちゃんは頭を抱えて床に倒れながらゴロゴロと転がって暴れ回る。同時に多数の虫が周りから滲みでてくる。それらは襲いかかってきてまた彼女の身体を喰らっていく。そう、彼女は自分の力で自分のトラウマを再現してしまったのだ。

 するとサードアイが勝手に動いてさとりに催眠をかけて眠らせる。心なしか呆れているようだった。だが、これで終わる彼女ではなかった。

 

「……ふふふ、いいでしょう。トラウマを利用する私がトラウマにやられるなんて……こんなの古明地さとりじゃないです。古明地さとりたりえるために克服してやりますよ……」

 

 何故なら彼女にとって拠り所となっているのは自分が古明地さとりと奏こころであるということだ。記憶もなく、人間ではなくなり暗黒大陸になんかに放り込まれたのだからこそ、存在が不明確になる。それは妖怪にとって致命的なことだ。自分の定義を失うと消滅する可能性がある。と、さとりちゃんは思っている。実際のところは不明であるが、そう思い込んでいるさとりちゃんは実行する。

 

「ひぎゅうぅううううぅぅぅっ!? 虫っ、虫ぃいいいいいぃぃぃっ!?」

 

 のたうち回りながら精神崩壊して死にそうになりながらもなんとか耐え抜いていく。そして、何回も失禁を繰り返して十三ヵ月かけてようやく克服した。

 

「勝利っ」

 

 さとりちゃんは三段ガッツポーズを決めて元気に勝利宣言をした。これは本来ならこころちゃんでするはずの奴である。だが、涙目で腕を振り上げるさとりちゃんもまた大変可愛らしいのでよしとする。さて、ようやく奥深くに眠る記憶にアクセスすることができたさとりちゃんは新たな真実を知ることになる。

 

「誰ですか、コレ。仮面が本体とかいわないでくださいよ……というか、肝心な記憶がありませんね。やはりこの施設を調べないといけないようです。その前に恥ずかしい液体の処理をしないといけませんね……」

 

 ようやく放置されていた研究所の謎が明らかになる、かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 さとりちゃんはおっかなびっくり、遺跡の探検を開始する。しばらく頑張っているとさとりちゃんはとある日記をみつけた。

 

「これは……読めないですね」

 

 ぽいっと捨てようとするが、触手が勝手に動いてキャッチする。そしてさとりちゃんの目の前に運んでいく。

 

「……仕方ありません。記憶を読んでみましょう」

 

 しっかりと記憶を読んでいくさとりちゃん。そこでわかった内容はとんでもないところでした。

 

 

 

 

 ○月×日

 

 世界は核の炎に包まれて滅びを向かえてから幾つもの時が過ぎた。地上は放射能に汚染されて生き物の住めない土地へと変貌している。そのため、我々人類は地下に建造したアーコロジーへと逃げた。しかし、食料問題やエネルギー問題によって滅亡の時が迫っていることを否応なしに知らされる。どうにかして生き残る手段を模索しているが、目途がたっていないのが現状だ。

 

 ○月×日

 

 ついに希望が見つかった。北極大陸を監視していた人工衛星が氷の中に埋まっていた赤い石が六つ見つけたのだ。その赤い石が内包するエネルギー量は世界中の消費量を遥かに上回っていた。問題はエネルギーを抽出する方法ある。

 

 ○月△日

 

 駄目だ。エネルギーの抽出ができない。世界中が最後の希望を掴むために頑張っているがどうしても暴走してしまう。そんな時、黒髪の日本人女性が我が研究所にやってきた。彼女はトワコと名乗り、ある理論を持ち込んできた。それは驚いたことに赤い石からエネルギーを抽出する理論だった。半信半疑だった我々だが、藁にも縋る思いでそれを試してみることにした。

 

 

 ○月×日

 

 ついにエネルギーの抽出するための施設が完成した。エネルギー炉心は全世界で運用が始まり、アーコロジーの全てを賄うことができた。これによって人類は多少の余裕が生まれた。食料の生産も行われているので、ついに別の計画が動くことになった。

 それは新人類計画。放射能に汚染された大地を踏みしめ、地上で生活する新たな人類を生み出す計画だ。この計画は他の所でも作られている。アメリカでは北極から手に入れた何かでアイスマン計画を行うらしい。我々も負けていられない。

 

 △月〇日

 

 四年の月日が経った。新人類計画は順調に進み、動物で実験した結果、赤い石の力で進化した。その動物は外で順調に生きている。

 人類への進化を行うため、赤い石のエネルギーを人に注入した。結果、人類は新たな力を得た。それは超能力であり、自らルールを決めることで様々な力を得られることが判明し、より一層の開発がはじまる。彼女、トワコと共に私達は新たな時代の幕開けを感じられた。

 

 

 そのはずだった。しかし、それは間違いだった。赤い石は禁断の果実だったのだ。私はそれを得た超能力、心を読む能力でトワコの心を読んで理解した。彼女の正体が判明したのだ。そう、彼女はこの世の全ての悪意を集めたような存在であり、我々人類を滅ぼす敵だった。

 

 △月×日

 

 トワコに対処するための方法を模索する。現状では赤い石を全て壊すことなど全人類にとって不可能だ。故に悩んだ末、昔のライトノベルから秘策を得た。駄目元でやってみたのだが、成功した。その秘策とはプロポーズだ。つまり、トワコと結婚した。後は子供を作って彼女に対するカウンター装置とする。

 

 ×月〇日

 

 子供が生まれた。可愛い双子の姉妹だ。名前は……昔のゲームからつけた。私の能力が遺伝すればそれでいいからだ。娘の名前はさとりとこころと名付けた。

 育てるのは普通に愛情をもってかわいがる。妻であるトワコは他のアーコロジーに出張したりするので、その間に色々と仕込む。

 

 〇月□日

 

 子供が生まれてから三年。開発した自己増殖型ナノマシンを投与した子供達が体調を崩して私がやっていたことが妻にばれた。殺されるかと思ったら無茶苦茶怒られるだけだった。

 詳しく話し合うと、あきれられた。どうやら、世界を滅ぼすつもりなどなく、負の力はただの食料だったようだ。というか、別の世界かは知らないが、すでに負けて人類を見守るつもりらしい。それにこの世界の人類は放置しても滅ぶのでわざわざ手を出すまでも無いとのことだ。まあ、どうでもいい。今は可愛い我が子と妻を幸せにするだけのことを考えよう。だが、人類が滅びてしまっては意味がない。どうにかするだけの力を二人で与えるために更なる研究を行うことにした。

 

 △月〇日

 

 二年後、子供達は妖怪という種族になったらしい。新人類計画は完成したといえる。ただ、問題が起きた。実験した動物達が地上で進化して繁殖し、異常繁殖したのだ。

 同時にこの世全ての悪のような存在の力を得ていたせいか、凶暴化が進んでいるらしい。何個かのアーコロジーが進化した動物に滅ぼされ、赤い石がなくなったらしい。

 

 △月×日

 

 人類はやはり愚かだった。凶暴化した生命体達をどうにかするためにまた核を使った。より一層、地球が滅んでいく。それに対抗するかのように地球はより強固な生命体を生み出していったのだ。私は軍部からの要請でナノマシン技術と妖怪の力を利用した防衛兵器を開発することになった。

 

 △月□日

 

 防衛兵器軍部が娘達のことを嗅ぎつけて兵力としようとしてきた。トワコと私は研究所に立てこもって防ぐことにする。防衛システムも準備していただけあって順調だ。

 それと怒ったトワコが、赤い石を回収してきた。それを二つに割って二人に与えた。これで二人は大丈夫、そう思っていた。しかし、研究所内に裏切り者がいたのだ。

 私達の一瞬の隙をついて娘達を人質として……

 

 

 

 □月〇日

 

 これが最後の日記となる。私は殺され、娘も殺されたらしい。そうなるとトワコが取る手段は決まっていた。憎しみによって解放された彼女の怒りは暴走し、私達がいるアーコロジーの住民を殺し尽した。

 彼女は自身に残った最後の力で私を変質させた。同時に彼女も変質していくようだ。娘は色々と混ぜて二人で一人に作り替えるしか、生き残らせる方法がなかったたらしい。これでも生き残れる保障はないらしく、私達は賭けることにした。私達もそれぞれが娘につくことで見守るだけの存在となり、彼女達を支えようと思う。これが唯一四人で生き残る道らしい。だが、赤い石を全て集めれば復活できる可能性がある。

 

 

 

 

「なるほどなるほど、つまり貴方は私のパパであり元凶ですか」

 

 さとりちゃんは自分の身体についている目玉触手を目の前に持ち上げて覗き込む。目玉はそっと視線を逸らす。そもそも日記には色々と混ぜて書かれていたのだ。

 

「まあいいでしょう。言語機能はないようですし……いえ、心を読めばいいですね。あ、拒否されましたか。まあ、私よりも力が上……いえ、そんなはずはありませんね。この話が本当なら力は私の方が上ですから」

 

 事実、さとりちゃんの方がスペックは高い。使いこなせるかは別なので、まだ力のコントロールが効かないのだ。そんなわけでさとりちゃんはまだ同じ能力者の心はみえない。

 

(しかし、施設生きているならやりようはいくらでもあります。私とこころの分離すら可能かもしれません。もっとも、精神は一つなので分離する理由はあまりありませんけど。どちらにせよ、ここから衛星のデータを読めるかもしれませんね)

 

 さとりちゃんは施設を動かして衛星からデータを習得する。どうやら、なんとか生き残っていたようだ。衛星によってこの世界の地図を手に入れることができたさとりちゃん。しかし、それだけだ。衛星は生きていたが、施設はところどころがたがきていて何時崩壊してもおかしくないような状況らしい。

 

(外の様子はアレですね。植物の頭を持つ人間……ナノマシンによる錬金植物による生命体ですか。これならホムンクルスも作れるかもしれません。でも、まずは鍛えないといけません。ハンターハンターの世界なら、能力次第でどうにかなる可能性が高いです)

 

 さとりちゃんは自らのルーツを知り、一応の安全な場所を確保した。しかし、それはあくまでも一時の安寧にすぎない。サバイバルは始まったばかりである。

 

 

 

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